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Sword World PBM #64
モノクロームの吐息




銀の網亭・個室

 一方、部屋の片隅で熟睡するラス………。
■ラス
ごろごろごろ…

ごんっ!!

 延々寝返りして、テーブルの足に頭をぶつけ………そしてしばらくして、頭をさすりつつ、むくりと起き上がった。
■ラス To:ALL
んん……
おはよーさん。

ちっと、目覚ましにトマトジュースでももらってくるわ。

 そう言い残すと、ラスはそのままふらりと部屋を出て行った。
■ルキシュ To:コリューン
ちょっと待って! ボクも行くよ。
二人で手分けして書いた方が早いでしょ?

 ルキシュはまだ濡れた顔で慌てて戻ってきた。
■ヘルムンス To:ルキシュ&コリューン
それじゃあ、私もついていきましょう。
2人でも書くには大変なくらいたくさん依頼があったようですし。
・・・もっとも、今でも残っているかどうかは分からないですけどね。

■ギャスパー To:アンリ
どうする? 俺達も一緒について行こうか?

■アンリ To:ギャスパー
読めない、書けない、わからないの三拍子揃ったオレに何を言う!!
ま、それは置いといて急ぐならオレは一緒に行かないでおくよ。
ラスが戻ってきた時に誰もいないのは寂しいじゃんか♪
でも、ラスが戻ってくるのを待つ時間があるなら一緒に行くよ♪

■ギャスパー To:アンリ
フッフッフ…。「読めない、書けない、わからない」? それなら俺様だって負けちゃいないぜ!!
…というのはともかくとして、ラスが行ったのも、依頼書が貼ってあるのも、下の酒場なんだろう? みんなで行っても、すれ違うことはないだろうし、付いてってみようぜ。

■ヘルムンス To:ALL
過半数が行くというなら、あまりメモする意味はないですね。(^^;
それならば皆で行きましょう。
そこでめぼしい依頼を2,3絞ってメモを取って、またここに戻ってきて再検討でもいいんじゃないですか?
もちろん、その場で決めてしまってもよいですし。
ただ、あまり大勢で長居すると迷惑でしょうから、迅速に行動したほうがいいですね。

 というと、ヘルムンスは皆をうながすように扉のほうへ歩いていく。
■ギャスパー To:ヘルムンス
アイ・アイ・サー!

 おどけたように敬礼すると、ハープをおいてヘルムンスに続く。リーダーシップを示されたことで、ちょっと安心したようだ。
■コリューン To:ヘルムンス&ALL
そんじゃ、パっと見に行って、パっと依頼書引っぺがして、パっとお仕事決めちゃおう♪
我が行くは、依頼書の大海〜☆

■アンリ TO:ギャスパー&ヘルムンス
う〜ん、それもそうか。
じゃ、オレも行く!!待って待って〜♪

 アンリとコリューンは、何故か踊りながらみんなの後をついていく。
銀の網亭・一階

 部屋を出たヘルムンスは、酒場の片隅、冒険の依頼がいくつもはりだしてある掲示板の前までやってきた。
■ヘルムンス To:ALL
さて・・・どのような依頼がよいでしょうか・・・

 それぞれの依頼を、吟味するようにひとつひとつ見ていく。
■ルキシュ To:ALL
何か沢山あるねぇ。
えーっと、きのこ探しに人捜し……でもほとんど決まっちゃってるね。

 人だかりを避けるように覗き込む。
■ラス To:ALL
よォ。

 トマトジュースを手に、近付いてくるラス。
■ラス To:ALL
全員で依頼見に来たのか?
なんか、あんまり危なくなさそうなのはねェかねえ?

 ラスの言葉にウンウンとうなずくギャスパー。便乗して自分の希望も申告。
■ギャスパー To:ヘルムンス
…懐が、かなり寂しいんだ。ちょっときつくてもいいから、なんとか三食ベッド付きの仕事を選べないかな…?

 希望を述べるギャスパー達を横目に、ルキシュはカウンターに目を向ける。
■ルキシュ To:おやじ&おかみ
ボク達向きの仕事ってないかな?
うちのパーティ、4人が初めての依頼になるんだ。
失敗して依頼者をがっくりさせたくないし。

■おやじ To:ALL
 うーん、そうだな、そっちの魔法に詳しい人がどうこうってのはどうだ?ヘルムンスがいればなんとかなるんじゃないか?
 それ貼っていったのは若い娘さんで、結構か

■おかみ To:おやじ
 記憶力いいのね。

 おかみは洗った皿を棚に運びながらぽつりと言った。おやじの言葉が中断され、おかみが皿を置く音がことさらに大きく聞こえる。
■おかみ To:おやじ
 女の子のことは。

■おやじ To:ALL
 ま、まあ、ほら、色々あるから好きなのを選んでくれや。

■ヘルムンス To:おやじ
おやじさん、大変そうですね・・・(^^;
それはそうと、この依頼ですか。

 おやじの言った依頼書を注意して読み直すヘルムンス。
■ヘルムンス To:ALL
殺人事件の調査ですか・・・はずれくじを引かなければ、リスクは少なそうですね。
成功できるかどうかは私達の腕1つにかかってくるわけですが、これならばモンスター退治や遺跡探索の経験を重ねた方たちも私達も条件はさほど変わらないでしょうし、そういう意味ではわれわれ向きともいえますね。
問題は、報酬額が書いてないってことですが・・・

■ギャスパー To:おやじ
こんな美人の連れ合いがいるおやじの保証付きだ、相当可愛い女の子らしいな。その仕事、儲かりそうかい?

