「稼ぎに追いつく貧乏なしと言うけれど、
稼ぎを追い抜く貧乏神もいるから困る」(北条国水)
シーフギルド ミスティの部屋 |
リュセラがいつも通りの手続きをふんで奥の部屋に向かうと、そこにはヤスリで爪を整えている暴風のミスティこと、ミストラルがいた。
■ ミスティ To:リュセラ |
今日も情報かい? まあ座んなよ。 |
爪を研ぐ手を休めることなく、顎で空いた椅子を勧める。
勧めにしたがってんしょ、と座ってから、
■ リュセラ To:ミスティ |
そのうち、座るだけでお金取られるんじゃないかって気が気でないんだけど。 今日は暇潰しとか冷やかしじゃないからね。 暇そうな姉さんに、どうしても聞きたい事があって参りました。 |
■ ミスティ To:リュセラ |
一言多いよ。 で、その暇なあたしに何が聞きたいんだい? |
■ リュセラ To:ミスティ |
姉さんの歳と、彼氏が居るのかが……。 |
真顔でたずねる。
■ ミスティ To:リュセラ |
知りたいんなら、まずは出すもの出してね。 ただし、かなり高くつくよ? そんなことより、さっさと本題に入ったらどうだい? |
■ リュセラ To:ミスティ |
うー。 (軽い冗談なのに、高値で隠すし) 聞きたいのは、貴族のフェバーク家の事なんだけど。 |
家の場所。そして、後継者の情報が欲しいと告げる。
■ リュセラ To:ミスティ |
後継者の話は、名前と後継者である理由を知りたいの。 何か噂話もあれば合わせて聞きたいな。 |
そう言いながら、財布から、金貨を2枚出して見せる。
■ リュセラ To:ミスティ |
こ、れ、で。 お願いしますミスティさん。もう、貴女だけが頼りなんです。 |
■ ミスティ To:リュセラ |
ああ、苦労してるみたいだね。 まったく、厄介なとこ敵にまわして。 うちのお得意様だし、あんまちょっかい掛けるんじゃないよ。 歴史があるっていうのは、それだけ暗部も深いってことなんだ。 |
■ リュセラ To:ミスティ |
うん。 |
姿勢を正して、ちゃんと聞いておく。
シュショーな心がけ。
■ ミスティ To:リュセラ |
で、質問の件だけど、場所は、ここね。 後継ぎの名前は、ケネスって言うんだけど、まだ十かそこらのぼっちゃんだね。 現当主もそろそろ先が見えてきてるし、ずっとフェバーク家に仕えてきた執事がいるし、そいつらが家をまとめて行くんだろうさ。 何で、そんなお子様が跡継ぎかって言うと理由は簡単。現当主の息子だからさ。 |
■ リュセラ To:ミスティ |
質問。 (現当主の)子供は一人だけ? |
追加料金だなんてけち臭い事言わないで下さい──と内心思いつつ聞く。
■ ミスティ To:リュセラ |
表向きはね。 ……おまけの情報だけど、フェバーク家のご落胤って話は、一昔前は結構有名な噂だったよ。 そうそう、確か……。 |
がそごそと何か探していたかというと、一枚の絵姿を取り出した。
底には、今より多少年を経たエレックが描かれていた……。
■ ミスティ To:リュセラ |
どうだい? なかなかいい男だろ。 でも、なかなか奥方との間の子供に恵まれなくってね。 それが、たまたま手をつけたメイドとの間に子供ができちまった。 さすがに家の方では大騒ぎだったようさ。 結局、多少の金を与えて、子供が産まれる前に追い出されたようだね。 |
■ リュセラ To:ミスティ |
ふーん……。 父親似なんだ。 |
絵姿を眺めて呟く。
■ ミスティ To:リュセラ |
そして、これはほとんど知ってる奴はいないんじゃないかなっていうとっておき。 現当主が、証にとペンダントを送ったとき、その子供の母親は、もう一つのペンダントを願い出たらしいよ。 |
■ リュセラ To:ミスティ |
証って何の?? |
■ ミスティ To:リュセラ |
さあ、あたしが知ってるのはここまでだ。死なない程度にがんばっといで。 そうそう、安心しな。このおまけ分のお代は、リーザに賭けのツケで払ってもらうから。 |
■ リュセラ To:ミスティ |
わぁ、それは大安心(^^ それじゃ、今日はこれで帰るね。 |
片手を軽く振り、部屋を出ようとする。
■ ミスティ To:リュセラ |
