銀の鋼亭 |
翌日、昼過ぎ。
昨晩からほぼ徹夜状態で取調べを受けようやく解放された面々は、依頼主への報告も程ほどにベッドへと沈んでいた。
そして日が傾いた頃になって、ようやく皆起きだして来る。
ティーアとウェンもリタの取り敢えずは無事な姿を見て一安心したらしく、緊張が抜けたのか同じように寝入っていた様だ。
部屋を出た廊下でばったりと顔を合わせると、お互いにまだ寝ぼけ眼である。
■ティーア To:パーティ |
おにーちゃんたち、おはよう。お寝坊さんだね……ティーアたちもだけど。 |
そう言うティーアの手はリタと繋がれている。
リタもそんなティーアを見て、フードの奥で優しく微笑んでいる様だ。
■ヘルムンス To:ティーア |
おはようございます・・・ってこんな時間ですけどね(^^; ともあれ、そちらもぐっすり眠れたようですね。 |
■ジェスタ To:ティーア |
……ほんとに良かったわね。(^^) |
ジェスタはウェンとリタに頷いて挨拶し、ティーアに笑いかけた。
■リシィア(独り言) |
ほんとうに……。 |
■ガイ To:ティーア |
おぅ、おはよう!お母さん、無事でよかったな! もう、絶対離れんなよ! |
■ランス To:リタ&ティーア |
そやな・・。家族は互いを大切にせなあかん。 |
ランスは何故か、少し寂しげな目をしている。
■アルティア To:ティーア |
そうそう、ティーアちゃんにお土産があるんですよ〜。えーと何処いったかな〜。 |
そういいながら自分の背負い袋を探すと・・・
アルティアがジェニーさんから買ったガラス細工を引っ張り出す。幸いな事に、あの騒ぎの中でも割れずにすんだらしい。
さて、彼はこれを『犬』と言って渡すのか?
■アルティア To:ティーア |
ああ、あったあった。はいこれ。途中で買ったかわいい仔犬のガラス細工です〜。 |
……やっぱ『犬』なのね。
ジェニーさんがこの場にいたらひっぱたかれてるぞ(笑)
■ティーア To:アルティア |
……犬なの、これ? ネコさんに見えるんだけど……。 |
■アルティア To:ティーア |
あああ、そ、そういう風にも見えますね〜。(汗 |
間違いを指摘されちょいと焦る。しかし、気を取り直してリタに話しかける。
■アルティア To:リタ |
ええと、とりあえず無事で何よりでした〜。それでですね、一つお尋ねしたい事があるのですがよろしいでしょうか〜? バロウズがあなたや他の女の方を「材料、材料」と言ってましたが、何をしようとしてたのですかねぇ〜?教えて頂けたら教えていただきたいなと思うのですが〜。 あああ、嫌だっていうのでしたら嫌って事で結構なのですが〜。 |
■リタ To:アルティア |
話すのは構わないけれど、あなたなんで私たちが捕らわれていたのか知らずに助けに来たわけ? 私たちはね、バロウズの趣味で剥製にされる所だったのよ。正に『材料』ね。 あの女性たちもそうだったわ。多分、動物やモンスターだけじゃ飽き足らなくなったんじゃないかしら。 ……犠牲になった女性がまだ出なかったのが唯一の救いだけれどもね。 |
■リシィア To:リタ |
リタさまが捕まった理由はお聞きしていましたけれど、他の皆さんも、剥製にされる所だったのですか……。 たしかに、麻薬を作る材料であれば、外見を気にする必要は有りませんからね。 それにしても、人間を剥製にするつもりだったなんて……(;_;) |
人間の剥製を想像して、少し身震いをするリシィア。
■ジェスタ To:リシィア |
相当ヤバイ奴だったみたいね。 |
■ガイ To:ALL |
ほんとだぜ、あんな野郎は、この俺がぶちのめしてやりたかったんだけどな〜・・・。 |
