SWPBM#84

宅配の目的地

Chapter5:詐欺と腐れ官憲

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検問(ミド直前)

 それから数日の間は何事もなく旅路は順調に進んだ。心配された夜間の窃盗犯も、初日の不審者以降はまったく姿を現さなくなった。
 そしてそれからほぼ一週間後。ミドの一つ手前の村を出た直後、オランをでた直後と同様、街道に沿って長い列が出来ていた。同様に列の先頭の方には複数の官憲が右往左往していた。
■ エルステッド
あれか。
今度もまた……だいぶ長いな……

■ アレクサンドロス To:エルステッド
そうみたいだな。
ま、これで最後なんだ。我慢して待つしかないな。

と言いつつも内心では「あの中に賄賂を要求するようなヤツが・・・」とか思って、官憲達を睨み付けているアレク。
■ エルステッド To:アレクサンドロス
まぁ、ここが目的地だからな……多少時間がかかったとしても、依頼は達成できるだろう。
急いだ所で、取り調べが速やかにすむとは思えぬし。気楽に待つしかないか。

■アルフレッド To:ALL
エルスの言う通りだな、俺達が急いだところで何も変わらないし、今のうちに適当に休んでおこう。

言うが早いか、アルフレッドは木陰に座りこむ。
■ギャスパー To:ALL
ま、ここを過ぎれば仕事も一段落だ。いつもこんなにラクな仕事だといいのにな。(^^;

ミドを目前にして、すでに気を緩めているギャスパー。
一行はそのまま並び続けること1時間とちょっと………いい加減待ちくたびれてうんざりしてきたところでようやく自分たちの番が回ってきた。
一番近くにいた若い官憲が一行の元までやってきて、丁寧な口調で話し出す。
■官憲A
はい、どうもお待たせしました。
そちらの荷車に乗ってる荷物の方、調べさせてもらってよろしいですか?

■ エルステッド To:官憲
ああ、よろしく。荷の中身は壷が3つだ。

■官憲A To:エルステッド
それでは失礼します。

 言うと官憲は箱を開け、中の壺を確認し始めた。持ち上げて底を眺めたりひっくり返したり、軽く叩いて音を叩いたりを延々と繰り返す。
 そんな時、少し遠くの方からその様子を眺めていたもう一人の官憲が官憲Aの元にやってきた。すでに中年にさしかかってはいるだろうが、体格はがっちりしており、辺りを見る目も壺を見る目つきも鋭い。かなり経験の豊かそうな者である。
 あとから来た官憲Bがしばらく壺を眺めた後、一行にゆっくりと、横柄な口調で話しかける。
■官憲B TO:一行
さて、君たち………。
パーティーを率いる者は誰かね?ちょっと一緒にそこの詰め所まで来てもらおうか。

■ アレクサンドロス To:アルフレッド
リーダー。呼ばれてるぞ。

とアルフレッドを呼びつつ。官憲Bの目を真っ向から見返す。
■アルフレッド To:アレクサンドロス
お〜う、今行く。

■アルフレッド To:官憲B
お待たせしました、参りましょうか。

■ エルステッド To:官憲B
ではリーダーが詰め所のところにて所要を済ましている間に、残りの我々は荷を包みなおしていてもよろしいか?
大事な届け物ゆえに、あまり外に出しておきたくはないのだが……

■官憲B TO:エルステッド、官憲A
いいや、その荷物も一緒に持ってきてもらう。
理由が知りたければ詰め所で話そう。さぁ、来たまえ。

■ エルステッド To:官憲B
荷物も……?
是非ともその"理由"を聞かせていただきたい。ゆえに私は同行しよう。

と、詰め所へと向かおうとする。
■アルフレッド To:官憲B
壷は3つ有りますが、一つで宜しいですか?
それとも、全部でしょうか?

■官憲B To:アルフレッド
とりあえず全部だ。

いうと、官憲Bは官憲Aに壺の入った箱を持たせて詰め所に向かった。
かさばる箱を必死でバランスをとりつつ、官憲Aもえっちらおっちらあとを追い始めた。
■ギャスパー To:残った面々
ありゃりゃ…。何か知らねぇが、俺達も行くか?

