SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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銀の網亭 ビアトリスの部屋 |
筋力 5 の細腕で、何とか隣の彼女の部屋までがんばったヴィトリスが、ビアトリスをベッドに横たえる。修行中マーファ様の像を磨くのと、彼にとってどっちが緊張しただろう?
しばらく休んだのがよかったのか、ビアトリスはゆっくり目を開けて、一同を見て微笑んだ。
■ビアトリス To: ALL |
ごめんなさい、お世話をかけてしまって……。お話が途中でしたわね? |
じっと回復を待っていたユウルも一安心。
■ユウル To: ビアトリス |
よかった、もうお話しても大丈夫そうですね。 あの、よろしければ、ゴリーエフ氏とあなた方のご関係についてもう少しお聞きしてもいいですか? なぜ、娘さんはゴリーエフ氏のところに? |
■ビアトリス To:ユウル |
ええ……。ゴリーエフ様はとてもご親切な方で、娘を立派な貴婦人に育て上げると申し出てくださいましたの。私どもにも願っても無いお話で、それでお預けすることにしたのですわ。 |
■ユウル To:ビアトリス |
娘さん…マルセリーナさんはお幾つですか? お母さんから離れても、大丈夫な年齢と判断されたのですよね。 |
■ビアトリス To:ユウル |
ええ。あの子はもう 12 歳ですわ。物怖じしないしっかりした子ですのよ。 |
■カルソニック To:ビアトリス |
・・・・ほぉ。 まぁ良くある話・・っちゃ話やな。 |
■リッキ To:ビアトリス |
じゃ、えっと……マルセリーナちゃんも、喜んで行った…んだよね? 行く場所……その時に教えてもらえなかったの??マルセリーナちゃん、いつ頃からその人のところにいるの? |
■ビアトリス To:リッキ |
もう、半月と少しになりますわ。 マルセリーナは最初はわたくしのそばに居たいと言っておりました。でもわたくしは、ゴリーエフ様にお預けすることがあの子の幸せになると思いましたので…… その時はそうするのが一番だと思ったのです。あの子が立派な貴婦人になるまでは会わないつもりで。 それに、ゴリーエフ様は王都で大きなお商売をされているとのことでしたので、もしもの時はお訪ねすればすぐお会いできると思っていたの。 |
そこまで一気に話して、多少疲れたのか一瞬目を閉じた。力なくすこし微笑む。
■ビアトリス To:ALL |
それは正しかったのね。こうしてもうじきあの子に会えるのですもの…… でも、わたくしは間違っていたのです。あの子を手放すべきではなかった。そう思うようになって……。 |
■ユウル To:ビアトリス |
預けたことを後悔してる?娘さんに会って、連れ戻すおつもりなんですか? |
■ビアトリス To:ユウル |
分らなくなってしまったの。本当にあの子のためだったのかどうか…… 連れ戻すかどうかはまだ決めていません。ただ、ただもう一度、あの子と話をしなくてはいけないような気がして。 |
ユウルはちょっと苦しそうにビアトリスを見つめて、口を開く
■ユウル To:ビアトリス |
あの…ゴリーエフ氏は立派な商売人で、手紙の内容もこれだけ見ていれば紳士的にも見えますが、教育者や人徳者であるという噂は聞きません。 なのに最初に彼のもとに娘さんを預けようと判断されたことが少し納得できないんです。 ビアトリスさんは言葉づかいも丁寧で物腰も上品で、貴方が育てられても娘さんは十分立派な貴婦人になると思うんですけど… |
ユウルの問いかけを聞いて、ビアトリスも苦しそうに唇を噛んだ。
■ビアトリス To:ユウル |
……2 人一緒には生きていくことができなくなったのです。夫が亡くなって……。このままでは死ぬしかなかったの。 わたくしはそれでも良いのです。夫の後を追うだけだから。でもあの子は…… 将来のあるあの子をそんな目に遭わせてはいけないと。ゴリーエフ様はそうおっしゃって、マルセリーナを養女にと望まれたのです。 ユウルさんはご存知無いのね?あのお方は本当に良い方ですよ。 |
ビアトリスは、ゴリーエフのことを有徳の商人だと心から信じているようだ。
