SW-PBM #072 汎用ヒト型演劇人形 |
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鍋を抱え、マーファ神殿を目指すヴィトリス。
届ける制限時間には、まだ随分と余裕がある。
■少女の声 |
誰か助けて──。 |
丘になっている公園の脇を歩いていると、助けを呼ぶ声が聞こえた。
犬の吼え声が悲鳴に被る。
■ヴィトリス |
??? なにやら助けを呼ぶ声が……。 え〜と? こっちかな? とりあえず声の聞こえた方に行ってみましょう。 |
公園の奥、茂った木々の向こうに向かう。
茂みを抜けると、木に登った少女(ヴィトと同年代)に向かって一匹の野犬が吠えていた。
■野犬 To:少女 |
ガゥッ! |
■少女 To:野犬 |
い、いや。 ごめんなさーい(T-T) |
泣きながら犬に謝る少女。
■野犬 To:ヴィトリス |
ウ〜。 |
ヴィトの存在に気付く。
■ヴィトリス To:野犬&少女(主に野犬) |
どうしたんですか? 何をそんなに怒っているのです? 僕は貴方の敵ではないですよ。 |
あくまで落ち着いたトーンで言いながらも野犬の動きに警戒。
野犬は、ヴィトが動かないので少女の方に気を向け直す。
■野犬 To:少女 |
バウ〜ゥッ。 |
視線で助けを求める少女。
■ヴィトリス To:野犬 |
え〜と……困りましたね……。 とりあえず落ち着いてはもらえないですかね? ………。 |
犬は話を聞いてくれなかった。
少女が登った木の周りを歩き回る。
■ヴィトリス To:少女 |
え〜と…貴方もこの犬を怒らすようなことを何かしたんですか? |
■少女 To:ヴィトリス |
お腹、空かしてた、から。 |
涙を堪え、途切れ途切れの言葉を紡ぐ。
■少女 To:ヴィトリス |
持ってた、クッキー、あげたの。 |
その結果がこれらしい。
■ヴィトリス To:少女 |
…なるほど……。 じゃ、この犬はもっとクッキーが欲しいのかな? もう、そのクッキーないですよね。 |
頷く少女。
■ヴィトリス To:少女 |
どうすれば良いか考えてみますので、もうちょっと我慢できますか? |
■少女 To:ヴィトリス |
は、はい……。 |
■ヴィトリス To:野犬 |
え〜と、さっきから無視はひどいじゃないですか…。 今は手持ちが何も無いですが、今からお前に何かくれそ〜なところに行くのでついてくると良いですよ。 さ、落ち着いてこちらに来てください。 |
あきらめずに呼んでみると、
■野犬 To:ヴィトリス |
ワウッ。 |
トコトコと近寄って来る。
■少女 To:ヴィトリス |
わぁ、凄い。 |
■ヴィトリス To:野犬 |
いい子ですね。 頼みますのでおとなしくして下さいね。 さて、これから良いところに一緒に行きたいのですが、 お前を野放しに連れて歩く訳にも行かないんですことを分かってくれますかね。 分かってくれるのでしたら、もしよければお前の首に軽く紐でもくくっときたいんですが、 よろしいですか? |
恐る恐る触れようと手を伸ばすが、避けられる。
気高い犬だ。
■ヴィトリス To:野犬 |
はぁ…しょうがないですね。 お前を信用しましょう。おとなしくついてくるんですよ。 |
■野犬 To:ヴィトリス |
ゥ──ッ。 |
■少女 To:ヴィトリス |
あの、とても助かりました。 それでは。 |
素早く木から──滑って落ちる少女。
立ち直ると、ぺこりと頭を下げて木々の中に姿を消した。
■ヴィトリス To:少女 |
え? あ…あの……え〜と…。 お気をつけて…。 |
ちょっと呆然。
■ヴィトリス To:野犬 |
行きましょうか? |
■野犬 To:ヴィトリス |
バゥ。 |
ヴィトリスの後ろを付いてくる。
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