「働かざる者喰うべからず」(レーニン)
歌劇場 舞台 |
エレックとともに、舞台袖までやってきたジークたち。
エレックは、一人の男を呼ぶと冒険者たちを紹介し、さっさと舞台中央へ向かった。
■ ニケル To:おおる |
えっと、あんたたちが、団長が雇ったって言う護衛の人? 俺は、ニケルってーんだ。よろしく。 |
■ ジーク To:ニケル |
はじめまして、ジークといいます。よろしく(^^ 早速で申し訳ないんですが、エレックさん宛の脅迫状が残っていたら見せていただきたいんですが? |
■ ニケル To:ジーク |
脅迫状? ああ、あの手紙のことか。 って、全部見る気かい!? かなり捨てちまったが、それでもかなりの数だぜ? |
■ ジーク To:ニケル |
そんなに数がありますか〜(^^;; とりあえずここ1,2ヶ月分くらいだけお願いできますか(^^;; |
■ ニケル To:ジーク |
分かった。後で用意しとくよ。 |
■ ジーク To:ニケル |
よろしくお願いしますね(^^ |
ニケルの話を聞きながら、イルミナとアップルは注意深く周囲を見渡した。が、特に怪しい人物は見当たらなかった。
舞台上に見えるのは、エレックの他に役者や裏方らしい者が数名。
他には楽器を持った者が数名、本番時には満席になるであろうオーケストラピットで流暢な演奏を行っていた。
舞台袖には、小道具や、休憩用らしい軽食や飲み物も見える。
■ ジーク To:ニケル |
そういえば脅迫状ってどうやって届けられてきたのですか? |
■ ニケル To:ジーク |
劇場の前に置かれていたり、ファンレターと一緒に届けられたり。 脅迫状かどうかなんて、よほど怪しい封筒にでも入っていない限り、ファンレターとの違いなんて分からないしね。 |
■ ジーク To:ニケル |
それはそうですね・・・・。 そう言えば部屋が荒らされたり、セットが倒れてきたりしたそうですがその時に一緒にいた方とかってわかりませんかね? |
■ ニケル To:ジーク |
さぁてなぁ……。 大騒ぎになったし、誰が居たかまでは覚えていないなぁ。 …………もしかして、俺達を疑ってるのかい? |
■ ジーク To:ニケル |
いえ?その時の話を聞きたいだけなんですが?(^^; |
■ ニケル To:ジーク |
なら良いけどよ。 大変だったんだぜ? 最初はただの事故かと思ってたんだがよ、それが続けばなぁ。 座長も、口にこそ出さないが、団員の中に犯人が、って考えてるかも知れねえしな。 そうでなくても、エレックの奴は……。 |
■ ジーク To:ニケル |
? エレックさんがどうかしたんですか? |
■ ニケル To:ジーク、アップル |
いや、なんだ、その……。 |
■ ジーク To:ニケル |
??(^^; (何かあるんですかねぇ?) |
イルミナにエレックの護衛をまかせ、ジークとニケルのところに、とことこと近づいてくるアップル。
その姿を見つけたニケルは、
■ ニケル To:アップル |
お、お嬢ちゃんも、エレックの護衛なのかい? |
■ アップル To:ニケル |
こんにちは。はじめまして♪ 護衛のひとりでアップルリーフっていいます。 よろしくお願いしますね。(ぺこり) |
ちょこっと舞台を見渡し、
■ アップル To:ニケル |
立派な舞台ですよね。 こんなところでセットが倒れてきたら、たいへんですね ・・ところで、そのときのようすって、どんな感じだったんですか? まず、エレックさんが舞台にいらっしゃって・・・ |
■ ニケル To:アップル |
ああ、大騒ぎだったよ。 あいつに怪我されたら、この公演もやばいからなぁ。 で、事故の時の状況かい? |
そう言いながら、ニケルがその時の様子を思い出しながら、出来る限り詳しく説明する。
作りかけだった城の城壁のセットが、いきなり倒れてきたらしい。
■ ジーク To:ニケル |
城壁のセットがですか・・・・・(^^; その時舞台にはエレックさんだけだったんですか? |
■ ニケル To:ジーク |
ああ、そうさ。 丁度あんな感じで……。 |
その頃。フィナーレの近く、エレック扮する王子が、昇る月を見つめながら独唱するシーン。
女性と聞き違えるほどの澄んだ美しいカウンターテナーの歌声が劇場に響き渡る。
■ ジーク |
はぁ・・・・良い声ですねぇ・・・・。 |
■ アップル(誰に言うでもなく) |
ああいうのをカウンターテノールっていうのね・・ |
その時である。
エレックを見つめていたジークとイルミナの視界で、何かが動いた。
視界の上の方。丁度エレックの上を通り過ぎようとしていた月のセットが、不自然に揺れた様な気がしたのだ。
■ ジーク To:独り言 |
・・・・・おや?揺れてる? |
■イルミナ To:エレック |
エレックさん!上! |
■ ??? To:エレック |
あ、あぶない! |
イルミナが異変に気付き、声を上げるのと同時に、もう一つの声が重なる。
咄嗟に走り出したイルミナは、エレックに飛びついた。
間一髪、大音響と共に舞台に落ちてきたセットをかわし、エレックとイルミナはオーケストラピットへと転がり落ちた。
歌劇場 通路 |
■ アシスト To:リュセラ |
ねぇ、リュセラ姉ちゃん。あんなにふっかけちゃって大丈夫なの?(’’;) |
さきほどの交渉にちょっと引いているらしい。
そーいったことには慣れてないしね。
■ リュセラ To:アシスト |
いいの、いいの。 最初から4800だったと思っておけばいいんだから。 人を見る目に自信無い相手なんだから、素直に3000で請けてたら損するわよ。 |
■ リュセラ To:クレフ |
クレフも、あの時何か言ってくれれば良かったのに。 「私達の実力を甘く見ない事ですね、痛い目を見ますよ」 とか何とか。 ああいう交渉は押しが肝心なんだから。 |
■クレフ To:リュセラ |
そーですねぇ。あっはっは(^∀^;) |
頭を掻き掻き笑ってごまかすクレフ。彼はそういったことは苦手なのだ。
■ リュセラ To:クレフ、アシスト |
でも、このまま4週間何も起きなかったら割と楽な仕事よね。 |
■クレフ To:リュセラ |
…確か前回も、絵を運ぶだけの楽な仕事だったはずじゃ…?(-д-;) |
ロビーの案内図を頼りにするまでもなく、劇場への大きな通路を歩くリュセラ達。
その耳に、劇場の中から何かが崩れるような大きな物音が聞こえた。
■クレフ To:リュセラ&アシスト |
なっ…なんです今の音!?行ってみましょう! |
クレフは二人の反応を待たずに駆け出す。
■ アシスト To:クレフ |
さっそく何か起きたみたいだね。って クレフ兄ちゃん待ってよ〜。 |
■ リュセラ |
初日から事件が起きるなんて、やりがいのある仕事よね……。 |
そう言って、二人の後を追いだした。