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Sword World PBM #64
モノクロームの吐息




酒場

 ギャスパーはカウンター近くの椅子に座ると、楽器の音合わせをしながら主人とのおしゃべりを始める。
■ギャスパー To:主人
 オランと比べると寒いねぇ。この辺りは、このまま春まで雪化粧かい?

■酒場の主人 To:ギャスパー
 そりゃ分からねぇなぁ。雪が降ったのなんて初めてだからな、いつまで降るんだか。

■ギャスパー To:主人
 あれ、ルゥミアさんもそんなこと言ってたっけか…

 そういや、一週間くらい前から余所モンの男が泊まっているって聞いたけど、今も部屋にいるのかい?

■酒場の主人 To:ギャスパー
 はは、客のプライバシーには答えられんなぁ。酒でも飲んで待ってりゃ現れるかもしれんよ。

■ギャスパー To:主人
 (ち、ルゥが大金見せちまったから、欲の皮つっぱらかせやがって…)

 そうさせてもらうか…。とりあえず、さっき注文した分を頼むわ。

 内心で舌打ちしながらも、竪琴の音合わせを続ける。
■酒場の主人 To:ギャスパー
 ほい、ワインでいいかい。

■ギャスパー To:主人
 お、ありがとよ。

 しばらく竪琴をいじっていたギャスパーだが、ようやく音合わせができたようだ。ワインで喉を湿らせると、単調な旋律にのせて歌い始める。
■ギャスパー
 今は昔、西の国に一人の覇王あり。
 己の主より玉座を奪い、戦を重ね、
 その名を恐怖とともに伝えしむ…

 アレクラストに住んでいる人間なら誰でも知っているような、ありふれたサーガだ。
ギャスパーの歌う声に耳を傾けていたルキシュは、何か思い立ったように席を立ち、主人に歩み寄る。
■ルキシュ To:主人
 ちょっとごめんなさい。花摘み行きたいんだけど……。

■主人 To:ルキシュ
 ああ、そこを出て左だ。

 ルキシュは、主人にトイレの場所を聞いた後、外から2階の客室の様子を眺めるが、灯りの漏れている窓は見あたらなかった。
■ルキシュ To:ALL
(2階には誰もいないか……) さ、むーい。さすがに誰も外にはいないね。

 酒場に戻るとラスとギャスパーに目配せする。

 戻ってきたルキシュの様子を見たギャスパーだが、軽く頷いたあと、そのまま最後まで歌を続けた。
■ギャスパー To:主人
 …下手くそな歌、聞かせて悪かったな。

■主人 To:ギャスパー
 いやいや、大したものだったとも。

 ギャスパーは再びワインに手を伸ばすと、再び主人とのおしゃべりを始める。
■ギャスパー To:主人
 そういや、殺されたダロンさんらってのは、村じゃ爪弾きにされていたらしいけど…。仲良くしていた人ってのは全然いなかったのかい?

■主人 To:ギャスパー
 あ?そうだな、付き合いはなかったみたいだな。

■ギャスパー To:主人
 ふーん、じゃあ子供の方も、仲間はずれにされていたのかい…?

■主人 To:ギャスパー
 というより、人間扱いされてなかったからな。人間じゃなかったが。

■ルキシュ To:ギャスパー
 ね、そろそろ帰らない?
 コリューン達も戻ってるかもしれないし。

■ギャスパー To:ルキシュ、ラス&主人
 そうだな…挨拶も終わったし、ぼちぼち帰るか。 オヤジさん、また来ると思うけど、よろしくな。

■ルキシュ To:主人
 幾らくらいで足りるかな?
 あ、アーザンもボク達の奢りだから☆

 主人に値段を聞いた後、ルキシュはカウンターに銀貨を置く。
 ギャスパーはマントを羽織り、仲間たちと酒場から出て行く。

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ゆな<juna@juna.net>