SW-PBM #072 汎用ヒト型演劇人形 |
BACK | INDEX | NEXT |
■ |
陽は傾き、空の色が変わり始めた。
ロバルトの帰りは遅い。
待ち続けるフィアの昼食を抜いた腹が、空腹を訴え始める。
■タリア To:フィアルラ |
あの、 こほっ。 何か作ります……。 |
ベッドから起き上がろうとする。
■フィアルラ To:タリア |
あっ、いいですよ。大丈夫ですから、寝てて下さい。 |
外で足音がしたのはその時。
扉を開けて入って来たのは、銀の長髪という優男。
■ロバルト |
ただいま。 ん……。誰か来てるのか? |
■タリア To:ロバルト |
知り合いの人が来てるよ。 フィアルラさん。 |
■フィアルラ To:ロバルト |
あ、えっと……どうも。お邪魔してます。 |
ぺこりん。
■ロバルト To:フィアルラ |
ああ、どうも。 |
礼を返す。
■ロバルト To:フィアルラ |
フィアルラ……? ええと、フィアルラ・スゥ? |
■フィアルラ To:ロバルト |
えっ? はい、そうですけど……。 あの、どこかでお会いしましたっけ? |
■タリア |
? |
知り合いの会話に見えず、首を傾げるタリア。
■ロバルト To:フィアルラ |
以前、君の家で仕事があるという話があってね。 その時に名前を。 今日は、どうしてこんな所に? |
■フィアルラ To:ロバルト |
えと……知り合いのお付き合いでお邪魔したんですけど、何かその人は『もういい』って……。 それでその人は先に帰ったんですけど、私だけタリアちゃんが心配だったのでここに残らせてもらったんです。 |
■ロバルト To:フィアルラ |
そうか。 もういい……誰だろう。 タリアが迷惑を掛けたみたいだな。 |
■タリア To:ロバルト |
掛けてないよ〜。 今日は随分調子良いんだから。 |
■フィアルラ To:ロバルト |
ええ、とっても良いコでしたよ。 |
■ロバルト To:フィアルラ |
もう遅いし、帰った方がいい。 家の人も心配してるだろう。 |
■フィアルラ To:ロバルト |
そお……ですね。 それじゃ、お暇しようかな……。 ルビー、帰ろ。 |
床で寝転がっていたルビーを、抱き上げる。
■ルビー To:フィアルラ |
なぁお♪ |
潰れたゴキブリを咥え、上機嫌のルビー。
■フィアルラ To:ルビー |
………………(汗+目が点) うきゃあぁあっっっ!! やだっ、ルビーっ、捨てて捨ててっ! |
喉を鳴らすルビー。
フィアルラが大喜びしてくれて嬉しい。
――落ち着いた所で、改めて別れを告げる。
■ロバルト To:フィアルラ |
気を付けて。 |
■フィアルラ To:ロバルト |
はい。お邪魔さまでした。 |
見送られて外に。
間もなく日没という時間である。
ロバルトの家を出たフィアは、程近いマリーウェラーの店に寄る事にした。
まだ開いていた店に入る。今日二度目。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
あらあら。 大活躍のフィアちゃん。 お昼は大変だったわね、貧血で倒れちゃうなんて。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
貧血……そぉですね……(^^;) (私、別に貧血持ちじゃないんだけどな……) |
なんか思うところがあるらしいが、口答えすると怖そうなので黙っている。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
今度は、独りで食事に来てくれたのかしら?(^-^ |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、いえ、今はそんなにお腹空いてないので……(^^;) |
腹の虫は、先程から騒ぎ出していた。
口では嫌と言っても、身体は正直。
■フィアルラ |
………………(汗) |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
そうそう、今日あれから色々あったの。 |
大きな(3m近い)戦士を見たという。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
路地裏で喧嘩してたらしいんだけど、見に行くと終わってて。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
さんめーとる……ですかぁ? それ、ホントに人間なんでしょうか? ……そうだ、私今探し物をしてて。おっきな人形なんですけど。 |
羊皮紙を取り出し、マークに教わった人形の絵を描く。
元の絵が、ほぼ忠実に再現された。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
マリーさんが見たのって、こんなのじゃありませんでしたか? |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
……。 違うみたい。 あのね、フィアちゃん。絵の勉強はしてる? |
"いびつな四角に線と丸"という絵に、溜め息をつくマリー。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
(不満そうに) え〜? 教わった通りですよ? これ、随分そっくりに描けてるんですけど……。 |
目と口の辺りから延びる線も、忘れずに引いてある。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
ちょっと貸して。 ええと、こんな感じだったかしら。 |
フィアの絵の隣に、細かく写実的な絵が描かれる。
全身鎧を纏った八頭身の戦士画。
直感で繋げて考えるのも難しい程、似ていない。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
強そうなんだけど、負けてたわね。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
こんなに強そうなのに……? 相手はどんなのだったんです? |
メイドや羽根付き、虹色マントの娘に犬まで交えた10人近い集団であったと言う。
■フィアルラ |
虹色マント……でも、女の人……? ??? |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
そうそう。 大きな人形を探してるなら、いい店があるんだけど。 |
微笑みながら、メニューを出す。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
…………(T-T) じゃあ、ハムとタマゴのサンドイッチとホットカフェオレを……。 |
諦めたらしい(笑)
しばらく待つと、注文の品が来る。
お得な量で、値段は4ガメル。
カフェオレが甘過ぎたのを除けば、後は軽く甘いだけで味は普通に近い。
食事が進む中、話の続きが語られた。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
それでね。 腕のいい職人が、特別注文の人形を作ってくれる店があるの。 そこなら大きな人形の手掛かりが、何か得られるんじゃないかしら? 店の名前は――え〜と、 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
え〜と……? …………。 |
黙って答えを待っている。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
んーと。 えむ、えー、でぃー。 MAD人形工房、だったかしら。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
MAD……(^^;) あの、私そこからお仕事受けたんですよ……開発中の人形が盗まれたんで、探してくださいって。 |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
あらあら、知っていたの。 ふーん。開発中の人形……。 |
フィアの描いた絵を、もう一度興味深げに見る。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
お人形を盗むなんて、ギルドの仕事じゃないわよね。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
盗む人形にもよると思いますけどね……。 でもまあ、この人形をわざわざ盗みたがる人は居なさそうですね(笑) |
相槌を打つマリー。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
何だか、探索の役には立てなかったみたい。 |
拗ねた風に残念がる。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
まあ、こんな事もありますよ(^^) |
慰めてるつもり。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
落ち込まずに頑張ってね、フィアちゃん。 今、特別に珈琲入れて来てあげるから。 |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
あ、もぉさっきのサンドイッチでお腹できてますので……(^^;) みんなも待ってるだろうし、そろそろお暇しないと。 |
■マリーウェラー To:フィアルラ |
あら……。 それじゃあ、また今度ね(^^ |
■フィアルラ To:マリーウェラー |
はい、それじゃあ。 ……あ、そうだ。マリーさん、これはお返しします。 |
ミディを連れてきたお礼として渡された100ガメルを返そうとする。
■フィアルラ To:マリーウェラー |
私はミディちゃんをそんなつもりで連れてきた訳じゃなかったので、お金を渡されても困るんです。 お返ししますから、受け取ってください。 |
差し出された包みを、引き取るマリー。
■マリーウェラー To:フィアルラ |
本当に要らないの? お金。 フィアちゃん……、食事代は別で払ってね。 |
しっかり食事代を払わされ。
フィアはマリーの店を出て、銀の網亭に戻る事にした。
BACK | INDEX | NEXT |