倉から地下墓地への螺旋階段を下り、鉄の扉の前までやって来たバジルとルタード。
場所が場所なだにか、昼間なのに地下だという事を差し引いても何だか肌寒い。
ちなみにエレは後の階段付近で、ランタンを持って二人の様子を見守っている。
■バジル To:エレ
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どの辺からどんな風に音がしたの?
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■エレ To:バジル、ルタード
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どの辺からかは分かりません。
私が上の倉の中で作業をしていると、足元からすすり泣く様な声が聞こえた気がしたので・・・。
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■バジル To:ルタード
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ルタード、何か聞こえる?
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そして扉の向こうの様子を伺うが、何も聞こえてこない。
ん?扉が動くか?取っ手を持って軽く押せば、この両開きの扉は開きそうだ。
■ルタード To:バジル
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開きそうじゃが、どうする?
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■バジル To:ルタード
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すぐにシーアン来るよね?開けるのは彼が来てからの方が良いと思うんだけど、どう?
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■ルタード To:バジル
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……よし、そうしよう。充分な準備なしで乗り込むのは危険かも知れんし。
勇気と無謀とは違うからの。
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そうこうしていると、後ろで荒い息遣いとともにシーアンが姿を現した。
■シーアン To:ルタード
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お待たせ。
ほらよっ、ルタードの得物って重いのな。
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シーアンは武器をルタードに手渡すと、自分もグレートソードを持ち直す。
■ルタード To:シーアン
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いまはこの通り、特に何も物音は聞こえんのですが、扉がどうやら開きそうでして。
とりあえず、シーアンどのが戻るまで待っておったのですが、いかがしましょう?
まあ、ここまできて中に入らない手もないとは思うのですが。
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■シーアン To:ルタード
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えっ?あの扉が開くって?!
そりゃ、開けてみるしかねーだろ。
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扉に近づいて、そこで立ち止まるシーアン。
自分がアーマーを着ていないことに不安を覚えたのだ。
■シーアン To:ルタード
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・・・・・・俺よりルタードの方が頑丈だよな(^^;
すまねぇが、頼む・・・。
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■ルタード To:シーアン
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頑丈だけが取り柄みたいなものですからな(笑)。
では、開けますぞ。
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ルタードが先に立ち、取っ手に手を掛け扉を押し開く。
”ギィ〜〜〜ッ”と音を立てて扉が開かれる。
扉が開いた瞬間から、辺りになにやら嫌な匂いが広がってくるようだ。
墓場独特の死の香りというやつか。
■ルタード To:シーアン&バジル
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この空気は、どうにも滅入ってきますなあ……。
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■シーアン To:ルタード&バジル
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ある意味、懐かしい匂いだよなぁ〜〜〜?(語尾上がり)
・・・自分が色んな意味で冒険者だってことを実感するぜ・・・。
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普通の人間はめったに嗅ぎません。
入り口から中を覗くと・・・。
中は完全な静寂に支配されていたようで、彼らの発する音以外に音はしない。
ランタンの明かりを頼りに周囲を確認するが、視界内には動く物や怪しい物は見当たらない。
ここの地面も石畳で、墓石が等間隔で整然と並んでいる。
ランタンの明かりが奥まで届かないのでよくは見えないが、奥行きは10メートル以上はありそうだ。
どうやらここは本当に墓地らしい。
ちなみに暗視能力のあるドワーフのルタードには、20メートル先の奥で壁にもたれかかるように、座り込んでいるものが見えた。
そしてその足元には、三つの何かが転がっている。
大きさは・・・人間?
■ルタード To:シーアン&バジル
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奥の壁際に何か座り込んでます。距離はここから40歩ほど、足元には人くらいの大きさの何かが3つ転がってますな。
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■シーアン To:ルタード&バジル
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座り込んでるのも人間かな。
バジル、アンデッドかどうかわかるか?
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そしてバジルがセンス・オーラで付近に働く精霊力を探る。
闇、光、炎(ランタン)、生命、精神・・・・負の生命をバジルは感じ取った。
■バジル To:ルタード&シーアン
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!!
居る!!負の精霊の力を感じるよ!
