SW-PBM #070
人形屋敷の奥方

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■地下墓地 
倉から地下墓地への螺旋階段を下り、鉄の扉の前までやって来たバジルとルタード。
場所が場所なだにか、昼間なのに地下だという事を差し引いても何だか肌寒い。

ちなみにエレは後の階段付近で、ランタンを持って二人の様子を見守っている。

■バジル To:エレ
どの辺からどんな風に音がしたの?

■エレ To:バジル、ルタード
どの辺からかは分かりません。
私が上の倉の中で作業をしていると、足元からすすり泣く様な声が聞こえた気がしたので・・・。

■バジル To:ルタード
ルタード、何か聞こえる?

■ルタード To:バジル
どうかの……?

そして扉の向こうの様子を伺うが、何も聞こえてこない。
ん?扉が動くか?取っ手を持って軽く押せば、この両開きの扉は開きそうだ。
■ルタード To:バジル
開きそうじゃが、どうする?

■バジル To:ルタード
すぐにシーアン来るよね?開けるのは彼が来てからの方が良いと思うんだけど、どう?

■ルタード To:バジル
……よし、そうしよう。充分な準備なしで乗り込むのは危険かも知れんし。
勇気と無謀とは違うからの。

そうこうしていると、後ろで荒い息遣いとともにシーアンが姿を現した。
■シーアン To:ルタード
 お待たせ。
ほらよっ、ルタードの得物って重いのな。

シーアンは武器をルタードに手渡すと、自分もグレートソードを持ち直す。
■ルタード To:シーアン
いまはこの通り、特に何も物音は聞こえんのですが、扉がどうやら開きそうでして。
とりあえず、シーアンどのが戻るまで待っておったのですが、いかがしましょう?
まあ、ここまできて中に入らない手もないとは思うのですが。

■シーアン To:ルタード
 えっ?あの扉が開くって?!
そりゃ、開けてみるしかねーだろ。

扉に近づいて、そこで立ち止まるシーアン。
自分がアーマーを着ていないことに不安を覚えたのだ。
■シーアン To:ルタード
・・・・・・俺よりルタードの方が頑丈だよな(^^;
すまねぇが、頼む・・・。

■ルタード To:シーアン
頑丈だけが取り柄みたいなものですからな(笑)。
では、開けますぞ。

ルタードが先に立ち、取っ手に手を掛け扉を押し開く。

”ギィ〜〜〜ッ”と音を立てて扉が開かれる。
扉が開いた瞬間から、辺りになにやら嫌な匂いが広がってくるようだ。
墓場独特の死の香りというやつか。
■バジル To:ルタード&シーアン
う……

■ルタード To:シーアン&バジル
この空気は、どうにも滅入ってきますなあ……。

■シーアン To:ルタード&バジル
 ある意味、懐かしい匂いだよなぁ〜〜〜?(語尾上がり)
・・・自分が色んな意味で冒険者だってことを実感するぜ・・・。

普通の人間はめったに嗅ぎません。

入り口から中を覗くと・・・。
中は完全な静寂に支配されていたようで、彼らの発する音以外に音はしない。
ランタンの明かりを頼りに周囲を確認するが、視界内には動く物や怪しい物は見当たらない。
ここの地面も石畳で、墓石が等間隔で整然と並んでいる。
ランタンの明かりが奥まで届かないのでよくは見えないが、奥行きは10メートル以上はありそうだ。
どうやらここは本当に墓地らしい。

ちなみに暗視能力のあるドワーフのルタードには、20メートル先の奥で壁にもたれかかるように、座り込んでいるものが見えた。
そしてその足元には、三つの何かが転がっている。
大きさは・・・人間?
■ルタード To:シーアン&バジル
奥の壁際に何か座り込んでます。距離はここから40歩ほど、足元には人くらいの大きさの何かが3つ転がってますな。

■シーアン To:ルタード&バジル
 座り込んでるのも人間かな。
バジル、アンデッドかどうかわかるか?

そしてバジルがセンス・オーラで付近に働く精霊力を探る。

闇、光、炎(ランタン)、生命、精神・・・・負の生命をバジルは感じ取った。

■バジル To:ルタード&シーアン
!! 
居る!!負の精霊の力を感じるよ!

■ルタード To:シーアン&バジル
……またもお目にかかることになろうとは。
ここからでは正体が分からんよってに、近づいてみましょう。

■シーアン To:ルタード、バジル
 しょうがねぇよな。「アーマー着てないから」つって逃げるわけにもいかねーし(^^;

■エレ To:ALL
?

