SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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国立劇場・開場前 |
開場が近付く。劇場周辺担当のユウル、リッキ、コリス、アシスト、カルソニックは分担に従って着々と準備を進めている。
ユウルとリッキは、劇場周辺をチェックしながら強行突破に使えるルートを確認。日が高くなってからは人通りも増えて来た。人込みにまぎれつつ路地へ入れば追っ手をまくことができそうだ。
チェックを終えた後は、裏口で待機する。
コリスは劇団員への顔つなぎが終わった後、劇場正門前の広場へ移動。唄って護衛の注意を引くために、楽器や声の準備を始めた。
アシストは時間まで舞台裏をうろうろ。
劇場内にはカルソニックが残り、退避順のチェックや、舞台監督と劇内で暗転するタイミングのチェックなどをしている。
暗転するタイミングは割とたくさんある。比較的長いのは舞台装置を変える必要がある幕間であるが、劇場内の安全を考えて鼻の先もわからないほどの真っ暗になることはないとのこと。
作戦の準備は完了。後はゴリーエフ達が来るのを待つばかり。
いよいよ開場だ。
国立劇場・開場後 |
開場後。
劇の開演まではまだ間があるというのに、次々と馬車が到着し、次々と人が集まる。そこら中で軽食を摂りつつ挨拶が始まり、劇場正面のロビーは小さな社交界と化している。
最初に気がついたのは、劇場正面広場にいたコリスだった。
馬車が続いて 2 台到着。それぞれ御者の隣にいる男は、ゴリーエフの所で見た顔だ。門番と、執務室への案内役。
馬車が正面に止まり、最初の 1 台からはゴリーエフ、家庭教師、マルセリーナが降りてきた。
ゴリーエフを先頭に 3 人は、劇場内へと入っていく。
■カルソニック |
(奴等やな・・・) |
もう 1 台の馬車は正面を少し過ぎて止まった。中からは 4 人の男が降りてきた。それぞれ目立たないように武装している。御者台にいた男と合わせて 6 人。何やら打ち合わせをして 2 人づつ 3 組に別れた。1 組を正面広場に残して、2 組は左右へ展開した。
馬車は帰りの客をあてにして、劇場の周囲に留まっている。
正面に残った傭兵達は、さっそく広場のコリスを見つけた。ニヤニヤしながら近寄って来た。
■傭兵 To:コリス |
よぅよぅ、見た顔だナァ?アンタ。こんな所で何してる? |
もう一人は、他に仲間がいないか周囲を見まわしている。
■コリス To:傭兵 |
??? あれ?以前に会った事がありましたか? |
■傭兵 To:コリス |
昨日の昼、ゴリーエフ様のお屋敷で会ったぜ。お前達には気をつけるように言われてるのさ。あっち行きな、シッシッ。 |
腰のショートソードをちらつかせて脅して来る。
■コリス To:傭兵 |
ゴリーエフ様…ですか? 残念ながら、人違いではありませんか? まあ、離れてろって言うんなら離れてますけど… |
立ちあがって、広場の隅に行き、フルートを吹き始める。
離れた事で少し警戒を緩めたか、傭兵達は正面入り口近くへ戻った。派手な衣装で目を引いていることもあって、しばらくするとコリスの周りには小さな人垣ができてきた。傭兵達は相変わらずコリスのほうをチラチラと見ている。目を離さないように注意しているようだ。
国立劇場・裏口付近 |
正面から左に別れた傭兵達は、裏に回る手前のところ、劇場の裏口でユウルを見つけた。一緒にいるはずのリッキは、寸前でインビジビリティで姿を消している。近くにいるのだろうが、姿は見えない。
■傭兵 To:ユウル |