それにしても、仲がいいね、お二人さん♪

■ラス To:おやじ
思いっきり尻に敷かれてんなァ。
ま、おかみさんがあんだけ美人なら、仕方ねェかな。

 そう言いながら、掲示板から依頼書をぺりっとはがし、
■ラス To:ALL
魔法に詳しい、ねェ…
…殺人事件? エラく物騒な依頼だな。

■おやじ To:ALL
 まぁ、こうと書いてなくても、冒険者にする依頼なんて似たようなもんだ。多かれ少なかれ危険はあるさ。
 …そういえば依頼書に報酬が書いてないな。6人で2000くらいは出るらしいぞ。

■ルキシュ To:ALL
殺人事件! 人が人の命を無闇に奪うなんて許されない事だよ。
ヘルムンス、これにしようよ!

殺人事件と聞いて、ルキシュは拳を握る。
そしてヘルムンスに詰め寄る。
■コリューン To:ALL
殺人事件かぁ・・・前に殺人犯を捕まえるって仕事をした事があったけど、
そン時はデーモンが出て来て、みんな揃って死に掛けたんだよね・・・

 ぼそっと、コリューンは呟いた。
■ラス To:ALL
デーモン…

よし、じゃ、これはパスな(笑)

 と、丁寧に依頼書を張りなおすラス。ルキシュはラスが張り直した側からはぎ取る。
■ルキシュ To:ALL
デーモンが出るなら尚更だよ!神は邪悪なる物の存在を許してないんだから。
デーモン倒せて、殺人事件まで解決できたら一石二鳥! チャ・ザ様、ボク頑張ります☆

■ヘルムンス To:ラス&ルキシュ
まあまあ2人とも。
よっぽど運が悪い限りデーモンなどに出会うことははないと思いますよ。(^^;;;
そして、それでももし出会った場合は私達だけでなんとかしようとはせず、彼らを倒しうる力を持つものの手を借りることこそが、邪悪なものを滅するより確実な方法です。

■コリューン To:ラス&ルキシュ
ンでもって、更に運が悪いと魔剣を振り回すニーチャンまで出て来て、殺されかけるにゃ〜★

■ラス 
………

…冒険者って…

 遠くを見つめながら、考え込むラス。
■コリューン To:ラス&ルキシュ
・・ま、解決したんだけどね。犯人も魔剣に取り憑かれてただけで、本当は良いコだったし。
今はチャ・ザ神殿で働いてるはずだから、機会があったら会いに行ってみそ☆
そんじゃ、この依頼にしますかね〜♪

■ギャスパー To:ルキシュ
(デーモン? 魔剣? ルーキーの仕事にしちゃ、ハード過ぎねえか?)

おい、ルゥ。俺にも、その依頼書を見せてくれよ。

…ふーん、まるで探偵みたいな仕事だな。俺はあんまり役に立ちそうにないけど…。ヘルムンスさんとコリューン…さん…が大丈夫と思うなら、俺は構わねえぞ。

 自分にも読める言葉で書いてあることに、ほっとしながら意見陳述。
■ラス To:ヘルムンス、コリューン
そうだな、ま、百戦錬磨のあんたらがいりゃあ、
デーモンだろうが魔剣だろうがドラゴンだろうが、なんとかなるだろ。

んじゃ、俺もこれで構わねェぞ。

■ヘルムンス To:ラス&アンリ&ALL
さすがにドラゴンとかが相手ですと、なんとかなりようもないと思いますが・・・(^^;
まぁ、しかしそんな奴等が相手になるという可能性は低いと見ますし、リスクのない冒険などないのですから、この依頼でよいのではないですか?
アンリさんはどう思います?

■アンリ To:ALL
えっと?魔法が詳しい人がどうこうっていう美人な女の人が殺人事件でリスクが変わらなくて殺人犯がデーモンで魔剣をもって死にかけてチャ・ザの神殿で働いている依頼?なんだ、それ?

 依頼書が読めないので皆の話を適当にくっつけたらこうなったらしい。
■ギャスパー To:アンリ
(こいつ、俺並みのアホだ…)

お、依頼書を独り占めして悪かったな。俺が読んでやろう。
えーと、…

 たどたどしく、依頼書を共通語に翻訳して読み上げる………

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ゆな<juna@juna.net>