SW-PBM #124 Pigeon Blood Act.03〜店員 |
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■ 【銀の網亭・個室】 |
おやじが注文を取って行きしばらくして。
コンコン、とドアをノックする音と共に声がした。
■女性 To:ALL |
すいませぇん。ご注文の品をお持ちしました〜。 |
おかみでも、ましてやおやじの声でもない。
全く聞き憶えの無い声だった。
■ユウル To:女性 |
ん?誰だろ。おかみさんじゃないみたいだけど…。 は〜い、今開けます。 |
ユウルが立ち上がってドアを開ける。
■レベッカ To:ALL |
銀の網亭っておやじとおかみさんの2人で切り盛りしてるものだとばかり思ってましたが・・・ 新しい店員さんでも入れたのでしょうか? |
ユウルの開けたドアの向こうから、一抱えはあるだろうかというトレーがやって来た。
トレーの下からは、ほっそりした足が覗いている。
上半身はトレーに満載された品に隠れて見えない。
■女性 |
んしょ、んしょ……。 |
かなり重たそうに、トレーをふらつかせている。
ここまで無事に持ってこれた事が奇跡に近いかもしれない。
■フィリス To:女性 |
あ、あ、危ない。ちょっとまって、動かないでください、こっちで取りますから。 いいですか、取りますよ。トレイ揺らさないようにしてくださいね。 |
トレーから、全体のバランスが崩れないように気を付けつつテーブルへ品物を移していく。
ウォルフも無言で立ち上がるとそれを手伝い始める……ふらつかせるほど注文した責任を感じているらしい。
品物がトレーから消えると、ようやく女性の上半身が見えた。
が、その顔に見覚えはない。
■店員 To:ALL |
すみません、助かりましたぁ。 私この時期だけの臨時で雇われたんですけど、どうもまだ慣れなくって……。 |
女性店員が苦笑いする。
どうやらおやじが繁忙期を見越して臨時に雇い入れた店員らしい。
■店員 To:ALL |
えぇと、それじゃあ注文確認しまぁす。 飲み物が「パイソンの生き血絞りたて」と、ジョッキは「ジャイアント・トードの生卵10ヶ」。 それから、お酒が「どわーふすれいやー」。 食べ物が「エイプの脳のとろ〜りシチュー」と「オラン犬のれあステーキ」。 デザートに「ジャイアント・スラッグのシャーベット」。 ……間違いございませんかぁ? |
……なんとなく、頼んだ物と限りなくズレてるような気がする。
■フィリス To:店員の人 |
大間違いです(にっこり) |
ウォルフも深く頷いた。
これが都会のブラック・ユーモアかと思っているらしい。
田舎モンには天然かそうでないのかの区別が付かないらしい。
■店員 To:ALL |
あれぇ? おかしいなぁ。 伝票にはちゃんと……。 |
女性店員は持ってきた伝票をひっくり返したり裏返したり、光に透かしてみたりして。
一生懸命間違いが無かったか確かめている。
■レベッカ To:店員 |
しかしまたなんでそんな注文に・・・(汗) |
■ユウル To:店員、ALL |
グルメとゲテモノ食いは紙一重と言うけど… それにしてもすごいメニューだね。 |
■フィリス To:店員の人 |
...その伝票、他の部屋のものではないのですか? |
■ルキシュ To:店員 |
って言うかさ、それ全部おやじさんが作ったのかどうか、っていうのがとっても気になるんだけどw |
■店員 To:ALL |
あ、いえ。店長は『……こんなモン作れるかあ〜ッ!!』て言ってフテちゃったんで、私が代わりに作りました。 んで、えぇっと……。 |
もう一度じ〜っと伝票を見返して。
■店員 To:ALL |
やっぱり、お隣の部屋の間違いだったみたいですねぇ。 失礼しましたぁ、じゃあこちらの注文は引き取らせてもらいます。 |
■ アルフレッド To:店員 |
そうか、君も大変だな・・・。こっちの注文は後でいいから、お隣さんに「メニューに在るものを注文してくれ」って言いに行った方がいいよ。 しかし、自分で作ったにしてもその材料はどこから持ってきたんだ・・・?(-_-;) |
■ウォルフ To:独り言 |
‥‥奥が深い。 |
あんな料理を本気で頼んだ奴らがいるとは……などと思いつつ呟くウォルフである。
と、品物がてんこ盛りのテーブルに店員が近付こうとしたその時。
お約束、とばかりに店員は足を滑らせてつんのめった。
■店員 |
あ。 |
■ アルフレッド To:店員 |
おっと。 だいじょうぶk |
バランスを失った店員が、咄嗟にテーブルの端に手を掛ける。
しかしそうすると、当然妙な荷重がかかるわけで……。
ぐわしゃあっ!
