SW-PBM Scenario #82 | 目次 |
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銀の網亭 個室 |
その時再び、こんどは先ほどのおかみよりもっと控え目に、『コツコツ』と扉をノックする音が聞こえた。 部屋に居た何人かは辛うじて何かの物音がしたことに気がついた。
■ヴィトリス To:ALL |
おや?ノックの音ですかね? 誰か何かたのみました? |
■コリス To:ヴィトリス |
いえ、マスターが何かサービスで持ってきて下さったのでしょうか? |
ヴィトリスは真っ先に立ち上がって扉を開けた。 扉の外を確認すると、そこには見たことのない女性が立っていた。 身なりは貧しいが、どことなく気品のあるたたずまい、年の頃は 30 台半ばというところだろうか。 美しいが、やつれている上に病気なのかいくぶん顔色が優れない。
■女性 To:ヴィトリス |
あの……。あの、みなさまは冒険者という方々ですか? もしよろしければ、わたくしの娘を探していただきたいのです。 |
一気にそこまで言いきって、思いつめたようにヴィトリスの鳶色の瞳をじっと見つめる。 その女性の瞳は明るく澄んでいて、ヴィトリスがいつか見たマーファ神殿の女神像によく似ていた。
■ヴィトリス To:女性 |
え…え〜と……その… |
マーファ様似の美人に見つめられかなり動揺するヴィトリス。
ちなみにヒミツ情報によると、彼は『好みの異性のタイプは?』という質問に『神殿でみたマーファ様の像は美しかったな〜。』と答えたという。
■アシスト To:ヴィトリス |
ん? どうしたの、ヴィトのにーちゃん。 今度はおっちゃんが来た? |
言って、すぐに勘違いに気づいたらしい。
■アシスト To:ヴィトリス&ALL |
って、オレ達にお客さんみたいだね(^^; とりあえず中に入ってもらおうよ。話は皆で聞きたいし。 |
■ユウル To:アシスト&女性 |
そうだね、その方がいいな。 (女性の方を向いて)ええ、冒険者の集まりですよ。(にっこり) どうぞお入りください。 |
■ヴィトリス To:女性&アシスト、ユウル |
え?… あ…そうですね。 どうぞ。 |
エスコートして部屋の中へ招き入れる。が、顔は真っ赤。
ヴィトリスに導かれて部屋の中に入ってきた女性は、ゆっくりと一同を見まわした。 帯剣しているユウルや隼を従えたアシスト、エルフのリッキを見ても、動じるようすはないようだ。 そしてふと気が付いたように、スカートのすそをつまんで、軽く片ひざを折って礼をした。
■ビアトリス To:ALL |
名乗りもせず突然ごめんなさい。 わたくし、ビアトリス・ウィルマ……と、申します。 わたくしの娘、マルセリーナを探していただきたいのです。 |
■リッキ To:ビアトリス |
(わぁ、きれいなひとだぁ……でも…?)あ、あたし、リッキだよ。 |
■ユウル To:ビアトリス |
(優雅な物腰の人だなあ…) 丁寧なご挨拶ありがとうございます。 私はユウルです。このパーティのリーダーをさせてもらってます。(一礼) |
■コリス To :ビアトリス |
コリスと申します。 |
■ヴィトリス To :ビアトリス |
え〜と、、ヴィトリスです。 |
■カルソニック To:ビアトリス |
わしはカルソニックいう男や。長いからカルソ、カルとかでえぇで。 それにしても・・・娘さんがこの街で行方不明かや・・・。(周囲を見回して椅子が無い事に気がつき、自分の座っていた椅子を勧める。自身はドアの後ろに立つ)詳しい話を聞かせてくれんかい? |
■ビアトリス To:カルソニック |
ありがとう。 |
彼女は微笑んで礼を言い、カルソニックの勧めた椅子にゆっくりと腰かけた。 そして、ふところから大事そうに一通の手紙を取り出した。
■ビアトリス To: ALL |
娘はこちらにお世話になっているのです。ここに行けば会えるのですが…… |
その手紙にはこう書かれていた。
マルセリーナ御嬢様の御身柄は大切に御預かり致します。御母堂様に置かれましては御安心の上、心安らかに日々を御過ごし頂けますよう、心より御祈り申し上げます。
貴女の忠実な友
ゴリーエフ |
■コリス To: 心の声 |
(ゴリーエフ…、確か、高利貸しをしている人でしたかね…?、…ん?) |
■ユウル To:ビアトリス |
(…なんか、この手紙って…娘は貰った、もう諦めろって宣言してるような内容だなあ…この嫌な感じ、考えすぎだといいけど…) |
