SW-PBM Scenario #82 目次

懐かしの我が家


オラン近郊

 ヴィトリスとビアトリスは、郊外の待ち合わせ場所で 2 時間ほど待っただろうか。
劇場をうまく抜け出した一行が到着した。
■ユウル To:ALL
どうやら追ってとかもついてないみたいだね。ふう、お疲れ様。
ヴィトリス、ビアトリスさん、お待たせ。何とかお姫様を無事お連れする事が出来ました♪

 マルセリーナの肩をぽんと叩いて、ヴィトリスとビアトリスに笑顔を向ける。
■ヴィトリス To:ユウル、リッキ
上手くいったみたいですね。お疲れ様です。

■ヴィトリス To:マルセリーナ
マルセリーナさんも無事で何よりです。

 ようやく対面を果たした母と娘。でも何も言えず見つめ合う。
■リッキ To:マルセリーナ
ほら、おかあさんだよ(^-^)

 リッキはマルセリーナの背中を軽く押した。
 押された勢いで、止まっていた言葉が溢れ出す。
■マルセリーナ To:ビアトリス
お母様……。マルセリーナは悪い子です。ごめんなさい。でも、ゴリーエフ様のところにいるのはもうイヤなの。マルセリーナはお母様と一緒に暮らしたい。何があっても、もう 2 度と離れたくない。お母様に嫌われても、マルセリーナはお母様と一緒にいたいの!

■ビアトリス To:マルセリーナ
マルセリーナ!あぁ、私の愛しい娘……

 ビアトリスは思わずマルセリーナに駆け寄った。そして、娘の身体を強く抱きしめる。
■ビアトリス To:マルセリーナ
いいえ、いいえ。お前は悪い子ではありません。悪いのはこの母です。やはり、お前を手放すべきではなかった?。愛しています、マルセリーナ。お前がわたくしの子でよかった……。

■マルセリーナ To:ビアトリス
おかあさま……

 2 人はひしと抱き合った。もう離れる事はないだろう。
■ユウル
もうこれで一番大事なこと、間違える事もないだろうね…ほんと、よかった♪

 抱き合う二人を見つめて、うれしそうに微笑みながらつぶやく。
■リッキ
うん……良かった(>_<)

 早くももらい泣きモード。
■ユウル To:ALL
一安心、といいたいところだけど残ってるメンバーの安全が確認されないと、本当の意味での依頼終了はしてないね。無事でいてくれるといいけど…。
(リッキとヴィトリスに、小声で)そういえば、私たちってビアトリスさんに報酬の額って聞いたっけ?(笑

■リッキ To:ユウル&ヴィトリス
……?ううん、聞いてない……と思う……

 感動していてそれどころではないらしい(笑)
■ヴィトリス To:ユウル
そういう話はしていないと思いますよ。

■ユウル To:リッキ、ヴィトリス
だよねえ…馬車調達代250はらって、究極の貧乏なんだよね〜実家に寄生しないと生きていけないかも(笑
ま、その話は後にするかな…。もうちょっとだけ、ゆっくりさせてあげよう。

 苦笑しつつも、しばらく親子の邪魔をしないで見守っている。
■ユウル To:ビアトリス、マルセリーナ
(やや遠慮がちに)…ビアトリスさん、再会を喜んでばかりもいられません。ここで追っ手につかまったら台無しですから、そろそろここから離れましょう。お二人とも、馬車に乗ってもらえますか?

 母親は娘にこれからの事を語りかける。
■ビアトリス To:マルセリーナ
マルセリーナ、これからユウルさんの故郷へ行くのです。きっとわたくしの故郷と同じような、のんびりとした良いところ。そこで、2 人で暮らしましょう。

■マルセリーナ To:ビアトリス
はい、お母様!

 こっちは『報酬』という概念すら持っていないかもしれない(笑)
■ビアトリス To:ALL
皆様、本当にありがとうございました。言葉では言い尽くせないくらいの感謝を皆様に捧げます。わたくし達の英雄よ。皆様の将来にフォーセリアの全ての神のご加護を祈ります。

■リッキ To:ビアトリス&マルセリーナ
(にこっ)ほら、早く早く!(手招き)

 一行は、馬車に乗り込んだ。ユウルが道案内として御者台に座る。
■ユウル To:御者2
(みんなが乗り込んだのを確認してから)それじゃ、お願いします!

