SW-PBM #072 汎用ヒト型演劇人形 |
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家財道具は少ないが、掃除はされており調理道具もあった。
室内に干された女物の服が目に付く。
奥には、もう一つ部屋があるらしい。
■リュイ To:フィアルラ |
あとは待つだけや。 |
■? |
こほ……。 |
奥の部屋から、咳が聞こえた。
■リュイ To:フィアルラ |
何や? |
■フィアルラ To:リュイ |
見てきます。 |
ダガーを構えなおして、そっと部屋の奥へ。
壁の陰から顔を覗かせ、様子を伺う。
大きな窓の、薄いカーテン越しに射し込む光で明るい室内。
粗末なベッド上で、10代半ばと思われる女の子が寝ていた。
■女の子 |
こほっ、こほっ……。 |
苦しそうに続けて咳き込む。
シーツには、血のような赤い斑点が見えた。
■フィアルラ To:女の子 |
えっ!? あ、だ、大丈夫ですかっ? |
警戒するのも忘れて駆け寄る。
■女の子 |
こほ、 お兄ちゃん? |
目を開けてフィアを見る。
■女の子 To:フィアルラ |
──じゃない人。 あ。 お兄ちゃんの知り合いの人、ですか? |
顔を擦りながら、ゆっくりと身体を起こす。
■リュイ To:フィアルラ |
誰や? |
リュイが前の部屋から顔を覗かせた。
■フィアルラ To:女の子 |
え、えっと……? あ、私はフィアルラって言うんですケド。あなたのお名前は? それから、その『お兄さん』っていうのは誰のことです? ひょっとしたら、そのお兄さんっていう人が私たちが探してる人なのかも、です。 ……あ、慌てて喋らなくてもいいですから。苦しくならないように、ゆっくり。 |
ベッドの側によって、楽な姿勢になれるように手を貸す。
■女の子 To:フィアルラ |
んしょ。 初めまして。 私、タリアって言います。 |
胸を押さえながら自己紹介。
■タリア To:フィアルラ |
お兄ちゃ──ロバルトさんなら、まだ仕事に。 こほっ。 でも、日が暮れるまでには、戻って……。 |
口元に手をやり、咳を抑える。
■フィアルラ To:タリア |
あっ、大丈夫ですか? 水か何か、飲んだ方が良いのかな? |
何かして欲しいことがないか聞いてみる。すっかり保護者気取り。
■タリア To:フィアルラ |
そこに、薬があるので。 |
ベッド脇に、水差しと並んで丸薬の入った小瓶が置かれていた。
水差しと薬を取ってタリアに手渡す。
■フィアルラ To:タリア |
えと……失礼ですけど、何か病気……なのかな? |
自分の知識の中に当てはまるものがないか思い出そうとしてる。
■タリア To:フィアルラ |
風邪、こじらせちゃって……。 あ、そうだ。 聞きたいんですけど、お兄ちゃんは最近何の仕事してるんです? |
話題を逸らす。
■リュイ |
放火とか恐喝や。 |
蚊帳の外に置かれたリュイの呟き。
■フィアルラ To:リュイ |
ちょっ、リュイさんっ! |
慌ててリュイの口を塞ぐ。
■タリア |
あの? |
部屋の端までリュイを引っ張っていって、タリアに聞こえないように小声でこそこそ。
■フィアルラ To:リュイ |
リュイさん、私はロバルトさんて人がどんな人なのか詳しくは知りませんけど……。 あれだけロバルトさんに懐いてる子の前でああいう事を言うのは良くないと思います。 もうちょっと言動に気を付けても良いと思いますよ? |
■リュイ To:フィアルラ |
そやけど、帰って来たら捕まえるんや。 あの娘、その時まで騙してても可哀想やろ……。 |
■タリア To:ALL |
あの──。 お兄ちゃん、何かあったんですか? |
心配そうな顔。
■フィアルラ To:タリア |
あっ、な、何でもないんですよ。 |
慌てて誤魔化す。
■タリア |
……こほっ、こほっ。 ? |
■ルビー To:タリア |
にぃ。 |
ベッドの上に、ルビーが現れた。
仔猫に目を奪われるタリア。
■フィアルラ To:リュイ |
でも、だからって、そんな……。 何とかできないんですか? |
腕を組み、考えるリュイ。