■リッキ To:ビアトリス |
大変だったんだぁ……ぐす。(涙目) ……ゴリーエフ…さんは、その前からずっと、ビアトリスさん達を助けてくれてたの? |
■ビアトリス To:リッキ |
いいえ、ゴリーエフ様とはそのとき初めてお会いしましたの。わたくし達の町を通られたのも初めてだとおっしゃっておいででしたわ。初対面のわたくし達にこんなにも親切にしてくださるなんて、本当に良い御方です。 |
■カルソニック To:ビアトリス |
では、『良い御方』と信じる方に預けた娘の心配を何でするんや? 俺は窮地に追い詰められた時は勘を頼りに生き延びた事が良くある・・・。それと同じやないんかぃ? |
■ビアトリス To:カルソニック |
わたくし…… わからなくなってしまいましたの。マルセリーナは、ゴリーエフ様の元できっと幸せに暮らしていけるに違いありませんわ。それは心配しておりません。 でも、わたくしの判断は正しかったのかしら。マルセリーナは……あの子は最後には納得してくれました。でも…… これはわたくしのわがままなのですわ。 |
■カルソニック To:ビアトリス、ALL |
戦災孤児として生きていくのと、人買いにさらわれてくのとどっちが楽やろな。 |
■アシスト To:カルソニック |
にーちゃん、もーちょっと言葉選んでよ(^^; |
■ユウル To:カルソニック |
話を聞いた感想にしてはきつい表現だね(^^ゞ 気持ちはわかるけど、ビアトリスさんの前だしもうちょっとひかえめに(笑 |
■リッキ To:ビアトリス |
こんなこと言うの、良くないかもしれないけど……いい噂を聞かないから、ちょっと心配なの〜…。 そのひと、お金が返せない人にはもう一度自分のところからお金を借りさせちゃうとか、借金のカタに子供を…買っちゃうとか、こわい噂ばっかりなんだもん…… 本当かどうか分かんないけど、火のないところに火はつかないっていうよね? |
間違ってます。
■コリス To:リッキ |
リッキさん、「火の無いところに煙は立たず」です(^^;; それに、ゴリーエフ氏に悪い噂があるからといって、マルセリーナさんが不幸だとは限りませんよ。 人の噂話ほど当てにならないものは無い、とも言いますし。 |
■リッキ To:コリス |
あう、煙だっけ??(^_^;)(赤くなる) ……うん、噂だもんね。会ってみなきゃわかんないよね。(どきどき) |
■ビアトリス To:リッキ |
リッキさんも実際にお会いになれば、きっとわかりましてよ。 |
みじんも疑っていないようだ。
■コリス To:ビアトリス&リッキ |
ええ、「自分で」確かめるのが一番ですからね。 |
と、両方に確かめるように言う。
その後ろには (そのとおりですね。) と頷くヴィトリスがいた。(発言するように!)
さて、とコリスはビアトリスに向き直る。
■コリス Toビアトリス |
先ほどの手紙をもう一度見せていただけませんか? |
■ビアトリス To:コリス |
え、ええ、どうぞ……? |
ビアトリスは、恐る恐るコリスに手紙を差し出した。
■コリス Toビアトリス |
ありがとうございます。 |
受け取ると、手紙の紙を調べ始める。
■コリス Toビアトリス |
ふーむ…、あの、失礼ですが、この手紙はこれだけですか? |
■ビアトリス To:コリス |
え?……ええ、そうですわ、それだけです。 |
早口で答えてうつむく。
■コリス To:ビアトリス |
……そうですか。 |
コリスは含むものを持ちながらもそう返したが、カルソニックはそれを許さなかった。
■カルソニック To:ビアトリス |
嘘ついたいかんで、ビアトリスはん(笑) |
■ビアトリス To:カルソニック |
そ、そんな…… |
■コリス |
(そんな、わざわざ…) |
カルソニックには、ビアトリスがウソをついていることが手に取るようにわかった。
■カルソニック To:ビアトリス |
少なくともこんな所で嘘ついてえぇとは絶対おもわへんがなぁ。 それとも、俺の単なる思い違いかぇ? ま、子を思う母の気持ちは自分にも嘘をつかせるってか? |
■ビアトリス To:カルソニック |
……嘘なんて、ついていませんわ…… |
