SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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ゴリーエフ邸 バルコニー |
バルコニーでは、華奢な白いテーブルに同じ作りの椅子が 3 脚。それに木製のベンチが用意されていた。テーブルの上には、クランベリーのタルトレットと香り高い紅茶。傍らのワゴンの上にはちゃんと一行の分も用意してある。
椅子には、家庭教師とマルセリーナが座っていた。残りの 1 脚にはゴリーエフが座った。
■ゴリーエフ To:ALL |
さぁ、みなさんもどうぞ。 |
ゴリーエフは、一行にベンチを勧めた。
マルセリーナは、家庭教師に美しく正しいマナーでタルトレットをいただく訓練を受けているところだった。上に乗っている小さな果物を落とさないように、慎重に少しずつタルトをかじっていたが、家庭教師に言われてそれを中断した。
こちらを向いた顔は、確かにビアトリスに借りたロケットの肖像と同じ顔だった。しかし、あの絵から受けた印象よりいくぶん大人しい。影が薄いように見える。
■リッキ |
(…? 何だか、元気ないのかなぁ……?)いただきま〜す♪ |
マルセリーナを心配そうに見ながらも、しっかりタルトに手が伸びるリッキ。
■ゴリーエフ To:マルセリーナ |
お嬢様、こちらの方々をご紹介しましょう。お母様のご依頼でこちらにいらっしゃったんですよ。 |
■マルセリーナ To:ALL |
お母様!お母様がどうかなさったのですか? |
『お母様』という単語を聞いた途端、マルセリーナの表情がパッと明るくなった。しかし、すぐ心配そうな顔になる。
■リッキ To:マルセリーナ |
(もぐもぐ)…んと、マルセリーナちゃんに会いにオランに来てるんだよ♪ あ、あたし、リッキだよ♪よろしくね♪ |
■マルセリーナ To:リッキ |
えっ、お母様がオランに?……あっ ご、ごきげんよう、リッキさま。マルセリーナと申します。 |
リッキの言葉を聞いて、嬉しさの余り思わず席を蹴って立ちあがった。しかし、ゴリーエフの渋い顔に気がついて、慌ててスカートの裾をつまんでご挨拶。
■アシスト To:マルセリーナ |
でも、ちょっと気分が悪くなってて……それでオレ達が代理で来たんだけどね。 |
ぽりぽりと頬をかきつつ、ゴリーエフをちらりと見やる。
■マルセリーナ To:アシスト |
お、お母様は…… あまり丈夫ではないのです。あの、今どこに? |
みるみる間に、大きな目に涙が盛り上がってくる。ゴリーエフはそちらを見ないように紅茶をすすっている。
■コリス To:マルセリーナ |
今は、宿屋で休んでおられます。 マルセリーナさんが立派なレディになれるか心配のご様子でしたが… その様子なら大丈夫そうですね(にっこり) |
■ユウル To:マルセリーナ |
ユウルです。こんにちは。 そんなにお母様のこと、心配しなくても大丈夫ですよ。周りに人もついていますから。 貴方が元気に頑張っている、と伝えられれば気分もよくなると思いますよ。 |
マルセリーナにハンカチを差し出して安心させるようににっこりと微笑む。
■マルセリーナ To:ユウル |
ご、ごめんなさい…… |
おずおずとハンカチを受け取って、涙を拭う。
■リッキ To:マルセリーナ |
ぐす。泣いちゃ駄目だよ〜。 |
とか言いつつもらい泣きモード…
立ち上がってマルセリーナの頭をなでなで。
■リッキ To:マルセリーナ |
帰ったら、マルセリーナちゃんのこと話すからねっ(にこっ) いつも、どんなお勉強してるの〜? |
■マルセリーナ To:リッキ |
は、はい。立派な貴婦人になるためのお勉強をしています。!! |
明らかに緊張して、ゴリーエフの一挙一動に過敏に反応している。
ゴリーエフが紅茶のカップを置くときにちょっと音を立てたのに驚いたらしい。
■ヴィトリス To:マルセリーナ |
貴方なら立派な貴婦人になれそうですね(^^ |
■マルセリーナ To:ヴィトリス |
は、はい。ありがとうございます……。 |
■ヴィトリス To:ゴリーエフ&マルセリーナ |
ところで、私、卑賤の生まれの為よく分からないのですが、社交界にデビューするのってどうするんです? やっぱり、誰かの紹介で…とかですか? |
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
本来であれば血縁のものの紹介が最もよろしいのですが、お嬢様の事情ではそういう訳には行きませんからな。私の知己を頼って…… ということになりましょう。まずは小さなサロンから参加していただくことになります。 |
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
知己とおっしゃいますと? |
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
こういった商売をしていますとね、そういった上流階級の方ともお近づきになる機会が時々あるのですよ。 |