軽くなった荷車を曳きながら、後を追った。
■ リシィア To:ALL
全部であれば、ここに残る理由はありませんね。私もついていきます。

■ アレクサンドロス To:リシィア&ギャスパー&エルシア
そうだな、荷物もないのに順番待ちをしてても仕方ない。行こう。

そう仲間の言葉に頷き答えて歩きだした。

 官憲Bのあとを着いて行った一行は、検問から少し引き返し、先ほど出たばかりの村の詰め所までやってきた。机にはなんらかの資料がうずたかく積み上げられており、そこには官憲Aより少し年上であろう官憲が座っていた。壁には武器をしまうラックがいくつか列んでおいる。奥の方は今は誰もいないようだが、どうやら留置場になっているようだ。
 官憲Bと一行が入ってきたのに続いて、官憲Aが苦労しながらも、壺を箱ごと三つ抱えながら持ってきた。………素直に荷車を借りれば良かったのに。
 官憲Aが荷物を降ろすと机の後にいた官憲が立ち上がった。
■官憲C To;官憲B、官憲A
これはこれはクラスター警部補、おかえりなさいませ。なにか発見でも?

………おい、エーメット巡査そんなところに置くな邪魔だ。


■エーメット(官憲A)
はい、失礼しました。ブライブ巡査長。すぐに片づけます。

■ リシィア To:心の声
ははぁ……この人でしょうね。テスさまの言ってらした、性根の悪い官憲……というのは。

 ブライブの様子を見てると、上司のご機嫌をとりつつ部下をこき使う中間管理職といったところか。
 ちなみに、官憲における階級は日本の警察官におけるそれをそのまま使ってる次第である。
#下っ端から巡査→巡査長→巡査部長→警部補→警部→云々

 それから、アルフレッドはクラスター警部補にイスに座らせられ、クラスターは机を挟んでアルフレッドの向かい側に座る。そして壺のうち一つを取り出すと壺に手を置きながら話し始めた。

■クラスター
さて、この壺………なのだが………
オランの官憲の名の元に差し押さえさせてもらう。

■アルフレッド To:クラスター
はい?!Σ( ̄□ ̄;)

え〜と、官憲の方がそう仰るなら仕方ありませんが、理由を教えて頂けませんか?
我々も依頼人から仕事を任されている以上、戻ってから事情を説明する必要がありますので・・・。

■ブライブ To:アルフレッド
それはこういうことですよ!

 突如、会話の横から入ってきたブライブ巡査長が壺を上下逆さまにひっくり返し、どこから取り出したか、金槌を振り上げて壺に向かって振り下ろした。
 一行が止める間もなく、壺は粉砕した。残るは山となった壺の破片と割れた壺の中から出てきた薄い袋。どうやら壺はかなり巧妙に作られた二重構造だったらしい。
 ブライブの突然の行動にクラスターは少々慌てているようだった。
■クラスター To:ブライブ、ALL
ブライブ巡査長!いきなりやることもなかろうに!
話を聞いた上でも問題はなかったのだが………。

………まぁ、そういうわけで、君たちが運んでいたこの壺がちょっと怪しいと睨んだんだがね………。
ずばり出てくるとは………。
それでこの袋だ。


クラスターが袋を開けると中には白い粉が入っていた。
少しつまんで見ると小麦粉をさらになめらかにしたような手触りがした。
■クラスター To:ALL
これは私の目に狂いがなければ………最近流通してる麻薬だと思うのだが、どうかね。

■ アレクサンドロス To:クラスター
麻薬!?そんなっ!

愕然としつつもアレクは割れた壺の破片や、袋の中身を確かめようとする。
壺に関してはさっぱり分からなかったが、粉に関しては間違いなく小麦粉や砂糖などの日常使われているような代物でないことは明白だった。
■ギャスパー
だ、騙された…。

■ エルシア
まいったわね、これは

見抜けなかった事に、少し悔しさを覚えるエルシア。
■クラスター To:アレクサンドロス
どうだね………間違いなかろう。

■ アレクサンドロス To:クラスター
確かに、小麦粉じゃないみたい・・・だな。
くっ、あの商人に騙されてたのかオレ達は。

悔しげに拳を強く握りしめている。
■ エルステッド
……これは……な………

少し、いや、かなり苦々しい顔をするエルフの青年。
依頼人にだまされたのが悔しいのか。それとも別の理由なのか。
アルフレッドとリシィアも同様に壷の破片と白い粉を調べてみた。
どうやら袋の中に入っていた粉は、かなり質の悪いものであったが間違いなく麻薬であった。
ここ最近、低所得者層にも広がりつつある安価で常習性のかなり強いもののようである。
壺も調べてみたら、かなり綿密に作られた二重構造であることも分かった。というのは、普通の壺に細工したものではなく、最初から二重構造にすることを目的に作られた壺だったからである。
■ リシィア To:呟き
なるほど……たしかに麻薬、ですねえ(^^;
壷の価格から考えれば、たしかに高額な依頼ではありましたけれど……まさか麻薬を運ばされるなんて……。

■アルフレッド To:ALL
見事にやられたな・・・、確かに胡散臭い依頼だったけどこうなるとは思わなかったな・・・。

■ エルステッド To:官憲達
質問なのだが。このような物(麻薬らしきもの)が発見された今、処分などはあるのか?