おっと逃げるなよ。ヘヘ、お嬢ちゃん、どしたのかなぁ〜?なにしてるのかなぁ〜? |
片方は鼻の下を伸ばしながらニヤニヤしてる。もう片方は呆れたようにそれを見ている。女一人だと思って油断しきっているらしい。
■リッキ |
(ひゃぁ、見つかっちゃったよ〜(>_<;)) |
声を出さないようにしながらも、はらはらして見ているリッキ。
■ユウル To:傭兵 |
あ、ええと…私、アーネス様の大ファンなんです!でも今回チケット取れなくて、この辺で待ってたら偶然会えたりしないかな〜って思って。おにーさんは何してるんですか?おにーさんもアーネス様のファン? |
で、出待ちのフリっスか、ユウル。やるなぁ。
ユウルはできるだけ無邪気な雰囲気を装いつつ、笑顔でこたえる。
■傭兵 To:ユウル |
んなわけね〜っちゅーの。お兄さん怒っちゃうよぅ?こんなトコで待ってたって、出てくるのだいぶ先だぜ?それまでおれっちと遊びに行かない?いーとこ知ってんだ〜 |
■ユウル To:傭兵 |
だめだめ、こういうのは努力と忍耐が大事なんだから!ちょっとの油断がチャンス逃しちゃうんだよ! (熱く語った後、目の前の傭兵ともう一人を交互に見つつ)ん、ファンじゃないならおにーさん達は何の用事でここにいるの?劇場の警備の人じゃないみたいだし… |
怪しい人をみるような眼差しで、じ〜っと傭兵達を見つめる。
■傭兵1 To:ユウル |
あのねぇ、お嬢ちゃん…… あんましバカにしてくれちゃうと、お尻ペンペンだよっ! |
■傭兵2 To:ユウル |
ゴリーエフ様に言われててな。怪しい奴、特に昨日訪ねてきた冒険者がいたら排除しとけって。悪いが、出待ちは次の機会にしてくれ。 |
■ユウル To:傭兵1 |
そうですか・・・どお〜しても待てちゃだめ?劇終わったら一緒に遊びに行けるかと思ったのに… |
おねだりも、ユウルの容姿じゃたいして効果ないかも(笑)
■傭兵1 To:ユウル |
ダ・メ。だからお兄さんと遊びにいこ? |
ショタコンには有効かも。
■ユウル To:傭兵1 |
ふ〜ん、遊びねえ〜どこにつれてってくれるのかなあ〜(ちょっと顔を近づけて、にっこり笑顔)じゃ、捕まえられたらってことで! |
捨て台詞と同時に相手に背を向けてダッシュ。劇場正面の人ごみにまぎれようする。
■傭兵1 To:ユウル |
あっこら!待てっての〜 |
■傭兵2 To:傭兵1 |
おい!持ち場を離れるなよ! |
■リッキ To:ユウル |
(わぁ、追いかけっこかなぁ?いってらっしゃ〜い♪) |
心の中でそう呼びかけて、のんびりと手を振るリッキ。をいをい。
■男 To:? |
なんだぁ、騒がしいなぁ |
裏口のドアが開いて、中から男が現れた。大男でがっしりしている。傭兵2と目が合ったりして、む?という顔。扉を開けたままスタスタと傭兵2の方へ歩いて行き、何か話している。
■リッキ |
(……? なんだろ??) |
2人のそばへそ〜っと近づいて盗み聞き。
男「なんかご用ですか?」傭兵「いや、何でもない」男「出入り激しいんで、裏口の外は開けておいてくださいね」とかなんとか、単に注意しているみたいだ。
劇団の男はスタスタと戻ってきて、裏口から中に入ろうとしている。
リッキはささっと男性の前へ回り込んで、先に劇場の中に入った。その背後で扉が閉まった。くるっと男性の方に振り向いて……
■リッキ To:男性 |
こんにちは♪あたし、リッキだよ。アシストのお友達だよ♪ |
いきなりエルフの娘が現れて、男はちょっとびっくりしたようす。
■男 To:リッキ |
……リッキ?ええっと…… あぁ、この『エルフのお姉さん』てのがそうか?おつかれさん。 |