オラン近郊・ユウルの故郷の村

 馬車に揺られること半日、無事ユウルの故郷の村に着いた。ユウルの説明で、村人や村長は快くビアトリスとマルセリーナを受け入れてくれた。小さいが村の空家を貸してくれるとのこと。しばらくは生活に困ることはなさそうだ。
■ビアトリス To:ALL
ほんとうに、皆さん親切な方ばかり……
この村でなら、マルセリーナと 2 人ゆっくり暮らせそうですわ。

■リッキ To:ビアトリス&マルセリーナ
うん、良かったね♪
きっと体もすぐに良くなるよね。そしたら、元気に働けるもんね♪

■ビアトリス To:リッキ
ええ、そうですわね。早く治して、せめてこの子と 2 人暮らせるだけの糧は得られるようにしなくては……

■マルセリーナ To:リッキ
いいえ、お母様には休んでいただくわ。わたしが働くの!この村で、わたしでもできること、きっとあるわ。ねぇ、そうよね?

■リッキ To:マルセリーナ
うん!何かひとつでも得意なことがあれば、お仕事、できると思うよ♪
あたしも、精霊とお話しすることしか取り柄がないけど……
ちゃんと“冒険者”っていうお仕事に、就けたもん♪

■マルセリーナ To:リッキ
得意なこと……。うぅん、何かしら。わたし意外と力持ちだから、パン種をこねるのとか得意だわ。でもみんなみたいになれるなら、冒険者もいいなぁ。

 ビアトリスはそんな娘の様子をうなづきながら微笑んで見ている。……冒険者という仕事を分っていないとしか思えない。そのほとんどの人は危険なその日暮しだというのに。
■ユウル To:マルセリーナ、ビアトリス
冒険者、ってのもまあ一応職業は職業なんですけどね…一般の人達からみたら「その日暮らしの無職」ってのと大差ないんじゃないですかね。

 小屋の準備等を手伝っていたユウルが、ふと手を止めて二人に向き直った。
■ユウル To:マルセリーナ、ビアトリス
夢を追って旅したり、宝を探したり、怪物を退治したり、困ってる人を助けたり。誰にも縛られないから自由な代わりに、誰も生活を保障してくれません。
ほら、ビアトリスさんが手紙の事で隠し事しようとした時にカルソニックが厳しく突っ込んできた事あったでしょ?
普通に考えたら喋りたくない事を聞き出すなんて失礼な事です。でも、依頼人にだまされても、それで命を落としても、誰にも文句いえないですよ。全部自分の責任だから。
だから冒険者は多かれ少なかれ、依頼を受ける時は慎重になるもんなんです。自分の判断ひとつで、自分の命や仲間の命を失いかねませんからね。

■ビアトリス To:ユウル
……そうですわね。おっしゃる通りですわ。あの時はごめんなさい。

■ユウル To:マルセリーナ、ビアトリス
冒険者って言っても色々いますからね。知識を求める人、力を求める人、宝を求める人、刺激を求める人。まあ、なんだかんだ言っても、私たちみたいに何よりも依頼主が喜んでくれるようにがんばる冒険者がほとんどだと思いますよ。
だから、困った時は冒険者って、正解なんです。彼らの仕事に見合う報酬を払ってあげられれば、ってことになっちゃいますけどね(笑
信頼できる仲間と組んで、受けた依頼のために一生懸命になる。スリルや驚きや喜び、時には悲しみを体験しながら、目的をこなす。当然、命の危険もあるし、金銭的にも損するかもしれない。
厳しい世界ですけど…私は冒険者って仕事、大好きなんです(にっこり

 2 人に冒険者についてわかってもらおうと、ついつい熱く語っている。故郷に帰ってきて、自分が冒険者として旅立った時の事を思い出しているせいらしい。
■リッキ To:ユウル
うん…そうだよね、…あたしも、大好き!