■ルタード To:エレ
エレどの、申しわけありませんが、その角灯をバジルどのにお貸し下さいますかな? それから、もし騒ぎになったら、わしらのことはかまわずに、安全なところまでお逃げ下さるよう。

■エレ To:ALL
分かりました。皆さんも気をつけて下さいね。

エレはバジルにランタンを手渡す。
■バジル To:エレ
とにかく扉からはなるべく離れていた方が良いよ。
何があるかわからないからね。
……と、その前に……

ウィルオーウィスプを発生させて、先導させます。
先導させたウィスプの明かりを頼りに、ルタード、シーアン、バジルの順で奥に進んで行く。

どうやら人のようだ。正確には死体が四つと表現すべきだろう。
アンデッドと警戒しながら、ルタードとシーアンはそれらを調べる。

奥の壁にもたれかかっている者は干乾び、完全にミイラ化していた。
外傷は特に無いようだ。これは人間の老婆だろうか?
そしてその足元に転がっている三体の死体は・・、半ばミイラ化しているようだ。
全て人間のようで、男性一人に女性二人と思われる。
男の方は骨格が大きく、生前はがっしりとした体格をしていたであろう
また外傷は特に見当たら・・・・、ん?両手の爪が剥がれているぞ。
ただし女の死体の方だけのようだ。

■シーアン To:ルタード、バジル
 長身の男に、女二人・・・?
これって、エレの部屋で見た服の持ち主と一緒じゃねーか・・・?

その服の持ち主が死んでいると言うことは・・・
シーアンはギョッとしてルタードを見つめる。
■エレ To:ALL
大丈夫ですか〜?

後の方からエレの声がする。
だが彼女は明かりを持っていないので、その姿を確認できない。多分、扉の所にまだいるのだろう。
無論ルタードには扉の側に立っている姿が見えていた。
■ルタード To:エレ
多少不気味ではありますが、大丈夫です。
特になんともないようですので、戻ります。

そう言うなり、ルタードは急に扉のほうへ歩き出す。
■エレ To:ALL
そんなはずは無いでしょう。ちゃんと調べて下さいね。

エレはルタードが扉の方へ向かってくるのを察したのか、扉の取っ手を引っ張り扉を閉めはじめる。
■バジル To:エレ
あ、あれ?なんで閉めるの!?

■シーアン 
くそっ、
計られたっ!!

そしてシアーン達の右手の方奥で、何やら青白い光を放つ人影が現れた。
■バジル To:シーアン
シーアン!!誰か来たよ!

■ルタード To:バジル
誰か、というより、これは亡霊じゃないのかね?
エレどのは、なかなかの勘の持ち主じゃな。

■シーアン To:ルタード、バジル
 ふっ、扉を閉めたのが”エレ”ならな。
ここに転がってるのが本物のエレとカテリーナのような気がしてきたぜ、俺は。

扉の方は完全に閉じられてしまった。
そしてルタードは突如出現した青白い人影を見極めようとする・・・。

どうやら人間の大男(シーアンよりもデカイ)のようだが、何やら全身から青白い光を発していた。
さらに付け加えるならば、ボーッと向こう側が透けて見えるが?

■シーアン To:人影
 そしてあんたが身長190cm以上、俺よりデカイ服の本当の持ち主ってわけだ。全員偽エレに殺されたのか?

青白い人影はユラリ、ユラリと石畳の上をさ迷うように、シーアン達の方へ近づいてくる。
そして話し掛けるシーアンを無視して、眼前にまで迫ってくる!?
■バジル To:シーアン
く、来るよ!

■ルタード To:シーアン
シーアンどの、気をつけて!

■シーアン
 くっそー、シカコこきやがって!

シーアンは迫り来る青白い人影に対し、咄嗟に防御姿勢を取る。
そして両者がぶつかる!!

と思ったら、青白い人影はスーっとシーアンを通り抜けて行った。
その瞬間、シーアンは全身に鳥肌が立つ程の悪寒を感じたが、身体の方には異常は無いようだ。

■バジル To:シーアン
うわっ

■シーアン 
 ――――――と、通りぬけやがった・・・

で、問題のその人影はシーアンを通り越し、フラフラとした足取りで歩いている。
その後姿はまるで何かを探しているようだ。
気になるのは先程(不本意ながらも?)接触した際に、ブツブツと何かを呟いていた気がする。
「酒」とか「俺の・・・」とか
■ルタード To:シーアン
シーアンどの、身体に異状はありませぬか!?

