SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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ロゾニィ屋敷 2階 |
エマの夫、クレマンが残した謎に取り組むべく、残ったメンバーは調査を開始した。ひとまず捜索先を屋敷内に絞って、詩に該当しそうな場所を調べていくことにする。
まず最初に選ばれたのは、白い薔薇の壁紙に小さな女性の肖像画がかかった部屋だった。この部屋は、エマの霊が出た薄紅色の薔薇の壁紙の部屋とちょうど反対側に位置する。
■エマ・ロゾニィの霊 To:ALL |
この部屋は夫が仕事に使っていた部屋です。私がこのような姿になる前には、ずっと彼が生きていたときのままにしていたの。すっかり家具はなくなってしまったけど、その絵と造り付けの本棚だけは昔のままですよ。 |
■フィオン To:エマの霊 |
立派な本棚ですよねぇ・・・。 なんか仕掛けがあったりしません(笑)? この部屋から大きな物音が聞えてきたとか。 |
とりあえず聞いてみる。
■エマ・ロゾニィの霊 To:フィオン |
いえ……。気がつかなかったわねぇ。 |
エアヘッドは、エマの説明もそこそこに、まっすぐ肖像画の前に進み、「にらめっこ」を開始する。絵の中では若い頃のエマが優しく微笑んでいる。隣の老婦人の面影がやはりある。
■ユウル To:エマの霊&ブラウニー |
まずはこの小さい肖像画をはずしてみたいんですけど…いいですよね? |
■エマ・ロゾニィの霊 To:ユウル |
ええ、どうぞ。 |
エマ本人の許可があるので、ブラウニーも今度は黙っている。
一方シャルルは壁や本棚、床を再点検していた。ユウルも、シャルルに手を貸して一緒に調べることにした。フィオンはエアヘッドが妙な事をしないかと目を光らせる。
まず、先ほどブラウニーに抵抗されて調べられなかった絵に注目する。絵を壁から外したところ、2 人は後ろの壁に小さな 5 弁の薔薇があるのに気がついた。どうやら何かのスイッチになっているようで、花弁の部分を押すとへこむようになっている。
エアヘッドは、右上の花弁に向かって「んにょ」っと、人差し指を伸ばす。
■フィオン To:エアヘッド |
ちょっと待った、エアちゃん! |
慌ててその手を掴む。
■シャルル To:ALL |
ん、何かあったのですか? |
部屋の点検中のシャルルは皆に問い掛ける。
■シャルル To:ALL |
あっ、これが「白き薔薇の中の 紅の薔薇」ですかね? |
■ユウル To:エマの霊 |
へえ〜こんな仕掛けがあったんだ。エマさん、これを見て何か思い当たる事ってありませんか? |
■エマの霊 To:ユウル |
いいえ…… そんなものがあったなんて、知りませんでしたわ。 |
■シャルル To:エマさん |
これは頑張りがいがありますね。なぞ解き、なぞ解きっ♪ |
次に外した絵をよく調べた。縦 40cm、横 30cm 程度の小さなキャンバスに若い貴婦人の肖像画が描かれている。優しそうに笑っている顔は、隣にいるエマによく似ている。シャルルは、ふとした拍子に絵の秘密に気がついた。ある特定の角度から見ると、本来描かれているのとは違う絵が見えるのだ。
■シャルル |
へぇ……ということは…… |
シャルルは本棚を調べてみた。どうやら、床に接する部分が空洞になっているらしい。しかし、本棚自体に動かせそうな部分はない。
■シャルル |
なるほど、なるほど♪ |
シャルルは床や天井を調べてみた。特に変わったことは見つからなかった。
■シャルル |
こっちは反応なし……と♪ |
ユウルは絵が掛かっていた場所の床を調べてみる。淡いグリーンの絨毯で覆われているだけで、床には妙なところはまったく見つからなかった。
■ユウル To:ALL・エマの霊 |
やっぱり、花弁を押したら本棚が動く仕掛けになってるっていうのが一番ありそうだよね。問題は、どれを押してみるか… エマさんの利き腕ってどちらですか? |
■エマの霊 To:ユウル |
右ですけれど…… |
そこへ、外に出ていた 2 人が帰ってきた。ずぶぬれだ。
■レヴィック To:ALL |
ただいま〜。 |
■シャルル To:レヴィック、シャノン |
あっ、お帰りなさい二人ともお疲れ……って大丈夫ですか、びしょびしょですよ? |
毛布を渡します。
■レヴィック To:シャルル |
アリガト。 アタシは平気だからシャノンちゃんに先にあげてくれる? |
■シャノン To:おおる |
私は大丈夫ですよ。 レヴィックこそ、どうぞお先に。 |
