SW-PBM #070
人形屋敷の奥方

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■地下墓地 
■シーアン To:ルタード、バジル
 あっちの人影はどうするよ?
向かってこられたらやばそうだけど、奴が言ってた言葉、気になるよな。
 ・・・人形が叫んだのもあいつと関係があるようだし。

■バジル To:シーアン
ああ、「酒」って言葉ね。

■ルタード To:シーアン、バジル
もう一度話しかけてみましょうか? わしらの言葉が通じているのか、いまひとつはっきりしませんけども。

青白い人影のほうに向き直ると
■ルタード To:人影
ええと、そこの――方。ちょっと話を聞きたいのじゃが。

■バジル To:人影
(精霊語)
もしもし、そこの人〜
何うろうろしてるんですか〜?

■シーアン To:人影
 シカトこいてんじゃねーぞ、ボケーっ!
てめぇの酒なんざ、俺が知るかっ!

三人が人影に声をかけると、突然ピタリと立ち止まった。
そして・・・
■人影
うおぉぉぉぉぉ!!
酒ぇぇぇぇー!

と独り言のように叫ぶ。
そしてまたフラフラと歩き出し、ブツブツ呟いている。

それに耳を傾けると「俺のジョッキ」が何とかと呟いているようだ。

■シーアン To:バジル、ルタード
今度はジョッキか・・・。知らねっつーんだよな。
俺の食器セットは部屋だしよぉ。
ルタードは持ってないのか?

■ルタード To:シーアン
わしも持ち歩いてはおりませんな。
ちなみに、酒のほうもありませぬ。ドワーフのくせに面目ないことですが……。

それにしても、うろうろ歩き回ったり、急に大声出したり、正気の沙汰ではありませんな。まあ、亡霊に正気も何もあったものではないのかも知れませんけども。

■バジル To:シーアン
その人、墓場のどこかにジョッキを落としたのかな?

バジルが辺りを探すと、ボロボロになった背負い袋を三つ見つけた。
これは冒険者がよく使う代物だろう。
■バジル To:シーアン&ルタード
あ!見て、こんなところに背負い袋があるよ。
ひとつ……二つ……あ、もう一個あるから、全部で三つだね。

バジルが袋を拾い上げて、中身を順番に調べていく。

どれも冒険者の持ち物らしく、(中には裁縫セット等もあったりしたが)基本的には自分達が持っているような物が入っていた。
そしてその中に、銀製の大きなジョッキを発見した。

■バジル To:シーアン&ルタード
あったよ、ジョッキ!
ほら

と二人にそれを見せる。
■ルタード To:バジル
なかなか立派な酒杯じゃのう。

■バジル To:シーアン&ルタード
彼に見せてみようよ
いいよね?

二人はそろって、こくっと頷く。
■バジル To:人影
貴方の落としたのは、この銀のジョッキですか?

バジルの持つ銀製のジョッキを見ると
■人影
おぉぉぉぉぉ!!俺のジョッキ!?

ちっくしょう〜。死ぬ前にもう一度、このジョッキで冷てぇエールをぐいっと一杯いきたかったぜ・・・。


先程までの無表情に近かった彼の顔に、穏やかな感じがでてきた。
■バジル To:人影
うわぁ、びっくりしたなーもー
急に大きな声出さないでよ〜

■人影 To:ALL
なぁ・・・、あんたら酒を持ってねぇか?

■シーアン To:人影
(会話・・・出来るようになったのか?)
こ、ここには無いけど、屋敷に戻れば多分あるぞ。

”無い”と言ったらキレてしまうのではないかと、警戒してしまう。
が、その心配は無用だったようだ。
■シーアン To:人影
なぁ、あんた。どうしてこんな所にいるんだ?
あんたもあのメイドに騙されたのか?

■人影 To:ALL
そうか・・・、そいつは残念だな・・。

俺か?俺と後二人仲間は屋敷の主人に一杯食わされたのさ。
仕事で雇われて、とっつかまってっちまったんだ・・・。


■シーアン To:人影
あんた―――じゃ不便だな(^^;名前は?
俺はシーアンってんだ。こっちはバジルにルタードな。
(死んだ人間に自己紹介なんて、なんか変な感じだな・・・)

■ロジャー(幽霊) To:ALL
俺の名前か?
確かロジャーだったな・・・。

■バジル To:人影
よろしく、ロジャー

■ロジャー(幽霊) To:ALL
死んでから「よろしく」ってのも変だが、よろしくな。

■ルタード To:ロジャー(幽霊)
わしは立場的に、そなたのような存在と親しくなるのは色々問題なんじゃが、まあ、寛大なブラキ神さまは許して下さるじゃろう(笑)。……よろしくの。

