留置場 |
エーメットが詰め所を出てから6時間近く経過した。エーメットが戻ってくるまではまだ少しかかりそうである。狭い留置場に留まり続けるのもいい加減疲れてくる。
クラスターが一度戻ってきて、その間にちょっとしたやりとり等もあったが、そのたびにブライブが横から口を出したため、結果も思わしいものではなかった。
一行も精神的にくたびれてきたころ、ブライブも待ちくたびれたか、うんざりしたような顔で話しかけてきた。
■ブライブ |
どうだ?いい加減吐いたらどうだ? そこに居続けるのも大変だろうが。 |
■ エルステッド To:ブライブ |
吐け、と言われてもな。 我々はすべて知っている情報を提示している故に、これ以上なにを言えばいいというのだ? |
涼しい顔でそう答える。
彼にとっては、さほど長い時間ではないらしい。
■ アレクサンドロス To:ブライブ |
いい加減にしてくれ!最初から言ってるだろう。 ミドに壺を運べと依頼されただけで、他には何も知らないっ! オレは金を稼がなきゃいけないんだ。早くここから出してくれっ!! |
直情な性格のアレク。激情にかられ大声で吠えた。
しかし、格子越しのブライブは気楽なものである。
■ブライブ To:アレクサンドロス |
ふぅ………。 いつまでも強情だな。 まぁ、そこまで言うのなら、急ぎたいという気持ちもわからんでもない。 保釈金として幾ばくかの金を支払えば出してやらないでもないぞ。 |
■ アレクサンドロス To:ブライブ |
保釈・・・金? |
■ エルシア To:ブライブ |
で、その保釈金とやらはいくらなの? |
ブライブはエルシアに聞かれて腕を組みながらしばらく考え込む様子を見せた。
パーティー一人一人を見回すその動作は、まるでどれくらいとれるか値踏みしてるようにも見えた。
しばらく考えてからブライブは切り出した。
■ブライブ To:エルシア |
そうだな、麻薬の運搬か………一人100ガメルってところだな。 |
■ エルステッド |
(小声) 一人100? ……どうかんがえても安いのでは……? |
オーイシGMの法律豆知識:そもそも保釈とは、勾留されてる被疑者が保証金を支払うことによって、一時的に身柄を釈放してもらうことで、保釈金とはその保証金のことです。このとき、釈放された被疑者が行方をくらましたり出頭命令を受けても応じなかった場合に、その保証金は罰として徴収されるわけなので、原則として保釈金は返ってくるものなのです。また、逃走等を防ぐために払われる金なので、一般的にかなり高額な保証金を払うことになります。
というわけで、この一人100ガメルというのは安すぎると言わざるを得ないでしょう。PLはしばらく相談を始めます。ここで要求してる金は賄賂に違いないという指摘が往々にしてありましたが、どうにも話がまとまらない様子。一旦状況を進めるために少し話を進めることにしました。
一行が悩んでいるうちにエーメット巡査が戻ってきた。
ブライブはしばらくエーメットの報告を聞いていたが、それが終わると鬼の首を取ったかのように勝ち誇った調子で一行のところまでやってきた。
■ブライブ TO:ALL |
ふっ。どうやらお前達の言ってることが信用ならないことがよく分かったぞ。 確かにミドにはドムというものがいると言うにはいたらしいが、お前達の言うようなものではなかったとのことだ。 これから徹底的に調べてやるから覚悟しろ! |
■ アレクサンドロス To:ブライブ |
オレ達だってそのドムって男に実際に会ったわけじゃない! ちょっとくらい違ったって仕方ないだろう! 大体、100ガメルを払えば出してくれるって言ったのはどうなったんだ。 オレにはお前こそ信用できない、別のヤツに変わってくれ! |
■ エルステッド To:ブライブ |
徹底的に調べるもなにも。我々はこれ以上の情報を持ち合わせてはいないのでな。 そういえば、先程の"保釈金"について確認したい事があるので……できれば、エーメット殿も同席していただきたいのだが、いかがだろうか? ブライブ殿。 |