ゴリーエフの態度は穏便だが、『それ以上聞くな』というオーラがガンガン出ている。
■ヴィトリス To: |
(……すごいオーラですね(^^; もうちょっと突っ込みたかったけど……やめましょう…) |
■コリス To:ゴリーエフ&マルセリーナ |
なるほど。 ところで、マルセリーナさんは普段、どのような勉強をしているのですか? |
マルセリーナは、少し困惑したような顔をしている。この場合、さっき答えたことをもう一回言った方がいいのだろうか?どう対処するのが貴婦人としてふさわしいか迷っているらしい。
■ヴィトリス To:マルセリーナ |
こういうときは、貴婦人らしいひねりの利いたぼけで返すのがお薦めですよ(^^ 間違っても鋭いつっこみで返してはいけないので気をつけて下さいね(^^ |
■マルセリーナ To:ヴィトリス |
ぼ、ぼけ、ですか……。はい、ご指導ありがとうございます。 |
ぺこりとおじぎ。
■ヴィトリス To:マルセリーナ |
いえいえ(^^ お役にたてて光栄です。 |
にっこり微笑む。
■コリス To:マルセリーナ |
?、ああ、「立派な貴婦人になるための勉強」として、どのような事をしていらっしゃるのかと思ったので(^^;; |
ようやく、さっきリッキがした質問と同じだった事に気付いたらしい。
■マルセリーナ To:コリス |
あっ、ご、ごめんなさい。えっと、礼儀作法、読み書き、歴史、地理、それから、それから…… 少しだけ竪琴の練習をしています、えっと、おります。 |
まだボケは入れられなかったみたい。
■ゴリーエフ To:コリス |
やあどうも、おしゃべりの種も尽きたようですな。では、そろそろ……? |
お帰りの時間ですか?と言いたいようだ。
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
そうですね。どうも長々とありがとうございます。 |
■ヴィトリス To:家庭教師の先生 |
では、そちらの家庭教師の先生も……… …と、そういえば、昨日もお会いしましたね(^^ 今日も昨日と同じぐらいまでお仕事ですか? |
■家庭教師 To:ヴィトリス |
あ、はい。毎日同じ時間に帰宅いたします。 |
急に話の矛先が向いたのでちょっと驚いている。
■ヴィトリス To:家庭教師 |
そうですか。お仕事大変でしょうけど頑張って下さいね。 |
■家庭教師 To:ヴィトリス |
恐れ入りますわ。 |
家庭教師は簡潔に、無表情を努めて応えた。
■ヴィトリス To:マルセリーナ |
マルセリーナさんも勉強頑張って下さいね。…ひょっとして、先生が帰られた後も一人で勉強とかされるのですか? |
■マルセリーナ To:ヴィトリス |
い、いえ。先生が帰られたあとはゴリーエフ様と一緒にお食事をします。そのあとはひとりでちょっと復習をして、そのあと寝ます。 |
■ゴリーエフ To:家庭教師 |
夜更かしはよくないですからな。 しかし先生、昨日彼らと会われたというのは、いったいどちらで……? |
さりげなさを装ってゴリーエフが尋ねる。気になっていたらしい。家庭教師も大した事ではないという風にさらりと返す。
■家庭教師 To:ゴリーエフ |
昨日こちらを御暇する際に、門前でお会いいたしました。何やら皆様は門番の方と揉めておいでのようでしたわ。 |
矛先を向け直してみたりして。
■ゴリーエフ To:ALL |
揉めていた?それはそれは穏便ではありませんな。何かありましたか? |
■リッキ To:ゴリーエフ |
ううん、門番の人に今会える?って聞いてたんだよ〜。 でも受付は明日だって言われて。時間とか、その時に聞いたの〜。 |
のんびりと答える。
■ユウル To:ゴリーエフ |
どうも融資関係の頼みごとと勘違いされてしまったようです。夜分にお尋ねした私達が悪かったんですね。 リッキの言うとおり、その方に聞いて貴方に会える手順を踏んだというわけです。 |
あくまでも平然と。
■ゴリーエフ To:ALL |
ああ、そうでしたか。うちの用心棒たちは躾がいきとどいてますからな。 |
満足そうに笑う。
■ユウル To:マルセリーナ |
そういえば、マルセリーナさんはお母様にお手紙とか書かれているんですか? |
■マルセリーナ To:ユウル |
い、いいえ…… |
■リッキ To:マルセリーナ&ゴリーエフ |
じゃ、書いたらどうかな?あたしたち、届けてあげるよ! ね、いいでしょ? |
最後はゴリーエフに向き直ってにっこり。
■ゴリーエフ To:リッキ |
しかし、ここには羊皮紙もペンもありませんなぁ…… |
■ユウル To:ゴリーエフ |
マルセリーナさんのお部屋か、事務所にはありませんか? こんなに確実に素早く届けられる機会もめったにないでしょうし、私達が言葉を伝えるよりも手紙の方がビアトリスさんにも喜んでもらえると思いますので、ぜひお願いしたいですね。 |
■ユウル To:マルセリーナ |
(笑顔で)…どうかな?お母様にお手紙、書いてみない? |
■マルセリーナ To:ユウル |
は、はい! |
初めて笑顔になったマルセリーナ。思わずゴリーエフの存在を忘れた。
■ユウル To:マルセリーナ |