■ロジャー(幽霊) To:ALL
あんたもブラキの神官戦士かい?
奇遇だな俺もブラキ神に仕える神官戦士だったよ。駆け出しだったがね。

■ルタード To:ロジャー(幽霊)
ほう、同胞以外のブラキ神の神官戦士と出会えるとは、まさに奇遇じゃな。
できれば生前に会いたかったの、言っても詮無いことじゃが。

■シーアン To:ロジャー
 ロジャーはカテリーナに雇われた冒険者なんだな?
で、エレに”変な声が聞こえる”と言われて、地下墓地に入った所で閉じ込められたのか?(だとしたら、俺達の末路も・・・餓死か(^^;?)

■ロジャー(幽霊) To:ALL
いや、夜中の見回り中に魔法か何かで眠らされたと思う。
ここに閉じ込められたのは、俺の肉体を返されてからだったよ。

■バジル To:人影
肉体を返された?返されたって事は一度、取られたって事?
ね、ね、もう少し詳しく話してくれない?

■ロジャー(幽霊) To:ALL
あぁ、肉体を一度奪われちまったんだ。
そして人形に精神を封じ込められてたが、俺の肉体が老けちまったらご丁寧にわざわざ戻してくれたのさ。
その代わりここで餓死させられたがな・・・。

■シーアン To:ロジャー(幽霊)、バジル、ルタード
は?
えっと・・・精神を人形に閉じ込められたって???
抜け殻・・・肉体はその間どうしてたんだ???(生きていられるものなのか?)
いや、その前に・・・何の為にそんなことを?

■ロジャー(幽霊) To:ALL
俺もよく分からん。
だが俺やメリーナ達の肉体をそいつが使っていた所から、最初っから目的は「若い肉体」だったのかもな。
そもそも依頼書の「若い方限定」ってのも妙な話しだと、気をつけておくべきだったよ。
おかげでこの様だ・・・。

■ルタード To:バジル
ということは、わしらをここに閉じこめたのも、エレどのの肉体を借りた何者かというわけか。

ロジャーは信用出来そうだと判断すると、シーアンは人形を見せる事にした。
■シーアン To:ロジャー(幽霊)、バジル、ルタード
この人形も誰かが閉じ込められてるってことだよな、多分。
どうしたら開放してあげられるんだ?
そしてこいつは、誰・・・なんだ(^^;?

■ルタード To:シーアン
あるいは、本当のカテリーナどのかも……。

人形は何の反応も示さない。
■ロジャー(幽霊) To:ALL
その可能性はあるかもな。

■シーアン To:ロジャー
 ・・・こっちの女性二人の遺体は誰だかわかるか?
あと、こっちの男性は・・・ロジャーか?

■ロジャー(幽霊) To:ALL
その二人は仲間だったメリーナとヒルダのだ。
あぁ、それが俺のやつだよ。
そっちの壁際の奴は知らん。俺が閉じ込められた時から、確かあったな。

■シーアン To:ロジャー(幽霊)
そうか、冒険者仲間か・・・(俺の勘ってはずれまくりだな(^^;)。
それにしても餓死か・・・辛かったろうな。
元に戻してあげられたらいいのによぉ・・・。

■ロジャー(幽霊) To:ALL
それは無理な話だろ、既に死んじまったしな・・・。

ほら、あれを見てみな。可哀相にメリーナとヒルダも死にきれないらしい。


と彼が指差した方向、入り口の閉ざされた鉄扉の前に”ボーッ”と人影が二つ浮かび上がっていた。
そして微かにカリカリッ、カリカリッと聞こえてくる。
■ロジャー(幽霊) To:ALL
死んでからもあぁして、扉を開けようと掻きむしってるのさ
。可哀相に・・・死んだ俺じゃどうする事もできん。
あんたらで何とかできんか?

