SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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銀の網亭・酒場「幸せの木」 |
ゴリーエフ邸を辞去した一行は、何事もなく銀の網亭に帰り着いた。カルソニックも無事戻ってきている。時刻は 16:30 頃、そろそろ夕方近い。
■おやじ To:ALL |
おお、みんなおかえり。お待ちかねの人がいるぞ。 |
と、指差す方は幸せの木の一番奥の目立たないテーブルで、ビアトリスがひとりうつむいて座っていた。
目の前には紅茶とお菓子が置いてあるが、手をつけたようすは無い。
■おやじ To:ALL |
寝てろって言ったんだけどなぁ、どうしてもここで待つって聞かないんだ。 |
■カルソニック To:他 |
おかえり〜。 |
■リッキ To:カルソニック |
あ、カル♪ただいま〜♪ あたしたち、マルセリーナちゃんに会えたよ〜。後でカルのお話も聞かせてね♪ |
■カルソニック To:ALL |
俺よりお前らの話を心待ちにしてる人がおるやろ。 |
依頼人の顔を見る。
■リッキ To:カルソニック |
あう、そうだよね(^^;) |
■ユウル To:おやじ |
ありがと、おやじさん。 彼女、体調は大丈夫なのかな…とりあえず報告にいってくるよ。 |
■おやじ To:ユウル、ALL |
あんまり良くはなさそうだが、すぐ倒れそうなほどじゃないだろう。何なら部屋に連れて上がってくれ。 |
■ユウル To:ビアトリス |
(テーブルに近づいて)ただいま、ビアトリスさん。今帰りました。…休んでいなくて平気ですか? |
■ビアトリス To:ユウル、ALL |
ああ、みなさん……。お帰りなさいませ。わたくしのことなどどうでもよいのです。娘は、マルセリーナは……? |
■ユウル To:ビアトリス |
お気持ちはわかりますが、どうか落ち着いて。(…なんだか、結果言うのが心苦しいな(^^ゞ) 私達はゴリーエフ氏と、マルセリーナ嬢に会うことが出来ました。いろいろと話すことが出来たんですが… ああ、これをお返ししておきますね。それから…こっちの手紙は、マルセリーナ嬢から預かってきました。 |
預かっていた手紙とペンダント、そしてマルセリーナからの手紙をビアトリスに手渡す。
ビアトリスは娘からの手紙を大事そうに受け取った。おそるおそる開封し、読む。
こらえきれずハンカチを口に当てて嗚咽を噛み殺す。
■ビアトリス To:ALL |
……字がとても上手になりましたわ。ゴリーエフ様のお陰ですわね。 こうしてはいられません、わたくしは一刻も早くあの子に会いに行かなくては。待っていると言ってくれているのですもの…… |
■ユウル To:ビアトリス |
それなんですが…(やや辛そうに)ゴリーエフ氏は、貴方とマルセリーナ嬢が面会することに反対されています。母親と会うと、里心がついて母のもとへ帰ってしまうのではと危惧されているようです。 そうなったら今までマルセリーナ嬢につぎ込んだ資材が無駄になり、立派に育てると誓った面目も立たなくなる、と。 |
■ビアトリス To:ユウル |
そんな……。そんな……。 マ、マルセリーナは辛い目に遭っているんでしょうか?あの子は元気でいるのですか? |
■リッキ To:ビアトリス |
ん…と…… 苛められてるとか、そういうのは無いみたいだった……けど、マルセリーナちゃんは、おかあさんに会いたいからお勉強してる…と思うの。 本当はおかあさんと一緒に暮らしたいって、一緒ならどこでもいいって… |
■ビアトリス To:リッキ、ALL |
あぁ…… マルセリーナ! やっぱりわたくしが悪かったのです。母を許して…… わたくし、ゴリーエフ様のところへ行きますわ。案内を頼めますか? |
■アシスト To:ビアトリス |
ち?ちょっと落ち着いて。その身体じゃいくらなんでも無理だよ(・・; それに……ゴリーエフさんは会わせられないって言ってるから、向こうへ行っても会わせてくれるかどうか…… |
火に油……?