■ブライブ To:アレクサンドロス、エルステッド、エーメット |
信用できないだと?ふっ、麻薬の運び人がなにをほざくか! 保釈金を支払えば出すというのはあくまでお前らが嫌疑不十分だったからのこと。しかし、そのようなうそを付いた以上、もはやお前らのいうこともあてにならないということだ。 それとエーメットの同席の件だが、今夜はここにいるのは俺一人だけだ。 あとは全員検問にかかりっきりだ。残念だったな。 さぁ、エーメットこっちでの仕事も終わったならさっさと行け。 |
■エーメット To:ブライブ |
は、はい………。 |
言われてエーメットは再び外に出ていった。行かされたという方が正解かも知れないが。
■ アレクサンドロス To:ブライブ |
何度言ったら分かるんだ!オレ達は運び人なんかじゃないし、嘘もついちゃいない。 ドムって男が本当にいたのがその証拠だ。 どう違っていたのかは知らないが、ミドって村にその男しかドムって名前の男がいないなら、 オレ達が壺を渡すはずだったのはその男なんだ。無関係って事はないだろ! |
■ リシィア To:ブライブ |
私達は現実に、今こうして拘束されているわけですし、嘘をつく意味が無いのですけれど……。 壷運搬の依頼人……つまり本当の麻薬の商人、から聞いた情報に誤りがあったとして、どうして、私達が信用できない、となるのかが分かりません。 麻薬を運ばせる相手に、わざわざ本当の事を教える必要も無かったのでしょうね。 村の入り口でドムという人物に壷を渡す、というのが依頼内容でしたから。 |
延々と言い争いみたいなものを続けているうちにブライブはいい加減疲れてきたか、何も言わずに一行に背を向け、自分の持ち場の机に戻っていった。
一人ブライブとの口論には参加せず、何やら考えこんでいる様子のアルフレッドだったが、レイラックからドムに当てた手紙を預かっていた事を思い出し、封を破ってあけてみた。
■アルフレッド To:思わず独り言 |
なんじゃこりゃ・・・。(-_-;) |
何らかの情報が得られることを期待していたアルフレッドだったが、その封書の中身は落書きとしか思えないような黒い線が紙切れ全体に書かれていただけだった。
何かの暗号の可能性も考え、彼の知力を総動員しひっくり返して見たり透かして見たりするが、やはりただの落書きにしか見えない。(笑)
■アルフレッド To:独り言 |
やっぱりただの落書きか・・・、これを渡してどうなる予定だったんだ?! |
■ エルステッド To:アルフレッド |
失礼、アルフレッド殿。それは、依頼人より渡された手紙ではないのか…? |
■アルフレッド To:エルステッド |
うん、そうなんだけど・・・、読める? |
アルフレッドが開封した手紙を、後より見るエルステッド。
あまりの落書きっぷりに、しばし唖然。
■ エルステッド To:アルフレッド |
なんだその落書きは…… よもや、それをすかして合わせ、合えば良しというものでもあるまいし…… |
■アルフレッド To:エルステッド |
やっぱり君にも読めないか・・・。(ー'`ー;) |
■ギャスパー To:仲間たち |
なあ、ちょっと相談なんだけどよう…。 俺としちゃあ、麻薬商人の片棒担いでまで、依頼を果たしたくはねぇ。依頼は失敗ってことで踏ん切り付けた上で、連中に一矢報いてやりてぇんだ。 報酬なんかどうでもいい、官憲に雇ってもらうことを考えねぇか? |
依頼人に騙されたショックで、しばらく落ち込んでいたギャスパーだが、依頼人に対する怨念を糧に、ようやく復活を果たしたようだ。
■ エルステッド To:ギャスパー |
(小声) そうだな。麻薬などという自然ならざる物の運搬を手伝わされただけでも屈辱であるというのに。さらに犯罪者とはな。 ただ……官憲の相手が彼(ブライブ)である、というのが。今の最大の難問やもしれぬな。 |
