オラン 市街 |
学院での調べ物を終え、約束どおりエイシャと夕食を取るべくオランの街を行くレンシオ。
通りには明かりがともされ、物売りや吟遊詩人たちの声で賑わっていた。
■エイシャ To:レンシオ |
どちらのお店へ? この先に、美味しいミラルゴ料理屋さんができたんですけど……。 |
■レンシオ To:エイシャ |
え〜………特に考えていませんでしたが………(^^; 依頼中は大抵、銀の網亭で食事をとってるものでして。 ミラルゴ料理ですか………。ちょっと興味が沸くのでいってみましょうか。 |
食事に誘うなら、店ぐらい検討しておこう。
と言うわけで、エイシャの希望の店へ向かうこととなった。
と、手を取り歩き出す二人(嘘)を、まるで計ったかのように丁度路地から出てきて目撃するのは……。
■クロス To:レンシオ |
あっ、レンシオじゃん。って、あれれ? |
エイシャ嬢を慣れた感じ(?)にエスコートしているレンシオを見て、声を掛け損なったらしい。
レンシオをエスコート慣れしてると感じるクロスは、よほどそういうことに慣れていないのだろうか……。
■クロス |
邪魔しちゃ悪いよね(笑) ……まてよ?、レンシオ、たしか奥さん居るって話だったのに…… うわー、まさか、不倫!? |
なんだかそのまま帰りそびれてしまい、なんとなく後を尾行するクロス。
シーフらしく、無意識の内に細心の注意を払って、影のように尾けて行く。
■エイシャ To:レンシオ |
ええと、この角を曲がって……あ、あそこです。 |
エイシャの指差す先には、風をモチーフとしているらしい看板が掛かっていた。
ミラルゴ郷土料理『蒼き風亭』と書いてある。
クロスの巧妙な尾行は、二人に気づかれることは無かった。
店の雰囲気は、壁に掛けられた複雑な文様の織物など、エキゾチックな雰囲気にが漂っていた。
舞台では、一人の美しい女吟遊詩人がすばらしい美声と巧みな演奏で人々を魅了していた。
腰までありそうな深い紫の髪が煌々と掲げられた明かりにきらめき、暗紫色の瞳は客の顔の上をゆっくりと漂った。
■店員 To:レンシオ |
いらっしゃいませ。 |
■レンシオ To:店員 |
二人ですが、席は空いてますか? |
■店員 To:レンシオ |
お二人様ですね。 どうぞこちらへ。 |
そして、二人に続いて、わりと堂々と店に入って来るクロス。
「こういう時は、下手にこそこそしない方が見つかりにくいんだよ」(Byクロス) 尾行のテクニックらしい。
なんとなく尾行をはじめた割には、姿勢を変えたり、上着を脱いだり、髪型を適当に整えたりとか。ぱっと見の雰囲気を変えたりすることは怠らない。
……本当に、なんとなく、か?(--;;
二人が店員に案内されている内に、別の店員に案内してもらい、なにげなくレンシオから死角になる席へ。
■レンシオ To:店員 |
本日のお勧めのメニューは何でしょう? |
■店員 To:レンシオ |
そうでございますね……。 それでは、こちらの馬肉の石焼などいかがでしょうか? 一緒に、こちらのパンを召し上がられますと美味しさも倍増でございます。 |
■レンシオ To:店員、エイシャ |
では、それでおねがいします。 エイシャさんどうします? |
■エイシャ To:レンシオ |
お任せします。 |
■レンシオ To:エイシャ、店員 |
そうですか。 (店員に向かって) では、彼女の分も一緒にお願いします。 |
と、注文を終えたところでふと思うレンシオ
■レンシオ |
そういえば、先ほどからなんか視線を感じるような‥‥‥。 でも、尾行は付いていなかったから………多分、気のせいだよ………な………。 |
気のせいです(嘘)
なんだか身じろぎしているレンシオの様子を時折確認しつつ、こちらもお勧めの料理を頼んで、くつろいだ様子を装いながら聞き耳をたてるクロス。
<!−−クロスPL:情報収集はシーフの本能的な習性なのである。ゆるせレンシオ−−>
■クロス |