でも、ちょっと声が震えている。顔も先程よりずっと青ざめている。
■リッキ |
??? |
リッキの視線はカルソニックとビアトリスを行ったり来たり。
■ユウル To:コリス |
私にももう一回、手紙見せてもらえる? |
■コリス To:ユウル |
あ、はい。 |
■アシスト To:コリス&ユウル |
オレにもちょっと見せて(。。) ちょっと気になることがあるんだけど……なんだか紙が短くない? 途中で切り取ったみたいにさ。 |
コリスはかすかにうなずいた。
■ユウル To:アシスト |
うん、確かに…。 |
ユウルは皆と同じように手紙の文面と紙を調べた。そしてまっすぐに真剣な眼差しでビアトリスの方を見つめる。
■ユウル To:ビアトリス |
ビアトリスさん。冒険者と依頼人というのは信頼関係が大事なんです。貴方が私たちを騙して危険な目にあわせようとしているとは思いません。 けれど、1つ嘘をつかれるとその他のお話すべてを疑わなくてはならなくなってしまいます。それほど冒険者は依頼に対して敏感になるものなんです。 無理強いしてこの手紙のすべてをお聞きする権利はないかもしれませんし、そこまで立ち入って欲しくないというなら、それもしかたありません。 ただ…依頼をしっかり果たすためにも、嘘はついて欲しくないんです。 私もこの手紙には前の部分があるように思えますが…いかがですか? |
■カルソニック To:ユウル |
俺達やってアホやない。バケモンとやって依頼人の頼みやったら命がけで闘う。 その依頼人が俺達の信頼をうらぎってちゃぁ話にならんな。 俺ぁおりるで、この依頼。 |
■ユウル To:カルソニック |
まあまあ、そう急いで答えを出さなくても(^^ゞ せっかくここまで話を聞いたんだし、ビアトリスさんもこっちがいいたいことはわかってくれたと思うし…返事を聞いてみようよ。 |
しばらく間がある。
■ビアトリス To:ALL |
よく、わかりましたわ…… 確かに、その手紙には、前の、部分が、あります。でも、そこに書かれていたことについては、申し上げることは、できません…… |
ようやくそれだけ搾り出すと、カルソニック、アシスト、ユウルに背を向けるようにうつむいてしまった。胸を押さえて苦しそうにしている。
■リッキ To:ビアトリス |
…。だいじょぶ〜? |
やっぱり背中をさすさす。心配そうにビアトリスの横顔を見ている。
■コリス |
(…やっぱり、結局分かりきった事をわざわざ蒸し返しただけじゃないですか…) |
■ヴィトリス To:ビアトリス |
大丈夫ですか?… |
■ヴィトリス To:ALL |
…ま、人間誰にでも言いたくないことはありますし、 ここで無理に問い詰める必要もないでしょう。 そのことにより、僕らが危険な場にさらされるのなら問題ありますけど… きっと大丈夫ですよ。 |
特に根拠のない発言ではある。
■ビアトリス To:ALL |
申し訳、ありません…… |
ビアトリスは全員に向かって頭を下げた。
■ユウル To:ビアトリス・カルソニック |
いえ、私もなんだかムキになってましたね(^^ゞ お体のことも省みず責めたててしまって申し訳ありません。 ヴィト君の言うとおり、いいたくないことってあるものですからね。 (カルソニックの方を振り向いて)…カルソニック、答えには満足した? |
■カルソニック To:ユウル、ビアトリス |
ま、弱いモン苛めは俺の性にあっとらんしね。 後でも良いからさっきの事を話てくれるかね? |
■ビアトリス To: カルソニック |
……どうしても、お話ししなくてはなりませんの? |
■カルソニック To:ビアトリス |
ま、話したくないってんならそれはそれでいいけどな。 |
ビアトリスは明らかにホッとしているように見える。
■コリス To:ビアトリス |
では、ゴリーエフ氏の家に案内すればよろしいのですね? |
■ビアトリス To:コリス |
ええ、お願いいたしますわ。 |
その時、ビアトリスの部屋のドアをノックする音が聞こえた。
■ビアトリス To:ドア |
お入り…… いえ、どうぞ? |
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