■アルフレッド To:ギャスパー&ALL |
あぁ、俺もそれに賛成だ。 ただ、交渉相手があのバカじゃどうにも埒があかないな。 |
そう言いながらブライフの背中を指差す。
■ アレクサンドロス To:アルフレッド |
(努めて小声で)・・・だったら、ここを出よう。なんとしてもだ。 オレは、、、オレはこんなところで無駄に時間を使うわけにはいかないんだっ。 |
そうしているうちに、表の方でなにやら話し声が聞こえてきた。
どうやら詰め所に人がやってきたようだ。声から判断するとどうやら男性のようである。
二人は話し続けていたようだが、しばらくするとブライブは留置場にやってきた。
■ブライブ To:ALL |
………おい、お前達に面会を求めてきた男がいるから会わせてやろう。しばらくの間だけな。 変な気起こすなよ。 |
なにやら嬉しそうな表情を隠しきれず、微妙に唇の端をつり上げながら話しているブライブと入れ違いに、一人の男が入ってきた。
しばし部屋全体を眺めていたが、エルシアがいることを確認すると全員に聞こえるように、かつ小声で話しかけてきた。
■男 To:ALL |
………理由はあとで話そう。 お前達の「保釈金」を払ってここから出してやるけど、どうする? |
男は保釈金という言葉に妙なアクセントを置いた。
■エルシア To:男 |
ふうん? なんか裏に何かあるって匂いがぷんぷんするわね |
そういいつつ、エルシアは盗賊ギルドに通じる合図をした。
■男 To:エルシア |
みりゃ分かるだろ。 |
男はエルシアが起きたことを確認すると同じように合図を送ってみせた。
さらに続けて出してきた合図からして、どうやらオランのギルドからやってきた者のようであった。
■ エルステッド To:エルシア |
? "身元引受人"というものか? |
いまいち状況を把握できないようだ。
■ エルシア To:エルステッド |
そう思って良いわよ。久しぶりね、まさか貴方が来てくれるなんて思わなかったわ |
■ エルステッド To:エルシア |
ふむ……それはありがたいな。 |
■ エルステッド To:男 |
エルシア殿のお知り合いのようだが。 二進も三進もいかぬ状況故に、感謝する。 |
と、丁寧に頭を下げる。
■ アレクサンドロス To:男 |
・・・よく分からないんだが、本当に出してくれるのか? なら、頼むっ。早く出してくれ! |
■男 To:アレクサンドロス |
そうか、なら少し待ってな。 |
男はそういうと反転し、表に向かっていった。
異論は無いのかアルフレッドは静観している再び男とブライブは話し始めたが、ものの5分もしないうちに話は着いたようである。ブライブは笑みを隠しきれず、ニヤニヤした表情で留置場にやってきた。
■ブライブ To:ALL |
おい、お前らの身元保証人がきたぞ。 だしてやるから有り難く思え。 |
言いながらブライブは留置場の鍵を一つ一つ開けていったのであった。
■ エルステッド |
(内心) この男(ブライブ)は懐が暖まったという事か。 これはそのままにしていて良いものかどうか…… ……まぁ。私が気に病むことではないかな。 |
■ リシィア To:パーティー |
とりあえず出られるみたいですね。 こういう形は、あまり気分的にはよくありませんけれど……。 |
■ギャスパー To:リシィア |
あの連中にお返しができるんなら何でもいいんじゃねぇか? |
■ アレクサンドロス To:リシィア&ギャスパー |
それにここを出なければ何も出来ないんだ。 オレ達の無実はオレ達自身で晴らせば良い。 |
留置場から出て、ニヤニヤしているブライブを威圧するように睨み付ける。
■アルフレッド To:男 |
あ〜、やっと出れる。誰か知らないけど助かったよ。 |
アルフレッドは硬くなった体をほぐしながら、握手をしようと男に手を差し出した。
男は申し訳程度に握手をしたあと、一行を詰め所から少し離れた場所に誘導しながら、変装と上着をとった。
