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Sword World PBM #64
モノクロームの吐息




銀の網亭・個室

 2時間ほど経って、一同が個室で騒ぎ疲れた頃になって、個室のドアがノックされた。
 返事をするとドアが開いて、一人の女性が入ってきた。
 黒髪の穏やかな印象を受ける女性だ。白い法衣を着ていて、神官風に見える。
■女性 To:ALL
 あのー、ここでよろしいでしょうか?

 何がよろしいのかさっぱり分からない。
■ラス
ぐー…………

 今度は机に突っ伏して眠るラス。
■ギャスパー To:女性
 お、あんたがハセローさん? ならここで間違いないよ。

■女性 To:ALL
 そうですか、それはよかった。
 あ、ルゥミアで構いませんよ。

 物腰は落ち着いているが、20歳前後くらいだろうか。
■ギャスパー To:ヘルムンス
 大将、お客さんのお越しだぜ!

 ヘルムンスに声をかけながら、ついでにラスを蹴り起こす。
■ヘルムンス To:ギャスパー&ルゥミア
おお、到着されましたか。
私はヘルムンスと申します。見ての通り魔道を少々かじっております。

■ラス 
がったん!ごん!ごろごろごろ…

 椅子から転がり落ち、綺麗に二回転して、ルゥミアの足下に到着。
■ラス To:ルゥミア
あいてて……

あれ? …えーと、ああ、あんたが依頼人か?
とりあえず、よろしく頼むわ。

 そして立ち上がったラスは、にこやかにギャスパーに歩み寄り、
■ラス TO:ギャスパー
………
起こしてくれて、ありがとうな。

 わざとらしくも満面の笑顔で肩を叩く。
■ギャスパー To:ラス
 (椅子の足を蹴っただけなのに、愉快な奴だな〜)

 いいってことよ、相棒。

■ルキシュ To:依頼人さん☆
いらっしゃいませ……あれ?

女性の服装に首を傾げる。
■ルキシュ Toルゥミアさん
キミ……あなた、マーファの司祭さん?
初めまして! 見ればわかると思うけど、ボク、チャ・ザの者です☆

 ルゥミアのマーファの紋章を見て、にっこりと笑いかける。
■コリューン To:依頼人
こんちは〜☆
・・・・ここ、座ってどうぞ〜♪

 適当に椅子を引き、依頼人を促す。
■ルゥミア To:ALL
 それで…依頼の件なのですけれど、お話ししてよろしいですか?

■ギャスパー To:パーティメンバー
 お茶でも貰ってくるから、先に始めててくれ。

 そう言って、ギャスパーは部屋から出て行った。
銀の網亭・個室

■ヘルムンス To:ルゥミア
それではお願いします。
おやじさんからも簡単な内容しかきいてませんので、なるべく詳しく、順序だてて話していただけると助かります。

■ルゥミア To:ALL
 ええ………。

 彼女は、コリューンの引いた椅子に腰掛けると、話し始めた。
■ルゥミア To:ALL
 場所はボラン村と言って農業の村です。私はそこの礼拝所で神官をしています。
 被害者は3人で……冒険者の夫婦と、それから別の村人が1人です。目撃証言はあるのですが、まだ犯人は捕まっていません。

 ノックもせずに、お茶とお菓子を抱えたギャスパーが部屋へ入ってくる。注いだお茶をみんなに渡してから、空いた椅子に座る。
■ラス To:ギャスパー
 お、悪ィな。気が利くじゃねェか。

 一口お茶をすすり、
■ラス To:ルゥミア
 …で? それはいつ頃の話なんだ?
  それからその3人っつーのは、一度にやられたのか、 それとも間をおいて別々にか?

 ルキシュはギャスパーから飲み物を受け取ると、真剣な面もちでルゥミアの話に耳を傾けた。
■ルゥミア To:ALL
 …別々に。夫婦の方が先で、それから5日後にもう1人です。

■ヘルムンス To:ルゥミア
なるほど。夫婦の方は一度に殺されていたのですね。
それで、その2度の事件が同一の犯人の仕業だとお考えなのですか?

■ルゥミア To:ALL
 夫婦の方は刺殺されていました…もう1人の方は、全身凍らされて死んでいました…。でも、同一の犯人の可能性は高いのです。一件目の目撃者が、腕を凍らされていましたから………

■ルキシュ To:ルゥミア
 え? 目撃者の人も凍らされたの?
 良く無事だったね。……もしかして今でも狙われてる、って事ある?

■ギャスパー
 (腕を…?)

 思わず、依頼人の腕に目をやる。彼女は視線に気付いたのか、ギャスパーの方に両手を差し出してみせた。
■ルゥミア To:ギャスパー
 私ではないですよ。ゴンドさんという方です。

 勘違いを指摘されたギャスパーは、照れ笑いを浮かべながら頭を掻く。
 アンリは床をゴロゴロして遊んでいたがふと気がついたように動きを止める。
■アンリ To:ALL
でもさ、なんで夫婦が刺殺なんだろ?
二人分凍らすことができなかったのかな?