■シャルル To:レヴィック、シャノン |
はうぅ〜?(あっちへ、うろうろ。こっちへ、うろうろ) |
■ユウル To:レヴィック・シャノン |
お疲れ様〜。まずはあったまってね。何かわかった? |
■レヴィック To:ユウル |
残念ながら雨で足跡は消えちゃったみたい。ゴメンナサイね。 |
■シャノン To:レヴィック、おおる |
この雨では仕方がありませんよ。 それで、エマさんのお探し物は見つかりましたか? |
■シャルル To:レヴィック、シャノン、ALL |
こっちは大発見がありましたよ♪ なんと絵の裏にこんな模様があったんです。それと絵にも……♪ |
シャルルは特定の角度から絵を見ると違う模様が見える事を説明した。肖像画に現れたのは 5 弁の薔薇の花。各花弁と花芯の上の 6 ヶ所に、ファラリスを除く六大神の聖印とロゾニィ家の紋章が描かれている。
■レヴィック To:シャルル |
なるほどねぇ…こんなのがあったの。 |
■シャルル To:ALL |
これってあの始まりの巨人の神話に対応していると思いませんか?(^^) |
エマの霊が手を打って喜ぶ。
■エマの霊 To:シャルル |
ええ、ええ。その神話なら私も知っていますよ。巨人の体からマイリー様、チャ・ザ様、ラーダ様、マーファ様、そして暗黒神とファリス様がそれぞれお生まれになったというお話ね。 |
■レヴィック To:シャルル、エマ |
……アタシは遠慮しておくわ(^^;神話の話は得意じゃないの。 |
■シャノン To:レヴィック |
ならば、今度ゆっくりお教えいたしますね。 |
ヤブヘビのレヴィック。
■ユウル To:ALL |
この5弁と花芯のスイッチを順番に押すとするなら、やっぱり生まれ順っていうのが一番かな。それか、全部じゃなく、ロゾニィ家の紋章にあたる部分だけ押すか… さっきエマさんに利き腕聞いたのは、右手に当たる部分のボタンを押すんじゃないかなって思ったから。 …紋章にあたる花弁を押してみたいんだけど。いいかな?何が起こるかわからないから、周囲を警戒していてね。罠はないと思うけど。エマさんが間違って押して怪我するような仕掛けはないと思うんだよね。 |
■レヴィック To:ALL |
仕掛けで怪我しないって言うのは同感ね。エマさんのことをそれだけ気にしていた旦那様がそんなコトするとも思えないし。 |
■シャルル To:ALL |
ですね。ぽちっと押しちゃって下さい、ユウルさん(^^) |
ユウルはロゾニィ家の紋章と対になる壁の花弁をそっと押してみた。カチッと音がして、その部分が 1cm ほどへこんだ。それ以上は押し込めないようになっているようだ。他に変わった様子はない。
■シャルル To:ALL |
うみゃ?変化ありませんねぇ……? |
■ユウル To:ALL |
だめか〜。侵入者が適当に押して、6分の1であたるような仕掛けじゃないってことかな。 |
シャルルは本棚が動かないかうんとこしょっと確認してみるが、相変わらずびくともしない。
■シャルル To:ALL、エマ |
んー、動かないなぁ。という事は他の印を押さないといけないってことかな。 「み手」って言ってましたしファリス様の場所を押してみましょうか? そうだ、クレマンさんって何か特定の神様を信仰されていましたか? |
■エマの霊 To:シャルル |
ロゾニィ家としては代々ファリス神殿にお参りしていましたよ。私は時々お友達と一緒にマーファ神殿主催のバザーに出かけたりもしていましたけれどね。 |
■ユウル To:ALL |
それじゃ、ファリス神にあたるボタンを押してみようか。 |
ユウルはファリスの聖印にあたる花弁のボタンを押してみた。
ロゾニィ家の家紋のボタンが元に戻り、ファリスのボタンがへこんだ。何も変化はなく、今はファリスのボタンだけがへこんでいる。
■フィオン |
一応・・・ |
今度はフィオンが本棚を動かそうと試みる。しかし本人の予想通り、本棚はびくともしない。
次に、先ほどエマが言っていた順番(マイリー、チャ・ザ、ラーダ、マーファ、ファリス、ロゾニィ)に、すべてのボタンを押してみた。
マイリー、チャ・ザ、ラーダ、マーファまで押したが、ファリスのボタンはさきほどの操作で既に押されていた。そのボタンはこれ以上へこまない。
■シャルル To:ALL |
の、残るはロゾニィ家の紋章だけですね(どきどき) |
何気にシャルルはボタンを押そうとしている。
■レヴィック To:シャルル |
もったいぶってないで。押してしまいなさいな。 |
レヴィックは、後ろから伸ばしていたシャルルの腕を掴むと、ぐにっと押し込んだ。
■シャルル |
