SW-PBM #072
汎用ヒト型演劇人形

BACK INDEX NEXT

■ 
無人のテラスにたどり着くフィアとミディ。
そよぐ風がとても気持ち良い。

見下ろすと、街並みが遠くまで広がっていた。
■ミディ To:独り言
高い所から街を眺めるのは久しぶり……。

■フィアルラ To:ミディ
うわぁ……ホント、綺麗ですね。
いい景色……。

正面にファリス神殿、そして三角塔が見える。
■ミディ To:フィアルラ
ずっと昔、私の街にもこういう場所があって。
一日中見てた気がする。

少し視線を落とすと、城に隣接する国王広場。
テラスの下は池になっており、水鳥が休んでいた。
■フィアルラ To:ミディ
昔……ですか?
あの、それじゃ今は……。

恐る恐る聞いてみる。
■ミディ To:フィアルラ
今はもう。

首を横に振る。
■ミディ To:フィアルラ
大きな地震があって。

■フィアルラ To:ミディ
そう……だったんですか。
ごめんなさい。嫌な事を思い出させて……。

■ミディ To:フィアルラ
ううん。
過ぎた話。

フィアの方を向いて、無邪気に微笑む。
■ミディ To:フィアルラ
黄昏時まで眺めていると、いつも迎えが来るの。

■フィアルラ To:ミディ
ケイトさん……が?

■ミディ To:フィアルラ
うん。

ケイトが泣きながら探しに来て、大変でね(^^;

■フィアルラ To:ミディ
仲が良いんですね。

階下から、呼ぶ声が聞こえて来る。
■ケイトの声
ミディちゃん、どこ〜?
どこに行っちゃったの〜。
フィアルラさんもどこ〜?

今にも泣き出しそうな声。
■ミディ To:独り言
まずい。

■フィアルラ To:ミディ〜ケイト
まずいって……(^^;) せっかく探しに来てくれたのに。
ケイトさ〜ん、こっちですよ〜。

ケイトの声のするほうに返事をする。
■フィアルラの父親の声
上だ、この上から声が……。

■フィアルラ To:ひとり言
……って、え? お、お父さんも来てるの?(汗)

■ケイトの声
ミディちゃ〜ん。

■フィアルラ To:ひとり言
あわ、あわわ……隠れるトコ……隠れるトコっ。
ない〜(泣)

微妙にパニクってる。ダーツ取り出して構えたりして(危)
■ミディ To:フィアルラ
ど、どうした(汗)
今度は隠れなくても……相手は親ではないか。

■フィアルラ To:ミディ
親だからまずいんです〜。

フィアの背中に隠れるミディ。
程なくケイトが姿を見せる。
■ケイト To:フィアルラ
み、ミディちゃんが何処に行ったか知りません?

■フィアルラ To:ケイト
あ、ケイトさん。
ミディちゃんならここにいますよっ。

横にずれて背中に隠れたミディを見せる。
■ケイト To:ミディ
ミディちゃんっ。どうしてこんな所に。

ケイトに抱き締められるミディ。
■ミディ To:フィアルラ
う、うら……。

強い締め付けで声が出ない。
■ミディ
ぎっ……。

言葉が途切れ、首が力無く垂れる。
■フィアルラ To:ミディ
(ごめんなさいミディちゃんっ……)

その間にテラスの端まで移動して、少しでも時間を稼ぐフィア。
■父親の声
ふぃーあーるーらぁ〜〜。

階段の下から呻き声が聞こえた。
昇るのに苦労している様だ。
■フィアルラ To:ひとり言
ひいぃい〜(泣)

逃げ場を失って立ち往生。
ミディを見捨てるわけにもいかないし、ね。
姿を現した父親は、汗を拭って一息付く。
■父親 To:フィアルラ
待っていてくれたのか、フィアルラ。
やっぱりお前は、優しい娘だな。よしよし。
だけど、もうそろそろ"かくれんぼ"は卒業してくれ。

