SWPBM#63

すれ違う想い

Chapter2:数奇なる家庭

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ハインリッヒ邸

依頼人宅を訪れた、ラヴィ、レヴィック、ルリィ。
3人が目にしたのは、大豪邸と言うほどではないものの周囲の家々に見劣りしない立派な館でした。
■レヴィック To:ラヴィ&ルリィ
結構なお屋敷ねぇ…

■ルリィ To:レヴィック&ラヴィ
ほんと…門の装飾とかも凝ったつくりですし……

■ラヴィ To:レヴィック&ルリィ
そうね・・・でも気負う必要はないわ。堂々と行きましょ。

そう話しているうちに、使用人と思しき人物が、3人に気が付き、門までやって来ます。
■ 使用人 To:ラヴィ,レヴィック&ルリィ
・・・・・あの、どちら様でしょうか?

■ラヴィ To:使用人
あら失礼。
私はラヴィ、銀の鋼亭で張り紙を見てきたのだけど ルハイムさんはいらっしゃるかしら?
依頼について少しお聞きしたいことがあるのですけど・・・。

■レヴィック To:ラヴィ&ルリィ
出てくるのがお決まりの太っちょのオヤジだったりしたら嫌だわぁ

こそこそと(笑)
■ルリィ To:レヴィック
くすくす(^-^)

■ 使用人 To:ラヴィ,レヴィック&ルリィ
これは、失礼いたしました。少々、お待ち下さい。

使用人が館内へ戻ると、その少し後に、きっちりとした服装をした青年が館より出て来ました。
■ リーベルト To:ラヴィ,レヴィック&ルリィ
ようこそ、いらっしゃいました。
私は、依頼人のルハイム・ハインリッヒの子で、リーベルトと申します。
どうぞ、こちらへ。

リーベルトは軽く会釈すると、3人を館の中へと招き入れます。
外見同様、玄関ホールも広く、目障りにならない程度に--しかし、目には止まる程度に--調度品が幾つか置かれています。
レヴィックはおとなしく案内をされつつ幾つか質問をします。
■レヴィック To:リーベルト
ご挨拶どうも、あたしは、レヴィック=アルドー。ご子息が直々ご案内とは恐縮しちゃうわね。
そう言えば依頼書も代理人だったようだけれど、貴方が?

■ リーベルト To:レヴィック
ええ、私が参りました。

その時、2階へと通じる階段に人影が現われました。
■ ? To:ラヴィ,レヴィック&ルリィ
・・・・・・・・・・・・

■ルリィ To:?
えと・・・こんにちわ(^-^)

ト書き:その人物は、無言で3人を睨み付けると、奥の部屋へと行ってしまいます。
■ リーベルト To:? >ALL
ケイヒル! お客様方に対して失礼だろう!!

・・・・・失礼しました。今のは私の弟でケイヒルと申します。
末っ子のせいか、我が侭な所が御座いまして・・・

リーベルトは申し分けなさそうに謝罪します。
■ラヴィ To:リーベルト&レヴィック、ルリィ
大丈夫、気にしてないわ。でも随分嫌われてるわね・・・。
私たち・・・というよりは冒険者が、かしら?

■ルリィ To:リーベルト&ラヴィ、レヴィック
同じく気にしてませんので、ご心配なく(^-^)

(ちょっと小声で)冒険者が――というより、父の依頼を受ける冒険者だから、かもしれませんよ。
まぁ根拠なき憶測ですけどね(苦笑)

■レヴィック To:ALL&ルリィ
そうね〜あれは本人の躾の問題ね。

(同じく小声で>ルリィ)
…いやねぇ…家庭の問題は家庭で始末つけてくれなきゃ(笑)

■ルリィ To:レヴィック
(小声で)まぁ家庭の問題なんて、家族内で解決出来ないことの方が多いですけどね(^-^;;

その後は特に何事も無く、かなり奥の方の部屋へと3人は通されました。
リーベルトが軽くノックをし、用件を述べると、ドアを開けます。
どうやら、当主の寝室のようです。
部屋の奥にあるベッドには、初老の男性が横たわっており、その横には彼よりも10歳以上は若く見える女性が連れ添っていました。
■ ルハイム To:ラヴィ,レヴィック&ルリィ
わざわざ興しいただき、有難う御座います。私が依頼人のルハイムで御座います。
本来なら、私の方からお伺いすべきなのですが・・

体を起こしながら、ルハイムはそこまで言うと、咳き込んでしまいます。
■ルリィ To:ルハイム
あのっ、大丈夫ですか?