ポケットから名簿を出してめくり、最後の欄に書かれていた『エルフのお姉さん』の隣に『リッキ』と書いた。ちなみにその上の欄には『仲間の女の子』と書いてある。
■リッキ To:男性 |
んとね、さっき話してた男の人、ゴリーエフさんの傭兵さんなのっ。だから、この近くにずっといられると、困るの〜。 ね、この裏口の周り、立入禁止にできない〜? |
■男 To:リッキ |
裏口の中ならなんとかなるけど、外は天下の往来だからねぇ。立入禁止にしたらおまわりさんに怒られるよ。 |
■リッキ To:男性 |
……怒られるの?(>_<;) あぅ……どうしよ…… |
どうしようもないみたい。
国立劇場・正面広場 |
ユウルにしつこく言い寄っていた傭兵はダッシュで後を追った。素早いユウルには負いつけない。しかししつこく正面広場周辺を探していると……
■傭兵1 To:ユウル |
み〜っけた♪ |
近くの路地に身を潜めていたユウルが見つかった。おいかけっこ再開。
■ユウル To:傭兵1 |
あ、結構早かったね、おにーさん。でも、つかまらないよ♪(再びダッシュ〜) |
ユウルは銀の網亭へ走った。およそ 30 分の障害物マラソンだが、傭兵はしつこく付いてくる。
銀の網亭 |
銀の網亭へ到着。一着はユウル。嵐のように入り口から入って……
■おやじ To:ユウル |
おおっ、ユウル ?! |
■ユウル To:おやじ |
今ゴリーエフんとこの傭兵に追われてるの。2階行ったとか何とか言って適当に足止めしておいて、お願い! |
おやじに向かって片手で拝むようなポーズ&ウインクしてから裏口から出ていった。
■おやじ To:ユウル |
適当にってったって、お前…… |
少しして後を追っていた傭兵が入り口に到着。すでにユウルはこの場を去った後である。周りを見まわしてから酒場「幸せの木」に入ってくる。
■傭兵1 To:おやじ |
おうおう、オヤジ。ショートカットで痩せ型でちょっとボーイッシュででっかい剣を持ってる女の子見なかったかい? |
■おやじ To:傭兵1 |
あ〜(汗)、そういえば見たような気が…… (ユウルの奴め、一体何を……(-"-;) |
■傭兵1 To:おやじ |
なにぃ、どこでだい。オヤジ、思い出せ! |
この傭兵はしばらくここで時間を潰された後、オランの市街にユウルを探しに飛び出していった。 そのまま国立劇場に戻る事は無かったという。
国立劇場 |
一方、劇場では。
いよいよ開演時間となった。ロビーにいた人が劇場の扉に吸い込まれていく。もちろん、ゴリーエフ達も客席へと入っていく。劇場の正面入り口と 2 つある裏口は、ゴリーエフの傭兵で固められている。
開演してすぐ、ユウルは劇場の近くに戻ってきた。さっきから散々走っているせいで、少々息が荒い。少し離れて劇場の様子を伺っていたが、やがて客待ちをしているたくさんの馬車が目にとまった。
■ユウル |
…ったくも〜余計な手間かけさせるんだから〜。(振り向いて)…追ってきてはいないな。 …ビアトリスさん、昨日は張り切ってたけど徒歩じゃやっぱり大変かな。ここから逃げるのにも、馬車を使ったほうが早く逃げられるかも。 |
傭兵の目を避けて、人目につきにくい脇のほうの馬車に近づくと、御者らしい男に声をかけた。
■ユウル To:御者の人 |
すいません〜ちょっとお願いがあるんです。実は、とある少女を悪い人の手から逃がすためにご協力していただきたいんですけど… |
ユウルはかいつまんで事情を説明し、劇場から郊外までと郊外から故郷の村までその親子を運んで欲しいと頼んだ。
■御者1 To:ユウル |
おれっちはそんな危ない事はイヤだね。悪い人に追われたらどうすんだよ。人生、穏やかに過ごすのが一番だぁね。 |
一人目は断られた。が、横で聞き耳を立てていた男が乗ってきた。