黒ずくめの装備に柔和そうなその顔はエルシアの見知った、オランのギルドの中堅幹部であった。
■中堅幹部 To:アルフレッド |
さて………ちっとお前達にレイラックを捕まえるのを協力してもらいたいんだけど、その前になんか聞きたいことはあるか? |
■エルシア To:中堅幹部 |
報酬は? |
■中堅幹部 To:エルシア |
こっち(オランの盗賊ギルド)から出すのは今払った額と持ってきたやった情報料でチャラだ。 これからエレミアに向かうからそっちと交渉してくれや。 |
ここら辺はしっかりしている幹部であった。
■ アレクサンドロス To:中堅幹部 |
エレミア?オランじゃなくてエレミアに行くのか? |
■ギャスパー To:中堅幹部 |
連中はギルドに加入していない麻薬商人だった、ってことかい? あと、俺たちは単なる囮として使われたのかなぁ? |
■中堅幹部 to:ギャスパー |
ま、そんなところだ。 エレミアに運ばれる予定、らしい。 |
■ アレクサンドロス To:中堅幹部&ALL |
よし、話は分かった。そういうことならすぐにエレミアに向かおう! オレ達を騙し、麻薬を売りさばくような奴らは、ファリスに誓って捕まえてみせるさ。 |
バンダナを締め直して気合いを入れ直し、エレミア方面へ向かってズンズン歩き出すアレク。
■ エルシア To:中堅幹部 |
詳しい話は道々貴方に聞けばいいの? |
歩いていくアレクサンドロスを無視して、幹部に話しかけるエルシア。
■ エルステッド To:中堅幹部 |
牢屋の中より出たのはよいが。 私達にかけられていた嫌疑は、晴らされたと見てよいものなのか? それとも、真犯人を捕まえる事により、改めて晴らすという風にした方が良いのか? |
■中堅幹部 To:エルステッド、エルシア |
まぁ、あのブライブって〜のは私腹を肥やしてる輩なのさ。官憲の情報を流す見返りに小銭を稼いだりするような、な。 多分、はなっからレイラックとつるんでたんだと思うぞ。麻薬を運ぶのを見逃す見返りの小銭稼ぎとしてな。 金だけわたしゃぁあとは適当に理由を見繕うんじゃないかね。 |
■ エルステッド To:中堅幹部 |
では、まんまと私達は奴の私腹の糧となったのか。 ……別にやらなくても良い仕事だろうが。 ああいう官憲は、駆除しておきたくなるな………最も。そんな与力があれば、の話ではあるが。 |
■中堅幹部 To:エルステッド |
なに………とっつかまえたレイラックに吐かせりゃ問題ないだろ。 |
■ エルステッド To:中堅幹部 |
なるほど。 |
■ エルステッド To:アレクサンドロス |
アレクサンドロス殿。朗報だな。 もしかしたら、奴に一泡吹かせる事ができるやもしれぬ。 |
と、こちらは涼しい顔である。
■ エルステッド To:中堅幹部 |
そういえば……"盗賊"を生業にしているであろう貴殿に質問なのだが。 ああいう、いわゆる"小悪人"がいたほうが。貴殿等は仕事がやりやすいものなのか? |
中堅幹部は振り向かずに答えた。
■中堅幹部 To:エルステッド、エルシア |
そこら辺は聞くな。 あと、レイラックに関してはエレミアの方が積極的なんでな、俺は詳しい話はあまりしらん。あとはエレミアで詳しい話を聞いてくれや。 |
■ エルステッド To:中堅幹部 |
了解した。 |
■ギャスパー To:エルステッド |
ま、エレミアまで御一緒するんだ。その手の話は旅の楽しみに取っておこうぜ。 |
荷物を背負い直しながら、出発を促すギャスパー。
■ エルステッド To:ギャスパー |
それもそうだな。 道程もほどほどに長かろう。話題には困らぬようだな。 |
こうして一行は中堅幹部を一人くわえ、エレミアに向かい始めるのであった。
エレミア |
それから約一週間後。一行はオランを出てエレミアまでやってくることとなった。途中ミドによってドムという者について確認してみたが、やはりレイラックが言っていたような道楽者では無く、ありふれた農家の者であった。