■シーアン To:ルタード、バジル
 ああ、大丈夫みたいだ。ちょっと震えが来たけどな(^^;
それよりあいつ、”酒”とか”俺の”とか言ってたぞ。

■ルタード To:シーアン
「酒」……?

もっとよく言葉を聞こうと、シーアンは人影の後を追う。
近づいて行くと、また肌寒い冷気の様なものをピリピリ感じる。

すると、”ひぃっ!”とシーアンの腰元で、何やら女性の声が上がった。
そして相変わらず、謎の人影は何かを探してウロウロしている。
■シーアン To:
 な、なんだ今のは?!

■バジル To:シーアン
誰?今の声は。え?まさか、その……

声を発したのは人形?
シーアンはそれに驚き、一瞬足を止めて、左腰にぶらさげていた人形を手に取りまじまじと眺める。
手に取った瞬間、僅かだが人形が震えた気がするが、今は何も変わった所は見られ・・・無いかな?
見た目は何の変哲も無いエルフの人形なんだが・・。
■ルタード To:シーアン&バジル
人形がしゃべる……悪い冗談ということで、なんとかなりませんかな?

さすがに気味が悪そうだ。
■シーアン To:ルタード、バジル
 冗談なら・・・エレの行動からして、悪い冗談だったと思いたいぜ(^^;;;

シーアンには閉じ込められた事の方が、余程ショックであったようだ。
■エレ To:ALL
後で出してあげるから、余り無茶しちゃ駄目よ〜。

と閉じられた扉の向こうから、今までとは少し声の調子が違うエレの声が聞こえてきた。
こちらも負けじと大声で
■シーアン To:エレ
 ふざけんな、てめぇ!
俺達をこんな所に閉じ込めて、どーしよーってんだよっ!

■バジル To:エレ
そうだよ、なんでこんな事するのさ!
開けてよ〜!!

■エレ To:ALL
若いって良いわね〜。それぐらい元気だと食事抜きでも大丈夫よね?
じゃあ暫くの間、大人しくして貰うわよ。

そして高笑いが聞こえ、それは遠ざかっていった。
■シーアン 
 むかつくぜ。あんな女だったとは・・・。

■バジル To:シーアン&ルタード
エレさんって、もっと誠実そうに見えたけど、女の人って分からないねぇ……
さて、とりあえず……どうする?

扉と青白い人影を交互に見てため息をつく
■ルタード To:バジル
まあ、言われた通りおとなしくしている義理はないじゃろうな。
ここから出る手だてについては、おいおい考えることにして、とりあえずはあの青白い亡霊とその人形をどうにかしようか。

■バジル To:シーアン
ねぇ、さっき女の人の声がしたけど……その…、シーアンの腰の辺りから……。
ちょっと人形見せてもらえるかな?

バジルは人形を受け取ると、くるくる触ったり、くすぐってみたりしてみる。

すると一瞬手の中で、人形が”ピクッ!”と動いた様な気が・・・。
だがそれよりも、バジルが先程から恐怖の精霊が、急に働きだした事が気になった。
ひょっとして、この人形からだろうか?

■バジル To:シーアン
あ、ほら、ちょっと動いたような感じが……
ん?この人形、人形のくせに精神系の精霊が働いてる気がする。
もしかして何かが取りついてるかな?

■シーアン To:バジル、ルタード
しゃべったしな・・・ただの人形じゃないよな。
作った本人はこの事、知ってんのかね?

■ルタード To:シーアン
だんだん頭が痛くなってきましたわ。
もしかして、人形に話しかけたら、事情をしゃべってくれたりするんですかな?

しばし、バジルの手にある人形をじっと見つめたのち。
■ルタード To:人形
……もしもし?

ちょっと恥ずかしげな様子だ。(笑)

■バジル To:
ぷっ……

バジルは照れてるルタードの様子に思わず吹き出した。だが人形は何の反応も示さない。
■バジル To:シーアン&ルタード
しゃべったと思ったのは思い違いだったのかなぁ

■ルタード To:バジル
おいおい、いまさらそんなこと言わないでくれんかの。
人形に話しかけたりして、こっ恥ずかしいったらありゃせんわい。


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シナリオ編集:倉沢真琴 kushida@terra.dti.ne.jp