(どきどき) |
■エイシャ To:レンシオ |
ここに来るの楽しみにしてたんですよ。 ありがとうございます。 |
ちょうど弾き語りを終えた吟遊詩人が、髪をなびかせながら、すっと二人の席に近づいてきた。
その女性は、手にした小ぶりな竪琴を軽く爪弾きながら、エイシャににっこりと笑いかけた。
■吟遊詩人 To:レンシオ、エイシャ |
奥様に一曲、詩片をお捧げしてよろしいでしょうか? かわいらしい奥様に、私の詩心も甚く打ち震えておりますもので。 |
当然、有料ですけど(笑)
■クロス |
(ぼ、僕も一曲作れそうだよ…『両天秤組曲。序曲、魔術師の優雅な夕べ』とか…) |
ひょっとして、第1楽章以降は、もっと血みどろの愛憎劇の予定なのか……。
■レンシオ To:詩人 |
えっと………妻では無いのですが………(^〜^;; ………でも、せっかく来ていたもらったことですから一曲お願いしますね(^^; |
と、はっきりと否定もせずに……。
■吟遊詩人 To:レンシオ |
あら、それは失礼を。 それでは、一曲…… |
流れてくる調べは、あまりオランでは聞き慣れない曲調だった。
繊細な旋律にのせら紡ぎだされる言の葉が、レンシオとエイシャを包み込んだ。
■エイシャ To:レンシオ、吟遊詩人 |
素敵ですね…… |
■レンシオ TO:エイシャ |
そうですねぇ………。 |
あまり場慣れしていない風のレンシオであるが、さすが二児のパパ(?)。妙な雰囲気が出来つつあるとかないとか。
■クロス |
(うわぁ、いい雰囲気じゃん。相手も満更でもなさそうだし…いいのかレンシオ〜?(汗)) |
■吟遊詩人 To:レンシオ、エイシャ |
いかがでしたか? 最近、ベルダインで流行の曲なんですよ。 |
ベルダイン:
テンチルドレンと呼ばれる西方諸国群に所属する、芸術の都である。
■レンシオ To:吟遊詩人 |
どうも、良い曲でした。 あ、これでお礼です。 |
と、幾ばくかの礼金を渡すレンシオ。
■クロス |
(…西方から流れてきたバードなのかな………そういや“月下の紫猫”も西方から来てるんだったな……) |
■吟遊詩人 To:レンシオ、エイシャ |
ありがとうございます。 しばらくオランの街で歌っておりますので、ご贔屓にしてくださいね。 |
■レンシオ To:吟遊詩人 |
………あ、そうだ。 諸国を回ってるのでしたら博識だと見受けますが、西方で”月下の紫猫”と”黒曜逢花”と言うものについて聞いたこと無いですか? |
■吟遊詩人 To:レンシオ |
……え、月下の紫猫ですか? お客さん、物知りなんですね。 こっちの方で、彼女の名前を知ってるなんて。 |
■レンシオ To:吟遊詩人 |
いや、聞いたことがある程度なんですが………。 どういった人なんでしょう? |
■吟遊詩人 To:レンシオ |
ええと、ラムリアースとかテンチルドレンとかで活躍してる盗賊で、年齢も性別も不明の怪盗ですよ。 うわさだけなら一杯聞いてるんですけど……。 |
■クロス |
(…性別不明って言う割には、今『彼女』って断言したな? なんかそう思う理由があるのか…。いや、そういえば、ミスティ姐さんのところに顔を見せたのも女だって話だったし、女性の可能性が高いのかもしれないな。だとするとこのバードは紫猫の情報を何か知ってるのかもしれない。ひょっとして見かけたり会ったりしたことがあるか…案外協力者だったりして…) |
吟遊詩人の言葉に、妄想が暴走してるクロス。レンシオの浮気は、どうでも良くなってきたか。
■レンシオ |
(彼女なのになんで性別不明なのかな?) |
と、こちらは心で思っておくだけのレンシオ。
■吟遊詩人 To:レンシオ |
それと、黒耀逢香ですか? ……確か、 死せる月の下、闇色の花をいただき その甘き香り、天上の美姫の吐息の如し と歌われるあの花かな? …………お客さん、もしかしてものすごいマニアですか? |
■レンシオ To:吟遊詩人 |