■御者2 To:ユウル |
おう坊主、俺が送ってやるよ。500 ガメル出しな。 |
■ユウル To:御者2 |
(坊主…はいつもの事だから無視して(笑))500か〜(^^ゞその親子ってこれから知らない土地で生活しなきゃならないからいろいろ大変だと思うんだよね〜 しかも母親病気だし…あんまり高い依頼料請求するの悪くってさ〜もうちょっとまけて貰えない? |
■御者2 To:ユウル |
んじゃ 400。 |
■ユウル To:御者2 |
にゅ〜馬車の相場ってそんなものなの?ちょおっと高い気がするんだけどな〜 あ、ちなみに私一応女の子だから。坊主じゃないからね〜(笑ビアトリスさん…って今回の依頼人さんだけど、そりゃあ綺麗で物腰優雅でね。そういう人なら馬車も似合うだろうし、男の子に間違えられる事もないんだろうな〜 …半額くらいにならない? |
■御者2 To:ユウル |
しょ〜がねぇなぁ。男と間違えたお詫びで 300!どう? |
■ユウル To:御者2 |
む〜…250!だめ? |
だめ元で食いついてみる(笑
■御者2 To:ユウル |
あーもう、わかった。250 な。でも前払いだぜ。 |
■ユウル To:御者2 |
前払い…(どきっ)…じゃ、これで。(うわ、ぎりぎりしか持ってない(^^ゞ値切っといて良かった〜)それじゃ、よろしくお願いします(ぺこり) 大体劇が終わる1時間くらい前に、その女の子と仲間のエルフの女の子つれてくるから、よろしくね。 |
■御者2 To:ユウル |
了解。ここにいるよ。 |
逃げアシの確保完了。
ちなみにユウルのお財布にはこの時 6 ガメルしか入っていなかったという。
オラン郊外 |
その頃、ようやく待ち合わせの郊外へ到着したヴィトリスとビアトリス。 ビアトリスがすぐ疲れるので、途中休み休み来る事になった。
待ち合わせの場所に着いたとたん、ビアトリスは座り込んでしまった。 かなり体力を消耗したようだ。
■ヴィトリス To:ビアトリス |
とりあえず、あとはここで待つだけですね。 ゆっくり休んで下さい。大丈夫ですか? |
■ビアトリス To:ヴィトリス |
はい……。申し訳ありません、水があればいただけますか……? |
■ヴィトリス To:ビアトリス |
水ですね。……え〜と…はい、どうぞ。 |
■ビアトリス To:ヴィトリス |
ありがとう。 |
差し出された水をおいしそうに飲み干し、ようやくひとごこち。
国立劇場・客席 |
場面は変わって客席。ロビーから入ってきた人で、客席はどんどん埋まっていく。ゴリーエフ一行も席に着こうと人波に従って客席には行ってくる。家庭教師が先頭でその後にマルセリーナ、ゴリーエフが続いた。
■家庭教師 To:ゴリーエフ、マルセリーナ |
お席はこちらですわ、ゴリーエフ様。 |
席は舞台に向かって左後ろのブロック、壁側から家庭教師、マルセリーナ、ゴリーエフの順で座っている。
ほどなく客席の照明が消えた。開演だ。
舞台にはアーネス扮する貴族の子息が登場し、すばらしい歌声を披露している。
つつがなく 1 部が終了し、2 部まで 20 分の休憩時間となった。周囲の女性客が我も我もとトイレに立っていく。
ゴリーエフは舞台の出来に満足しているらしく、機嫌よくマルセリーナや家庭教師と何事か話している。
3 幕はマスカレードのシーンから始まった。豪華絢爛な衣装に華やかな音楽、見事なダンスと見ごたえのあるシーンに続いて姫君の姿となったアーネスの独唱があった。その歌声は、客席の隅々まで響き渡って、人々の心を揺さぶっている。
さて、いよいよ終幕まで 1 時間。家庭教師が行動を開始した。打ち合わせ通り、マルセリーナが何事か家庭教師に囁く。それを聞いて、家庭教師がゴリーエフに小声で言い、ゴリーエフがそれにうなづいた。
