SW-PBM #072 汎用ヒト型演劇人形 |
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ざらついた何かが頬を舐める感触で意識が戻る。
見知らぬ豪華な内装の部屋。その中に置かれたベッドの上。
自分の荷物が、部屋の隅に見える。
身体の不調は治まっていた。
■フィアルラ To:ルビー |
ん……ルビー? |
■ルビー To:フィア |
みぅ。 |
■フィアルラ To:ルビー |
ありがと、大丈夫だから……。 |
ルビーを抱き上げ、ざっと部屋を見渡す。
■フィアルラ To:ひとり言 |
ここ……何処だろ? ミディちゃんとケイトさんは? |
二人の姿や荷物は無かった。
薄いカーテン越しに見える陽はまだ十分に高い。
■フィアルラ |
…………。 |
部屋に怪しい所が無いか一通り調べた後、一つしかない扉に近付きおもむろにノック(笑)
■フィアルラ To:扉の向こう |
すいませぇん、誰かいますか〜? |
■? To:フィアルラ |
いるよ。 聞くけど、何に謝ってるのかな? |
やや高い声。声の位置は少し低い。
■フィアルラ To:? |
えっ? いえ、あの、これは謝ってるわけじゃなくて、その何と言うか、物を尋ねるときの当然の礼儀というか、話すときに自然に口を突いて出ちゃう言葉で、だから謝ってるように聞こえる言葉なんですけど本当は別に謝ってるわけじゃなくて、ああでも『人に物を尋ねるときはまず頭を下げなさい』ってお母さんに教わってるからひょっとしたら謝ってるのかもしれなくて……。あうあうあう(汗々) |
説明しようとしてるけど上手くいかなくて取り乱してる様子。
■? To:フィアルラ |
話、長くなる? 最後の「あうあうあう」は面白いけど。 |
■フィアルラ To:? |
ご、ごめんなさい。なんか上手く説明できないです。 |
ドア越しに頭を下げる。(相手には分からんと思うぞ)
おまけに扉の向こうの相手が誰なのか、慌ててすっかり失念中。
扉が外に開いた。
■少年 To:フィアルラ |
本当に頭下げてるんだ。 お姉さん、楽しいね。 |
顔を上げると、左眼を閉じた13,4歳の少年が立っていた。
明るい栗色の髪を指でもて遊んでいる。
■フィアルラ To:少年 |
変ですか? |
■少年 To:フィアルラ |
変じゃないの? |
■フィアルラ To:少年 |
そぉかぁ、変なのかぁ……。 |
なんか納得してる。
■少年 To:フィアルラ |
食事は食べたのかな? 運ばれてたと思うけど。 |
■フィアルラ To:少年 |
いえ、まだ。お食事ってあれですよ……ね……。 |
ふっと振り返ってテーブルを見ると、いつの間にやらルビーがいる。
自分に食べられるものが無いか物色しているようである。
■フィアルラ To:ルビー |
こらあっ、ルビー! お行儀が悪いですよっ。 |
■少年 To:フィアルラ |
言っても無駄じゃないかな? |
■フィアルラ To:少年 |
いーえっ、ルビーは聞き分けの良いコです。 私がちゃんと言えば聞いてくれるはずですっ。 |
当のルビー、全然聞いてなかったりするカモ。
■シングル To:フィアルラ |
……。(動きを止めないルビーを見ている) この家のストロの方が賢いね。 |
ペット自慢?