■ルゥミア To:アンリ
 そうね。私も妙だと思ってるの。

 彼女はアンリを子供だと思ったのか、先生が生徒に話しかけるように言った。
■コリューン To:アンリ&ALL
二人分凍らせる時間が無かったのか、魔法だとしたら精神力が足りなかったのか・・・その日の気分ってものありかな〜?
あ、でも目撃者は腕を凍らされてるんだよね。
ん〜・・・・よく分かんないや★
ゴンドさんって人に、その時の様子を聞いた方が早いかな?

■ラス To;ルゥミア
 …その目撃者は何を見たって?
 凍らされたっつー事は、犯人は見てンのか?

■ルゥミア To:ラス
 ええ、そうらしいのですが……要領を得なくて………

■ヘルムンス To:ルゥミア
要領を得ない?
いったいその・・・ゴンドさんという方は、なんという風に話していたのですか?
そうそう、そのゴンドさんというのはどういった方なのでしょう?

 その質問に、ルゥミアは少し困ったように眉を寄せた。
■ルゥミア To:ヘルムンス
 えぇ、普通の方なのですけれど……真っ黒い毛むくじゃらのモンスターが刃物を持っていて、冷気の魔法を使ってきたとか何とか………

■ギャスパー
 毛むくじゃらの魔物って、みんな何か知ってるか?
 それから、魔法のことは全然知らないんだけど…。冷気の魔法ってのは、色々ある魔法のうち、どれなのかな?
 それによって、こっちの準備も変わってくるんだろう?

 かく言う本人もわずかな知識を掘り返してみたのだが、何も思い出すことはできなかった。
■ヘルムンス To:ギャスパー
精霊呪文にも古代語呪文にも冷気の魔法というのは存在しますよ。
神聖魔法は専門外なので分かりませんが・・・

 毛むくじゃらの魔物については触れない。きっと彼にもわからなかったんだろう。
■ヘルムンス To:ルゥミア
ちょっと整理させてくださいね。

まず、黒い毛むくじゃらの刃物を持ったモンスターが冒険者の夫婦を殺害しました。
その現場を見ていたゴンドという人が、そのモンスターによって腕を凍らされてしまいました。
そしてその事件から5日後、別の村人が殺害されて、その様子が全身氷づけであった、と。
・・・このような感じでよろしいですね?
その別の村人が殺害された時はだれか目撃者がいたのですか?
まさかまたゴンドさんが目撃していたってわけではないでしょう?

■ルゥミア To:ヘルムンス
 えぇ、ウッドさんは──ウッドさんというのが三人目の被害者なのですけれど──彼は全身凍らされて……その…バラバラになっていました。発見したのは私なのですけれど、その時にはもう……。

■ルキシュ 
 ひどい……無事彼が神の身元へと行けますよう……。

 ルゥミアの話に、チャ・ザへと祈りを捧げる。
■コリューン
 人間をバラバラにするのって、すごく大変な作業だよね・・・
 (また、デーモンだったらヤだなぁ)

■ラス
 ……

 ラスは不機嫌そうに目を細め、
■ラス To:ルゥミア
 …で、そうだな、その村はどこにあるんだ?
 それから、以前にもモンスターが出たことがあるとか、 もしくは村で何かトラブルがあったとかさ。
 何でも思い当たることがあれば、教えてくれよ。

■ルゥミア To:ラス
 いえ、モンスターなど出たという話は……ただ、冒険者の方、ダロンさんとおっしゃるのですけれど、他の村人とはあまり交流のないというかあまり仲が良くなかったというか…その、トラブルも時々………

■アンリ To:ルゥミア&ALL
でさ、でさ。その夫婦って冒険者だろ?
ファイターなのかソーサラーなのかなんなのかは知らないけどもしもファイターとかだったら刺殺なんだろ?
相手もかなり剣が使えるってことになんない?
ん?毛むくじゃらで黒くて剣が使えるってことは人型なのかな?
もしかして、口で咥えてたとか?
わっかんないや♪ちょっと、考えよっと♪

 アンリはお茶を勢いよく全部飲み干すとまたゴロゴロしながら考え始めた。
■ルゥミア To:アンリ
 ええ、でもダロンさんは戦士さんではなくて、魔術師さんだったのよ。奥さんのストナさんもね。お二人が剣を使えたかどうかは、使っているところを見たことがないから分からないわ。

■ルキシュ To:ヘルムンス&ルゥミア
 魔術師、って事は賢者の塔で情報集められるかな?
 ところで、さっきラスも聞いたけど、ボラン村ってどこにあるの?
 ここから遠いのかな? 気候はどんな感じかな?

■ルゥミア To:ルキシュ
 歩いて5日ほどです。気候は……今年は少し冷え込みが厳しいみたいですから、少し厚着をした方がいいですよ。

■ラス To:独り言
 寒ィのか…マントだけじゃ厳しいか?

 思わず軽い財布の中を覗きこむラス。
■コリューン
 (サラマンダーでも召喚しておくかね・・・)


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ゆな<juna@juna.net>