家庭教師とマルセリーナは席を立って壁側の通路に抜け、ロビーに出た。
と、そこへアシストがやってくる。
■アシスト To:マルセリーナ&家庭教師 |
いよいよだよ。心の準備は出来てる? |
■マルセリーナ To:アシスト |
はいっ! |
ちょっと緊張気味だが、上気した頬で元気良く答える。
■カルソニック To:ALL |
失敗は許されないからな。心してやろうで。 |
周囲に人がいないかどうかを確認し、2 人を裏口へと誘導していく。
国立劇場・裏口 |
カルソニックとアシストに先導されて、マルセリーナと家庭教師は裏口に着いた。リッキが迎える。
■家庭教師 To:マルセリーナ、ALL |
さて、ここでお別れだね。あたしが言うのも何だけど、姫様をよろしく頼んだよ。 |
■リッキ To:家庭教師 |
うん、まかせてよ♪ |
■アシスト |
それじゃ、作戦開始といこっか。 |
アシストはディスガイスの呪文を唱え、マルセリーナそっくりの幻覚をその身へと映し出した。
■リッキ To:アシスト |
わ〜、すごいすごい♪ 気をつけてね、アシストっ。 |
■マルセリーナ To:アシスト |
あれっ?あれれっ?? わたしがいる〜。すごいすごい、ドレスまでソックリ。 |
■アシスト To:ALL |
さぁ、あとはオレ達にまかせて、皆はもう行って。 いつまでも時間稼ぎは出来ないよ。 |
でも声はアシストのままだった。
■リッキ To:アシスト&ALL |
うん、わかった〜。 あ……まだ外に、傭兵さんが〜… |
リッキは首を傾げて少し考えた後、見張りの男性の服をちょいちょいと引っ張る。
■リッキ To:見張りの男性 |
ね、あたしたち、逃げるから、お外にいるさっきの傭兵さんに適当に話しかけて〜?その隙に、後ろから魔法で混乱させちゃうから♪ |
■男 To:リッキ |
へ?なんだか知らんが話しかければいいの? |
■リッキ To:見張りの男性 |
うん、話しかけて、気を引いてね〜。 お芝居のお話でも注意でも何でもいいよ〜。傭兵さんがこっちに背を向けるような感じにしてくれると嬉しいな♪ 10数えたら、そ〜っと出て行って魔法かけるから♪ |
■男 To:リッキ、ALL |
あぁなるほどね。そういうことか、わかったよ。まかせとけ。ちょっと扉の陰に入ってなよ。 |
■カルソニック To:リッキ |
失敗するなよ〜(笑) |
■リッキ To:カルソニック |
あぅ(>_<;) がんばる! |
彼は裏口の扉を開けた。5 メートル位離れたところに、こちらを向いて傭兵2が立っていた。スタスタと近付いていき、何やら反対側の道を指差している。傭兵2がそちらを向いた隙に、男が今だと合図を送った。リッキはささっと飛び出して、男の背中に向かって精霊語を発する。
■リッキ |
9…10、せーの!レプラコーン、応えて! |
途端に、傭兵2は途方に暮れたように反対側の道を指差したまま、とことこと歩いて行ってしまった。多分、自分に何が起きたのかもよくわかってないかも。リッキのコンフュージョンが成功したのだ。
■男 To:ALL |
…… これでオッケー、かな? |
■リッキ To:見張りの男性 |
わ〜、やったやった♪ うん、ありがと〜! |
傭兵2が移動したのを見て、ユウルがリッキとマルセリーナのほうに駆け寄ってくる。
■ユウル To:リッキ、男 |
ご苦労様〜。さすが、精霊の力って偉大だねえ〜すごいよ。(男に)すいません。ご協力、ありがとうございました(ぺこり) |
■リッキ To:ユウル |
ユウル♪ うん、失敗しなくて良かったよぉ(^-^) |