騙されたことを改めて痛感しつつも、エレミアに到着した一行はそのまま中堅幹部が進むまま、とある酒場まで着いていった。ギルドとはどうやら違うようである………が、いかがわしい店であることには変わりはない、そんな店だった。
■ エルステッド(内心) |
なにやら妙な香りもするし。人間とは、どうしてこうも自然ならざるモノを好むのだろうか…… |
どうやら「におい」があまり得意ではないようだ。
■中堅幹部 To:ALL |
さて、俺はここまで。お前達を連れてくるだけ。 あとはお前達で交渉しな。 |
それだけ言い終わると中堅幹部はさっさと店を出ていった。
しばらくするとどこからともなく痩せぎすで目つきの鋭い男が、足音もなくやってきた。頬に薄い傷があり、冷たい印象を与える。
席に着くなり、男は話を切りだした。
■フクロウ To:ALL |
お前らだな、オランのヤツからの紹介ってのは。 俺はこっちのギルドの使いだ。………フクロウとでも覚えておいてくれ。 用件は大体聞いてあるとは思うが………。 |
フクロウは改めて確認するように一行の顔を見回した。
■アルフレッド To:フクロウ&ALL |
アルフレッドだ、このパーティのリーダーを任されてる。 ・・・で、立ち話もなんだし何所かに落ちついて話さないか? |
言うが早いか、近くのイスに腰掛けてタバコを吸い始める。
エルステッドはアルフレッドの座る位置を見て、一番煙が来ない所に避難してから、
■ エルステッド To:フクロウ |
これはフクロウ殿。私の名はエルステッド・レムガウス。見ての通りの森の者だ。 用件については、先程の方より道すがら聞いてはいるが……今は如何様な状況なのかを説明していただけると有り難い。 |
■フクロウ To:エルステッド |
一昨日か昨日辺りにレイラックがこっちに到着したようなんだがな………。 ヤツは今夜取り引きするものだと思われるが………ひいてはお前達に協力を頼みたくてな。 こっちはまた別のもめ事で忙しいんだ。 |
■ エルステッド To:フクロウ |
別、とは? 麻薬以外の物にも手を出しているというのか? |
■フクロウ TO:エルステッド |
ギルドの内部事情の問題だ。詳しいことはいえん。 ただ、レイラックに関することではない。もともとレイラックはこのギルドのものでもないからな。 だからこそ捕まえる必要があるのだが。 |
■ エルステッド To:フクロウ |
つまり、よそ者の事はよそ者で解決を望む……と取ってよいのか? もっとも、我々は奴にもてあそばれたからな。丁寧にお返しをしたいので、願ってもない事ではあるが…… |
■フクロウ To:エルステッド |
まぁ、そんなところだ。 ただ、ヤツはかなり慎重なヤツだから、上手く事を進める必要があるがな………。 事実、ヤツに関する情報を掴めたのもつい最近のことだ。やるときは派手な行動は起こさないようにしろよ。 |
■ エルステッド To:アレクサンドロス |
だ、そうだ。アレクサンドロス殿。 |
表情をあまり表さないエルフの青年が、くすり、と笑ったようにも見えた。
その一言に、ギャスパーも思わず顔をにやけさせる。
■ アレクサンドロス To:エルステッド |
ん?・・・なんだよ。 その言い方じゃ、まるでオレが派手な行動を起こすみたいじゃないか。 |
とは言うものの自分でも多少は自覚しているのか、ばつが悪そうに苦笑している。
■ エルステッド To:ALL |
ここは接触を図る前に、重々相談したほうが良さそうではあるが…… さて。如何様に接触しようか? 馬鹿正直に会ったとしても、そのまま違約金を請求されるように思うのだが…… |
■ギャスパー To:フクロウ |
とりあえず、あんた達の方で掴んでいる情報を貰えないか? あと、仕事の報酬の方も決めとこうか。 |
■フクロウ To:ギャスパー |