■ブライブ To:エルステッド
(横から口を挟むように)
そりゃ、当然ですよ。
麻薬は所持するだけで罪になるわけでね。
念入りに取り調べさせてもらったあと、場合によっては監獄行きってことです。
まぁ、いずれにしてもしばらくここを動けないことは覚悟してもらいますねぇ。

説明しながらも何となく表情にはにやついたものが見え隠れしている。
■ギャスパー To:ALL
…。残り2つも割ってみようぜ。

首を振りながら提案する。
■アルフレッド To:ギャスパー&ALL
いや、ちょっと待って!
まだ、壷が残っていれば受取人のドムを誘き出せるだろ?
俺達をはめた片割れがこの先の村に居るんだから、そいつぐらいは豚箱にぶち込んでやらないと・・・。(-_-;)

■クラスター To:アルフレッド
その話に関してはまた後ほどしてもらおう。
いずれにしても、君たちにはしばし留置場には入ってもらうことになる。
我々は再び検問に戻らないといけないのだよ。
国全体に検問をはってる今、運ばれる麻薬がこの程度だとは思えないのでね。

さぁ、きたまえ。


■ エルステッド To:クラスター
留置される件についてだが、我々には一切やましい事がないゆえ、大人しく従おう。ただ、これだけは譲れないことがある。
我々は麻薬を知らないでつかまされていたのだが。この"運搬"について、期日などの約束をしている。
その運搬相手も、アルフレッド殿が言うように麻薬の取引相手なのだろうが……そやつを捕まえる事を認めてはいただけぬだろうか?
もちろん、今日の検問が終わるまで大人しくしているのはよい。
夜になり、検問が終わった後……官憲のどなたかと一緒にドムにいる、その悪事の片棒を担いでいる人物まで一緒に来ていただけぬだろうか?
我々が検問を通り抜けた事を装い、かつ、闇に紛れて会いに行けば、比較的簡単に捕まえる事ができるのではないのだろうか?
また、その麻薬取引にかかわる者を捕まえる事ができれば、これからの調査にも何かと役には立つかと思うが……いかがだろう?

■クラスター To:エルステッド
君の言うことも一理あるだろうが、そこらの件に関しては、今すぐに私が判断できるところではないのでね。
後ほど詳しく聞いてからだ。

■ リシィア To:クラスター
仕方がありませんね……。
ですが、ご判断は出来るだけ早くお願いします。
あまりゆっくりしていては、本当の犯人を取り逃がすことにもなりかねません。

私達がただ運ばされただけ、ということは、契約書をみて頂ければ分かるかと思いますので。


というわけで、一行は留置場に入れられることとなった。
■クラスター To:ALL、ブライブ
申し訳ないが、しばらくここで待っていてくれ給え。

さて。ブライブ巡査長しばしこの場は君に任せよう。
余裕があれば取り調べなども頼む。


そういうとクラスターは再びエーメット巡査を引き連れて出ていったのであった。

留置場(ミドの手前の村)

 クラスター達が詰め所を出て行ってからしばらく、机に向かってなにやら作業をしていたブライブはそれが終わったのか、一回大きくのびをすると、一行のいる留置場に向かってきた。
 一行を見下したような目つきで左右を見回すと一行に向かって横柄な口調でしゃべり出した。
■ブライブ To:ALL
さて、そこの麻薬の運び屋ども。取り調べを行う。リーダーは誰だ。
お前達の言っていた契約書とやらを見せて見ろ。

懐からごそごそと封筒を取り出しながら。
■アルフレッド To:ブライブ
はい、これです。
これで少なくとも、我々以外の第三者が居る事はわかって貰えると思います。

渡された契約書にブライブはしばらく目を通していたが、一通り目を通し終わるとあざけり気味に笑いながら言い放った。
■ブライブ To:アルフレッド
ふっ………こんなもので偽装しようとはな。
これが本物であるかどうかなど、どうやって証明するつもりだ。
こんなもの誰にでも作り上げられるではないか。
ましてや運び先がこの検問のすぐあとの村だなんて、ここの存在を見越しているようで明らかにうさんくさいわ。

■ アレクサンドロス To:ブライブ
オレ達は嘘なんかついちゃいないっ!!
ファリスに誓ったって良い。だから、ちゃんと調べてくれ!