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■ルタード To:シーアン&バジル
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……またもお目にかかることになろうとは。
ここからでは正体が分からんよってに、近づいてみましょう。
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■シーアン To:ルタード、バジル
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しょうがねぇよな。「アーマー着てないから」つって逃げるわけにもいかねーし(^^;
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■ルタード To:エレ
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エレどの、申しわけありませんが、その角灯をバジルどのにお貸し下さいますかな? それから、もし騒ぎになったら、わしらのことはかまわずに、安全なところまでお逃げ下さるよう。
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■エレ To:ALL
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分かりました。皆さんも気をつけて下さいね。
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エレはバジルにランタンを手渡す。
■バジル To:エレ
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とにかく扉からはなるべく離れていた方が良いよ。
何があるかわからないからね。
……と、その前に……
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ウィルオーウィスプを発生させて、先導させます。
先導させたウィスプの明かりを頼りに、ルタード、シーアン、バジルの順で奥に進んで行く。
どうやら人のようだ。正確には死体が四つと表現すべきだろう。
アンデッドと警戒しながら、ルタードとシーアンはそれらを調べる。
奥の壁にもたれかかっている者は干乾び、完全にミイラ化していた。
外傷は特に無いようだ。これは人間の老婆だろうか?
そしてその足元に転がっている三体の死体は・・、半ばミイラ化しているようだ。
全て人間のようで、男性一人に女性二人と思われる。
男の方は骨格が大きく、生前はがっしりとした体格をしていたであろう
また外傷は特に見当たら・・・・、ん?両手の爪が剥がれているぞ。
ただし女の死体の方だけのようだ。
■シーアン To:ルタード、バジル
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長身の男に、女二人・・・?
これって、エレの部屋で見た服の持ち主と一緒じゃねーか・・・?
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その服の持ち主が死んでいると言うことは・・・
シーアンはギョッとしてルタードを見つめる。
後の方からエレの声がする。
だが彼女は明かりを持っていないので、その姿を確認できない。多分、扉の所にまだいるのだろう。
無論ルタードには扉の側に立っている姿が見えていた。
■ルタード To:エレ
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多少不気味ではありますが、大丈夫です。
特になんともないようですので、戻ります。
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そう言うなり、ルタードは急に扉のほうへ歩き出す。
■エレ To:ALL
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そんなはずは無いでしょう。ちゃんと調べて下さいね。
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エレはルタードが扉の方へ向かってくるのを察したのか、扉の取っ手を引っ張り扉を閉めはじめる。
■バジル To:エレ
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あ、あれ?なんで閉めるの!?
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そしてシアーン達の右手の方奥で、何やら青白い光を放つ人影が現れた。
■バジル To:シーアン
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シーアン!!誰か来たよ!
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■ルタード To:バジル
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誰か、というより、これは亡霊じゃないのかね?
エレどのは、なかなかの勘の持ち主じゃな。
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■シーアン To:ルタード、バジル
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ふっ、扉を閉めたのが”エレ”ならな。
ここに転がってるのが本物のエレとカテリーナのような気がしてきたぜ、俺は。
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扉の方は完全に閉じられてしまった。
そしてルタードは突如出現した青白い人影を見極めようとする・・・。
どうやら人間の大男(シーアンよりもデカイ)のようだが、何やら全身から青白い光を発していた。
さらに付け加えるならば、ボーッと向こう側が透けて見えるが?
■シーアン To:人影
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そしてあんたが身長190cm以上、俺よりデカイ服の本当の持ち主ってわけだ。全員偽エレに殺されたのか?
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青白い人影はユラリ、ユラリと石畳の上をさ迷うように、シーアン達の方へ近づいてくる。
そして話し掛けるシーアンを無視して、眼前にまで迫ってくる!?
■ルタード To:シーアン
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シーアンどの、気をつけて!
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シーアンは迫り来る青白い人影に対し、咄嗟に防御姿勢を取る。
そして両者がぶつかる!!
と思ったら、青白い人影はスーっとシーアンを通り抜けて行った。
その瞬間、シーアンは全身に鳥肌が立つ程の悪寒を感じたが、身体の方には異常は無いようだ。
■シーアン
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――――――と、通りぬけやがった・・・
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で、問題のその人影はシーアンを通り越し、フラフラとした足取りで歩いている。
その後姿はまるで何かを探しているようだ。
気になるのは先程(不本意ながらも?)接触した際に、ブツブツと何かを呟いていた気がする。
「酒」とか「俺の・・・」とか
■ルタード To:シーアン
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シーアンどの、身体に異状はありませぬか!?