思わず近寄り、ルハイムの背を支えました。
■ラヴィ To:ルハイム
失礼ですが、どこか患われていらっしゃるご様子。無理をなさらずともそのままで結構ですよ。

微笑み、身を起こそうとするルハイムを静止します。
■ラヴィ To:ルハイム
まだ名乗っていませんでしたね。私はラヴィ、こちらの二人は仲間のレヴィックとルリィです。

さっそくですけど依頼について少し聞きたいことがあるのですがよろしいですか?

と、傍らの若い女性に目をやり。
■ラヴィ To:ルハイム
・・・こちらの女性は?

■ ルハイム To:ラヴィ&ルリィ>ヨハンナ&リーベルト
・・・申し訳ない。御厚意に甘えさせていただきましょう。
紹介が遅れましたが、こちらは私の妻、ヨハンナで御座います。
ヨハンナ、すまないが暫く席を外していてくれないかね?リーベルトもだ。

■ ヨハンナ To:ラヴィ,レヴィック&ルリィ
皆様、どうぞ、ごゆっくり。

ヨハンナは3人の為にお茶を用意し、軽く会釈すると、リーベルト共に部屋から出て行きました。
■レヴィック (独り言)
若い奥様ね〜後妻さんか何かかしら。
さて、人払いしてまでのご依頼って何かしら?

■ルリィ To:ルハイム
あの・・・依頼のお話を伺いたいのはもちろんですけど、もし話の途中で具合が悪くなったりしたら、ちゃんとおっしゃってくださいね?
無理は身体に良くありませんから(にっこり)

■ルハイム To:ALL
 お気遣い、ありがとうございます。
 それで依頼というのはですな……依頼書通りの内容なのですが、私の息子………ルドリック・ハインリッヒを探し出して連れ戻して欲しいのです。
 十年以上前に家を飛び出してから、何度も探しては見たのですが息子の方が私を避けているようでしてな………なかなか消息を掴めんかったのです。最近になってようやく、冒険者として名をあげていると言うことが分かったので同じ冒険者の方なら何とかしてもらえると思い、依頼を出した訳なのですが………。
 お願いできますかな。 

■レヴィック To:ルハイム
依頼は受けるつもりでは来てるから…いいんだけど、ちょっと気になる事があるの。それを確認させてもらって良いかしら?
まず…家を飛び出した…ってことはそれなりの何かがあったってことよね?彼がそうするような理由に思い当たる事はあって?

レヴィックの質問が出るとルハイムはしばらくの間沈黙しました。
過去を思い返すように定まっていない視線で顔を大きく上下させると悲しそうな表情になりました。
■ルハイム To:レヴィック
思い当たりですか………ありますよ………十分に。

そもそも今ここにいた私の妻は後妻でしてな………。ですが、ルドリックは前妻との間の子供なのです。
後妻と結婚するに至った経緯を話すと長くなるので一言で言ってしまうと、私が今の妻と結婚することが気に入らなかったんでしょうな………。大変母親思いの子でしたから………。


■ルリィ To:ルハイム
じゃあ…ルドリックさんが貴方を避けているのも、その辺りが原因で……?

■ルハイム To:ルリィ
 えぇ………なんと言いますか………前の妻はあまりに真面目で貞淑だったので、物足りないものを感じていたのですな………そのとき没頭していた愛人が今の妻でして………。
 そのために前の妻が重い病を患っていたことに気づかず………、気づいたときには全てが手遅れで………。
 亡くしてから妻を愛していたことに気づきました………わたしは………。

話しているルハイムの目からは一滴の涙がこぼれ落ちました。
■ルハイム To:ルリィ
 ………お見苦しいところを失礼しました。それ以来ですかな………ルドリックが私のことを避けるようになったのは………。

 ルドリックが出ていくのを決定づけたのはその愛人と結婚したことでしょうかな………。妻を失って塞ぎ込んでいたときに今の妻がいろいろと優しく気遣ってくれまして………そのときには子供がすでに出来ていたこともありましてな………今の妻と結婚したわけですが………。
 前の妻に対する嫉妬心もあったのでしょうが、今の妻はルドリックに辛く当たっていたようで………。今の妻との第二子が生まれたときに家を出ていってしまったのです………。


■ルリィ To:ルハイム
そうだったんですか……。
しかし今、ルドリックさんを呼び戻したいのはどうしてですか?
もちろん消息を掴まれたからでしょうけど…戻ってきても…あの……ヨハンナさんとは以前、あまり仲がよろしくなかったのでしょう?
今戻ってきても、ルドリックさんはまた窮屈な思いをするのではありませんか?

