| ≪ 見張りでまったり ≫ |
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見張り台 |
見張り担当のスレイとイスカ。2人の見張り担当場所は進行方向先頭の見張り台である。
キースの指示で、どちらかが昼、どちらかが夜の見張りをすることになった。
下見をかねて見張り台にあがってきた2人。
■スレイ To:イスカ |
いやぁ〜、相変わらず高いですね〜。 そうだ、昼と夜に別れるんでしたね。それならわたしが夜の見張りに立ちますよ。 |
■イスカ To:スレイ |
そうだね、スレイは夜目も鋭いから、その方がいいかもしれないね。 うーん、ずいぶん風が強いな。ずっとここでじっとしていたら寒くなりそうだ。 さてと、じゃあ何か見えたら、下へ叫べばいいのかな? |
■謎の男 To:イスカ、スレイ |
何か見つけたらこの鐘を鳴らすだ。 |
突如、2人の後ろに小柄な男が現れた。
■イスカ To:謎の男 |
(うっ、気づかなかった・・)おや、あなたは? |
■謎の男 To:イスカ、スレイ |
何って見張りだ。 お前ら手伝ってくれるんだろ? |
■スレイ To:男 |
……… |
スレイは少し驚きつつも観察をはじめた。
さすがに露骨に観察するのは失礼だと学んでいるので、さりげな〜く(?)だが。
■スレイ To:男 |
………(じーっ) |
どうやら男は見張り台の床に、荷物をくるむような皮にくるまって寝ていたらしい。
年齢は30〜50ぐらいだろうか、かなりボロボロのレザーアーマーを着ている。
髪の毛はボウボウ、髭は伸び放題で目だけがなんとか見えるような状態だ。
■謎の男 To:スレイ |
…なんだ、おめえ。じろじろ見て。 |
スレイの視線に気がついたのか、男が声をあげる。
■スレイ To:男 |
あっ、すみません(^^; いきなり現れたのでビックリしてたんです。 |
■イスカ To:謎の男 |
名前をうかがってもいいかな?私はイスカ。ガイアさんの手伝いのため、航海に雇われたものです。 |
■オルテガ To:イスカ、スレイ |
知ってる。俺はオルテガだ。 |
■スレイ To:男 |
わたしはスレイです。見張りのお手伝いもしますよ。 |
■オルテガ To:イスカ、スレイ |
それも聞いてる。 俺はこの第1見張り台専門の見張りだ。ずっとここにいる。 はじめに見張りに立つのはどっちだ? 見張りに立たない方は部屋で休んでな。 |
■イスカ To:オルテガ |
ああ、私が先だけど・・。 その・・「ずっと」ここに?下に降りないわけではないでしょう? |
■オルテガ To:イスカ、スレイ |
飯のときは降りるときもあるだ。あと用足しのときもな。 それに流石に嵐がひどいときは降りるだ。嵐の海にゃ投げ出されたくないもんな。 |
降りるときもって、降りないこともあるのか…
■スレイ To:オルテガ |
いやぁ〜、まさしく海の男ですね♪ |
スレイの言葉に口をあけて笑うオルテガ。
■オルテガ To:スレイ |
おう、お前いいこと言うじゃねぇか。 そうよ、帆を張ったり甲板を磨いたりするのだけが海の男の仕事じゃあねえだ。俺らの仕事だって重要な海の男の仕事なんだ。 |
機嫌をよくしたオルテガは、続けて作業の説明をはじめた。
■オルテガ To:イスカ、スレイ |
やるこたぁ簡単だ。水平線を見張って水以外の何かをみつけたらまず俺に声かけてくれ。 船だろうが島だろうが流木だろうが、何だってだ。 鐘をならすかどうかは俺が決める。 |
■スレイ To:オルテガ |
ふむ、いわゆる”上司”ってやつですね。 その時はよろしくお願いします、オルテガさん。 |
■オルテガ To:スレイ |
うむ。がんばってくれよ。 |
なんか偉そうなオルテガ。
”上司”という言葉がそんなにうれしかったんだろうか・・・
■イスカ To:スレイ |
じゃあ、あとは私が。スレイは夜までゆっくり休んでいるといい。 |
■スレイ To:イスカ、オルテガ |
そうですね。では、下で休ませてもらいます(^^) |
そう言うと、スレイは下へと下りて行った。
残ったイスカはオルテガと共に見張りを行ったが、一度右舷に流木が漂っているのを見かけた(これもオルテガが先に見つけたのだが)ことがあったきりで、他には特に変わったこともなかった。
■イスカ |
海か・・。この見渡す限りの世界が全部水で満ちているとは、なんて不思議なことだろう。想像するだけで息が詰まりそうな大きさだ・・。 私の家のものたちにもこの光景が見せてやれたら、小さなことで争う愚かさが身にしみるだろうに・・。 |
いつしか交替の時間が近づき、日もゆっくりと海面に近づきつつあった。
いままで何の変哲もない群青色だった西の水面が、夕日の反射で白や橙のステンドグラスをはめ込んだように輝いている。
空も茜色のグラデーションに染まり、なんともいえない幻想的な風景だった……。