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Sword World PBM #64
モノクロームの吐息 |
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ゴンドの家 |
■コリューン To:ゴンド&ALL |
・・・そんじゃ、ちょっくら精霊さんをみんなにも見えるようにしよっか。 |
■コリューン To:光の精霊 |
キラキラ光る〜夜空の星よ〜☆ |
コリューンはお守りを起動させるコマンドワードの振りをして、ウィスプを呼び出す呪文を唱えた。
光の精霊がふわりと懐中時計の上に浮かび上がる。
■ギャスパー |
うわっ! |
初めてウィスプを見て、思わず声を上げる。
■ゴンド To:コリューン |
な………なんだそれはっ! |
ゴンドは飛び退くようにコリューンから離れると、光の精霊を指さして怒鳴るように言った。
■コリューン To:ゴンド |
何って、精霊さんですよ。キレイでしょ? |
コリューンは懐中時計をゴンドの方へと近づけた。
■ゴンド To:コリューン |
お、おう、そ、そ、そうだな。 |
ゴンドはそのままの体勢で答える。表情は強ばり額には脂汗が浮かんでいるが、逃げようとはしない。
■アンリ |
うにぃ〜・・・キレイだけど触るのは怖いよぉ〜。でも、触りたい・・・。 でもでも、ウェルダンも真っ黒焦げもヤダよぉ〜・・・ど〜しよう・・・・ |
■ルキシュ To:コリューン&ゴンド |
ボクも見るの初めて。綺麗だね。 処でゴンドさん、脂汗凄いけど大丈夫? 何もしてなければこの精霊って襲って来ないんでしょ? |
■ゴンド To:ルキシュ |
お、おう、そうだな。 |
■アンリ To:ルキシュ |
でもでも、襲っては来なくても触っちゃったらやっぱりウェルダンだよ? う?一匹だからミディアムになっちゃうのかな? |
■コリューン To:ゴンド,ルキシュ&アンリ |
・・・精霊って言うのはね、本来は大人しいものなんだよ。その代わり、怒ると手がつけられなくなるけど。 それより、ゴンドさん? 本当に具合が悪そうですけど、どうしたんですか? ご病気なら、精霊さんの力を借りて治せますよ♪ |
コリューンは無言で、ウィスプをゴンドの近くへ移動させた。
■コリューン To:ゴンド |
大丈夫。怖くも痛くもありません。・・心に後ろめたい事さえなければ。 |
■ゴンド To:コリューン |
そ、そりゃななによりだ |
ゴンドが裏返った声で答える。
■ゴンド To:コリューン |
で、で、どどうなるって? |
■ルキシュ To:ゴンド |
確かウェルダンだったかミディアムだったか……。 でも安心して。ボクこう見えてもチャ・ザの神官だし、マーファの神官のルゥミアさんもいることだし。 ちゃんと看取ってあげるから。 |
内心ハラハラしつつ、にこにことルキシュは告げる。
■コリューン To:ゴンド |
精霊は、人の心の動きに敏感なんです。 特にこの精霊さんは持ち主の身を守るという役目がありますから、持ち主に対して悪意を持っている人には過剰に反応するでしょうね。 その時どうなるかは・・・まぁ、だいたい私の仲間達が言っている通りです。 でも逆に言えば、悪意さえなければOKな訳ですから、怖がる事はありませんよ。 |
精霊に無言で指示し、ゴンドの鼻先辺りを横切らせる。
■コリューン To:ゴンド |
・・・ゴンドさん。 そこにいるセリンちゃんなのですが、さきほど体を洗ってあげている時に体に無数の痣がある事が分かりました。 明らかに、誰かから暴行を受けた痕です。 ゴンドさんは、この痣が誰の仕業なのかご存知なのではありませんか? |
■セリン |
……… |
■ルゥミア To:ALL |
……痣? |
ルゥミアが聞き返すと、ゴンドは開き直ったように………しかし後ずさりながら………立ち上がった。
■ゴンド To:ALL |
気にいらねえんだよ、魔法使いだかなんだか知らねえが、ここは俺達の村なんだ、バケモンはお呼びじゃねえんだよ! |
■ルキシュ To:ゴンド |
はいはい、切れない。『俺達の村』は百も承知ですって。 ボクらを追い返したかったら、この事件を解決してしまえばいいんですよ。 そしたらボク達のいる意味なくなっちゃうんですから。 |
ね、というようにゴンドを見、その後同意を求めるようにルゥミアを見る。
■アンリ To:ゴンド |