……という派手な音と共にテーブルが半回転し、恐怖料理は部屋中にぶちまけられた。
ついでに、テーブルが回転した瞬間
ごすっ。
とかいう音も聞こえてきた気もするが、とりあえずその説明は後ほどに回す事にする(ぉ
■ウォルフ To:店員&ALL |
「あ。」じゃない〜ッ!! ええぃ!!奥義!!「千と千尋の神隠し〜っ」!! |
訳の分からない事を叫びながら、ウォルフは華麗なステップを踏み、次々と襲い掛かる恐怖料理の群れからその身をかわしていく。
と、同時にルキシュが動いた。
■ルキシュ To:フィリス |
あ、フィリス危ない! |
どんっ。←フィリスを押した音
フィリスを避けさせたつもりが、上から料理が降ってくる真ん中に突き飛ばす(笑)
■フィリス To:ルキシュさん、恐怖料理 |
わっ!み、見よう見まね回避の奥義ー! |
軽やかなステップでのーみそと生卵を避け……あ、足がもつれた。
膝をついた所にお酒と生き血が襲い、駄目押しとばかりにシャーベットの塊が頭部を直撃。なんか血塗れな雰囲気。
■レベッカ To:フィリス |
うわぁっ・・・だっ、大丈夫ですか? |
■フィリス To:店員の人 |
ううう、ぐしょぐしょ(涙) ...タオルか何か、頂けますよね?(凄絶微笑)>店員の人 |
■店員 To:フィリス |
はっ、はいぃ〜。 こちらへどうぞぉ〜。 |
フィリスの凄惨な微笑みに気圧されて、なんかカクカクしながら案内する。
その後をへろへろとくっついていくフィリス。
■ルキシュ To:フィリス |
あ、ボクもついていくよ〜。こうなった責任もあるし(T-T) ごめんねフィリス〜。 |
半分涙目のルキシュであった……。
■レベッカ To:フィリス |
わ・・・わたしも付いていったほうがいいかな?(^^; |
腰をあげてフィリス達についていく。
■ユウル To:フィリス&ALL |
…あ、足元気をつけてね、フィリス。 こっちはなんとか片しとく…無理かなあ。 |
まるでスプラッタな惨劇が起きたかのような部屋を見渡し、ウォルフと二人で深く溜息をつく。
そして、ふと気付く。……一人足りない。
■ウォルフ To:独り言 |
‥‥そういえば、アルフは一体どこに行ったんだ? テレポートで逃げたわけでもあるまいに‥‥。 |
辺りをきょろきょろ見回す。使い魔クリューガーの姿はあるが、肝心のアルフが見えない。
そのクリューガーは裏返しになったテーブルの近くをうろうろしていた。
■ウォルフ To:独り言 |
まさか‥‥ね。 |
引っくり返ったテーブルを覗き込む。
そして、そこに下敷きになっているアルフレッドを発見した。
■ウォルフ To:アルフレッド |
‥‥を〜い、アルフ生きてるか〜? |
■ アルフレッド To:ウォルフ |
いや、生きてはいるが一人じゃ出られそうにない。 ちょっとこいつを、持ち上げるかどかすかしてくれないか? |
自分の上のテーブルを指差しながら、いたって冷静ながら絞り出すような声で答える。
テーブルが重くて呼吸がしづらいらしい。
■ウォルフ To:アルフレッド |
わかった。ちょっと待っててくれ。 |
■ウォルフ To:ユウル |
ユウル手伝ってくれ。アルフがこいつの下敷きになっているんだ。 |
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