もう一度いっとくよ。 あたしでも、あんまりあの家にちょっかい掛けたら庇いきれないからね。 |
■ リュセラ To:ミスティ |
うん、判ってるから大丈夫。 |
スラム街 裏路地 |
冒険者達は、エレックの話からムートという男を探した。
様々な有名人のゴシップを売り物としているムートの居場所を見つける事は簡単だった。
最初はシラをきっていたムートは、多少脅しをれられると急に態度を変え、ぺらぺらと喋りだしたのだった。
■ イルミナ To:ムート |
早速ですけど、以前舞台のセットが落ちた時、なぜあなたはあんなところにいたのかしら? |
■ ムート To:イルミナ |
エレックの身辺調査っすよ。あの劇場はよく忍び込むんで、抜け道は何箇所か知ってるのさ。 裏道や抜け道から侵入しないと、スクープは狙えないんすよ、へへへ。 |
■ アップル To:ムート |
それにしても・・追いかけたとき、逃げるの速かったわね。 どこから逃げたのよ? |
■ ムート To:アップル |
裏口の鍵を中から開けてですよ。 |
■ アップル To:ムート |
鍵を開けてって・・ |
呆れたように、頭に手をやるアップル。
■ アップル To:ムート |
それで、あんなところに張り付いて・・ゴシップってやつを探してたのね。何か、特定のことを探っていたの? |
■ ムート To:アップル |
とにかく、なんでも。 良いネタがあれば、金になるからね。 |
■ イルミナ To:ムート |
それで、今回エレックを追っている件は普通に仕事としてなの?それとも誰かに個人的に頼まれたとか? |
■ ムート To:イルミナ |
へ? 頼むって誰が? 仕事に決まってるじゃないっすか。 |
■ イルミナ To:ムート |
でも、その商売ネタとも言えるエレックの命を狙うような...あの時どうしてセットを落としたりしたの? |
■ ムート To:イルミナ |
お、おれじゃねぇよ! 何でそんな恐ろしい事しなきゃならないんだ? あの時目の前で急にセットが落ちかかって。 それで思わず声を上げちまったんだよ。 |
■ イルミナ To:ムート |
なるほど。それではあくまでもあなたがあそこにいたのは偶然で単にエレックさんのゴシップネタを探していたということなんですね? で、そんなことまでして彼をマークしてなにかいいネタでも手に入れることは出来たのかしら? |
■ ムート To:イルミナ |
それが、異様にガードが厳しくてねぇ……。 昔から、貴族の隠し子なんて噂はあったから、その線からも当たってるんだけど……。 臭そうなのは、時期的にもフェバーク家かなぁ? ただ、あそこはきな臭い噂も多いから、俺はあんまり手ぇ出したくないけどね。 |
■ イルミナ To:ムート |
時期的に? それはどういうことなの? |
■ ムート To:イルミナ |
同じ時期に、そう何件も隠し子騒ぎが起こることもないだろう? エレックの年齢から推測するに、フェバーク家の騒ぎの時期とほぼ一致するのさ。 |
■ ムート To:おおる |
他には……そうだなぁ……でもこれはなぁ……。 |
■ アシスト To:ムート |
もったいぶらないでさっさと言ってよね。 |
苛立ったようにスタッフでこんこんと肩を叩く。
■ ムート To:おおる |
いやね、あの変わり様は何ともねぇ。 幾ら芝居に打ち込んだって言ったって、アレじゃまるで女嫌い……と言うより人間嫌いだな。 必要以上の接触を避けてるように見えるよ。 ストイックに芝居に打ち込んでるといやぁ聞こえは良いがね。 ……まるで、人が違ったようだよ。 |
■ イルミナ To:ムート |
それはいつ頃からの話? |
■ ムート To:イルミナ |
一年ほど前だよ。 |
これは、ニケルからの話と一致した。
■ アシスト To:ALL |
一年前……なにかあったのかなぁ?(’’) |
■ ムート To:アシスト |
さてねえ。 しかし、本当にいきなりの変わり様だったから、実際に人が変わったのかって思ったぐらいさ。 |
自分で馬鹿馬鹿しく思ったのか、ムートは苦笑しながらそう言った。
■ ジーク To:ムート |
確かに・・・・馬鹿馬鹿しいですね(苦笑) |