まずはウォルフが動いた。
防御を固めつつ、フードの死角へと動く。

ユウルはフードを守るように立ちはだかる女性の一人へと体当たりを仕掛ける。
見事に命中し、女性は昏倒して倒れこんだ。

フードはそれを横目に、何か呟いている。
漏れ聞こえるその声は、古代語魔法を紡ぐ詠唱のようだ。

だがフィリスがそれを防がんと、フードに向けて渾身のコンフュージョンを放った。
しかしフードに怯んだ様子は見られない。
どうやら抵抗され、魔法は効果を現さなかったようだ。

レベッカはフードの魔法に備えて身を低くし、ゆっくりと女性へと近付く。

そしてアルフもまた魔法に備え、仲間たちとウィスノーにカウンターマジックをかける。
その詠唱が終わったと同時に、冒険者たちの身体は魔法の守りを示す淡い光で包まれた。

残った女性二人は、変わらずフードを守るようにしてその周りに立つ。

ルキシュはギリギリまで行動を待ち、一瞬の隙を付いて女性に組み付こうとする。
怪我をさせずに取り押さえようというつもりだったようだが、これは間一髪かわされてしまった。

フードの身体が空中へと高々と舞い上がる。
ウォルフは瞬時に判断し、それを逃がすまいと追い出した。

ユウルもまたフードを追いかけようとしたが、目の前に立つ女性に邪魔をされる。
その手をかい潜って避けようとするが……足元の小石に蹴躓いて転んでしまった（1ゾロ）
相変わらずというかなんと言うか……サイコロ運の悪い。

そんなユウルを尻目に、同じくフードを追いかけようとするフィリス。
が、これも女性が邪魔をする。
避けるのは無理と判断したか、フィリスは手にしたスタッフで女性を殴りつけた。
が、エルフの細腕の悲しさか。一瞬女性はよろめいたものの、倒すにはいたらずその前を塞がれてしまった。

レベッカは突然のフードの行動に驚き、その場にただ立ち尽くす。

アルフは足で追うのは無理と判断し、使い魔のフクロウを夜空へと飛ばせる。
フクロウの獲物を捕らえる鋭い目は目標を見失うことなく、フードを追いかけた。

女性たちはフードが逃げる邪魔をさせまいというのか、その場で冒険者たちの邪魔をせんと立ちはだかる。

ルキシュは再度そんな女性たちを取り押さえんと組み付こうとするが、これもかわされてしまう。
どうも相手が一般人だと遠慮しているのか、動きにキレがない。

上空へと逃げ去ったフードの声が響く。

その声とともに、フードが手にしていた杖を離す。
重力に従って地面へと近づく杖だったが、激突する寸前にフィリスが何とか受け止めた。
フードはすでに身を翻し、夜闇の向こうへと姿を消そうとしている。

剣をしまい、クロスボウを巻き上げるユウル。
最後の抵抗、とばかりにフードの人物に狙いをつけて矢を放った。

矢はフードに当たったかに見えたが、フードに怯んだ様子はない。
そして、その姿はそのまま闇の中へと溶け込んだ。

がっくりと肩を落としため息をつく。

程なくしてウォルフが戻ってくる。

その声からは悪びれた様子など微塵も感じられない。
ちなみにアルフのフクロウも取り逃がしたようだ。
というか。焼き鳥（ライトニング）になるのを恐れて途中で追うのをやめた、という方が正しい（笑）

女性達の介抱を手伝いながら、嫌な記憶を思い出し渋い表情をする。

そんなユウルの肩にポン、と手をやり、

半ば慰めるような口調で優しく語り掛ける。
自分だってフードを見失ったくせに偉そうだ（笑）