■男 To:ALL |
よかったな。 |
思わずリッキの頭をかいぐりかいぐり。
■ユウル To:ALL |
さて、ばれないうちにビアトリスさんのいるところまで移動するよ。劇場前の馬車を一台調達しといたから、そこまで案内するね。怪しまれない程度に早足でついてきて。…準備いいかな? |
■リッキ To:ユウル&マルセリーナ |
わかった〜。 マルセリーナちゃん、行こっ! |
■マルセリーナ To:リッキ |
はいっ! |
■ユウル To:ALL |
(劇場のほうを一旦振り返って)…後は頼んだよ。がんばって(>_<)それじゃ、行こうか! |
正面の見張りに見つからないようにルートを選びながら頼んでおいた馬車へと近づく。
■ユウル To:御者2&ALL |
お待たせ!女の子たち連れてきたよ。まずはさっき話したオランの郊外までよろしく! |
■御者 To:ALL |
おう、それじゃ出発! |
ユウル、リッキ、マルセリーナを乗せた馬車は、ヴィトリスとビアトリスとシルヴァが待つ郊外を目指して出発した。
一方で残ったアシスト、カルソニックと家庭教師はというと。
■アシスト To:家庭教師 |
んじゃ、こっちもあと一仕事しないとね |
■家庭教師 To:アシスト |
がんばってみましょうか! |
■カルソニック To:アシスト |
早くこのくそうぜぇ服脱ぎたいわ・・・・ 気合い入れて終わらせるぞっ! |
国立劇場・客席 |
舞台は今やクライマックス。
アーネス扮する王女と、仇の息子の愛と葛藤のシーン。一番の泣かせ所だ。ゴリーエフは、舞台に見入っている。
そこへアシストが扮するマルセリーナと家庭教師が戻ってきた。
■アシスト(心の声) |
皆無事かな? このまま上手くいってほしいけど…… |
■家庭教師 To:マルセリーナ(アシスト) |
ゴリーエフの隣はまずいでしょ?席を替わろうよ。 |
通路で小さな声で耳打ち。
■家庭教師 To:ゴリーエフ |
ゴリーエフ様、お嬢様は前の人の頭で舞台がよく見えないそうですので、私と席を替わりますわ。 |
ゴリーエフはうなづいた。
アシスト扮するマルセリーナは、ゴリーエフに小さく一礼して席に静かに座る。
そのまま何事もなく、舞台は進行していった。
いよいよ、アーネス扮する王子の姿の王女の仇討ちが成功し、舞台は大団円で幕を閉じる。そして拍手喝采の嵐、カーテンコールは3 回行われた。笑顔のアーネスが舞台から手を振っている。
■ゴリーエフ To:マルセリーナ |
ふむ、なかなか見事な芝居であった。いかがでしたか?マルセリーナ様。 |
■アシスト(マルセリーナ) |
…………(ジーン) |
と、すっかり劇に感動して声も出ない(フリ)のアシスト。
■ゴリーエフ To:家庭教師 |
そうですか、感動しましたか。うんうん。良い劇にご招待いただき感謝しますよ。 |
■家庭教師 To:ゴリーエフ |
恐れ入りますわ。 |
■ゴリーエフ To:ALL |
では、我々も帰りましょうか。 |
他の客と一緒に、一行はロビーへ出た。家庭教師はなるべくゴリーエフとアシストが直接接触しないように、間に自分を挟むように移動している。が、人込みではなかなかままならない。
■ゴリーエフ To:マルセリーナ |
さ、はぐれないようにこちらに来なさい。 |
人込みにまぎれて消えようとしていたアシストだが、それには失敗してしまった。しかも、いつの間にかゴリーエフが側に来ていた。
■ゴリーエフ To:マルセリーナ |
ん、お前…… 何か変だな? |
近付き過ぎた。ゴリーエフは、マルセリーナの姿に何か違和感を感じたようだ。しかし、正体がアシストであると見破ることはできなかった。
■ゴリーエフ To:マルセリーナ |