■ランス To:ガイ |
まぁまぁ、けが人も殆どでぇへんかったことやし、今回はこれでええやないか。 |
どうやら、ガイはモールの出番がなかったので、ちょっぴり不満らしい・・(^^;;
やはり、”破壊”が好きな男なのか!?(笑)
■ランス(心の声) |
そういうわいも、実はちょっと物足りへんねんけどな・・。 |
ランスよ、おまえもか(爆)
■アルティア To:リタ |
ふうむ、ということは麻薬とは特別な関わりはなかった・・・ということですか〜? まあ、みんな無事だったから良しとしますか〜? そのうちあの衛視長さんの所に行けばわかることでしょうから今はよしとしますか〜。 |
■ヘルムンス To:アルティア |
うーん、私はもうあの人に会うのはこりごりなんですけど・・・(^^; |
どうやらかなりしぼられたらしい(笑)
リタの肩を優しく抱くと、ウェンがパーティに言った。
■ウェン To:パーティ |
よろしかったら、御一緒に食事にしませんか?残りのお礼もお渡ししないといけませんし……。 |
■ティーア To:パーティ |
さんせーい! ね、一緒にたべよう! |
リタが帰って来た事で一切の不安がなくなったらしく、ティーアがはしゃいでそう言う。
■リシィア To:ALL |
そうしましょうか(^^) |
■ジェスタ To:みんな |
実はお腹空いてたの。昨夜も結局食べられなかったし。(笑) |
■ガイ To:ALL |
おぅ、大賛成だぜ! お〜し、飯だ!飯だ! |
■アルティア To:みんな |
では、みんなも行きますか〜。旅のお金の精算もしなきゃいけないですがお腹が減って死にそうです〜。(@_@) なにか珍しくておいしい物はないかなぁっと〜。 |
■ヘルムンス To:アルティア |
だから珍しいものはもう結構ですって。(^^;;; |
■リシィア To:アルティア |
私も……普通のお料理で良いですよ(^^; |
美味しいものはともかく、珍しいものはあんまり期待しないよーに。
そして、ウェンたちの部屋。おやじがどかどかと料理と酒を置いていく。
ティーアとリタの事を考えてわざわざ部屋で食事ができるようにしてくれたのだ。どうやら先日のヘルムンスのあの言葉から全てを察したらしい。
さすがはおやじである。
■ガイ To:おやじ |
さすがは、おやじ!気が利くじゃないか〜! |
■おやじ To:ティーア、リタ |
ごゆっくり。 |
ニカッ、と笑って部屋を出ていくおやじに、フードの奥で二人も微笑んでいた。
■ガイ To:ALL |
じゃ、お先にいただくぜ・・・。バクッ!バクッ! |
ガイはおやじが出ていった途端、口いっぱいに料理をほうばりはじめた(笑)
■ガイ |
モグモグモグ・・・・ゴックン・・・・うっめぇーー! |
■リシィア To:ガイ |
くすくす……ガイさま、お料理は逃げたりしませんよ(^^) |
■ガイ To:リシィア |
つ・・つい・・くせでな・・わりいな・・・。 |
ガイはちょっと、恥ずかしかったようである・・。
■アルティア To:独り言 |
ええと、何か珍しい物、珍しい物っとぉ〜。って無いですね〜。残念。 |
適当に食事をつまみながら話を切り出します。
■アルティア To:ウェン |
ええと、あのですね〜。その〜・・・。 |
どうもしゃきっとしない。何かなかなか良い難そうな仕草をしている。
まあ、いつもの事といえばいつもの事なのだが・・・。
■ウェン To:アルティア |
……? 何か聞きたいことでも? |
■アルティア To:ウェン |
いや、依頼の方はリタさんの救出ということでよかったんでしたよね〜。 で、連れ戻したと言う事でその報酬の方を頂きたいのですが〜・・・。 |