おじちゃんが無抵抗な子供を虐めて心が痛まない おじちゃんが嫌っているバケモノ以下の良心しか 持っていなかったら・・・確かに事件解決の手助けなんて出来ないと思うけど。 でもでも、そんなの人間失格だよね。大人げ無いし・・・そっちの方がバケモノだよ。 おじちゃんもそう思うでしょ? |
■ルキシュ To:ゴンド&ヘルムンス |
それともゴンドさんって人殺しをそのままにしておいていい、って思うような 人道に外れた人な訳ですか? ……そうだ。ねぇヘルムンス。この人ボク達と話すの嫌がってるみたいだから、 一旦ウェストンさんの所まで戻らない? ここであまり大声出されてるのも不味かろーし。どうでしょ? |
内心はらわたが煮えくり返りそうなのだが、つとめて冷静に言う。
■ヘルムンス To:ルキシュ&ゴンド&コリューン |
そちらのゴンドさんさえよければ私達はそれでもかまわないのですが・・・ 問題はそこに浮かんでいる光の精霊ですね。 今はコリューンさんがなんとか抑えているのでいいですが、それほど長くはもたないと思いますよ・・・ |
■アンリ To:ヘルムンス |
え・・・?もしかして、オレ達みんなウェルダン決定? ヤダよぉ〜、オレまだ死にたくないもん。 |
■コリューン To:ヘルムンス,アンリ&ALL |
残念だけど、あそこまでは持ちそうにないね。 それに、ウェストンさんの前だからこそ言えない事もあると思うよ。 |
コリューンは深々と溜息を吐いた。
■ルキシュ To:コリューン |
え……そんなに緊迫したものだったの……。ボク精霊の事とかよくわか らないからなぁ。 どうしよう! えーっととりあえず……。 |
落ち着いていた態度が一転して、そわそわとチャ・ザに祈りを捧げ始める。
■コリューン To:ゴンド |
ちょっと事実を確認させて下さい。 ゴンドさんはセリンちゃんが気に食わなくて、それで・・村から排除しようとしたのですよね? それは、セリンちゃんに対してだけですか? 彼女の両親、ダロン夫妻も排除しようとしたのではありませんか? |
■ルゥミア To:ALL |
あの………それはつまり……… |
ゴンドが何か言おうとするのを遮って、ルゥミアが控えめに訊ねる。
■ルゥミア To:ALL |
夫妻を殺害したのはゴンドさんだという事ですか? |
■コリューン To:ルゥミア |
残念ながら、その可能性も有り得ます、としかお答えできません。 |
■ゴンド |
お、お、お、お……… |
ゴンドは再びぺたんと座り込み、尻を引きずるように後ずさった。
■コリューン To:ゴンド |
どうなのですか? ゴンドさん。私の言った事に間違いありませんか? |
ゴンドの方へ一歩出る。
■ゴンド To:ALL |
お、俺はやって……… |
そう言いながら後ずさろうとするゴンドの動きが途中で止まった。床についた手や尻が床に貼り付いたかのように、じたばたとあがいている。
よく見ると、床の表面にびっしりと白い霜のようなものが貼り付き、ゴンドの周りの空気に漂う何かがウィスプの光を反射してきらきらと光っている。
■ゴンド To:ALL |
お、俺だ、俺が殺ったんだ、認めるからそれを引っ込めてくれ! |
■アンリ To:セリン |
セリンちゃん、やるなら殺さない程度じゃないとダメだよ! こんな勝手なおじちゃんのせいでセリンちゃんの今後に問題が出来たら 大変なんだから!!絶対にダメ!! |
■ルキシュ To:ゴンド |
ゴンドさんがやったの!? 引っ込めろ、って言ってもコリューンは姿を見せてくれただけなんだから 引っ込めるの無理だよ。人を殺した報いでしょ? |
ゴンドの言葉にルキシュは冷たく告げる。
■ルキシュ To:ゴンド |
自分の罪をちゃんと見つめて、悔い改めれば少しは楽になるかもね。 ……理由、話してくれる? |
■ゴンド To:ルキシュ |
あいつが出ていかなかったからだ!ここはお前らみたいな魔法使いの住むところじゃねえ!言って聞かねえ奴には分からせるしかねえだろうが! |
ゴンドは開き直ったように激昂して喚いた。
■アンリ To:ゴンド |
この村が魔法使いが住んじゃいけない所だなんて誰が決めたのさ。 そんなのおかしいよ!普通、そう言われただけじゃ出て行かないよ。 |
■コリューン To:ゴンド |
落ち着いてください、ゴンドさん。 精霊は人の心に敏感だと、先ほど申し上げたじゃありませんか。あまり興奮されると・・私じゃ持ちません・・・・。 |
苦しそうな振りをしつつ、更に問い掛ける
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