ダンッ!と拳をおもいっきり強く壁に叩き付け、ブライブを睨み付ける。
■アルフレッド To:ブライブ
まぁ、胡散臭いと思われるのは当然でしょうが、調べて頂ければその契約書の筆跡が我々の物と違うのがわかる筈です。
それに、検問の場所はお役人の方が決められる事で、我々がそれを知った上で届け先を決める事などそもそも不可能です。

■ブライブ to:アルフレッド、アレクサンドロス
違う筆跡などそこら辺の人間に頼めばいくらでも作れるわ。
まぁ、そこまで言うなら調査してやらないでもないがな。
そこまで金のかかりそうな調査に早々着手はできんな。そこまで調査するだけの費用が出るまではしばらくここにいてもらうことになるがな。

アルフレッドは負けじと次の案を出してみる。
■アルフレッド To:ブライブ
あと、1番手っ取り早い方法としては、「センスライ」の使える魔術師か「センスイービル」の使えるファリスの神官を連れて来て貰えばお互いのためにも良いのですが・・・。

■ブライブ to:アルフレッド
そんな高位の魔術師を簡単に雇えるとでも思っているのか。
ファリス神官にしても悪意を感知するだけの魔法に何が期待できると思っているのだ。
雇えてもまるまる数日間の往復分払わないとならんから費用がかかりすぎだ。

■ リシィア To:ブライブ&アルフレッド&アレクの声のする方向
方法は、もう一つあります。
残りの壷、もしくは似たような形状のものを持ってミド村へ行き、受取人のドムなる人物を捕まえることです。
……私達は冒険者ですから、その役目には最適だと思われるのですけれどね。

■ブライブ To:リシィア
都合のいいことを言っても無駄だ。麻薬所持の現行犯で逮捕したお前達をやすやすと出せる訳無かろうが。
それは我々の仕事だ。今日出たとしても往復で二日かかるだろうがな。

■ エルシア To:リシィア
御役人さんが言うのももっともよ。じっとしていれば、犯人を捕まえてくれるっていうんだから、待ってていいんじゃない。

言いつつ、エルシアはブライブが牢屋の鍵を下げていないかどうか目を凝らしてみるが、よく分からなかった。
■ エルステッド To:ALL
1〜2日の拘束ならばまぁ大丈夫ではあろうが、人間というのは限られた時間で生きている生き物ではないのか?
もっとも、今の私も"契約書"というものにより、時間の制約を受けているものではあるがな。

犯人がしっかりと逮捕されれば、違約金も払う事はなかろうが。万が一犯人がつかまらなかった場合は……違法と判ってはいても、違約金というものは支払うべきものなのか?

■ エルステッド To:ギャスパー
(小声)
オランを出るところの検問ではそのままパスしたのに、今になって捕まるとは……いや、面倒なものだな。
ここの検問官が、二重底の知識が豊富と言うべきか。オランの検問官がまだ知識が甘いというか……

■ギャスパー To:エルステッド
それを言うなら、品物を預かったときに気付かなかった俺達が一番間抜けだろうが。
麻薬商人の片棒担がされるたぁな…。

 依頼人に騙されたショックからまだ立ち直れないのか、俯いたまま応える。
 そんなこんなで、待ち続けること1時間。エーメット巡査が戻ってきた。帰って来しだい腰を下ろして一息ついているところを見ると、どうやら休憩を取りに来たらしい。
 そこにブライブ巡査長が居丈高に命令をとばす。
■ブライブ To:エーメット、ALL
ちょうど良かったエーメット。ミドまでちょっと調べに行って来い馬を使って早駆けだ。
こいつらの言うとおり、ドムという人間が実際にいるかどうか調べるんだ。

おい、お前ら。調べてきてやるから、ドムってヤツの人相を言って見ろ。


■アルフレッド To:ブライブ&ALL
え〜と、どんな奴だったっけ?
俺達も人相聞いただけで、直接は会った事無いからな・・・。
確か「30代前半くらいで、先代からミドに住んでる者で今はその遺産でのんびりくらしてる」だったかな?

■アルフレッド To:ブライブ&エーメット
あと、調べに行くのは構いませんが、感付かれて逃げられない様にして下さいよ。

■ブライブ To:アルフレッド、エーメット
ふん、いもしない人間が逃げるものか。

よし、行って来い。


■エーメット To:ブライブ
はい………いって参ります。

一息つきに来たのに、いきなり早駆けで片道一日かかる村まで行かされることになったエーメット巡査。哀れなり(笑)


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GM オーイシ
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