SW-PBM #070 人形屋敷の奥方 |
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■オズマルガン邸 |
アイシャとミュンが屋敷に戻ってくる頃には、陽は西に傾き、森も段々と薄暗くなってきていた。
丁度屋敷は夕陽に照らされ、外観をオレンジ色に染め上げている。
そう言えば、森から帰ってくる時は遠くに鳥の鳴き声が聞こえていたが・・。
屋敷の近くまで来ると、何時の間にか辺りはシーンと静まりかえっていた。しかし改めてこの外観を眺めてみると、手入れさえすればもっと見栄えもよくなるのにと思える。
ただ、この静けさと人気の無さの為か、どこか寒々しい印象を抱かせるのは致し方ない事か・・・。
二人が屋敷に入ると、食堂の方からエレが”パタパタ”と足音を立てながら現れた。
■エレ To:アイシャ、ミュン |
あ、お帰りなさ〜い。 他の方はまだ帰って来てないんですよ。 きっともう少しすれば帰って来るでしょうから、食堂でお茶でも飲んで待っててもらえますか? 今、夕食の準備をしている所ですけど、お茶の方はすぐに用意しますね。 |
■アイシャ To:エレ |
ありがとう。ただいまなの〜。 カテリーナさんの具合はどう〜? |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
まだちょっと悪いようですね。 |
■アイシャ To:エレ |
あ、そうだ。 エレって妹さんがいるの〜? |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
いえ、妹も姉もいませんけど・・急にどうしたんですか? |
■アイシャ To:エレ |
あのねぇ、1年くらい前に森でエレとソックリな人を見かけたっていう話を聞いたから心あたりがあるかと思ったの〜。 |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
う〜ん、私は心当りないですね。 |
■アイシャ To:エレ |
そっか〜。ん〜えっとぉ、じゃあ・・・どっちもエレ? フッケさんが、最近エレの雰囲気が変わって挨拶してくれなくなったって言ってたの〜。 1年位前はとっても明るかったのにって。 …どっちもエレなの?何かあったの? |
と言って、エレをじっと見つめています。
何か辛い事があって雰囲気が変わったため、年齢も以前より上に見えるようになったのかもと考えたようです。
■エレ To:アイシャ、ミュン |
それは・・・、ここ一年屋敷で気味悪い事がありましたからね・・。 |
ポツリと呟くように言う。
■アイシャ To:エレ |
じゃあ、やっぱりどっちもエレだったんだ。 …えっと、あのね、アイシャ達も頑張るから元気だしてね。 |
■アイシャ To:エレ |
森へは何をしに行ってるの〜? |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
たまに散歩に出掛けますけど。 |
■アイシャ To:エレ |
森でこんな人達に会った事ある〜? |
アイシャはフッケが見たという人達の特徴をエレに話した。
■エレ To:アイシャ、ミュン |
いえ、見かけた事は無いですね。 |
■アイシャ To:エレ |
エレは森の向こうに何があるか知ってる? |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
いいえ、知りません。何かありましたか? |
■アイシャ To:エレ |
アイシャも知らないの〜。 でも、みんな森の向こうから来るんだってフッケさんが言ってたの。 その人達、屋敷に来た事もない? みんな屋敷の方を目指して歩いてたんだっていうんだけど…。 |
■アイシャ To:ミュン |
うーん。前にカテリーナさんが森で見かけた不審な人と、 フッケさんが見た人達は同じ人かな〜? カテリーナさんの具合が良い時に聞いてみようね〜。 |
■アイシャ To:ミュン |
ポムは街に行くって言ってたよねぇ? |
■アイシャ To:エレ |
もしもポムが夕飯までに帰って来なかったら、ポムの分を残しておいて欲しいの〜。 |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
はい、分かりました。 じゃあその時は別に残しておきますね。 |
■アイシャ To:エレ |