■フィアルラ To:ルビー |
ううぅ、ルビぃぃ〜。 |
■少年 To:フィアルラ |
そういえば、名乗って無かったね。 自分の事はシングルと呼んでくれればいいよ、フィアルラお姉さん。 |
■フィアルラ To:シングル |
シングルさん、ですか。はい、よろしくお願いします。 |
ぺこり。
■シングル To:フィアルラ |
食事が済んだら屋敷の中を案内するよ。 |
■フィアルラ To:シングル |
お屋敷……。 そういえば、ここって何処なんですか? |
■シングル To:フィアルラ |
常闇通りの少し西かな。 トランドさんのお屋敷だよ。 |
■フィアルラ To:シングル |
トランドさん……うーん、あんまり良く覚えてないなぁ。 |
■シングル To:フィアルラ |
表に出ない人だからね。 |
意識を失っている間に、ミディとケイトもここに連れられて来たらしい。
屋敷の中を案内するという話であったが……。
■シングル To:フィアルラ |
先に寄る所があるんだ。 ストロに餌をあげないとね。 君も着いて来る? |
■フィアルラ To:シングル |
あ、はい。一緒に行きます。 ほら、ルビーもおいで。 |
ルビーを抱き上げて後を追う。
シングルは階段を下りて地下階に向かった。
何かが入った桶を途中で拾い、ランタンに火を灯して進む。
肌寒い空気の中、暗い廊下の先から獣の唸り声が聞こえて来た。
■シングル To:独り言 |
随分お腹を空かせてるなぁ。 餌が来たのが判るんだね。 |
■フィアルラ To:シングル |
なんか……すっごい大きい動物みたいですね……。 |
見るのが怖い。
■シングル To:フィアルラ |
大人しい奴だから安心だよ。 |
奥に進むと、歪んで壊れた鉄格子の檻があった。
廊下の少し先で巨大な影が動く。
■フィアルラ To:シングル |
ひえぇ……(汗) あ、あの、この動物一体何者なんですか? |
思わず胸元のルビーをぎゅっと抱きしめる。
■ルビー |
み゛ |
■シングル To:フィアルラ |
こいつがストロだよ。 また檻を壊してるな。 |
ストロと呼ばれた獣は、巨体にそぐわない俊敏な動きでフィアの前に。
■シングル To:独り言 |
そういえば、ストロは赤い物が好きだったっけ。 |
桜色のワンピースが気を引いたらしい。
■フィアルラ To:シングル |
え゛(汗) あ、あの〜……まさか餌って……。 |
■シングル To:フィアルラ |
餌はこれなんだけど。 |
持って来た桶を置く。
■シングル To:フィアルラ |
ストロが初対面の人に懐くなんて珍しいな。 |
獣は喉を鳴らして抱き付いて来た。
■フィアルラ To:ストロ |
うひいいぃ〜(泣) |
されるがままのフィア。顔中をざらついた舌で舐められる。
……少し魚臭い。
とにかく、ルビーだけは守り通す。
■シングル To:フィアルラ |
そんなに喜ばなくてもいいのに。 |
しばらく傍観のシングル。
■フィアルラ To:シングル |
よ、喜んでるように見えるんですか……(泣笑) |
何も言えない。
やがて、フィアをしゃぶり尽くしたストロは桶の食事に移った。
■シングル To:フィアルラ |
楽しそうだったね。 良かったら、もっと遊んでいてもいいけど? |
■フィアルラ To:シングル |
いえ、結構です(^^;) それより、後で顔洗わせてもらえますか? |
■シングル To:フィアルラ |
謙虚だね、お姉さんは。 上がったら、洗える所に案内するよ。 ……魚臭いし。 |
■フィアルラ To:シングル |
は、は、は……。 |
階段を上がった後、顔を洗える水場に案内される。
■シングル To:フィアルラ |
そうそう。 君達が彼女を連れて来てくれて、トランドさんもとても喜んでたよ。 そろそろ終わった頃だし、直接会って話をして行くかい? |
顔を洗う手を止めて、シングルを見つめる。
■フィアルラ To:シングル |
彼女って……ミディちゃんとケイトさんのことですか!? ここに居るんですね? 会わせてください! 大丈夫なんですか、二人とも? 二人に非道い事、してませんよね!? お願いです、何もしてないって言って下さい!! |
掴み掛かりそうな勢い。
■シングル To:フィアルラ |
呼んでおいて何もしない事は無いよ。 ……楽しんでるんじゃないかな。 |
髪を触りながら、平然とした顔で答える。
■フィアルラ To:シングル |
たたた楽しんでる!? たの……っ(////) |
なんか想像してる。
■シングル To:フィアルラ |
それじゃ、部屋まで案内するよ。 |
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