SW-PBM Scenario #82 目次

シルヴァの危機


オラン 街角

 昼食後、銀の網亭を出てゴリーエフ邸へ向かう一行。しかし、カルソニックはやはり宿に残るらしい。
■アシスト To:ALL
ちょっと搭の上の様子も見ておきたいから、シルヴァは先に飛ばしておくね。

 シルヴァはアシストの肩から舞い上がって、空高く点となった。そのまま風に乗り、アシストの歩調と合わせてオランのはるか上空を泳いでいる。
ゴリーエフ邸正門前

 てくてくと歩いて、再び昨日と同じ正門前へ着いたのは 13:00 位だった。面会が始まるのは 14:00。さすがにまだ誰も客はいない。正門前には、門番が 1 人立っている。やはり強面で、しかも昨日の男とも違う人間だ。ユウルが今朝会った男達とも違う。
■ユウル To:ALL
さて…(きょろきょろ)とりあえず一番乗りみたいだね。
あ、また違う人が門番に立ってる。よっぽど人数がいるんだなあ。
あの人にチケット見せればいいのかな。時間早いけど、さっそくいってみる?

■リッキ To:ユウル&ALL
うん。並んで待ってた方がいいよね〜。
けど、すぐに入れる訳じゃないんだよね……(>_<;)
(門番を見て)何だか今日の人も、怖そうな人だぁ。

■ヴィトリス To:リッキ
とって喰う訳じゃないですから、大丈夫ですよ(^^
……犬と違って…

■アシスト To:ALL
とりあえず、並んで待っておかない?
どうせ時間まですることも無いけどさ(^^;

■ユウル To:ALL
そうだね。じゃあ、いってみるかな。

 ユウルは門番に近づいた。チケットを提示しながら礼儀正しく門番に声をかける。
■ユウル To:門番
すいません。今日、ゴリーエフ氏に面会を希望するものですが、受付はこちらでいいんですか?

■門番 To:ユウル
そうだ。中に入れるのは営業開始 10 分前からだ。ここで待っておけ。チケットはその時に受け取る。

 正門の隣あたりを指しながら指示した。ちらっと、ユウルの腰の剣に目が行く。
■門番 To:ユウル
中に入ったらボディーチェックをやる。武器は預からせてもらう

 昨日の門番よりわずかに丁寧だが、横柄なことに変わりはない。
 アシストは正門横に並んで待つフリをして、上空のシルヴァの視点に切り替える。そして、シルヴァを塔の高さまで降ろして、窓の奥を覗った。
 塔の最上階の部屋の奥のほうに、椅子に座った金髪の少女がいる。昨日見た家庭教師の女性が傍らに立つ。何やら話している。
■アシスト
(あのコがマルセリーナさんかな? もうちょっと近づいてみよう)

 シルヴァを塔に近づけて、やがて窓枠に止まらせる。
 部屋は思ったより広く、テーブルやイス、タンスや鏡台などの女性らしい家具の中にベッドもある。いずれも、優雅で美しい家具だ。
 まずは、彼女たちの会話が聞こえてきた。
■家庭教師 To:少女
では午後からは、語学のレッスンをいたしましょう。正確で美しい共通語を話すことはすべての基本です。それに加えて TPO に合った適切な語彙を選択できることが、社交界への第一歩ですよ。

■少女 To:家庭教師
はい……

 そこで、羽ばたく気配を察した家庭教師の女性が振り向いた。つられて少女もこちらを向く。母ゆずりの金髪に茶色の瞳、彼女はペンダントの中の肖像画と同じ顔をしていた。
■少女
キャ……ッ

 予期せず隼がいるのに驚いた少女が小さく悲鳴をあげた。家庭教師は様子を伺っている。
 シルヴァは飛び去るようすもなく、窓枠に止まって羽づくろいを始めた。家庭教師はそれを見て、手近な墨ツボを投げた。これがシルヴァに当たって、墨ツボは室内に落ちる。シルヴァにはかなりのダメージになった。その上に墨で真っ黒……
■アシスト
(あいだだだっ。……手加減無しだなぁ、こりゃ引いた方がいいかな)

 続いて文鎮を手に取った家庭教師を見て、少女が思わず声を上げる。
■少女
かわいそう……

 その隙に、シルヴァは飛び立った。文鎮の届かない、塔の上に退避する。塔の上は四角く平坦になっている。人が登ることを意図していないのか、柵も階段も入り口も何もないようだ。
■アシスト To:ALL(小声)
やっぱり搭の上にいるコがマルセリーナさんだったよ。
……傍にいた家庭教師には墨ツボなんて投げつけられたけど。
いつつ、ちょっとコブできたかも

■リッキ To:アシスト(小声)
すごぉい、ちゃんと見えるんだ〜。
シルヴァ、だいじょぶかなぁ?(心配)

■ユウル To:アシスト(小声)
マルセリーナ嬢は例の家庭教師の女性と勉強中なんだね。
偵察ご苦労様。…怪我してるみたいだけど、平気?

■アシスト To:ユウル&リッキ(小声)
ケガの方はなんとかね。
ちゃんといるってことが確認できただけでよしとするよ。

 14:00 が近くなるごとに、数人の面会希望者が集まってきた。無言で一行の後ろに並んでいく。冒険者 5 人の後ろに 3 人続き、14:00 近くには 8 名が並んでいる。
■ユウル To:今朝会ったおじさん
あ、どうもこんにちは〜。
今朝は色々と教えて下さってありがとうございました。

■おじさん To:ユウル
ああ、こりゃどうも。お嬢さん早いねぇ。もう並んでたの?時間前にこんなにたくさん人がいるなんて初めてだよ……

 自分の前に 7 人も並んでいるのを見て不安そうにしている。
■ユウル To:おじさん
いえ、私と後4人は一緒ですから、用件としては3件分じゃないですか?
私達はうまくいけばあっさりと終わる用事なんですけど、どうなるかはまだわかりませんね(^^ゞ
おじさんはいつも、何分くらい面会してます?

■おじさん To:ユウル
あぁ、そうなんだ。みんな若いのに大変だね。
そうだねぇ、用事によってまちまちだけど、今日は 5 分で終わるよ。完済して借用書を破棄してもらうだけだからね。でも、最長で 30 分かかったこともあるんだよ。その時は借用の条件が折り合わなくってねぇ。『よく考えてからまた来てください』って追い出されちゃったよ。まぁ、後の人のこともあるからあんまり長居しても申し訳ないけどね。

 お喋り好きのおじさんの相手をしているうちに、いつのまにか門が開いていた。



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