SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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オラン市内 盗賊ギルド連絡所 |
ここは数ある盗賊ギルドの連絡所のうちの 1 つ。一般人お断りだが、内装は酒場風にしてある。数人のギルド員がたむろしている中に、おなじみミスティの顔も見える。カードをして遊んでいるようだ。
■カルソニック To:ミスティ |
・・・カードか。 どうや? 儲かってるかい |
■ミスティ To: カルソニック |
あ〜、全然ダメね。今日はツキがない。 この席、替わる? |
持っていた札をテーブルの上に投げた。どうやら降りるらしい。
■カルソニック To:ミスティ |
いや、俺ぁ賭け事やらねぇ性格なんでな。 貴重なツキを賭け事で落としたくないからな。 それとも、取られた金取り返したら俺の知りたい情報教えてくれるかい? |
■ミスティ To: カルソニック |
負けるほどやってないわよ。こういうのは引き際が肝心ってね。 あっちへ行きましょう。ここじゃゆっくり話もできないわ。 |
ミスティは席を立ってカウンターの奥の扉をくぐった。その内側は狭い廊下になっていて、扉がいくつか並んでいる。そのうちの 1 つを推して中に入るとテーブルと椅子が 2 つだけのとても狭い部屋になっていた。
■ミスティ To: カルソニック |
で、何の情報?このミスティさんに知らないことはないわよ。何でも聞いてみてちょうだい。 |
■カルソニック To:ミスティ |
『何でも知ってる』・・・か。 ゴリーエフという高利貸しは知っとるよな? 割とこの街で幅を効かせてる奴や・・・・ |
■ミスティ To: カルソニック |
知ってるわ。もちろん。うちのお得意さんでもあるわね。 |
続けて、というように首を傾げる。
■カルソニック To:ミスティ |
・・・ギルドのスタンスは『モノホンの悪事には手を染めない』だったよな? 高利貸しのやっこさんが血の繋がらない女の子を抱えてる事と、ウチの教官・・・あぁ、7つ顔の事だが・・・ 単に頼まれたから家庭教師みたいな事をやっとるんか? |
■ミスティ To: カルソニック |
『モノホンの悪事』ねぇ……まぁその『モノホン』の定義によると思うけど。その議論は今回の本質じゃないみたいだから置いておくわ。 で、あんたが聞きたいのはあそこで七つ顔が何をしてるかって事ね? 彼女は学院出身と言う触れ込みで家庭教師として潜り込んで、あそこの内偵をしてるわ。内偵の依頼主はうちの上、つまり盗賊ギルド内部の仕事って言う事よ。この件は、ギルド員でも極一握りしか知らない。もちろん、ゴリーエフ本人とその傭兵には絶対気づかれてはいけない。 この情報は注意して扱ってちょうだいね。 |
■カルソニック To:ミスティ |
この情報って内偵の情報かぃ? それは俺の様な下っ端が絶対聞いちゃなんねぇ機密情報っつー事やな。 内偵って・・・保護対象としてる奴のウラを取るんだい? もしかすると俺みたいな下っ端でも協力でけるかもしれんからな。 |
■ミスティ To: カルソニック |
極秘なのは、内偵しているという事実と、七つ顔の仕事についてよ。 ゴリーエフがギルドに保護を受けているのは、半端じゃない量の『寄付』があるからなの。もちろん保護下にあるっていうことは、あんたみたいに仕事の内容と収支をある程度ギルドが把握してるって言うこと。そこらへんにごまかしがあるんじゃないのかっていう疑いを上が持ったのが、今回の内偵の理由になっているらしいわ。 ま、『らしい』ってだけであたしでも正確には知らされてないんだけどね。 手伝おうなんて野心を持たない方がいいかもね。そのせいでゴリーエフにバレたら、大目玉じゃ済まないわよ。 ギルドとしても、ゴリーエフの傭兵とはなるべく事を構えたくないし。保護対象に内偵を入れるってだけでもかなり危険なことをしてるし。下手すると上の首が飛ぶ事態になりかねないって事は了解しておいてね。 |
■カルソニック To:ミスティ |