……何だ?何か変だな。 |
■アシスト(心の声) |
やばっ いきなりバレかけてる(汗) なんとか気を逸らしてここから離れないと……そろそろ魔法も効果が切れるし。 |
アシスト、冷や汗ダラダラ。
そこへ、ニケルがやってきた。アシストが見つけられなくてキョロキョロしている。
■カルソニック To:独り言 |
マズいな・・・・。 |
ニケルを発見したカルソニックは席を外して助け船を出してやる事にする。
■ニケル To: カルソニック |
あっ、あんた…… (ぐ、偶然を装ってだったな)偶然だなぁ、こんな所で見てたんですか。やぁ、びっくりだなぁ。 |
とまで言ったが後が続かない。この後どうすればいいのかわからないらしい。
■カルソニック To:ニケル |
なんとかしてお姫さんさらってくるから、このヒトゴミの中出来るだけ紛れる様に逃げれるルートを考えてくれんか? |
■ニケル To: カルソニック |
えっ?! さらう?誰を?? 逃げれるったって…… 裏口位しかないよ。でも、人波に逆走するから目立つだろうし。それに、アーネスさんが、アシスト君が言ってたゴリなんとか氏を待ってるんだけど…… えっと、どーすりゃいいんだ? |
大混乱。
■カルソニック To:ニケル |
ゴリラ・・・やなかったゴリーエフは奴だぜ? |
■ニケル To: カルソニック |
へ、あ〜、あの人?ドレス着た女の子と真面目そうな女性と一緒の…… そんで、アシスト君はどこ? |
■カルソニック To:ニケル |
・・・・・えーっと、あの「奇麗な女の子」なんやが・・詳しい説明は後回しや。 ちょっと面倒な事態になっとってのぉ・・スケベオヤジここまで連れて来るっちゅーナリは何とか作るから、舞台裏まで連れてってくれへんかな? |
■ニケル To: カルソニック |
げぇっ、あの女の子がアシスト君?……いやぁ、化けるねぇ。今度スカウトしちゃおうかな。 オッケ、あの紳士をアーネスさんとこへ案内すればいいんだね。まかせてくれよ。 |
■カルソニック To:ニケル |
了解、任せておいてくれ。そっちも頼むな。 |
眼で確認した後にゴリーエフ達が居る場所へ向かう。
■カルソニック To:教官 |
お久しぶりです、フラウ。 ご機嫌麗しゅう・・・・。 |
ゴリーエフ達にも見える様わざとらしくなく、かつ一礼も忘れない。
■家庭教師 To: カルソニック |
まぁ、貴方もいらしてたのですね。ご機嫌よう、ご無沙汰しておりますわ。 |
狐が 2 匹。
■家庭教師 To: ゴリーエフ、カルソニック |
ゴリーエフ様、こちら学院の友人でレイブリック殿。こちらはゴリーエフ様です。 |
■カルソニック To:ゴリーエフ |
おぉ、この方がかの高名な・・・・ はじめまして、ゴリーエフ様。お会いできまして光栄です。 |
大嘘である。
■ゴリーエフ To: レイブリック |
これはこれは、恐れ入りますなァ。丁寧なご挨拶痛み入ります。今後ともなにとぞよしなに…… |
ゴリーエフ、持ち上げられて超ご機嫌。
■カルソニック(レイブリック) To:ゴリーエフ |
いえ、貴方様のご高名は学院まで届いておりまする。 ここでお会い出来たのも何かの縁、お時間が御座いましたら私、こちらの劇団と縁がありまして俳優達ともご歓談出来る時間をご用意できます。宜しければご一緒されますか? |
■ゴリーエフ To: レイブリック、マルセリーナ、家庭教師 |
ほぅ、それは素晴らしい!ぜひご一緒させていただけますかな。そんな機会はめったにありませんからなぁ。 さ、君達も一緒に。 |
ここだ!ここで言わなくてどうする!とばかりに家庭教師が。
■家庭教師 To: ゴリーエフ |