はわわっ(><;) |
ロゾニィ家のボタンを押すと、カチッという音がして押されていたすべてのボタンが元に戻った。 代わりに、ロゾニィ家のボタンだけが押されている。
■レヴィック To:ALL、エマ |
あら。もどっちゃったわねぇ? |
■シャルル To:レヴィック、ALL |
ロゾニィ家の紋章はリセットスイッチだったみたいですね。 |
■レヴィック To:ALL、エマ |
……なんだか面倒ねぇ…、どうせこの組み合わせなのよね。とりあえずイロイロやってみちゃっていいかしら? フィオンちゃん、都度それ(棚)動かして見てくれる? |
眉根を寄せてため息をつくと、ボタンをとにかくイロイロ押し始めた。
■フィオン To:レヴィック、エアヘッド |
ちょっと、その都度だなんてやーよ。 私、”か弱い”ソーサラーなんですからね。 ってことで、エアちゃーん。出番よ〜(^^;;; |
■レヴィック To:フィオン |
…うーん、そうよねぇ…。多分、仕掛けって言うなら勝手に動くだろうし、動かすのはしなくてもいいかもしれないわね。とりあえずボタンだけ適当に押してみるわ。 |
総当りで 2 つの組み合わせを試したが、いずれも正しい組み合わせではなかったようだ。
■ユウル To:レヴィック、ALL |
ねえ、ロゾニィ家のボタンがリセットかけるボタンなら、さっきの順番はちょっと違ってたって事だよね。 もう一度、試してみていい? |
ユウルはロゾニィ家のボタンを押して一旦すべてのボタンを戻し、改めてマイリー、チャ・ザ、ラーダ、マーファ、ファリスと押してみた。
すると、ファリスの聖印に対応するボタンを押したところで、どこか壁の奥のほうでカチリと何かがはまるような音がした。そして、本棚の底板が一部、自動的にゆっくりと前へ滑り出してきた。
■フィオン |
わっ |
慌てて本棚から離れる。
■ユウル |
(本棚と壁を見比べつつ)…へえ〜こんな仕掛けになってたんだ。 |
■シャルル To:ユウル、ALL |
(こくこく)そうですねぇ……よく出来た仕掛けです…… |
すっかり前に落ちてしまった底板の下は空洞になっていた。そこには、宝石を散りばめた両手に乗る位の可愛らしい宝箱が収められていた。
■フィオン |
お宝〜♪ |
■レヴィック To:ユウル |
あら、大当たりね。 |
■シャノン To:ユウル |
ユウルの正しい心がファリス様たちに届いたのですね。 |
■ユウル To:ALL |
皆が色々ヒントくれたからあたったんだけどね(^^ゞ なんにせよ、謎が解けてよかったよ。 |
■エマの霊 To:ALL |
まぁ、すてき。私にも見せてくださる? |
エマの霊の声は、待ちきれないようにウキウキしている。
■レヴィック To:エマ |
触っちゃってもイイ? ハイどーぞ。 |
レヴィックは宝箱を手に取って見せた。すると、宝箱の蓋がひとりでに開いた。蓋が開いた途端に、レヴィックには覚えのある甘い香りが一瞬広がった。エマが見せた幻の中で感じたのと同じ香り。
箱の中には、びろうどの袋に入ったずっしりと重い金貨と、すっかりドライフラワーになってしまった大輪の紅の薔薇、そして 1 枚のカードがあった。二つ折りされたカードの表には、『エマへ』と書いてある。
■エマの霊 To:ALL |
そのカード、クレマンの筆跡だわ。読んで下さる? |
■シャノン To:エマさん |
は、はい。 ええと…… |
カードにはこのように書かれていた。
『こんなものしか残せない僕を許してください』
■シャノン To:エマさん |
すごいですね。 いい香り…………。 この箱には、クレマンさんの気持ちがたくさん詰まっていたんですね。 |
■シャルル To:ALL |
えぐっ……これぞ本当の愛ですぅ……(うるうる) |
■フィオン |
でも、なんでお宝のことを犯人達は知っていたのかしら。 これを狙ってたのよねぇ??? |
フィオンは一人違うことを考えていた。
■レヴィック To:フィオン>エマ |
そういわれればそうねぇ…。 でもそれにしてもステキねぇ…。って、コレ(金貨)どうしたらいいかしら? |
■エマの霊 To:レヴィック |
そうねぇ……。私には、もういらないものだし。もしよければ、お願いついでにマーファ神殿に寄付していただけないかしら。恵まれない子供達のために使っていただきたいの。 |
■レヴィック To:エマ |
わかったわ。責任を持って持っていくから。 |
■シャルル To:エマさん |
あうー、ここにも愛が……(どばーっ)←注:涙 |
■エマの霊 To:ALL |
私にはこの言葉があれば十分…… |