へぇ………そんなすごい代物なんですか。 ちょっと小耳に挟んだ程度なんですけどねぇ。 その歌の意味とはどういったものなんです? |
■吟遊詩人 To:レンシオ |
さあ? 闇色だから……多分黒い花が咲いて良い香りがするんじゃないですか? あまり意味がある歌じゃないと思いますけど。 |
■レンシオ To:吟遊詩人 |
なるほど………。 どうも、色々参考になりました。 |
レンシオたちは、出てきた料理を食べ終えると、会計をして店を出た。
それを見届けると、クロスは先ほどの吟遊詩人に話しかけた。
■クロス To:吟遊詩人 |
もしもし、あんた、良い腕だねぇ。 あたしも少しは歌えるんだけんども、あんたにゃとおくおよばんね。 えーと、どこからいらした、って言ったっけねぇ? |
……典型的ないなかもんを装って声をかけるクロス。
■吟遊詩人 To:クロス |
えっ? あ、はい。 西の方から流れてまいりました。 この前までは、エレミアで歌っていたんですよ。 お客さんも、歌を歌われるのですか? |
■クロス@いなかもんモード To:吟遊詩人 |
おー、あたしもね、これでもちったあ歌も歌うし、竪琴なんかもひくのよ。 いやしかし、あんたのありゃたいしたもんよね。傍で聞いてたが、感動したよ。 こいつはあたしからもご祝儀だ。 |
クロスも、10ガメルほどその吟遊詩人に渡した。実際、良い歌だったのだ。
■ナムール To:クロス |
わぁ、ありがとうございます。 私、ナムールって言います。 普段は、この辺りの通りで歌ってますので、ご贔屓にお願いしますね。 |
■クロス@いなかもんモード To:ナムール |
ナムールさんかね。あたしゃラウンドっちゅうだよ。 そうそう、西方ね。ベルダインて言っとったね。さっきの歌も。 でさ、そのあと、今帰ったお客と、月下の紫猫のこと話しとったね? 実はあたしも聞いたことあんのよ。西方の怪盗月下の紫猫。なんでも筋骨隆々の大男で壁を破って金品を強奪する手口が得意だって話と、八十過ぎのばーさんだって話。 すごいよねえ。ここまで正反対のうわさがあるなんてな。歌のネタにって知り合いから聞かされたときにゃ、ばかにされとんのかと思ったがね。 時にあんた、さっき彼女っていっとったが、そーすっと、やっぱばーさんの方が正しかったんかね? |
そう言いながらクロスはナムールの様子を観察する。
もし彼女が月下の紫猫に近しい人間だったなら、何らかの反応を示すかもしれない。
しかし、彼女の様子に、何かを隠したり、しらばっくれている様子はクロスの見る限り、なかった。
やはり思い過ごしだったのだろう、とクロスは考えた。
■ナムール To:クロス |
お客さんも月下の紫猫をご存知なんですか? 珍しいなぁ。さっきのお客さんも聞いてましたよ。 まさか、このオランで続けて二回も聞かれるとは思いませんでした。 月下の紫猫については、私もいろいろと聞いてますよ。 でも、筋骨隆々の猫なんて、すっごく嫌じゃないですか? 猫を名乗るなら、スマートな大人の女の方がいいじゃないですか! だから、私の中では月下の紫猫は華麗なる女盗賊なんです(^^) 女性と言っても、おばぁさんは……あ、でも、それも面白いかもしれませんね。 知性をたたえた老獪な首領。多分、この場合は手下が居るのね。 お客さん、それナイスです! いただきます! これでまた、いい歌が作れそうだわ。 |
■クロス@いなかもんモード To:吟遊詩人 |
ははぁ、そいつは良かった。うまく出来たら是非聞かせてくんな。 そうだねぇ、手下にゃ、黒髪のかわいらしい女の子っちゅうのも良いかも知れんよ。そういう話もそう言えばあったの思い出したけん。 きっとあんたのように奇麗な髪の毛なんだろねぇ。 さて、あたしもそろそろ帰らなけりゃね。 |
■ナムール To:クロス |
かわいらしいだなんて、お客さんも正直ですね。 でも、そう言うのも良いかもしれませんね。 お気をつけてお帰りください。 |