■ビアトリス To:アシスト |
そんな話を聞かされて、落ちついて座っていろとおっしゃるの!? お願いです、わたくしをゴリーエフ様のお屋敷まで案内して下さい。お願い…… 早くマルセリーナを取り戻さなければ…… わたくしは……一生自分を呪って生きることになるのですわ! |
■ユウル To:ビアトリス |
冷静になってください!…屋敷に案内するのは簡単です。でも、今飛び出していってもゴリーエフ氏にすら会えませんよ。 たとえ会えたとしても、彼のいう金銭的補填が出来なければ面会させると思えません。 マルセリーナ嬢に一目会うだけでなく、きちんと貴方の元に連れ帰りたいなら、それなりの条件提示が必要です。 貴方はゴリーエフ氏になんと言って娘さんを返してもらうつもりですか? |
ユウルは立ち上がろうとするビアトリスの肩を押さえ、真剣な眼差しで見つめる。表情はかなり苦しそう。
■ユウル To:ビアトリス |
失礼とは思いましたけど、娘さんを預けられる時に交わされた契約書の前半、確認させてもらいました。 金銭的に苦しくなったのは亡くなったご主人の弟…ナリス・ラブレース氏のせいではないかという意見をマルセリーナ嬢から聞きしました。 金銭的問題を解決することが娘さんを取り戻す近道ではないですか? 私にはあなた方親子が不遇になったことが理不尽に思えてしょうがないんです。…よければ、そのあたりの事情をもう少し詳しく話していただけませんか? |
■ビアトリス To:ユウル |
たとえ理不尽なことであっても、受け入れることにしたのです。ナリスが悪いのでも、ゴリーエフ様が悪いのでもないのです。悪いのはわたくし。 それ以上はお話しできません。個人的なことです。 それに、貴方がもしそうお考えでしたら…… もうナリスを頼ることはできませんわ。いえ、したくありません。 |
■カルソニック To:ビアトリス |
・・・話は大体理解出来た・・・・っちゅーか。こーなるのは大体みえとったんやけど。 そのまま会ってどないするつもりや?まさか、取り戻すとか言うんやないやろな? 冷静にになれ、いうんは無理やっちゅーのは分かる。 でもな、そのまま行ったら一目会うという最初の目的は達成されるかもしれんが『取り戻す』という目的を達成するんは余計難しくするで。 |
■ビアトリス To:カルソニック |
では、わたくしはどうすればよろしいの? |
■リッキ To:ビアトリス |
あたし、ゴリーエフさんが気持ちよくマルセリーナちゃんを返してくれる方法がないかなぁって考えてた…… 喧嘩しないで、そうできたら、その方がいいよね? ビアトリスさんが最初に見せてくれた、契約書が、ただの紙切れになる方法だよ。 思いつくこと、ない? |
■ビアトリス To:リッキ |
契約書? |
ビアトリスは不思議そうな顔をしている。何の事を言われているのかわからないようだ。
■コリス To:ビアトリス&リッキ |
あの手紙の事ですよ。 ゴリーエフ氏に前半部を見せていただいたのですが、かなり契約めいた文章でしたので。 しかし、そのような方法を思いついたのですか? |
■リッキ To:コリス |
ううん、もうちょっとで思いつくような気がするんだけど…… |
リッキはぷるぷると首を振った。
■ビアトリス To:リッキ、コリス |
そうですの…… あれは契約書なのですか。皆さんはそうお思いになったのね。そして、ゴリーエフ様もそういうおつもりだったのですね。 わたくしは、ゴリーエフ様と何を契約したことになっているのでしょうか?やはり、娘をお金で売り渡したということになっているのでしょうか…… |
彼女には珍しく、やや自嘲するような表情をしている。
■コリス To:ビアトリス |
……確かに、そうとも取れる文章でした。 言い過ぎかもしれませんが、ビアトリスさんにそのつもりが無かったとしても、傍から見れば、そう取られても仕方が無いのではないでしょうか。 |
■ビアトリス To:コリス |
ええ、ナリスにもそう言われましたわ。それに、今ではわたくしもそう思います。 思えばあの時は、ただただ救われる喜びで何も見えていなかったのです。ゴリーエフ様がマルセリーナを連れて町を離れた時は……。 しばらくしてお手紙、いえ『契約書』が届いた時には目の前が真っ暗になりました。わたくしは、お、お金の為に最愛の娘を売るような女なのですわ…… |
語尾が涙で震える。ややあって、憔悴した顔を上げる。
