エレの案内で、きのこの群生地へと向かった一行。

　その途中で、キャンドルは森の中へ消えていく足跡を見つけた。
　最近の物ではなく、二週間以上は前の物だろう。
　既に半ば消えかかっている上に、どうやら何者かが消そうとしたらしい跡も見える。

　リシィアは、緊張した面持ちで、メイジスタッフをしまい代わりに弓を手にする。

　キャンドルが、足跡を見失わずに追跡を続けると、多少ひらけた場所に出た。

　そう言って、めいめいに休憩を取り始めた一行。
　と、その時。
　休む暇もなく、キャンドルとリシィアは、巧妙に隠された洞窟らしき入り口を見つけた。

　草木をかき分け洞窟の入り口に近付こうとしたとき、キャンドルは、じとっとした目で見つめられるような嫌な寒気を感じた。

　ゆっくりと、慎重に、洞窟の入り口の方に近づいて行き、草むらかき分ける。
　そこに現れたのは、

　一行が、ゆっくりと洞窟の中へはいると、少し奥まったところに、幾つか白骨化した人間のものと思われる遺体があった。
　その数、5つ。そして、奇妙なことに、その内一つはどうやら服を剥がされているらしい。
　そして、その奧には、暗い洞窟の中でもうっすらと淡い光を放つ一張りの弓と、入り口に仕掛けられていた物と同じ型の罠が、無造作に置かれていた。

　クラウディアが遺体を調べると、年老いた男女、30代程の男女、そして子供の物のようだった。
　服を剥がされているのは、その内の老男性。

　フィリスが、死体を見ると、それはやはりただの死体だった。

　調べてみると、服を剥がされた死体の体格は、村長のそれと似ていなくもない。
　また、母親らしき白骨死体に抱きかかえられた子供の(白骨化した)手に、金属製のネックレスが握りしめられていた。
　そこは、村長の孫の名前(らしき)が彫られていた。

　名前は、キートと読みとれた。

　死体よりは弓が気になっていたエレは、つかつかと近づいたかと思うといきなり大声を上げた。

　弓の表面をよく見ると、確かに必死に壊そうとしたかのような無数の傷が残っていた。

　うっすらと光を発している点を除けば、ユウルには、その弓は見た目より軽いだけにしか思えない。