「我々は、自ら幸、不幸をつくって、
これに運命なる名称をつける」(ジョンソン)
劇場 小部屋 |
(ト書き) 冒険者達は、エレックを交えて、ギルドから戻ったリュセラの話を聞くことにした。
リュセラは、これまで調べたことの要点をざっとまとめて話した。
■ リュセラ To:エレック |
それで判ったんですけど。 もう一つ、あざみの紋章が付いたペンダントを持ってますよね? |
唐突なリュセラの質問に、エレックは顔を歪めた。
■ エレック To:リュセラ |
……誰かに聞いたのか? …………それともまさか! 以前、机の中の物の位置が変わっていた気がしたんだが、まさか君が? |
■ リュセラ To:エレック |
聞いた事です。 セイルは二つのペンダントを渡した、と。 ……私が机の中を探ったなら、物の位置は変えません。 |
部屋を漁った事は無かった事にするらしい。
■ エレック To:リュセラ、おおる |
…………。 今更持っていない、などと言っても仕方がないな。 |
■ ジーク To:エレック |
そちらの方も調べさせてもらえませんか? もしかしたらそちらの方にもなにか入っているかもしれませんし。 |
■ エレック To:ジーク |
…………分かった。 ちょっと待っていてくれ。 |
と、部屋から、隠していたペンダントを持ってくる。
■ エレック To:おおる |
これだが。 |
そう言って取りだした物は、以前リュセラが開いた物と寸分違わぬペンダント。
■ ジーク To:エレック |
そちらも開きそうですか? |
中には、全く同じ文面が。
■ リュセラ |
いいな、こんなの二つ貰えて。 |
■ アップル To:エレック&おおる |
2つ揃っている、っていうことは・・ エレックさん、少なくとも、フェバークっていう家とは無関係ではなさそうですね。 ・・エレックさんご自身がご存じかどうかとは別の話として、ですね。 |
■ エレック |
……。 |
■ アシスト To:ALL |
でも、なんで2つあるんだろうね? 後継ぎの話がホントだとしても、それなら1つだけで充分だと思うけど……。 |
■ リュセラ To:アシスト |
えっと。 大事な物だから、予備を用意してたとか。 |
■ アシスト To:エレック |
エレックさん、何か心当たりはない? |
■ エレック To:アシスト |
……さあ。 |
■ イルミナ To:エレック |
たしか、エレックさんが持ってらっしゃるペンダントは物心がついたときから持っていたということでしたが...そちらのもう一つも昔から持っていたんですか? もしかして、もう一つの方は最近になって...例えば1年前に...手にしたのではないですか? |
■ エレック To:イルミナ |
……答えたくないな。 |
■ イルミナ To:エレック |
エレックさん... |
エレックの気持ちを充分わかっているだけに悲しげな表情を浮かべエレックを見つめる。
■ エレック To:イルミナ |
……何時だったか……君が言ったようになったね。 やはり、ここまで踏み込まれるのか……。 確かに、そのペンダントは、もともと私のものではなかった。 君たちの言うとおり、一年前に受け取ったものだよ。 |
■ イルミナ To:エレック |
そのペンダントは本当のお母様から?それとも...ご兄弟からかしら?あなたはそのペンダントの持つ意味も本当は知っていたのではないですか? |
エレックは、全てを諦めたように、しかし、太く重たい鎖から開放されたようにゆっくりと大きなため息をつくと、ゆっくりと語り始めた。
■ エレック To:イルミナ |
……本当の母は今となっては分からない。 私と彼が出会ったときには、それぞれを育ててくれた母親は、共に亡くなっていたから。 そういう意味では、実は私たちは全くの赤の他人である可能性も否定出来ないのかもしれないね。 そういう理由で、ペンダントの秘密は、今回のことがあるまでは全く知らなかったんだよ……。 |
■ アシスト (内心の呟き) |
こんなにそっくりなら、ほんとに双子だった可能性もあるけど……。 |
■ ジーク |
彼?(・・? |
■ リュセラ To:エレック |
ペンダント開けたのはお節介、だったかな? |
エレックを見ていて、『悪い事したかなぁ』と反省し始めたらしい。
■ エレック To:リュセラ、おおる |
……しかたがない事だったのかも知れない。 最終的に決めたのは私だ。 君が気に病むことはないよ。 それに、このペンダントのことだったね。 |
エレック……そう名乗っていた者の目には、我知らず涙があふれていた。
■ アップル To:エレック |
えっ・・・・ |
突然の告白に、呆然となるアップル。
■ ジーク |
なんと・・・・・。 |
■ エレック To:おおる |
その時に、エレックが言い残した言葉が、「俺の代わりに歌って欲しい」ということだった。 それが、私が彼となって歌を歌いつづける理由だよ。 彼の才能の一端でも伝えられるのなら、それで私も生まれてきた意味があるというものさ。 |
■ アップル To:エレック |
・・今、みんなを惹きつけているのは、エレックさん・・いや、エレックさんではないあなたの才能と努力ですよ。 |
一瞬だけ視線を合わせるようにしてから、
■ アップル To:エレック |