■ビアトリス To:ALL |
『契約書』を無効にする方法…… いいえ…… 何も思いつきませんわ。皆さんはいかがですか? |
■リッキ To:ビアトリス&ALL |
いままでマルセリーナちゃんにかけたお金と引き替えなら、返してくれるって言ってた。 けど、それは無理だよね……。 |
■ビアトリス To:リッキ |
はい……。いただいたお金は、オランに来るために幾らか使ってしまいましたの。ごめんなさい。 |
■アシスト To:ビアトリス&ALL |
その契約書を抹消するって方法もあるけど、それは確実じゃないしね。 向こうと取引できるような材料があればいいんだけど……カルソ兄ちゃん、ギルドで何か聞いてない? |
■カルソニック To:アシスト |
・・・・。 きいとらんなぁ。 |
明らかに何かを隠してるがここでは話したくないらしい。
■ビアトリス To:アシスト |
契約書を抹消するって、どういう方法があるのですか?確実ではなくても、何か方法があるのならばお教えいただけないでしょうか。わたくしにできることでしたら、何でもやりますわ。 |
■アシスト To:ビアトリス |
いやその……あそこに忍び込むのはまず無理だし、契約書の控えがあれば無意味だし……。 |
ビアトリスの勢いに圧されて、冷や汗だらだら。
■ビアトリス To:アシスト |
そうですの……。 |
がっくりとうなだれる。
■ユウル To:ALL |
あの契約書の書類自体をどうにかしてもしょうがない気がするな。無理やりにマルセリーナ嬢をさらうのはリスクが大きすぎるし。 アシストの言うように取引材料を探すか、要求する金額を用意するか、しか今のところ思いつかないな。 どんな「理不尽なこと」があったかわからない以上、ナリス叔父とゴリーエフ氏が結託してビアトリスさんを陥れた、なんて理論は飛躍的過ぎるし… |
ちらっとビアトリスの方に視線をやる。
■ビアトリス To:ユウル |
……それは無いと思いますわ。確かに、お二人とも同じことをわたくしに望まれて、同じようにお断りいたしましたけれど。 |
ビアトリスはナリスとゴリーエフの関係をきっぱりと否定した。
■ユウル TO:ビアトリス |
は?ちょ、それって… ゴリーエフ氏は「資金的身代わり」として貴方とマルセリーナ嬢を引き受けると申し出たわけじゃなくって、「求婚」されてたってことですか? |
そういう考えに至っていなかったらしく、かなりびっくりした様子。よっぽどゴリーエフ氏が「金銭欲だけの男」だという先入観があるらしい(笑
■ビアトリス To:ユウル |
えっ、どうしてそこまでご存知なの ?! |
こちらもびっくりした様子。
■リッキ TO:ビアトリス&ユウル |
ひゃ〜っ、そうなの?? |
重ねてびっくりしている(笑)
■ビアトリス To:ALL |
……マルセリーナがお話ししましたのね?あの娘ったら、恥ずかしいことをお話して……(困惑) ええ、最初はそう言うお話をいただきましたの。それをお断りしたので、せめて娘だけでも…… ということになったのですわ。 |
■リッキ TO:ビアトリス |
そうなんだぁ〜。 ゴリーエフさんもビアトリスさんのこと、好きだったのかなぁ?……ひとめぼれ?? |
顔を赤くして首を傾げるリッキ。
■ビアトリス To:リッキ |
え、ええ…… そうおっしゃってましたわ。たまたま立ち寄った町にこんな美しい人がいるとは……と。 いやですわこんな話。わたくし、恥ずかしい。 |
こちらも顔を赤くして、困った顔をしている。
■リッキ TO:ビアトリス |
ん、わかるよ〜♪ ホントにキレイだもんね♪(^-^) |
そう言って笑顔を向けるも、ふと不安そうになるリッキ。
■リッキ TO:ビアトリス&ALL |
あたし、よくわかんなくなってきちゃった……やっぱり、もうちょっと頑張って考えてみるね。 |
■ビアトリス To:ALL |
ごめんなさい、興奮してしまって。失礼して下がらせていただきますわ。わたくしも…… 少し一人になって考えてみたいのです。 |
■ユウル To:ビアトリス |
いえ、こちらこそお体のこと考えずに色々ときついこといってしまって。どうぞゆっくりお休みになってください。 |
ビアトリスは悄然と立ち上がると、2 階へ上がって行った。
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