■ルハイム To:ルリィ
それなのですが………戻ってきてもらうわけではなくて。
見ての通り、私も今病を患っていましてな………。もう長いことはないそうなのですよ………。
皮肉というのか、天罰を受けたというのか………前の妻が患っていたものと同じ病でしてな………

言い終わると、ルハイムはもう一度激しくせき込みました。
■ルハイム To:ルリィ
ふぅ‥‥‥失礼しました。
とにかく私は………前の妻には何もしてやれなかったから………せめてその忘れ形見であるルドリックだけにでも詫びたいのです。
そしてその証として、私が死んだときには遺産を一部相続させるつもりなのです。
ルドリックと向かいあってその話をしたいのですよ……。

■ラヴィ To:ルハイム
なるほど・・・言いたいことはわかりました。
ですが、遺産相続をさせることに奥様、ヨハンナさんは賛成しているのですか?
もし、反対していらっしゃるならルドリックさんが窮屈な思いをするのは変わりませんよ?

■ルハイム To:ラヴィ
えぇ………そこのところは大丈夫です。
妻にも息子にも訳を話して了承してもらいました。
ルドリックが出ていってしまった時は妻も後悔していたようですから………。

■レヴィック To:ルハイム
ふぅん…。まぁ、その辺りはしようがないかもね〜前の女の子供なんてなかなか素直に可愛いなんて思えないでしょうし。

それは良いとして、仮に…だけれども彼に、”貴方が亡くなった前の奥様のこと愛してたって証拠は?”っていわれちゃうと困っちゃうんだけど?だって現に今の奥様と再婚しちゃってるんだし。こう、亡くなった奥様の手紙とか…何かないのかしら?その証になるような物って。
(正直、アタシ自身、貴方の言葉を素直に信じて良いモノかわからないのよねぇ…。アタシの父もそうだったし…。)

レヴィックは自分の境遇と重ねあわせてちょっと苦い顔を浮かべました。
ルハイムは一瞬引きつったような表情を浮かべました。それから視線を落とし、もう一度深くため息をつきました。
■ルハイム To:レヴィック
そ………そうでしたな………いまさらこんなことを言っても息子は信じてくれないでしょうな………。
………しかし何とか説得して欲しいのです………が‥‥‥。

■レヴィック To:ルハイム&ALL
…ふぅ。ゴメンナサイ、別に攻めてる訳じゃないのよ…。
まぁいいわ、アタシにも思い当たる境遇だし……なんとかするわ。ね?ラヴィちゃん、ルリィちゃん。

■ラヴィ To:レヴィック&ルリィ
とーぜんね。こんな話を聞いちゃったからには、私1人ででも受けさせてもらうわよ(^ー^)

すっかりやる気になっているようです。
■ルリィ To:レヴィック&ラヴィ
えぇ。頑張りましょうね(^-^)

■レヴィック To:ルハイム&ALL
じゃぁ最後に依頼の確認。息子さん…をとにかく連れてこれればOKってことでいいかしら?その後の事はアタシ達じゃどうにもできないし。

■ルハイム To:レヴィック
そういうことです。よろしくお願いします。

■ルリィ To:独り言
私たちがルドリックさんを連れてきて……その後彼が遺産を相続するかどうかは彼の心次第ですものね…。
まぁ、彼は冒険者として成功を収めているのですし、受け取る確率は低い気もしますけど。

■レヴィック To:ラヴィ&ルリィ
さて…と。
さすがにこれ以上、病人のトコロに長居するのは良くないわね…。そろそろ引き上げましょうか?

■ラヴィ To:レヴィック&ルリィ
そうね、そろそろ引き上げましょう。
ルリィちゃんはまだ聞くことある?

■ルリィ To:ラヴィ&レヴィック、ルハイム
いいえ。ですが・・・・

最後に1つだけ言わせてください。……遺産を相続させるだけが、償いの手段とは限りません。
私たちが彼をここに連れてくるまでの間でいいですから、そのことを少し考えてみてはくれませんか?(にっこり)

■ルハイム To:ルリィ
………分かりました。息子が納得してくれる方法を何とか考えてみましょう………。

■ラヴィ To:ルハイム
それでは私たちはこれで失礼します。
息子さんはきっと連れてきますから・・・・。
お体大事にしててくださいね。

こうして依頼について聞き終えた三人はハインリッヒ邸をあとにしたのでした。

「銀の網」亭(幸せの木)

エデン、エコー、フレイムフォレストの3人が酒場へ戻ってみると、集まっている冒険者達の顔ぶれは若干代わっていましたが、喧騒の方は相変わらずでした。
■ おやじ To:エデン,エコー&フレイムフォレスト
お?お前らは依頼人の家には行かなかったのか。

■ エデン To:おやじ
ええ。大勢で押し掛けてもご迷惑でしょう?
それに幾つか聞きたいことが御座います。
ルドリック様についてですけれど、ご存知でしたら詳しくお聞かせ願えまして?

