- Diva the Soul Saver - 魂のディーヴァ

Chapter 3

領主の部屋

 と……不意に窓の外からざわめきが聞こえてくる。
 下にいる村人たちが何やら騒いでいるようだ。
■村人の声
 なんて数だ!も、もうだめだ!

■アディの声
 落ち着いて!門を破られなければ大丈夫よ!
 子供たちを避難させて、みんな持ち場について!

 外はかなりの騒ぎになっているが、アディの言葉で混乱は収まったようだ。
 どうやら、アンデッドの襲撃を受けているらしい。
■男爵
 むむむ、また亡者どもが来おったか!

 あんたに言われなくても分る。
■アイシャ
 たいへん。助けに行かなくちゃっ。

■バジル To:男爵
 あなたのご先祖様が昔、この地によく出ていたアンデット達をこの砦で静めたって話を聞いたのですが、その方法について何か言い伝えなどありませんか?

■男爵 To:バジル
 うむ!知らん!
 そんなもの知っていれば最初からそうしておるわ!

 そうこう言っているうちにも、外はより騒がしくなってくる。
 そして「どん」という音が響き、門のあたりで悲鳴が上がった。その一撃では門は破られなかったが、外から何か重いもので門を殴っているらしい。
■ラウル To:男爵
と言うかそのご家宝を使って沈めたとかではないのか、ですか?
まあそうじゃなくてもご家宝が強い力を持ってるのは確かな話だ、ですし、それなら脱出するときの手助けになるかも、しれません。
ほんの少しだけ男爵の見てる前で構わないので調べさせてくれ、ませんか?

 下の様子が気になるのか、早口でまくしたてる。
■男爵 To:ラウル
 なんだと、馬鹿を言うな!お前らの汚い手で触らせられるか!

 男爵が怒鳴ると同時に、再び「どん」という音が門の方から響き。
■男爵 To:ALL
 ぬぬぬ………あの小娘どもは本当にあてになるのか!?
 おい、お前ら!何があっても亡者どもをこの部屋に入らせるなよ!

■ルタード To:男爵
 あの二人はあまりアテにならぬでしょう。
 それよりはむしろ、男爵自らご出馬されたほうが、村人の士気があがるでしょうし、亡者どももひるむかも知れませぬが?

■男爵 To:ルタード
 馬鹿者!この俺を危険にさらすつもりか!

■ルタード To:男爵
 そのディーヴァを使いこなせる素質を持つのは、あるいは男爵しかいらっしゃらないのかも知れないですぞ!?

■男爵 To:ルタード
 何を言っておる!ディーヴァを使えるのは神官だけというのを知らんのか!
 自慢ではないが、俺は生まれてこの方信心などしたことがないぞ!

■ルタード To:男爵
 なるほど。

■ポム To:男爵
本当に貴方サマがお持ちになるので、いいんですね?

■男爵 To:ポム
 な、何だ。何が言いたい!

■ポム To:男爵
いえ、やはり念のため確認すべきかと思いまして。男爵さまも知っているとかと、黙っていましたが、
あ、わたしの聞きいた、家宝の噂の中には危険を匂わせるものもありまして。
それは、神官以外の者が持つと災厄が訪れるとか、神官が正式な方法でベルを鳴らさないと不吉な事が起るとか…。
今、階下にアンデットがぞくぞく集まっているのももしかして…

■男爵 To:ポム
 ふ、ふん!
 あれは神の力を借りて作られたものなのだろう!暗黒神の力を借りたというのならばいざ知らず、神の力で作られたものが亡者を作り出すなどということがあるものか!どうだ!!
 はぁ、はぁ………

 そこまで言うと、(難しいことを考えるとエネルギーを使うのか)男爵は息切れ。
■バジル To:みんな
ああっ、もう。僕、先に下に行ってるね!

 無駄な問答にたまりかねてか、バジルが部屋を飛び出していく。
■ミュン To:男爵
 こんなときになんなんですが・・・
 アンデットはいつから出てきたのですか?
 それと、そのアイテムはどこにあったのでしょうか?

■男爵 To:ミュン
 うむ。墓地の近くの祠に安置されていたのだがな、オランから遣いが来ると聞いて俺が直々に取りに行っておいたのだ。
 そういえば、妙な真っ黒な祭壇に載せられていたな。どうでもいいことだが。
 亡者どもが出始めたのはだな、おお、そうだ、ちょうどディーヴァを取ってきた次の日くらいからだったな!
 ………

 そこで男爵は言葉を切る。
 まじまじと手に持ったディーヴァを見つめ、おそるおそる机の上に置くと………
■男爵 To:ALL
 あー………その…なんだ……このディーヴァなんだが………確かに、聖なる祭器………なんだな?

