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それから数日後。
オランに立ち寄った旅人が1通の手紙を置いていった。
表には、たどたどしい共通語であの6人に宛てた旨が書かれている。
差出人は……ティーア。
に、しても……共通語って事は、またジェスタが読めないんだよな。
誰かに読み上げてもらいなさいね(笑)。
■おやじ |
ふむ。あの嬢ちゃんからか……連中が帰ってきたら渡してやるか。 |
手紙が汚れないよう、棚の隅の籠の中に入れておく。
振り返ると、入り口の扉が軽い音を軋ませながら開けられるところだった。
店内に入ってきた面々の顔を見ると、おやじは軽く微笑みながら仕舞ったばかりの手紙を取り出した。
■手紙 |
『おにいちゃんたち、おねえちゃんたち、元気ですか? ティーアたちはとっても元気です。 あれから、お父さんも前よりたくさん会いに来てくれるようになりました。やっぱりお母さんの事が心配みたいです。 お母さんはたくさんお父さんと会えるようになってちょっと恥ずかしいみたいだけど、でもやっぱりうれしそうです。私もそんなお母さんたちを見てると、とってもうれしくなります。 あれから、もうこわい人たちは来ていません。みんなががんばってくれたからだと思います。 私たちのおうちも、お父さんの住む村も何もなかったみたいに元通りになりました。 今度、みんなであそびに来てくださいね。ティーアがお迎えに行ってあげます。 お空を飛んでるティーア、とってもかっこいいんだよ。飛んでる所を見せて、みんなをうらやましがらせてあげるんだから。 だから、きっと来てください。絶対だよ。待ってるから、いっしょに遊ぼうね。 ティーア』 |
パーティの面々がその後ティーアたちに会えたかはわからない。
だから、願う。そして、信じる。
きっと、会えているよ、と……。
そして、ちいさなハーピィの少女に、とびきりの笑顔で迎えられているよ、と……。
信じれば、それは真実になる。
そう、思いたいから。
Fin