(3秒経過)
考えがまとまる。
■リュイ To:フィアルラ |
そうやな。 この仕事、辞めや。 こういうのは苦手なんや。 |
あっさりした態度で決断を下す。
■フィアルラ To:リュイ |
……え? あ、いや、そう言ってくれるのは嬉しいんですけど……。 だいじょぶなんですか、そんな簡単にお仕事のこと決めちゃって? それにガルードさんの意見だって……。 |
■リュイ To:フィアルラ |
いつもの事や、気にする事やない(^^ 長居は無用や。帰ろか? |
ベッドの上では、タリアがルビーと戯れていた。
■ルビー To:タリア |
み、み。 |
■タリア To:ルビー |
えへへ(^-^ |
咳が止み、容体は落ち着いている。
■フィアルラ To:ルビー〜リュイ |
あぁあ、ルビーがぁ。 あんな嬉しそうに遊んでるのに、引き離して『帰る』なんて言えないぃ(泣) ……リュイさん、帰るんでしたらお先に良いですよ。 私はロバルトさんが帰ってくるまでタリアちゃんの面倒見てますから。 |
■リュイ To:フィアルラ |
そか。 リュイ達は依頼人の所に寄るつもりや。 |
リュイが部屋を出て行く。
■タリア To:フィアルラ |
連れの人、帰られたんです? |
ルビーを抱くタリア。
■フィアルラ To:タリア |
はい。 まだお仕事が残ってるので。 私はまだここに居られますから、良ければお話してましょうか? |
■タリア To:フィアルラ |
それじゃあ……。 フィアルラさんは、お兄ちゃんとどんな関係なんですか? |
■フィアルラ To:タリア |
え? う、あ、う〜(汗) (無関係……って言ったらさすがにまずいかな〜) ちょっとした知り合いで……まだお友達って言えるほどでもないんですケド。 |
■タリア To:フィアルラ |
知り合い以上、お友達未満? |
ふーん、と納得。
■タリア To:フィアルラ |
最近、お兄ちゃん、何の仕事してるんです?お兄ちゃん、絶対教えてくれないんです。 |
■フィアルラ To:タリア |
う、う〜ん。あんまり詳しく知らないんですけど。 タリアちゃんに変な心配を掛けたくないから、教えないんじゃないですか? そんなに危険な仕事もしてるはずはないと思いますよ(タリアちゃんが居るんだし……) だから、あんまり気にしなくても大丈夫。 |
■タリア To:フィアルラ |
ぅ〜っ。(不満顔) 教えてくれないから余計に気になって。 高いお薬を買える仕事って、なんなのかなぁ。 |
薬瓶に、視線を移す。
■タリア To:フィアルラ |
それで、今日はお兄ちゃんに何の用事で? |
■フィアルラ To:タリア |
えっと、私の直接の用事じゃないんです。 さっきのお姉さんの方がロバルトさんにご用事だったんですけど……なんか、もういいみたいですよ。 私はお付き合い(っていうか無理やり)しただけで。 |
■タリア To:フィアルラ |
何か隠してます。 |
口を尖らせ、じと目。
■タリア To:フィアルラ |
本当の事言ってくれないと、この子は返しません。 |
ルビーをしっかり抱き締める。
■フィアルラ To:タリア |
あうぅ〜(汗) べ、別に隠してるわけじゃなくて……単に答えられる事がないだけなんですよぉ。 って、それより、そんなに強く抱き締めたらルビーが苦しがってますよっ。 せめてもうちょっと優しく……。 それに、返してもらえないのも困ります〜。 |
■ルビー |
みっ、みっ、にいぃいぃぃ……。 |
なんか死にそうな声上げてたり。
■タリア To:ルビー |
あ、御免。 |
緩めた手から逃げ出すルビー。
そのまま、ベッドの下に消える。
■フィアルラ To:ルビー |
あっ、ルビー。 (ベッドの下を覗きながら)ほら、出ておいで〜。 |
手を伸ばしてみる。
■ルビー |
み゛っ! |
興奮したルビーに、指を引っ掛かれた。
■フィアルラ To:ルビー |
いたっ! もぉ、ルビぃ〜。 |
手を引っ込めて、引っ掻かれた指をくわえる。
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