シャノンの手からカードが浮き上がり、エマの手へと渡る。心なしか、彼女の輪郭が薄くなってきたようだ。
■エマの霊 To:ALL |
あらまぁ、どうやらお別れみたいね。 こんなお婆さんのお化けに良くしてくれて、本当にありがとう。クレマンと 2 人で、みなさんの幸せをお祈りします。 |
■フィオン To:エマの霊 |
もう脅かさないでよ〜(笑)。 |
■ユウル To:エマ |
あなたにあって、幽霊嫌いが少しだけ克服出来たような気がしますよ。…どうぞ、御幸せに(にっこり)。 |
■レヴィック To:エマ |
お別れするのは残念だけど、悩みが解消できたんだし良かったわ(^-^) |
■シャルル To:エマさん |
……(どばばー) ……マーファ様、あなたの溢れんばかりの愛に感謝しますぅ…… |
エマの霊はどんどん薄くなっていく。ブラウニーと抱擁を交わし、エマの霊は静かに消えていった。彼女の最後の言葉がかすかに聞こえた。
■エマの霊 |
クレマン、今そこへ参りますよ…… |
いつのまにか、嵐は去っていた。東の空が白み始めている。朝だ。
■フィオン To:ALL |
さてと・・・本当は一眠りしたい所なんだけどさ、嵐も去ったことだし、もう一度だけ森を調べてみない? あとね、あの読めない文字で書かれたもの・・・あったでしょ? あれを銀の網亭に持っていって、誰かに読んでもらおうよ。 |
■レヴィック To:フィオン |
そーね。フィオンちゃんがそこまで気になるなら調べて見てもいいかもね。中身がわかったら相手の目的もわかるだろうし…付き合うわよ。 |
一仕事終えた冒険者は、最後に森を経由して銀の網亭へ戻り、日記を調べることになった。
■シャルル To:レヴィック>ブラウニー |
そうだ。通訳お願いします(ごしごし) エマさんは神様のお膝元に行かれました。 これからこのお家には、エマさんのお友達って人が住むらしいのですよ。 どうかその人とも仲良くしてあげてくださいね?……い、いたずらしちゃ駄目ですよ? ……えぅ〜〜(←感涙でまだ泣いてる(笑)) |
■ブラウニー To:レヴィック>シャルル |
エマの友達ならいたずらしない。約束だもの。 |
■シャルル To:ALL |
…あぅ、なら大丈夫ですね(ごしごし) じゃ、森の中を見てみましょうか♪ あっ、そう言えば解除し忘れてた!!ちょっと先に行っていてください〜(><) |
シャルルは殺害現場に仕掛けたトラップを解除しに行った。自分の仕掛けた罠にかかっていれば世話ないが、シャルルは無事解除に成功した。
ロゾニィ屋敷周辺 森 |
一行は、屋敷を出て明るくなった森に向かった。
昨日の落雷は、森に跡を残していた。インプがいた森の巨木は、焦げてまだ煙が立ち昇っていた。
■フィオン To:シャルル |
・・・改めて、あの時戻って良かったね(^^; |
■シャルル To:フィオン |
・・・登ってる時に落ちてこなくて良かったですぅ(><)。 ……マーファ様、ラーダ様にありがとうございました、って言っておいてくださいませ…… |
森の中は雨に濡れてはいたが、開けた庭ほど嵐の影響を受けていない。昨日の日中に見かけたたき火の跡まで来てみた。それは昨日のままそこにあった。新しい発見は特にない。
■フィオン To:ALL |
手がかりは無しかぁ・・・。 うん、もう気が済んだよ。宿へ戻ろ。 |
銀の網亭 |
昨日の朝来た道を辿って市街の銀の網亭へ帰る。丸 1 日ぶりの宿である。
昼頃宿に到着すると、何はさておいて早速気になっていたことを解決することにした。殺人事件のあった部屋で、犯人のものと思われるノートと魔法書が隠されていたのを発見したが、誰も知らない言語だったので読むことができなかった。そこで、その場に居合わせたエルフにノートを読んでもらうことにした。そのエルフは一目見て、これがエルフ語で書かれていることを理解した。
このノートは、これからオランで行う予定の行動の概要や、旅の中で知ったことなどを備忘的に書き留めたものらしい。彼は遙か西方から旅をしてきて、5 日ほど前にあの館に偶然たどり着いたようだ。クレマンの残した宝箱のことは全く触れられていない。
魔法書の方は、所々エルフ語で書き込みがあるだけでフィオンが持っている物と大して内容は変わらなかった。珍しい魔法なども書かれていない。
まだやらなければならないことはいくつかある。第一は、依頼人への報告だ。しかし、昨夜は徹夜で働いてみんなクタクタだ。とりあえず一休みしてから、依頼人の事務所へ向かうことにした。
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