 ユウルの言葉に感動して目がうるうるのリッキ。
 まだ楽しさ最優先で、その意味の半分も理解していないだろうけれど……
■マルセリーナ To:ユウル
ステキだわ!わたしも冒険者になる。そして、アシストさまみたいに、空を飛んだり変装したりして困っている人を助けるのだわ!

 マルセリーナにはよっぽどアレが印象に残ったらしい。
 ビアトリスは、今度はちょっと困ったような顔でマルセリーナを見る。冒険者という職業がどういったものか、よく伝わったようだ。
■ユウル To:マルセリーナ
ははは…(ちょっと逆効果だったかな(^^ゞ)まあ、もっと冒険者の話が聞きたかったら、うちの父さんにでも聞いてみるといいよ。喜んでなっが〜い話してくれるからさ(笑)
ただ、早々に冒険者になって飛び出したりしないで、今はゆっくり、お母さんのそばにいてあげた方がいいよ。ね?

■マルセリーナ To:ユウル
もちろんだわ、ユウルさまのお父様に色々教えてもらってからにするの!

■ユウル To:マルセリーナ
が、がんばって修行してね。(は〜後でしっかり父さんに言い含めておかないと(^^ゞ下手するとたきつけちゃうからな、あの人は(笑))

■ビアトリス To:ユウル
わたくしったら気がつかなくて……。
報酬をお支払いしなくてはならないのね。ちょっとお待ちになって。

 ビアトリスは、トランクの中から掌に乗る位の小さな包みを取り出した。そして、それをおずおずと差し出す。
■ビアトリス To:ユウル、ALL
ごめんなさい、わたくしにお出しできるのはこれだけなの。これではとても足りないと思うのだけれど……受けとっていただけますかしら。

■ユウル To:ビアトリス
……はい。ありがたく受け取らせていただきます(にっこり銀の網亭で待ってるメンバーにも、きちんと渡しておきますから。

 これからの親子の生活を思うと少々心苦しかったのだが「冒険者」としての仕事をわかってもらえたと思って受け取る事に決めた。が、なんとなく感触がガメル貨と違う。小さな包みを広げて、中身を確認する。
 中には、3 つの宝石が入っていた。赤いものと青いものと緑のもの。赤はよくわからなかったが、青は 8000、緑は 6000 の価値があるように思えた。ユウルは思わず我が目を疑う。
■ユウル To:ビアトリス
……!!(こんな高価な宝石、はじめてみた…)あ、あの…これってものすごく高価なものなのでは…こ、こんなにいただくわけにはいきませんよ〜(>_<)

■ビアトリス To:ユウル
わたくしの感謝の気持ちですわ。お渡しできるものはすべてさしあげたいの。

 にっこりと満面の笑顔。
■ユウル To:ビアトリス
で、でもっ!これからお二人で暮らすのにいろいろお金いるでしょうしほんと、こんなにいただけませんって(^^ゞマルセリーナさんの将来のためにも、蓄えって必要だと思いますし〜(>_<)

 でもにこにこのビアトリス。
■ユウル To:リッキ、ヴィトリス
(小声であせりつつ)…この宝石、赤はよくわからないけど、青は8000、緑は6000の価値があるとおもうよ〜。どうにかしてこの奥様に金銭感覚わかっていただかないと〜(>_<)

■ヴィトリス To:ユウル
(…こんだけあれば、ややこしいことしなくても良かったような気もしますが…
…というか、なぜに娘を?……やっぱりよくわかりませんが…(^^; )
…そうですね。

 この宝石はゴリーエフがビアトリスに渡した分なんだね。マルセリーナの代わりとして。
■リッキ To:ユウル&ヴィトリス
8000……。 (@_@)←くらくら
そんなにもらえないよぉ…これから、大変なのに〜(>_<;)
えと、じゃあ、…後で、多いぶん、返しに来よっか??

 相談の結果、安めの宝石 1 つだけを取りそれを換金してから、一人 500ガメル分と馬車代を引いて残りを後で返すことになった。
 ユウルは袋から赤い宝石を 1 つ取り、残りをビアトリスに戻す。
■ビアトリス To:ALL
ありがとう。皆様にもくれぐれもよろしくお伝え下さいませ。




連絡先:とよた
E-mail:toyota@t3.rim.or.jp