いいえ、ゴリーエフ様。マルセリーナ様は少しご気分が悪いようです。どちらかで休ませていただけたら良いのですが…… 私がお嬢様のお側に付いておりますわ。 |
アシストも、ふらりと家庭教師によりかかってみせる。
■ゴリーエフ To: 家庭教師 |
ふむ、それは困りましたねぇ…… |
扉の陰でこっそり様子を伺っていたニケル、事情を察知する。ここだ!ここで役に立たねばいつ!とばかりに胸を張って登場。
■ニケル To: カルソニック |
(偶然を装って、偶然を装って、と……) や、やぁこれはこれは。いらしてたんですね。是非楽屋に寄って行って下さいよ。こちらへどうぞ! |
■カルソニック To:ニケル |
やぁ、ちょっと人数が増えそうだがナニ、人数が多い分に越した事は無いよな? |
■ニケル To: カルソニック |
そっ、そうですね。多い方が楽しいですよねっ!みなさんでおいでで? |
■家庭教師 To: ニケル |
どこか、休めるところがあったら貸していただけませんか? |
■ニケル To: 家庭教師 |
あ、空いてる楽屋がありますから、そちらを使ってください。 |
■家庭教師 To: ゴリーエフ様 |
では、そちらでお待ちしておりますので…… |
■ゴリーエフ To: 家庭教師 |
うぅむ、仕方ありませんな…… |
有名俳優と会えるという誘惑に負けたゴリーエフ。出口は全て手の者が固めているし、まあいいかと思っている。
■ゴリーエフ To: レイブリック |
では、参りましょうか。レイブリック殿。 |
■カルソニック To:ゴリーエフ |
はい、ではご案内させて頂きます。 |
■アシスト(心の声) |
た、助かったぁ。 |
カルソニックとゴリーエフはアーネスの楽屋に、アシストと家庭教師は女子トイレ側の裏口近くの空き楽屋に案内された。手はず通りアーネスは年代物のワインを片手にゴリーエフを歓待し、やくたいもない話にずっと付き合っている。ゴリーエフは話に夢中になっていて、席を立つ様子はない。
■カルソニック To:ゴリーエフ |
・・・・・・・。(--#) |
一件平静を装ってはいるがポケットにはセスタスが握られている。
■カルソニック To:アーネス |
(ぺこりと一礼をする) |
頃合を見て席を外したカルソニックは、アシストのいる楽屋へとやってきた。アシストは、魔法の効果が切れてすっかり元の少年へと戻っている。
そして、アシストとカルソニックと家庭教師は揃って劇場から姿を消した。もちろん、用心棒のいない方の裏口を使って。
■カルソニック To:教官、アシスト |
お疲れさまやったな。二人とも。教官、奴を挙げれるだけの証拠はそろったんかいな? これだけやっちまうともう後にはひけへんで? |
■七つ顔 To: カルソニック |
そうねぇ……。これはオフレコなんだけど、予定通りなら今ごろウチのが何人か屋敷に入って証拠を探してるハズだわね。ドジは踏んでないと思うわよ。 |
家庭教師の姿のまま、七つ顔の表情でウィンク。
■カルソニック To:教官 |
いずれにせよこれからがギルドの仕事やな。俺はもうクタクタさかい寝かせて貰うけど。 あー、肩こった。久々にネクタイなんかするからクビが締まっていかん。 髪型もいつもの方のがやっぱえぇわ。 |
国立劇場・正面広場 |
■コリス |
さて、劇が終わっても、ゴリーエフ氏が出てこないと言う事は、上手くいったみたいですね。 それでは、私もそろそろ退散しますか。 |
コリスも頃合を見計らって銀の網亭へ戻っていった。あの衣装のまま。道行く人に一々振りかえられたことは言うまでもない。
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