- Diva the Soul Saver - 魂のディーヴァ

Chapter 2

領主の屋敷・厨房

 声の方に向かってしばらく廊下を進むと、開いた扉の前に何人かの人影が倒れているのが見えた。奥の部屋はどうやら厨房らしい。
 と………ポムとミュンが、厨房の中で何者かが息を潜めていることに気付いた。
 明らかに、シーフなどの訓練を受けた者とは思えない隠れ方だ。
■ルタード To:みんな
 おっ、何人か倒れとるぞ。

 ルタードは、倒れている人の様子を探ろうと目を凝らした。
■ポム To:ルタード&みんな
台所に誰かいるぜ
まるでこっそりつまみ食いしに来た子供みたいだ

■ルタード To:ポム
 こんな物騒な屋敷でつまみ食いというのも、どうかと思うがの。

■ポム To:ルタード
…そのままとるなって(^^;
もしかして狙ってたとか言うか?

■ルタード To:ポム
 狙ってた? わしが、つまみ食いを……? まさか、ポムどのじゃあるまいし(笑)。
 それはそうと、何者かを確かめねばならんじゃろうの。

■ポム To:隠れてる人(?)
おい!そこの台所の人
生きてるか〜?

■ルタード To:隠れてる人(?)
 亡者どもから逃れようとしているのなら、心配ない、わしらは味方じゃ。返事をしてくれんかな?

■隠れてる人(?) To:ALL
 ………

 その人物は黙っていたが、さすがに完全にばれていることを理解したのか、意を決したように一同の前に姿を現した。
 現れたのは、茶色の髪を三つ編みのおさげにした小柄な少女だ。左手に剣を持っているがそれは構えておらず、かわりに右手の掌をこちらに向けている。
■少女 To:ALL
 亡者が自分から、私は敵です〜、なんてわざわざ言うわけないじゃない!
 聖なる光よ、来たれ!≪ホーリー・ライト≫!!

 向けられた掌の前に、小さな光の球が現れ、そしてそれは即座に弾けた。
 視界が聖なる光で真っ白に塗り潰される………。
■ルタード
 うわっ、目つぶしかっ!

 ドワーフのルタードは普段暗闇でも視界を失うことがないので、かなり狼狽。
■バジル
 なんだなんだ!?

■アイシャ
 ひゃ〜。

 光る前にとっさに目を閉じることができたアイシャは、目を細めながら相手の方を見た。
■ルタード To:少女
 し、しかし、自分から味方と名乗る亡者もまた、おらんと思うがの。

■アイシャ To:少女
 (茶色の髪…。) ねぇ、もしかして…アディ?

■バジル To:アイシャ
 え?ホント?どこどこ?

■少女 To:ALL
 ………って、あれ?ホントに生きてるの?

 少しきょとんとした表情だが、半身引いたままの体勢で、まだ警戒は解いていないようだ。
■女の声
 なんだ、生きた人間がいるのかい?

 入り口を挟んで、少女と反対側の陰から大柄な女が出てくる。びっしりと入れ墨の彫られた左手に剣を握り、怪訝そうな様子で言う。
■大柄な女 To:ALL
 ふーん……とりあえず、あんたら何者だい?通りすがりの旅人だとか言うんじゃないよ。

■ミュン To:ALL
 僕たちは、ハンク=ラヘンストンという人間に、依頼され者です。アディ=ラヘンストンという人間とレイザ=チョルキーという人間の様子を見にいってくれと、依頼されました。
 貴方がたがその2人ですか?

■大柄な女 To:ALL
 あたいがレイザだ。それから、こっちの暴発ぴかぴか娘がアディ。

■少女(アディ)
 暴発………

 何やら紹介に納得がいかなかった様子で、アディが半眼で呟く。
 それを無視してレイザは続けた。
■大柄な女(レイザ) To:ALL
 で、様子は見終わったかい?
 帰るんなら早めに帰った方がいいよ、今日はゾンビどもも大人しい方だからね。
 にぎやかになってくると、帰るに帰れなくなるよ。

■ルタード To:レイザ&アディ
 と言われても、わしらも手ぶらで帰るわけには行きませんでな。
 アディどのの兄上、ハンクどのからは、あなたがたの様子を見てくるだけでなく、お二人と一緒に例の祭器を持ち帰るよう、御依頼を受けておるのですよ。

■アイシャ To:レイザ&アディ
 えっとぉ……2人はここで何をしてるの?
 あっ、それからディーヴァはどうなったの?持ってる? 

■バジル To:レイザ&アディ
 帰った方がいいよ、って、二人とも帰ろうと思えば帰れるのに、どうしてここに留まってるの?
 村の状況をなんとかしようにも、二人じゃ大変でしょう?援軍を呼びに行く方が賢明なんじゃないの?

■ミュン To:レイザ&アディ
 この村になにが起こったか説明して頂けますか。

 立て続けに質問されて、レイザは少し困ったように頭をかいた。
■レイザ To:ALL
 はぁ、仕方ないね。こんな所じゃ落ち着いて話もできないだろ、とりあえず砦に行くかい。
 生き残った村人や領主も砦にいるよ。

■ポム To:レイザ&アディ
 ほんとか!それは早速お邪魔しないとな

■アイシャ To:レイザ&アディ
 良かった。他にも無事な人がいるんだ〜。

■バジル To:レイザ&アディ
 この屋敷からどうやって行くの?遠いの?生き残った人は沢山いるの?
 ああ、ごめん。とりあえず行ってから話すればいいんだよね、行こうよ、すぐにでもそこに。

■ミュン To:バジル&ALL
 そうですね。ここにいると僕たちまで変なオーラになりそうな気がしますから。

■ルタード To:レイザ&アディ
 ということで、お願いしてよろしいですかな?

■アディ To:ALL
 じゃあ、案内するわ。砦はこの近くだから。

 そう言うと、アディは厨房に入っていき、隅にずらっと並んだ壺の一つを抱え、こちらを向いた。
■アディ To:ALL
 あ、もし手が空いてるなら、その辺の使えそうなの持ってくれないかな。砦にある食料がイモばっかで困ってるの。
 塩もなくなっちゃったし。

 アディは壺の蓋を開けて中をこちらに見せた。中には真っ白な塩が詰まっている。
■レイザ To:ALL
 どっちでもいいさね。無理する必要はないよ。

 レイザは手頃そうな───アディが抱えているものより2回りは大きい───壺を軽々と抱えると、どかどかと厨房の裏口に向かう。
■レイザ To:ALL
 行くよ。

■ラウル
む……。

 対抗意識を燃やし、レイザが抱えていったものより大きな壺を探すが見つからず、とりあえず同じくらいの大きさの壺を抱えた。
■アイシャ
 アイシャも持つの〜。

 アイシャも手頃そうな壺を一つ抱える。
 そして、一行はどかどかと裏口を出ていくレイザを追った。


ゆな<juna@juna.net>