そうだな………。 まず期限は今日中だ。全額後払いで報酬として4000ガメル。せっかくだからオランまで帰り分の費用ももってやろう。 悪くないだろう? |
■アルフレッド To:フクロウ |
あぁ、それだけ貰えれば充分だ。 |
■ エルステッド(独り言) |
4000もか。だいぶ困っているようだな。 それとも、ギルド未加入者に対する見せしめのためか? |
続けて情報の方も切り出してくる。
■フクロウ To:ギャスパー |
情報としては今夜取引をするだろうことくらいしか分かってないんだ。 なかなか尻尾をださんやつなんでな。ただ、取引が出来る場所ならいくつか目星がついている。 お前らが受けるというなら場所を教える。 |
■ギャスパー To:フクロウ |
いくつか…? あんまり数が多いとつらいけど、何個所なんだ? それと、俺達の仕事はレイラックの身柄を押さえるだけでいいのか? 取り引き相手をどうするかとか、取り引き内容を調べるとかは? |
■ エルステッド To:フクロウ |
これも"仕事"になるのだろうから。できる限りの事はするつもりだ。 もちろん、実力以上の事には頭を入れたりはせぬつもりだがな。 |
■アルフレッド To:フクロウ |
それと、生け捕りの方が良いみたいだけど、運悪く(レイラックが)死んでしまった場合はどうなる? あと、他に協力者が居た場合は? |
矢継ぎ早の質問をフクロウは一つ一つ答えていった。
■フクロウ To:もろもろ |
3カ所だ。それぞれはそれほど離れていないから急げばすぐに到着できるだろう。 取引相手は無視してもかまわん。重要なのはレイラックを生け捕りにすることだ。だから、万が一でも殺した場合は報酬は無しだ。 あいつは常に共犯が口を割ることを恐れて、いつも単独行動らしいから、協力者はいないと思う。 |
■ エルステッド |
生け捕りか……。ここが森であれば如何様にでも罠を仕掛けれるのだがな。 町中というのでは、関係のない者がかかっていそうだ。 やはり"眠りの雲"などを使用するほうが、何かと良いのだろうか…… |
ぶつぶつと補足方法について思案するエルステッド。
■ アレクサンドロス To:フクロウ |
話は分かった。取引場所らしい三ヶ所を見張って首尾よくレイラックが来たら殺さず捕まえれば良いんだな? オレ達だって、ここまで来て引き下がるわけには行かない。場所を教えてくれ。 ・・・で、良いよな?リーダー。 |
と言いつつアルフレッドの方に顔を向ける。
■アルフレッド To:ギャスパー&ALL |
あぁ、もちろんやるさ。 |
■ギャスパー To:アルフレッド |
そうこなくっちゃな。 |
やる気満々のギャスパー。
■ リシィア To:ALL |
騙された事については済んだ事ですし仕方がありませんが、麻薬商人を逃がすわけには行きません。 みなさん、頑張りましょう! |
リシィアもいつも以上に気合が入っているようだ。
■ アレクサンドロス To:リシィア |
そうだな、あの男に騙されたオレ達のミスはオレ達自身の手で帳消しにすればいい。 いや、そうしなきゃいけないんだ! |
■フクロウ To:ALL |
話は決まったな。 では、場所を教えよう。港の方に廃倉庫と空き家‥‥‥というか、空き邸宅。それと空き地が一カ所だ。 くれぐれも派手な行動は起こすなよ。今日のがお流れになったら、次はいつなのかこっちにもまだ情報がないんでな。 |
■ リシィア To:フクロウ |
その三つの場所は、どれくらい離れているのでしょう? それぞれ行き来するのに、それほど時間はかからないと思って良いのでしょうか? |
もっともな疑問だけ在って、フクロウの返答はすぐに返ってきた。
■フクロウ To:リシィア |
それほどかからないって言っても、広い港のことだ。 平均的な体力のやつなら、まぁ、20分程度でつくさ。 |
■アルフレッド To:ALL |
3組みに分れるのか、どう言う組み合わせがいいのかな・・。 |
■ギャスパー To:アルフレッド&フクロウ |