了解。そうなると俺は今回は大人しく戦士に『なってた』方が無難やな。 高利貸しってそんなに儲けるモンなんかいな・・・ せやけど、シーフギルドに対して保護料チョロまかしてもえぇ事なんか・・・・。 まさか、それ以上に傭兵とか雇った方が安上がりっちゅー事なんか? |
■ミスティ To: カルソニック |
それだけの大金を上納してるってことよねぇ。どうやって儲けてるかなんて、あたしも聞きたいわ。 |
■カルソニック To:ミスティ |
ヤクとかそーゆー危険なブツに手ぇ出したりとか武器買い集めたりとかそーゆー噂も無いんかな? あと、どこぞの悪どい宗教と繋がりあるとか・・・・。 その辺りの繋がりの情報って全く無い訳やないやろ? 悪どい事をギルドが見て見ぬフリしとる様やったらオランももう終わりやし・・・。 |
■ミスティ To: カルソニック |
無いわけじゃないけど、どれも尻尾は掴んでないわ。そこらへんがゴリーエフの怖いトコよねぇ。 噂だけでよいならいくらでも。人身売買、不法賭博、麻薬密売、恐喝、エトセトラ……。でも、他人とつるんでるって噂は聞かないわね。用心深いんだわ。 |
■カルソニック To:ミスティ |
恐喝と人身売買とヤクはお決まりのパターンやな。取り立て方法についてはどんな感じなんや? まさか平和解決っつー訳やないやろ? |
■ミスティ To: カルソニック |
それもお決まりのパターンってヤツじゃない? まぁ、相手を殺しちゃ元も子もないけど、返済できない客にはかなり厳しいみたいね。生かさず殺さずで搾り取っておいてもう取れないところまで来たら売り飛ばす、なんていう噂はよく聞くわねぇ。 |
■カルソニック To:ミスティ |
うちのパーティ、実はおっさんの借金のカタに連れてかれた娘の母親から『ひと目会わせて欲しい』っちゅー依頼受けてんねん。 依頼人の名前はビアトリス・・・えと、ビアトリス・ウィルマいうねん。そいつの借金とかそーゆー情報とかって無いかな? 依頼人が明らかに我が侭いうとる様やったら依頼蹴っても俺はえぇと思うんやけど・・・・。 どっかひっかかるねん。 |
■ミスティ To: カルソニック |
ビアトリス・ウィルマねぇ…… 記憶にない名前ね。必要なら調べてあげてもいいわよ。有料だけど。 |
■カルソニック To:ミスティ |
ぐげ、金とるんかいな。まぁ、いうてもゴリーエフの有益な情報もろたからから100ガメルって所でどや? |
■ミスティ To: カルソニック |
OK。じゃ、先にいただくよ。なんせ調べないとわからないからねぇ。ただ働きは私の主義に反するんでね。悪いね。 名前は『ビアトリス・ウィルマ』でいいんだね?ウィルマ家ねぇ…… その辺の一般人かい? |
■カルソニック To:ミスティ |
ほいほい、100ね・・っと。 まぁ、ゴリーエフの情報だけでもお姉の調査料金とすりゃ結構な金額貰えるんじゃねぇの? あと、今の掴んでいる情報から分析して答えれたら答えて欲しいんやけど、ギルドVS高利貸しのドンパチになる確率ってどれくらい? |
■ミスティ To: カルソニック |
バカねぇ。金とってゴリーエフの話したなんて今バレたらどーなると思って?今日のは単なるあんたとあたしの個人的な会話だよ。仕事じゃないさ。そのウィルマって人はコッチの話に直接関係ないみたいだから、仕事として調べてもいいよって話。 わかってんの?その辺。 |
ちょっとため息なんかついてみたり。
■カルソニック To:ミスティ |
あ、そーゆー事な。すまん。 |
素直に謝る。
■ミスティ To: カルソニック |
まー、確率的にはかなり高いでしょうね。実際ドンパチになるかどうかは置いといて。ギルドはもっとスマートな方法でやろうとしてるよ。 |
■カルソニック To:ミスティ |
闇に消す・・・・ってか。良い意味でも悪い意味でもそーゆー所がシーフギルドやな。 とりあえず、依頼人についてはもうちょっと情報整理してから教えるとゆー所では駄目かい? |
■ミスティ To: カルソニック |
あ、そう。じゃ、その情報整理とやら終わったらもう一度調査依頼してちょうだい。 |
ということで相談はまとまった。
カルソニックは何事もなかったかのようにギルドを後にした。
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