■フィアルラ To:父親
あはははは、そおですねぇ〜(汗)
追ってこなければ逃げもしないんですけど……。

無理な注文。
■父親 To:フィアルラ
そうだ、欲しがっていた本を全部揃えておいたぞ〜。
嬉しいだろう?
はは、フィアルラは昔から素直に喜んでくれない子だなぁ。

■フィアルラ To:父親
本……(^^;) 全部って、今度は何冊……?
もぉ置き場が無いと思うんですケド。
そのうち床が抜けちゃいますよ、お父さん。

これまでに『フィアのため』と称して購入された数百冊に及ぶ辞典、図鑑、研究書などの数々を思い出す。
■父親 To:フィアルラ
地下に書庫を設けたから、心配は要らないよ(^^
はは、フィアルラは昔から素直に喜んでくれない子だなぁ。

■フィアルラ To:父親
ははは……は。
ありがとぉございます、お父さん……。

■父親 To:フィアルラ
改めて礼を言われると父さん照れるぞ(^^;

頭を掻く父。
■父親 To:フィアルラ
父さんの仕事も一段落した所だし、今から一緒に帰ろう。
そうそう。まだ早いとは思うが、縁談の話が来たとかで母さん自分の事みたいに舞い上がってたぞ。

■フィアルラ To:父親
ゑ゛……?
え、えんだんっ!?
早いです、まだ早いです、絶対早いです、早すぎですっ!!(////)

必死で拒否。
■父親 To:フィアルラ
そうだろう、そうだろう。
まだ早過ぎるんだ。

■フィアルラ To:父親
そ、それに……私には……ちゃんと…… 好きな人が、いますから……。

顔真っ赤に染めてもぢもぢ。
想い人は虹色マントのあの人……?
■父親 To:フィアルラ
ちゃんと?

……そうか、人生設計に悩む年頃か。
全部父さんに任せなさい、フィアルラは何も心配要らないよ(^^

■フィアルラ To:父親
いえ、あの、その……。
そぉ言われても困ってしまいます……。

■父親 To:フィアルラ
ははは。素直に喜んでもいいんだよ(^^

フィアの肩に手を置いて、帰宅を促す。
ケイトも、ミディを背負って撤収準備を整えた。
■フィアルラ To:父親
えーっと、うーっと、あうーっ……(汗)
そ、そだ。
お父さん、その子、ミディちゃんって言うんですけど、仲の良いお友達で今までずっと一緒にいて。
それが、ここに来たら急に体調が悪くなっちゃったみたいで……。
今はケイトさんがああして居てくれてますけど、私も心配だから出来れば付いて行って看病してあげたいの。
だから、今一緒に家に帰るのは許して欲しいんです。

意識の無いミディを示して適当なことをでっち上げる。
何が何でも家に帰りたくは無いらしい。
■父親 To:フィアルラ
お友達?

具合が悪いと聞いて、心配そうな顔。
■父親 To:フィアルラ
見た所、疲れて眠っているのかと思っていたが……。
家は近いのか?

■フィアルラ To:父
いい、家っ? 家、家は……どうなんでしたっけ、ケイトさん?

慌てて尋ねる。
■ケイト To:フィアルラ&父親
ここからなら、フィアルラさんの家とは反対の方ですね。
距離は同じくらいでしょう。

落ち着いて答える。
■父親 To:フィアルラ
そうか。
それなら父さんは家に帰るが、お前は看病に付いて行っていいぞ。

■フィアルラ To:父
は、はいっ。
ミディちゃんが良くなったらそのうちにきっと帰りますから。

■父親 To:フィアルラ
あまり迷惑は掛けないようにな。

■ケイト To:父親
それでは、お嬢様をお預かりしますね。
ミディちゃんも喜ぶでしょう。

全員揃って、階段を下りる。

BACK INDEX NEXT

シナリオ編集:倉沢真琴 kushida@terra.dti.ne.jp