■リッキ To: ALL |
あれ……ゴリーエフって……? ビアトリスさん、この人とお友達なの〜? |
ゴリーエフという名を聞いて、オランに長く居る者はすぐに『高利貸しのゴリーエフ』を思い出した。 かなりアクドイやり口ばかり噂になって、あまりよい評判は聞かない男だ。 特にリッキはどこで仕入れた情報か、子供を借金のカタに買うなどすごーくよくない噂を耳にしている。 カルソニックも、盗賊ギルド関係で彼の名前を聞いたことがあった。 しかし、どういう話だったかは具体的には思い出せなかったようだ。
■ビアトリス To: リッキ |
……いえ、お友達ではありません。 彼はわたくしの、いえ、わたくし達母娘の恩人ですわ。 |
■リッキ To:ビアトリス |
……ふぅん、そうなんだぁ…… |
何か言いにくそうな表情をするリッキ。
■コリス To :ビアトリス |
その方のところに行けば会える、という事なら、わざわざ我々が探す必要など無いのではありませんか? |
■ビアトリス To: コリス |
わたくし、この方のお宅がどちらか存じませんの。昨日王都に着いたばかりで…… 昨夜からこちらの宿にお世話になっております。 |
■ユウル To:ビアトリス |
もしかして、長旅でお疲れなのですか? あまり顔色が優れないようですけど… |
■ビアトリス To:ユウル |
えぇ……。旅慣れないもので、お恥ずかしいかぎりですわ。 |
■リッキ To:ビアトリス&ALL |
んと……あたし、この人のお家知ってるよ? オランでは有名な氷菓子……じゃない、高利貸しだもん。 でも……あんまりいい噂聞かないから〜…… |
『でも』から後ろは、ビアトリスにはよく聞こえなかったらしい。
■ビアトリス To:リッキ |
まぁ、リッキさんはゴリーエフ様のお宅をご存知なのですね。昨日、親切な方に教えていただきましたの。人探しならば冒険者の方にお願いするのが一番ですって。本当にその通りでしたわ…… |
■カルソニック To:ALL |
・・・っつーか・・・。 そーゆー問題ちゃうと思うんやけど・・・。 |
■ヴィトリス To: ビアトリス&ALL |
じゃ、これで問題解決……な訳はないですよ…ね? |
■ビアトリス To:ヴィトリス、ALL |
まぁ、なぜですの? 早速、ゴリーエフ様のお宅に連れて行っていただけますか? |
はやる心を押さえきれず、ビアトリスは急に立ちあがった。しかし、その途端に調子が悪そうだった顔色がさらに青くなり、体はバランスを失って床に崩れ落ちる。
■コリス To:ビアトリス |
あっと、大丈夫ですか? 体の調子があまり良くないみたいですし、しばらく休んでからにしてはどうですか? |
■リッキ To:ビアトリス&ALL |
うん……コリスの言うとおりだよ〜。 顔が真っ青だよ? |
駆け寄ってしゃがみ込み、背中をさすさす。
さすさすして彼女の体に触れたひょうしに、リッキはわずかにサラマンダーの気配を感じた。 大病ではないみたいだけど……
■ビアトリス To:コリス、リッキ |
すみません…… も、もう大丈夫ですわ。 |
とても大丈夫には見えない。娘に会いたい一心がそう言わせているのだろう。
■リッキ To:ビアトリス |
(額に手を当てて)大丈夫じゃないよ〜…お熱があるよ。 |
■ユウル To:ビアトリス |
どうぞ、つかまってください。 少し、横になられた方がいいかもしれませんね。 |
ユウルはビアトリスを抱き起こして、身体を支えた。彼女の様子が少し落ち着くまで見守っている。
■ヴィトリス To:ユウル&ALL |
あ、手伝いますよ。 え〜と、ここじゃ休めそうにないですし、彼女の部屋に運んだ方がいいのかな? と。。。お。。おもい(←かなり失礼!) |
ビアトリスを抱き上げて、部屋に運ぼうと努力。その足取りはかなり頼りない。
■ユウル To:ヴィトリス、ALL |
そうだね、話の続きは彼女の部屋で…って大丈夫?手伝おうか?(^^ゞみんなももう少し彼女の話を聞く、でいいよね?反対の人はいる? |
■リッキ To:ユウル&ALL |
ビアトリスさんが良いなら、その方が良いと思うよ〜。 あ、あたしも手伝う〜。 |
手を差し伸べるが、筋力似たり寄ったりのリッキが手伝っても邪魔なだけだった。
大人しく後ろからついていくことにする。
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