そーゆー難しいことは大将に任せた! (^^; で、フクロウさんよ。 |
■フクロウ To:ギャスパー |
だから、こちらも忙しいと言ったろう………。 冒険者の店なら近くにあるからそこで調達してくれ。 |
■ エルステッド To:ALL |
そういえば"経費"とやらはどのようになるのだ? ある程度は補助してもらえると十分に力を発揮できると思うのだが…… |
フクロウはしばらく何も答えなかった。
どうやら絶句していたようだ(笑)
■フクロウ To:エルステッド |
………報酬を多めに払ってるつもりだから、そこから考えろ。 |
■ エルステッド To:フクロウ |
そういうものなのか?ならば了解した。 |
どうやらエルステッドは"経費というのは請求するもの"と思っていた様子。
"初仕事"故に、いまいち経費については理解してなかったようだ。
■ アレクサンドロス To:エルステッド |
とりあえずはレイラックからもらった旅費の残りを使えば良いんじゃないか? オランまでの帰りの費用は別で出してくれるらしいじゃないか。 |
■アルフレッド To:ALL |
まぁ、レイラックが来たら他の仲間を呼びに行くだけだからそんなにお金は掛からないはずだし、誰か適当に雇えばいいんじゃない? なんなら、冒険者じゃなくても出来る事だし。 |
■ギャスパー To:ALL&アルフレッド |
ああ、それでもいいだろ。 てな訳で、人集めの方は大将に任せるぜ。 |
■アルフレッド To:ALL |
んで、組み分けは「エルシア&リシィア」「ギャスパー&エルステッド」「アレクサンドロス&俺」でいいんじゃない? 変えようとしても、あんまり選択肢が無いしね。 |
■アルフレッド To:ALL |
誰か雇った後は、情報収集と現場の下見だけど、どっちを先にしようか? ギルドが掴めてないぐらいだから、これ以上の情報はあんまり期待できないけどね。┐(´〜`;)┌ |
■ギャスパー To:アルフレッド&エルステッド |
情報収集っていっても、ここのギルドでわかんねぇことを聞きまわっても、大した戦果は期待出来ねぇだろう。とりあえず3つに別れて現場を見て、3時間くらいあとにここに再集合ってことにしようや。 空き家はシーフのエルシアさんで、倉庫は魔法の使える大将の方がいいよな…。となりゃ、俺達の担当は空き地かな? |
たしかに、人の街に慣れていないエルステッドとお馬鹿なギャスパーでは、建築物を調べても大した事は分かるまい。己の分をわきまえた好判断かも。
■ エルステッド To:ギャスパー |
ああ、その方がありがたいな。 屋外であれば、ウィンドボイスも使えるし……その空き地が土が露出しているところであれば、ノームの力も使えるしな。 ギャスパー殿の意見に従おう。 |
自分の得意な場所である事で、エルステッドに異論はないようだ。
■ リシィア To:ALL |
あの……時間は足りそうですし、それぞれも近いので、下見は全員でしませんか? 見落としも少なくなるでしょうし、現地を見てから改めて持ち場を決めるのが確実なのでは無いでしょうか。 |
■ギャスパー To:フクロウ |
ああ、そうだ。その空き家と倉庫だけど、間取りとか、隠し通路とかの情報があったら教えてくれよ。 |
■フクロウ To:ギャスパー |
正確な間取りまでは把握してないが、隠し通路があるという話は聞いてないな。 まだ夜までは余裕があるからそっちで調べな。 |
■ エルシア To:フクロウ |
エレミアの街は少しは土地勘が働くと思から、目印になるのを教えてもらえる? |
■フクロウ To:エルシア |
あぁ、そうだな。 |
というわけで、エルシアはいくつの目印を聞いておいた。
■ エルステッド To:ALL |
では、早速調査に入ろうではないか? 取引の正確な時間が判らない今、"時"はとても貴重な物であろう。 |
ごもっともである。
そういうわけで、一行は調査を開始したのであった。