ありがとうなの〜(^^) 他のみんなは屋敷の調査中だよねぇ、どこら辺にいるか知ってる〜? |
■エレ To:アイシャ、ミュン |
えーと、確か森の方を見てくると出掛けられましたけど。 |
■アイシャ To:エレ |
あや?そうなの〜? |
■アイシャ To:ミュン |
どうしよ、みんなのお手伝いに行く? 早く終わらせてみんなでお茶した方がおいしいかもなの〜。 |
しかし、もうすぐ日が暮れてしまうし、行き違いになっては困るという、ミュンの提案で、2人は屋敷でみんなの帰りを待つ事にした。
■アイシャ To:エレ |
あ!エレ、夕飯の準備してたんだよねぇ。引き止めちゃってごめんなの〜。 みんなが帰って来たらまた話そう〜。 えっと、お茶はアイシャがするよ。 ちょっと一息入れたら、夕飯の支度も手伝うね♪ |
■エレ To:アイシャ |
あ、気になさらずに。 お茶ならすぐに準備してきますから、夕食ができるまで食堂で待ってて下さい。 |
■アイシャ To:エレ |
あ、うん。ありがとう(^^) じゃあ、そうするの〜。 でも、手伝って欲しくなったら呼んでね。 |
厨房に戻ったエレはしばらくすると、お茶とクッキーをお盆に載せて戻ってきた。
■エレ To:アイシャ、ミュン |
どうぞ。今日はお疲れ様です。 夕食はもう少しですので、待ってて下さいね。 |
といってエレは再び厨房に戻る。
■アイシャ To:エレ |
ありがとう(^^) |
■エレ To:アイシャ |
いえいえ〜。(にこにこ |
■アイシャ To:ミュン |
……ミュン、あのね(もじもじ) すぐに戻って来るから、ちょっとだけお外を見てきても良い? ポ、ポムが戻って来てるかもしれないから見に行きたいの〜。 |
という事でミュンに先にお茶をしてもらっている間に、アイシャは玄関まで皆を迎えに行ってみた。
【オズマルガン邸玄関前】
帰りの遅いシーアン達の帰りを迎える為に一人玄関前で待つアイシャ。
既に陽は暮れ、外は真っ暗である。さすがに11月なので寒い寒い。
■アイシャ |
もう真っ暗なの〜。 …まだ誰も帰って来ないみたい。 (ミュンが待ってるから戻らなくちゃ。 でも…ちょっとだけ待ってみよう。) |
薄墨を広げたような夜空に幾つかの煌きが見える。
恋人と二人でそれを眺める事ができれば幸せかもしれない。だが想い人は未だ帰ってこず・・・。
■アイシャ |
あ、お星さまがキレイ〜♪ 戻ってきたら教えてあげようっと…っくしゅっ。 (シーアン早く帰って来ないかな…もう近くまで来てるかな、それとも…) |
何かあったのかなとちょっと不安になったらしい。カサカサッ。
?
何処かで音がしたようだ。付近の草むらからだろうか?
■アイシャ |
びくっ。 (なに?なんか聞こえた…) |
じっと耳を澄ませてみる。が今は何も聞こえない。さっきのは小動物か何かだろうか?
■アイシャ |
(き、気のせいかな・・・) |
しばらくしてから、アイシャは誰かに見られている気がしてきた。
何処からだろう?門の辺りかな?
■アイシャ |
・・・だ、誰かいるの? あ、アイシャは恐くないから出てきてもだいじょぶ・・・だよ。 |
だが何も反応は返ってこない。
■アイシャ |
(・・・やっぱり見られてる気がする・・・確かめてみなくちゃ。) |
とりあえず気になる視線、それを感じる門の辺りに行ってみる事にしたアイシャ。ん?
そちらに近づくと、微かに”カサッ”と音がしたような気がする。
やはり何かがいるのだろうか?
■アイシャ |
(ふぇ、やっぱり聞こえたの(;;)) 誰なの?・・・レオン? |
カサカサッ
今度はハッキリと聞き取れた。
■アイシャ |
ひゃ! |
まるでアイシャから遠ざかろうとしているのか?
オランへ続く暗い森の小道、その脇の草むらの方へと少しずつ遠ざかっているようだ。
幸い月明かりのおかげで、小道はちゃんと見える。
■アイシャ |
ど、どうしよう…。 (1人で行ったら危ないよね…でも、ミュンを呼びに行ってたら、いなくなっちゃうかもしれない…。) |
そうこうしているうちに、少しずつ音の元は離れていこうとしているようだ。
■アイシャ |
(あぁ、行っちゃうよぅ・・・そうだ!) |
アイシャは、シーアンからもらった髪留めを外し、草むらへの入り口のところへそれを置くと、
音の後を追って草むらへと踏み込んで行った・・・。
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