- Diva the Soul Saver - 魂のディーヴァ

Epilogue

 アディの手紙を受け取ってオランに帰ると、依頼人のハンクは相変わらずの事務的な対応でそれを受け取った。もっとも、少しほっとしたように表情が緩んだところを見ると、全く嬉しくなかったわけではなかろう。
 ディーヴァと黒い台座は、結局正体の掴めないまま賢者の学院に預けられた。一目見ただけでは学院の導師も知らない代物だったようで、結局研究してみるということで、やっぱり正体の掴めないままだった。

 数日後、アディ達が無事に帰ってきた。伝聞でないのは、彼女が自ら報酬の残りを持って来たからである。その報酬は最初ハンクが言ったよりはかなり多いもので、どうやら細かい報奨金の類も含まれているらしかった。
 男爵家の方は、当主が死んでなにやら厄介なことになっているらしい。男爵自身に子はなかったが親戚筋がいなかったわけでもない、しかしどうやら男爵家の財産は死んだ男爵がほとんど使い切ってしまっていた上に事件の事後処理もあり、好んで引き継ごうという者がいないようだ。もっとも、気にするようなことでもなかろう、誰かが何とかするに違いない。

 事件の後、レイザは軍に戻ったそうだ。そういえば、どうして彼女が衛視隊の一員としてアディを追う任務を受けたのか、そのあたりの事情は分からずじまいだった。
 アディの方はというと、相変わらずせわしない様子で働いては、兄を冷や冷やさせているようだ。


ゆな<juna@juna.net>