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■シーアン To:ルタード、バジル
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ああ、大丈夫みたいだ。ちょっと震えが来たけどな(^^;
それよりあいつ、”酒”とか”俺の”とか言ってたぞ。
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もっとよく言葉を聞こうと、シーアンは人影の後を追う。
近づいて行くと、また肌寒い冷気の様なものをピリピリ感じる。
すると、”ひぃっ!”とシーアンの腰元で、何やら女性の声が上がった。
そして相変わらず、謎の人影は何かを探してウロウロしている。
■バジル To:シーアン
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誰?今の声は。え?まさか、その……
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声を発したのは人形?
シーアンはそれに驚き、一瞬足を止めて、左腰にぶらさげていた人形を手に取りまじまじと眺める。
手に取った瞬間、僅かだが人形が震えた気がするが、今は何も変わった所は見られ・・・無いかな?
見た目は何の変哲も無いエルフの人形なんだが・・。
■ルタード To:シーアン&バジル
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人形がしゃべる……悪い冗談ということで、なんとかなりませんかな?
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さすがに気味が悪そうだ。
■シーアン To:ルタード、バジル
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冗談なら・・・エレの行動からして、悪い冗談だったと思いたいぜ(^^;;;
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シーアンには閉じ込められた事の方が、余程ショックであったようだ。
■エレ To:ALL
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後で出してあげるから、余り無茶しちゃ駄目よ〜。
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と閉じられた扉の向こうから、今までとは少し声の調子が違うエレの声が聞こえてきた。
こちらも負けじと大声で
■シーアン To:エレ
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ふざけんな、てめぇ!
俺達をこんな所に閉じ込めて、どーしよーってんだよっ!
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■バジル To:エレ
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そうだよ、なんでこんな事するのさ!
開けてよ〜!!
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■エレ To:ALL
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若いって良いわね〜。それぐらい元気だと食事抜きでも大丈夫よね?
じゃあ暫くの間、大人しくして貰うわよ。
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そして高笑いが聞こえ、それは遠ざかっていった。
■シーアン
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むかつくぜ。あんな女だったとは・・・。
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■バジル To:シーアン&ルタード
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エレさんって、もっと誠実そうに見えたけど、女の人って分からないねぇ……
さて、とりあえず……どうする?
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扉と青白い人影を交互に見てため息をつく
■ルタード To:バジル
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まあ、言われた通りおとなしくしている義理はないじゃろうな。
ここから出る手だてについては、おいおい考えることにして、とりあえずはあの青白い亡霊とその人形をどうにかしようか。
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■バジル To:シーアン
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ねぇ、さっき女の人の声がしたけど……その…、シーアンの腰の辺りから……。
ちょっと人形見せてもらえるかな?
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バジルは人形を受け取ると、くるくる触ったり、くすぐってみたりしてみる。
すると一瞬手の中で、人形が”ピクッ!”と動いた様な気が・・・。
だがそれよりも、バジルが先程から恐怖の精霊が、急に働きだした事が気になった。
ひょっとして、この人形からだろうか?
■バジル To:シーアン
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あ、ほら、ちょっと動いたような感じが……
ん?この人形、人形のくせに精神系の精霊が働いてる気がする。
もしかして何かが取りついてるかな?
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■シーアン To:バジル、ルタード
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しゃべったしな・・・ただの人形じゃないよな。
作った本人はこの事、知ってんのかね?
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■ルタード To:シーアン
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だんだん頭が痛くなってきましたわ。
もしかして、人形に話しかけたら、事情をしゃべってくれたりするんですかな?
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しばし、バジルの手にある人形をじっと見つめたのち。
ちょっと恥ずかしげな様子だ。(笑)
バジルは照れてるルタードの様子に思わず吹き出した。だが人形は何の反応も示さない。
■バジル To:シーアン&ルタード
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しゃべったと思ったのは思い違いだったのかなぁ
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■ルタード To:バジル
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おいおい、いまさらそんなこと言わないでくれんかの。
人形に話しかけたりして、こっ恥ずかしいったらありゃせんわい。
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