- Diva the Soul Saver - 魂のディーヴァ

Chapter 3

領主の部屋の前

 アディとレイザに言われた通り、塔を上る。彼女たちは何かと忙しいようで、村人たちの方に行った。
 領主の部屋は、砦の最上階にあった。扉の前には兵士らしき男が二人、ぴかぴかに磨かれた鎧を着て立っている。
■兵士A To:ALL
 なんだ貴様らは。見かけない顔だな。

 見かけないどころか、過半数が人間ですらない。
■ルタード To:兵士A
 わしらは、村に跋扈する亡者どもを退治する相談をしに、領主どのを訪ねてきたものです。お会いすることはできませぬかな?

■兵士A To:ルタード
 なんだ?金目当ての冒険者か?男爵様はお忙し………

■男の声 To:ALL
 構わん構わん、会ってやろうではないか。

 部屋の中から男の声がした。兵士たちは渋々それに従う。
■ポム To:バジル
(小声のエルフ語)
偉そうですがこの領地の男爵は、先祖からの財産を食いつぶしているだけなんですよね

■バジル To:ポム
(小声のエルフ語)
 周りの兵士の人達もなんだか偉そうだね。いつも側にいると似てきちゃうのかしらん。

■兵士B To:ALL
 と、とにかく、男爵様に粗相のないようにな!

 そう言いながら、兵士は扉を開いた。
領主の部屋

 領主の部屋には、太った蛙を踏みつぶしたような物体がソファに座っていた。
 多分これが男爵だろう。人間かどうかも疑わしいが。
■男爵 To:ALL
 ふむ、貴様らがあの亡者どもを退治しようというのか?ん?

■ルタード To:男爵
 さようでございます。
 男爵さまのような地位や名誉は持ち合わせておりませぬが、腕には多少覚えがありまして、是非お役に立てればと存じます。

■バジル To:男爵
 なんだかとても困った状況になっているようですし、僕達がお役に立てる事があるんじゃないかなって思っているんです。

■男爵 To:ALL
 ふん…金目当ての冒険者か………

■アイシャ To:男爵
 ちが…。

■ルタード To:男爵
 金以外にも、目当てにするものはいろいろとございますけれども。

■ミュン To:男爵
 ところで、この土地にマジックアイテムがあると聞いたのですが?

■男爵 To:ALL
 あれはやれんぞ、大事な家宝だからな!

 いつの間にか家宝になっている。
■ポム
(話し通りのケチだ、ディーヴァ手放させるのは大変だぁ) 

■男爵 To:ALL
 まぁ…そうだな。金儲けの話くらいはくれてやろう。
 お前たち、この俺を護衛して亡者どもの包囲網を突破し、オランまで連れて行くのだ。亡者どもを退治するよりは簡単だろう?

■ラウル
(「この俺を護衛してオランまで」、だあ!?
 自分トコの村人とかは、どうでもいいって言うのかよ、こいつ……)

■ミュン
(ムッ……)

 むっとする二人をルタードが目でなだめつつ………
■ルタード To:男爵
 悪くはない話でございますな。
 ただし、金にうるさい冒険者としましては、先に報酬の額をおうかがいしたいものですが。

■男爵 To:ALL
 オランの到着次第、1人1000…いや、1500出そう。どうだ?

■ポム To:男爵
お聞きたいのですが、オランまでお連れするのは男爵さま、お一人をですか?
(ひー、舌噛むぞ〜)

■男爵 To:ポム
 そうだ、俺一人無事にオランまで護衛すればいい。簡単だろう。
 それから俺の近衛兵を2人連れて行くが、こいつらは気にしなくていい。俺のためには命も投げ出す奴らだ。

 本当かどうか定かではない………。
■ルタード To:男爵
 1人につき銀貨1500枚ですか! 身に余るような額でございますな。
 ところで、村がこのようなときにあえてオランにお出ましになるとは、よほどのご用事と拝察いたしますが?

■男爵 To:ルタード
 うむ、賢者の学院からの遣いだとかいう小娘がどうしてもと言うからこの砦まで来てやったが、毎日亡者が攻めてくるわ、飯はまずいわ埃っぽいわで、もう散々だ。しかも、聞いたところによると、食料も残り少ないらしい。
 幸い今のところ何事もなく無事だが、このままでは万が一ということがあるのでな!

 何事もないのは男爵の身だけで、既に村人たちは何事も大ありだが、彼にとってはどうでもいいらしい。


ゆな<juna@juna.net>