■ポム To:男爵
確かに…祭器とは聞いておりますが、先程男爵さまがおっしゃったとおり「どんな力があるか分らない魔法の品」でもあります。
それと…言いにくいのですが…安置してあったのが真っ黒な祭壇とは、不吉であって聖なる感じではないのではと…

■男爵 To:ポム
 ぬ………む………むむ………

■ルタード To:男爵
 実はですな、彼女はこう見えて、かなり高位の神官でして。

■アイシャ To:男爵
 アイシャ、マーファ様に仕える神官です。
 みんなを助けるためにディーヴァを貸してください。
 お願いなの。早くなんとかしなくちゃ、みんなやられちゃうよう〜(;;)

■ルタード To:男爵
 というわけで、恐れ入りますが、ここはいったん彼女にディーヴァをお預けいただいて、この切迫した状況を打開するのにお手を貸してもらえませぬでしょうか?

■男爵 To:ルタード
 ぬうぅぅう、さ、さては、お前ら、この俺を惑わせてディーヴァを奪うつもりだろう!そうだろう!そうに違いない!!!
 これが、の、のののの呪われた祭器などということが、あるわけがないのだ!!!

 かなり狼狽している。
■アイシャ To:男爵
 アイシャ、奪ったりしないよぅ。

■ポム To:男爵
わたしは正直に意見を言っただけです。
それより、二人は神官なんです。男爵。
ですから、噂が本当であっても、恐れより使う事にどうしても心がゆくんです
かれら神官と違い、わたしなどは恐ろしくて鳴らす勇気などとてもとても…
(恐くて鳴らせるかって)
わたし達の仲間の一人も我慢できずに部屋をでてしまいましたし…
(こめんバジル〜っと心の中で手を合わせる)

■ルタード To:男爵
 われわれは、呪われた祭器だとは申し上げておりません、男爵。
 正当な資格を持った者が適切に扱えば、聖なる祭器として力を発揮するに違いありません。
 だからこそ、正当な資格を持つすなわち神官である彼女に、一時ディーヴァをお預け願いたいのです。

■ポム To:男爵
男爵が手元に置いてよろしいのでしたら
わたしにどうこう言う事はもう出来ないでしょう
(もう限界だぁ〜!)

 小さく会釈だけすると、すたすたと扉に向かう。
■ルタード To:男爵
 このままでは、階下の守備が破られるのも時間の問題でしょう。そうなれば、じきにこの部屋にも亡者どもが殺到してくるはずです。
 ……最悪の事態を招く前に、どうか賢明なご判断をお願いします。

■男爵 To:ルタード
 んー?さっきから聞いておれば、どうも怪しいぞ。
 お前ら、最初からディーヴァが目的で俺に近づいたのではないだろうな?
 そうか、なるほど、そうであったか。だがこの俺はそう簡単には騙され………

 彼にとってはそっちの方が重要らしい。その言葉を最後まで聞かずに、ルタードは諦めて振り返った。
■ルタード To:みんな
 バジルどのだけ行かせては心配じゃ。わしも階下へ行くぞ!

■ラウル To:ルタード
ああ。これ以上はオレも限界だ。
(ったく。つまんねぇことで手間取っちまった……)

■男爵 To:ALL
 っておい、お前ら!ここにいて俺を守らんか!!

■ポム To:みんな
急ごう。

■アイシャ To:男爵
 …呪われたものかどうか、アイシャは知らないけど、ディーヴァには強い魔力があって、正しい使い方を知らないと危険なのはホントだと思うです。
 で、でもっ、正しく使えばアンデット達を鎮められるかもしれないです。
 アディがその方法を知ってるです。
 お願いだからディーヴァを貸してください。絶対そのまま奪ったりしないよぅ!

■男爵 To:ALL
 はんっ、さっきからでたらめばかり言いおって、信用できるものか!

■アイシャ To:男爵
 でたらめじゃないもん!

■ミュン To:男爵
 ・・・・・・。
 もし、ディーヴァを我々に渡してくれないようでしたら、貴方がそれを墓地の近くの祠から持出したという事。その後にアンデットが大量発生したという事。この2点を、この村の住人やオランの人たちに報告しようと思います・・・。
 その結果、その報告によって、村人たちや貴方の部下、それにオラン国王がどう思うかまでは、僕は知りませんけど・・・

■男爵 To:ミュン
 ふん、俺は財宝を盗まれないように安全な場所に持ってきただけのことだ!
 それよりも!!早く奴らを連れ戻して来い!この俺を置いてどこへ行くつもりだ!

■アイシャ To:男爵
 ここでただ待ってたら、みんなやられちゃうし、逃げ道なくなっちゃうでしょー。
 男爵様には、自分の命を投げ出しても守ってくれる護衛の人がいるんだから、アイシャ達は下へ行って、アンデット達がここまで来る前になんとかしなくちゃなのー。
 こんなとこで戦闘になったら男爵様だって死んじゃうかもしれないよぅ?

■男爵 To:アイシャ
 ぬ、ぬ、ぬ、ぬ、ぬ………
 何とかしろ!!!

■アイシャ To:ミュン
 ミュン、行こう。
 ディーヴァ貸してもらえなかったけど、なんとかしなくちゃ。

■アイシャ To:男爵
 (部屋を出る前に振り返って、)
 あ、そうだ。ディーヴァ、鳴らしちゃダメですからねー。

■男爵 To:アイシャ
 言われなくてもわかっておるわ!!!

 血圧の高い男爵である。


ゆな<juna@juna.net>