■ジェスタ(心の中) |
……何も今、言わなくてもいいのに。 |
■ウェン To:アルティア |
ああ、なるほど。勿論ですよ。 では、こちらの方を……。 |
そう言って、重そうな袋を差し出す。
■ウェン To:アルティア |
残りの900ガメルが入っています。やはり現金でお渡しできないと何かと迷惑だろうと話していたら、おやじさんが快く換金してくださったので……。 |
と、扉がノックされおやじが顔を出した。
■おやじ To:パーティ |
ちょっといいかな? 言付けを預かったんだが……。ほけ、あとこいつだ。 |
おやじが差し出したのは、ウェンのものと同じような革袋。
パーティの側によると、それを渡しながらティーアやリタたちには聞こえないよう呟いた。
■おやじ To:パーティ |
衛視長からだ。協力の礼だとよ。 『事情はよくわかったが、あまり例のモンスターを滞在させないように』だと。 ……ま、立場上仕方ないんだろうがな。 |
■ヘルムンス To:おやじ |
そうですね。それでもあの人なりにいろいろ気を遣ってくれたんだと思いますよ。 今回のようなことがまた起こらないとも限らないわけですし。 |
■ランス |
ぜ、ぜ、銭やぁぁ・・よかった・・・これで今晩の宿代が払える。 |
実は宿代もなかったらしい(爆)<ランス
■おやじ To:ランス |
おいおい、無銭飲食はお断りだぞ。もう少し手持ちに気を使ってくれよ(笑) |
■ガイ To:ALL |
やっほー!あの衛視長、結構話がわかるじゃねぇか!気に入ったぜー! よーし、ボーナスも入ったことだし、依頼達成の成功を祝って、今日は、みんなで飲み明かそうぜ! |
■ジェスタ To:独り言&心の中 |
……何か複雑ね〜。ミスティ姉様にはなんて報告しよう。。 まあ、絶対じゃなかったからいいか。 |
ジェスタは諦め顔を一瞬見せ、すぐに笑顔になり、ガイやヘルムンスの杯にお酒を注ぎ回って行く。
■ジェスタ To:みんな |
お疲れ様〜☆ |
さて、乾杯をしようかという時。
ひょーん、と音を立てて開け放たれていた窓から矢が飛んできた。
外を覗けば、屋根伝いに走って去っていく黒づくめの男が。
矢には手紙が括られていた。文面はこうである。
■手紙の内容 |
『ジェスタ、お仕事ご苦労様。けどあたしの頼んだ事は失敗したみたいね。もっとも、あの後ウチの方で動いたから心配はしなくていいよ。た・だ・し……失敗は失敗だからね。あとでちゃんと顔を出すこと。二人っきりで、ゆっくりとお話をしましょうね♪ M』 |
ジェスタよ……御愁傷様。
■ジェスタ(心の中) |
……優先順位は今の仕事優先だから、問題はないはず。麻薬を探す時間なんてなかったしね。 新米のわたしに何を期待していたのかなあ? まあ、挨拶は行くつもりだったから、別にいいけどね。 |
いや、あのねジェスタ。仕事の優先度がなんであろうと、君は依頼を受けたんだよ?
それを失敗しておいて『問題ない』はちーと虫が良すぎるんでないかい?
おまけに現金じゃなかったとはいえ、前払いに地図もらってるんだし。
はっきり言って、『違約金として前金倍返し』で通用するものじゃない分余計困るよ?
まあ、直接ミスティ姉さんと会ってその甘ったれた根性を叩きなおしてもらうんですな。
■ジェスタ To:みんな |
……みんな、飲み物は行き渡った? もう食べ始めている人もいるけど、 無事リタさんを解放したことに。そして、みんな無事だったことに。。 かんぱ〜い☆ |
■ガイ To:ジェスタ&ALL |
おうさ!かんぱ〜〜い!! |
手紙を読んで、少し顔色が曇ったジェスタに、にっこり微笑むガイであった・・・(^^)