- Diva the Soul Saver - 魂のディーヴァ

Chapter 2

村の入り口

 オランを出て三日と半分、特に何事もなく進み、そこから先が村であることを示すちっぽけな柵が見えてくる。
 柵の内側には畑が広がっているが、人の姿は見えない。もっとも、あまり勤勉でない農民ならば、この時間でも既に畑仕事を終えてしまっていることも十分考えられる。
 更にその先にはこれまたちっぽけな村が見えるが、不思議なほどに人が住んでいる感じがしない。そろそろ夕食の支度を始めていてもおかしくない時間なのに、である。

 ともかく、奇妙に静まりかえった村の入り口に、一行はたどり着いた。
■ルタード To:みんな
 ……なんか、薄気味悪い感じじゃな。
 なんじゃ、この静まりかえりようは?

■バジル To:みんな
 この村の特産品はじゃがいもだって話だけど、これそうかしらん?

 そう言ってバジルが畑の方を指さす。貧相で、どうも実り豊かなという修飾語は似合いそうにない畑だ。
■バジル To:みんな
 それにしても人の気配がしない村だねぇ

■ポム To:みんな
なんか嫌な感じだな

■アイシャ To:ポム
 うん…。

■ルタード To:みんな
 とりあえず、領主どのの屋敷にでもまいってみようか。

 とりあえず立派そうな家を探そうと、村の方に向かう。
■バジル To:ルタード
 この村まで彼女達が来てるかをまず確かめないとね。

■ポム To:みんな
日が落ちないうちに行こうぜ
…屋敷もこんなんだったらヤバイ感じだな
(今でもヤバイ感じだけど)

村の広場前

 村の中も静かで、夕食時なのに煙突からは煙も出ていない。
 と………広場の側にある納屋の扉が開いていて、その中で何かがごそごそと動いているのが見えた。
■ルタード To:みんな
 や、あそこで何か動いとらんか?

 ルタードが納屋の方を指さすと、確かに人影のようなものが動いている。
■バジル To:みんな
 本当だ。誰か居るなら声かけてみようよ。

■ラウル To:ルタード&みんな
うん……?

■ポム To:みんな
村の人か?

 ゆっくりと、納屋から数人の人影が出てくる。
 ひどくぼろぼろの服を着ているが、見たところ人間のようだ。それぞれ、手には農具のようなものを持っている。
 皆、奇妙にふらふらとした足取りで納屋から出ると、そのままこちらに歩み寄ってくる………

 ミュンが≪センス・オーラ≫を試みると、周囲からはアンデッドのオーラが大量に感じられた………
■ポム 
(ぼろぼろの服とふらふらの足取りだって?)

 ポムはついこの間の経験からか、警戒しつついつでも≪レクイエム≫を使うことができるように竪琴を取り出した。
■アイシャ To:みんな
 こっち来る〜。

■ルタード To:みんな
 とりあえず、声をかけてみよう。

 構えていた戦斧を一旦下ろし、共通語で話しかける………
■ルタード To:村人(?)たち
 すみません、少々お尋ねしますが、サスターク村はこちらでよろしいのでしょうか?

■ミュン To:ルタード
 ルタード!、それは、アンデッドです!!

■バジル To:ミュン
 げっ!なんだって?

■ミュン To:みんな
 みんな!気をつけてください!。
 アンデッドの気配がそこらじゅうでしています!!。
 もしかすると村中アンデッドになっているかもしれません!!!

■ルタード To:ミュン
 それはうれしくない想像じゃな。
 しかも、状況からしてその可能性はかなり高そうじゃの。

■アイシャ To:みんな
 どうしよ〜。

■バジル To:ミュン
 囲まれたらまずいことになるね。ここは一旦引いた方が良くない?

■ラウル To:みんな
ちっ……そーだな。さすがに村人全員相手なんてしたくねえ。
囲まれる前に逃げよーぜ。

■ルタード To:ラウル&みんな
 わしもその意見に賛成じゃ。
 とりあえず、気配の薄そうなところを探して、そこでこれからの計画を練り直すこととしようか。

■ポム To:ミュン
ミュン、どっちに行けばいい?

 とにかく、周囲はアンデッドの気配だらけだ。センスオーラを使うまでもなく、周囲の家からぞろぞろと他の連中(生きているようには見えない)が出てくる。大半は腐った死体だが、一部は最近死んだと思われる新鮮な(?)死体だ。
 ぱっと見て、このまま村の外まで引き返すことは(現時点では)可能そうに見える。
 また、正面の道の先には少し大きな屋敷があり、そこまでは走れば行けそうだ。もっとも、その屋敷からアンデッドが出てくるという可能性は否定できない。


ゆな<juna@juna.net>