■ルタード To:ロジャー(幽霊)
魂を救うことは、力不足ゆえにわしにはできぬ。
ただ、存在の消滅を受け容れるというのであれば、それと引き替えでの苦しみからの解放には手助けできるかも知れない。
もっとも、わしらがここから無事出ることができたらの話じゃがの。

■ロジャー(幽霊) To:ALL
・・・・・・・・・・・・・・・そうか、残念だな。

■ルタード To:ロジャー(幽霊)
いや、決してあきらめてはならぬぞ。ブラキの神官はねばり強くなくてはの。

■ロジャー(幽霊) To:ルタード
・・・そうだな。俺もあんたらを見習うとしよう。

■??? To:ALL
・・・・・ごめんなさい。本当に申し訳無いわ。

突然、か細い女性の声が何処からともなく聞こえてきた。ひょっとして・・・・人形からだろうか?
■シーアン To:みんな
こ、これこれっ!またしゃべったっ!
みんなも聞いたよな?!

シーアンは人形を差し出し、再びみんなにそれを見せる。
■バジル To:人形
今しゃべったのは君?
それとも墓場の中にまだ他に幽霊が居るの?

■ルタード To:バジル
バジルどの、さっき確かめたじゃろう。人形はしゃべらんて。

■バジル To:ルタード
だって……

■人形? To:ALL
えぇ、そうです。
今は人形なのです

とシーアンの手に握られている人形が喋った。
■ルタード
……しゃべったの。いやはや、どうなっとるんじゃ……?

■バジル To:人形?
やっぱりさっきの声は君だったんだね。
あなたは誰なの?

■カテリーナ(人形) To:ALL
私はカテリーナ、この屋敷の主人です。

■シーアン
 やっと依頼人登場かよ〜(^^;

■バジル To:人形?
さっき、ごめんなさいって言ってたけど、どうしてあなたがあやまるの?
悪いのはエレか、もしくは今、エレを乗っ取っている奴でしょ?

■カテリーナ(人形) To:ALL
いいえ、あれはエレではありません。エレは今頃、人形にされて何処かに捕まっているはずですから。
それに元をただせば、私が彼女を信用してこの屋敷に招き入れたのがいけなかったのです。
その為に、こうして他の方まで巻込んでしまって・・・。
本当に何と言ってお詫びすれば良いのか・・。

■シーアン To:カテリーナ(人形)、ルタード、バジル
 いや、もうさぁ。詫びなんていいから、これからどうすればいいか一緒に考えてくれよ(^^;。
 あんた・・カテリーナさんは体を乗っ取られてて、俺達はここへ閉じ込められてて、仲間は事情を知らずに外にいて―――
!!! おい、アイシャがやばくないか?そいつ、アイシャやミュンの体も乗っ取るつもりなんじゃ・・・こんなとこでモタモタしてらんねぇぞっ!

■カテリーナ(人形) To:ALL
落ち着いて下さい!
彼女、フェイという女性がとても恐ろしい人です。
ホークが言うには魔法を操り、魂を自由に入れ替えるそうです。
今は貴方達をここに閉じ込めたので、油断をしているかもしれません。
ですから焦らないで、落ち着いて何か手を考えてみましょう。

■シーアン To:カテリーナ
フェイってのは一体なんなんだ?

■カテリーナ(人形) To:ALL
今エレの肉体を乗っ取っている方です。
この屋敷に初めて訪れた時は年老いたお婆さんでしたけど・・・。

■ルタード To:カテリーナ(人形)
ホークとは、いったい誰のことですかの?

■カテリーナ(人形) To:ALL
あの、私の他に屋敷で道化師の人形を見かけませんでしたか?
その人形はホークという知人で、彼もまた肉体を奪われてしまったのです。
何とか二人で逃げたして隠れていたのですが、彼が言うには腕の良い冒険者。
特に精霊使いがいれば、どうにかなるかもしれないと言っていましたわ。
彼に会えたら、きっと良い手が・・・。

■ルタード To:みんな
わしらは腕の良い冒険者。おまけに優れた精霊使いが2人もおる。
となれば、あと必要なのは、ここからどうにか脱出して、ホークどのとやらの魂を宿した人形から話を聞くことだけじゃな。

■バジル To:人形
僕達、道化師の人形は見かけなかったんだ。
でも、まだこのお屋敷の中にあるなら、在り処に心当たりが無くも無いよ。ここで探してない場所はカテリーナさんのお部屋だけだからね。

■カテリーナ(人形) To:ALL
そうですか。よろしくお願い致しますね。

■ロジャー(幽霊) To:ALL
頑張ってくれよ。あんたらに期待してるぜ。

■シーアン To:ロジャー
まかせとけ。もうすぐ美味い酒を飲ませてやるぜっ。

そして三人はこの閉ざされた地下墓地からの脱出を図る・・・。

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シナリオ編集:倉沢真琴 kushida@terra.dti.ne.jp