■ おやじ To:エデン
ルードについてかぁ・・・・ん〜、今更聞かれてもなぁ。
なんかもう、客って言うより下宿人なんだよな、あいつら。

おやじは腕を組んで、考え込みます。
■ フレイム To:おやじ
という事は・・・ここに住んでいるようなものか。
戻って来ると・・いいのだが。

■エコー To:ALL
…お部屋にルードさまの荷物とかが置いてあれば戻ってくる可能性は高いと思うのですけれど。

■ おやじ To:フレイムフォレスト&エデン
ああ、部屋を1つ借りきって、完全に住み着いちまってるよ。
・・で、ルードの話なんだが・・・・・・・・強いぞ。
元々腕っ節が強かった上に、かなりの場数を踏んでるからな。
だが、そのせいで昔は態度が悪くてなぁ。
あちこちで喧嘩沙汰を起こしちゃ、仲間のイルウェンが謝って回ってたよ。
今は、そうでもないけどな。随分、人が丸くなったよ・・あいつにしては、な。

最後に一言加えると、おやじは苦笑をもらしました。
■ フレイム To:おやじ
・・・その、イルウェンと言う仲間についても、少し聞かせて欲しい。それと、ルドリックを最後に見たのは?

■ おやじ To:フレイムフォレスト
イルウェンは、ルードの仲間の盗賊だ。遺跡専門のな。
気さくな奴だよ。人当たりが良いから、交渉に当たる事が多いな。
もっとも、そのせいでルードの為に謝って回るはめになっちまうんだが。
ルードを最後に見たのは・・・いつだったっけか?
すまん、よく覚えてないんだ。2日3日前にはいたはずなんだが・・・
他の連中なら、知ってるかと思うぞ。ははは。

おやじは笑って誤魔化すと、店内にいる冒険者達の方を顎でしゃくりました。
一行は親父の態度を不信に思いながらも皆に相談をします。
■ フレイム To:ALL
・・・話を聞いた限りでは、ルドリックが依頼人に対し、何か不都合な事をしたと言う予想が自然なのだが・・・。
そうなると、イルウェンと言う者も、探した方が良いだろう。
盗賊を探すのなら・・・ここよりもギルドの方が早いかもしれないな・・。

■エコー To:ALL
それに……マスターさまの歯切れの悪さも気になりますわ。
核心とまではいかないまでも、何か思い当たる事はおありになるかも知れませんわね。

マスターには聞こえないようにこっそりと言います。
■ エデン To:ALL
喩え依頼であれ、お得意様に不都合なことはお話し難いと存じましてよ。
それに組合が直接構成員を売るとは思えませんけれど、、、まぁ、ルドリック様につきましては何かお聞きできるかしらね・・・。
ひとまず、他の常連客の方々にでも伺ってみますわ。

■エコー To:エデン
はい。そうですわね。

エデンに向かって大きくうなずきます。
■ フレイム To:エデン
・・・それも・・そうか。話を聞くぐらいなら大丈夫だと思ったのだが・・。

■ エデン To:他の客
もし。
ルドリック様について何かご存知ございませんこと?

■冒険者A To:エデン
ルドリック? どこのルドリックだ?

■冒険者B To:冒険者A&エデン
酒屋の隠居が、そんな名前じゃなかったか?

■冒険者C To:冒険者A&B、エデン
例の貼り紙関係じゃない? ほら、人探しのサ。
ルードの事で良いのかしら?
用があるならお生憎様ね。
彼、一昨日だったかに依頼を受けて、出掛けちゃったわよ。

■ エデン To:他の客
どのような依頼でどちらに出かけられたかはご存知ございませんこと?

冒険者Cは肩をすくめながら答えてきます。
■冒険者C To:エデン
さぁ………どんな依頼だったかまでは覚えてないわ。
でも、遠出する依頼はあまり受けたことないらしいから、今回もすぐに帰ってくるんじゃないかしらね。

■ フレイム To:ALL
・・・これを機に遠出の仕事を受けた可能性も・・も、あるが・・キリが無いな。

腕を組んで考え事を始めます。
■エコー To:エデン&フレイム
…依頼を受けて出かけてしまわれたようですわね。
どう致しましょう?
 やはりこちらで戻られるのを待っていた方が宜しいのでしょうか。
それとも……。

■ エデン To:エコー
当然後を追うべきですけれど、とりあえずは依頼人様の方に出かけられた方々を待ちますわ。

というわけで、こちらの三人は聞き込みを一旦終え、お茶会の時間と相成ったのでした(笑)


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GM オーイシ
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