それじゃあ、私達はお手紙書き終わるまで待ってるからね。 ここでは書くものもなさそうだし、お部屋で書いてきたら? |
■アシスト To:マルセリーナ |
そうそう、ゴリーエフさんもそれくらい許してくれるよ、きっと。 |
■ゴリーエフ To:マルセリーナ |
では、そうさせていただきなさい。 |
マルセリーナはあわてて椅子から飛び上がるとちょこんとおじぎをし、一人で塔に戻った。
この場には冒険者と高利貸と家庭教師が残った。みんな黙って紅茶をかきまわしている。
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
…え〜と…(話題、話題…)そ、そういえば小耳に挟んだんですけど最近、エレミアの方に行かれてたんですかね? 私も一度行ってみたいんですけど、いいところでした? |
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
は?エレミアですか?……いいえ。 ちなみに、そんなことをどこで小耳に挟まれたんですか? |
ヴィトリスを見る目が一瞬鋭くなった。が、すぐに笑顔でそれを隠す。
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
?どこでしたっけ。「古代王国の扉」亭で飲んでるときでしたっけ? 高名な金融業者がエレミアの方に行かれるとか、護衛の仕事があるかもとかなんとか、なんかごしょごしょ言ってるのを耳にした記憶が微かに… で、てっきりゴリーエフさんのことだと思ったんですけど… 気のせいですね(^^ |
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
ハッハッハ。高名な、といえば私のことですが、噂に戸は立てられませんなぁ、まいったまいった。 確かに行きましたが、護衛はうちの者を連れて行きましたので、雇う必要はなかったのです。 |
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
まぁ、何か金になるようなことはないかといつも探してるような人の多いところですから… しかし、とぼけられるとはゴリーエフさんもお人が悪い(^^ 余程大切なお仕事だったんですね。 |
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
ま、ちょっと極秘の話でしてな……。いやいや、ちょっとこれから先は言えませんなァ。 |
完全にテングになってる。
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
ゴリーエフさんほどの方でしたら、商売上秘密にしとかないといけないことも沢山おありなんでしょうけど…… ここだけの話ってことでちょっとだけって訳には…いかないですよね。 |
とても残念そうに。
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
えぇ……。まぁちょっと、私も命が惜しいものですから。 |
と言って意味ありげな笑いなぞしてみる。
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
そうですか…では、残念ですが仕方ないですね。 |
しばらく待ったが、一向にマルセリーナは降りてこない。
■ゴリーエフ To:ALL |
お嬢様は遅いですな……。一体何をしているのだか。 |
ゴリーエフはイライラし出した。
■アシスト To:ゴリーエフ |
しばらく離れ離れになっていたから、書きたいことが沢山あるんじゃないかな。 会えないなら尚更だろうし。 |
■ゴリーエフ To:アシスト |
それにしても遅すぎませんかな。皆さんだって暇じゃないんだろうし。第一、お客様をこんなにお待たせするのは失礼ですな。見に行って来ましょう。 |
ゴリーエフは立ち上がった。
■アシスト To:ゴリーエフ&ALL |
あの子はまだ幼いんだし、そんなに厳しくすることもないと思うけど。 ねえ? |
■ヴィトリス To:ゴリーエフ |
そうですね……ゴリーエフさんも次のお仕事がお忙しいでしょうし、余り長々とお邪魔してもいけませんので、私達が行って、そのまま失礼させて頂きますよ(^^ |
■ゴリーエフ To:ヴィトリス |
そうですなぁ……。いやしかし、お客様にそこまでさせるわけには……。 |
■家庭教師 To:ゴリーエフ |
では、私も様子を見に参ります。それでいかがでしょう。 ゴリーエフ様、そちらの方がおっしゃる通りですわ。ロビーでお客様がお待ちですよ。 |
ずっと傍らでようすを見ていた家庭教師が口を挟んだ。
ゴリーエフは一瞬鋭い目で何かを思案していたが、すぐに顔に元の笑顔を張りつかせた。
■ゴリーエフ To:ALL、家庭教師 |
……そうですな、では申し訳ありませんが私は失礼させていただきます。 先生、よろしくお願いいたしますよ。 |
ゴリーエフは丁寧に一礼して、バルコニーを後にした。
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