- Diva the Soul Saver - 魂のディーヴァ

Chapter 3

領主の部屋

■ルタード To:男爵
 男爵がご不在の間、話に聞くご家宝はどうなされるのですか?
 こちらに置いていかれると、村人たちと一緒にいた二人の女たちが、好機とばかりに奪い出すかも知れませぬぞ。

■男爵 To:ルタード
 おお、それよそれ。
 危険なものかもしれないから引き渡せとぬかしおって、出任せに決まっておるわ!あれは、この俺が直接学院に持ち込んでいくらで引き取るか交渉してやるつもりだ。
 ディーヴァというらしいのだがな、知っているか?

 自慢げに(たるんだ)腹をふるわせながら男爵が言う。
■ミュン
 (まるで醜悪な妖魔のよう・・・。)

 それは妖魔に失礼だ。
■アイシャ To:男爵
 ちょっとだけ知ってるです〜。
 アンデットの力を弱めることが出来るですよねぇ。すごいです〜。
 男爵様は使った事あるですか?
 すごい魔力があるって聞いたから、きっとアイシャには無理ですねぇ…。

■男爵 To:アイシャ
 ほう、知っているのか!
 冒険者たちの間では有名なものなのか?

■バジル To:男爵
 僕は知らなかったけど、ここに来る前に話を聞きました。
 なんだかちょっと不吉なアイテムって感じだ…ですよね。
 本当はどんな力を持ったアイテムか分かんないですし。
 案外、アンデットが寄ってくるアイテムだったりしたら困っちゃいますよね。

■男爵 To:バジル
 そんなことがあるものか!見ろ。

 そう言うと、男爵は引き出しから銀色のハンドベルを取り出した。精緻な彫刻の施された、神秘的というよりはどこか可愛らしい感じのする小さなベルだ。
 もちろん、男爵が持つと絶望的に不似合いなことは言うまでもない。

 そして、そのまま、男爵はベルを乱暴に振り鳴らした。
■アイシャ
 ひゃ〜〜(@@)
 (シーアン助けて〜!アイシャ、アンデットになっちゃうよぅ!) 

■ポム
(ΟΟ)
(うわぁ〜!!考えなし!やめろ〜でぶっ!!!)

■男爵 To:ALL
 どうだ。

 乱暴に扱われていても、ベルの音色は決して耳障りではなく、むしろ控えめで優しいものだった。
 ………幸い、今のところ何も起こっていない………
■アイシャ
 ・・・・・。
 (だ、だいじょぶみたい?良かった…。シーアンありがとう。アイシャ負けないよ〜。)

■ポム
(し、心臓によくないぜ…大人しく椅子にはまってろだ)

■男爵 To:ALL
 これが聖なる音色だ。どうだ、不吉なことなどあるものか!

■ポム To:男爵
不吉どころか奇跡も何も起りませんね(^^;
(ちっちゃくて可愛いベルだけどこれって本物のディーヴァか?)

■ルタード To:ポム
 (ドワーフ語の小声で)
 むしろ、何も起こらなかったのを奇跡と感謝すべきかもの。

■ポム To:ルタード
(ドワーフ語の小声)
本物でないかも知れぬぞ(にやりん)
どのようにしてこの危険な骨董品を懐に保護するのかの?
おてなみ拝見じゃな

■アイシャ To:男爵
 突然、魔力が発動したりしないですか?
 アイシャ恐いです〜(;;)

■ルタード To:アイシャ
 何を言っとるんじゃ、アイシャどの。
 魂にしみいるような、すばらしい音色じゃったではないか。

■男爵 To:ルタード
 ううむ、そうだろう、そうだろう。

 男爵はご機嫌だ。
■ルタード To:男爵
 それにしても、単なる工芸品としても一級品の出来。
 これで魔力が備わっているとなれば、学院はさぞ高値で引き取ってくれるでしょうな。

■男爵 To:ルタード
 おお、そうかそうか。実はな、どんな力があるか分らない魔法の品は二束三文にしかならないと聞いたことがあってな、いやいやこれで安心したぞ。
 小娘どもにくれてやらんでよかったというものだ。

■ミュン To:男爵
 貴方はこの付近の領主でしょうから、この辺りの事は何でも御存知なんでしょうね。
 この辺りがアンデットだらけになった理由も御存知なんですよね。
 なぜそうなったのか、我々に教えてもらえませんか?

■男爵 To:ミュン
 知らん。俺の財産を狙って誰かが企んだのかもしれんが、まぁいい。
 オランに着いたらかけあって騎士団を派遣させるから、そういうけしからん輩は死刑だな!

■バジル To:男爵
 でもちょっと残念ですね。
 オランに着いてから騎士団を派遣しても、村は助からないでしょう。
 男爵様。今は大変な時だけど英雄になれるチャンスでもあるかも知れませんよ。
 サーガに歌われ後世まで称えられる英雄に。
 僕達がそのお手伝いが出来たらどんなにか幸せだろうなぁ。

■男爵 To:バジル
 いや、まずは俺が生き残ることが重要だぞ。俺にもしものことがあっては再興もままならんからな。
 それに、早く騎士団を連れて戻ってくれば、間に合うかもしれん。一刻も早く、俺をオランまで連れて行くことが最善なのだ!

■アイシャ To:男爵
 (この人、自分の事しか考えてないよぅ。どうしよう。)
 で、でも、村には、いっぱい、いっぱい、いっぱいアンデットがいたです〜。
 前に使いに出した人もオランまで辿り着けなかったみたいだし…。
 いきなり飛び出したらみんな、やられちゃうかもしれないです。
 えっと、えっと、何かすっごい作戦を考えないとダメなの〜。

■ルタード To:アイシャ
 それを考えるのが、わしらの仕事じゃろう。
 皆で一晩考えれば、きっと妙策が思い浮かぶに違いあるまいて。

■男爵 To:ALL
 そうだ。高い金を出すのだ、金の分はしっかり働いてもらうぞ!

■ルタード To:男爵
 では、護衛の件、1人につき銀貨1500枚ということで承りましょう。
 夜は亡者が活発になるので、脱出は明日陽が昇ってからがよいと思います。それまでに、男爵にはご準備をお願いいたします。

■ラウル To:ルタード
 (受ける?こんなヤツのこんな依頼をか???)

 口には出さず、目で訴えるラウル。
■ポム 
……(^^;
(ラウルの言いたい事が解る気がするぞ)

 にんまりと笑みを浮かべて、ポムがぺちぺちとラウルの腕を叩く。
■ラウル
…………むぅ。
(仕方ない。みんなだって我慢してるんだろう。きっと。オレもこのくらいは我慢しなけりゃな)

■男爵 To:ルタード
 明日か。ううむ…まあいい。俺としては一刻も早くこんな所とはおさらばしたいところ…あ、いやその、なんだ、早くオランから援軍をだな………

 と……不意に窓の外からざわめきが聞こえてくる。
 下にいる村人たちが何やら騒いでいるようだ。


ゆな<juna@juna.net>