亡くなったエレックさんも、ご自分の代わりになってほしい、という気持ちではなかったのはないのでしょうか・・? あなたがいま、亡くなったエレックさんのことを想うのは、とても素敵なことだと思うんです。 でも、いつか、あなた自身のために歌うことができるようになったら エレックさんはもっと喜んでくれる・・生意気言って申し訳ありません・・・ |
■ エレック To:アップル |
……ありがとう。 しかし、私には、この劇団にいるためにはエレックとして歌を歌い続けるしかないんだよ。 |
■ アシスト To:エレック |
それって……ひょっとしてライストンさんの為でもあるの? |
■ エレック To:アシスト |
座長かい? …………別にそう言うわけではないな。 私は、あくまでエレックの影なんだ。 |
■ ジーク To:エレック |
貴方ほどの歌い手なら、”エレック”としてではなくとも十分歌劇団の至宝と慣れると思うんですけどね・・・・。 ライストンさんはこのことを知っているんでしょうか? |
■ エレック To:ジーク |
いや、知らないはずだ。 私は当然話していないし、エレックも語っていないはずだ。 |
■ ジーク To:エレック |
そうですか・・・・。 |
■ イルミナ To:エレック |
よくばれずに...二人は本当に似ていたのね それで、あなたの本当のお名前をお聞きしてもよろしいかしら? もちろん、あなたがエレックとして生きていくと言うのであればそのお名前を口にしないことは誓います。 |
■ エレック To:イルミナ |
……今はまだ、私はエレックだよ。 でも、君に本当の名前を告げられるときが来ると嬉しいな。 |
■ ジーク To:エレック |
私としては公演が無事終了したら、全てを公表した方がいいと思うんですが・・・。 貴方がエレックさんではないと分かれば、相手も手を引くかもしれません。 そしてライストンさんもこれほどの才能のある人間をそうそう劇団から追い出すとは思いませんけどね。 |
■ エレック To:ジーク |
だといいがね。 |
■ アップル To:おーる |
この問題は、とりあえずここまでにしましょう、ね?あとは、これからのことだけど・・ |
■ イルミナ To:ALL |
さて...やはり怪しいのはフェバーク家ということになるとは思うんですが、どうしましょう? 危険を承知で今回の公演が終わるまでは騒がず公演後に動き出すか、公演前にきっぱりかたをつけるか... |
■ ジーク To:ALL |
何の為にエレックさんが襲われているのかが良く分かりませんね。 フェバーク家の御家騒動ということも考えられますが・・・・・。 波風立てずに穏便にやり過ごすとなると・・・・相手が名のある貴族を相手にするのは私達ではかなり骨ですね(^^; |
■ エレック To:ジーク |
? このペンダントのせいではないのかい? |
■ ジーク To:エレック |
いえ、ちゃんとした後継者がいるのにペンダント一つでひと一人殺そうとする理由があるのかと・・・(^^; もっと深い理由があるのかもしれませんね。 |
■ エレック To:ジーク |
なるほど。 |
■ アップル To:おーる |
でも、エレックさんを狙った女もペンダントのことを言ってたのよね。 と、いうことはやっぱりペンダントが、何かしらの要素であるのは確かだと思う。。 ・・決定的じゃないかもしれないけどね、ペンダントをフェバーク家に返してしまうってのはどうかなぁ? ・・もちろん、エレックさんからペンダントを奪うことになってしまうんだけど。。 |
■ リュセラ To:ALL |
ここで深〜い理由を考え続けてても埒あかないよね。 大貴族と盗賊ギルド、相手にとって不足は無いじゃない。 (ジークの)骨が折れても、イルミナの言う通り危険を承知でこの状況を乗り切らないと。 |
他人事だから。
さすがに所有物だと、承認を受ける必要ないのか?(笑)
■ ジーク To:リュセラ |
はあ(^^;; |
■ リュセラ To:ALL |
今出来る事は限られてるんだから、それから片付けていけばいいよね。 まずは、エレック(仮)を連れてフェバーク家の当主様の所に、直接話を聞きに行かない? 今日はもう、劇の稽古が無ければだけど。 |
■ エレック To:リュセラ |
残念ながら、と言うか、今からまた通し稽古だろう。 フェバーク家のことも重要だが、やはり私にとって今一番大事なことは今度の公演だからね。 練習をさぼるわけにはいかないよ。 |
■ ジーク To:リュセラ |
とりあえずその辺は公演後のがいいかもしれませんね。 へたにちょっかい出して、やぶ蛇になるのは困りますし。 刺客さんの話しからすれば、連絡が途絶えて怪しまれるまでしばらくは何事もなさそうですし。 |
■ アップル To:エレック&おーる |
じゃぁ私たちも、今日のところはエレックさんの警護ですね。 |
■ ジーク To:アップル&ALL |
そうですね(^^ 気を抜かないでしっかり警護しましょう。 |
■ アップル To:リュセラ |
ところで、フェバーク家って・・その、怖そうなところなの? |
■ リュセラ To:アップル |
当主は、抱いた女を子供が出来たら放り出して当然と考えた奴よ。 金持ちの貴族で、盗賊ギルドのお得意様だなんてロクな家じゃないと思うな。 |
うーん、否定できないなぁ(^^;
まぁ、貴族って言うのも、きれい事だけじゃやっていけないのよ。