銀の鋼亭・掲示板 |
おやじが掲示板に数枚の依頼書を張り出している。新たに結成されたパーティーのために仕事を集めてくれたのだ。
もっとも、当然おやじの懐にも『仲介料』が入ってはいるのだが……。
そして張り出された依頼書の数々の一番上に、おやじの筆跡と見られるメモ書きが。
それはこんな内容だった。
『依頼の希望は早いモン勝ち。お早めに』
ひしめき合う掲示板の前に、一人異色を放っている顔を隠した者がいた。
ジェスタである。
■ジェスタ(心の中) |
……???……読めない〜。(TT) |
ジェスタは共通語で書かれている掲示板を見回すと、ほんの少しだけ読める単語を見つける。
■ジェスタ(独り言) |
……おかあさん…悪い人…捕まる……? |
ジェスタは必死に文字とにらめっこしている。
■ヘルムンス To:ジェスタ |
なにか面白そうな依頼はみつかりましたか? |
ジェスタを見つけてヘルムンスが後ろから声をかける。
■ジェスタ To:ヘルムンス |
……あ、えと、ヘルムンスさん。(^^;;;) 依頼がたくさんあるね……たぶん。 |
ジェスタはヘルムンスに振り返って、うつろに笑った。
そして、再び先程の読めそうな単語を見る。
■ヘルムンス To:ジェスタ |
そうですね。いろいろありますけど私達の能力に会った依頼をえらばないと、痛い目に会いますよ。 でも、やはり自分の興味のあるものをとりあえず選んで見るのも手ではありますけどね。 |
そこへトタトタという聞き覚えのある足音と共にアルティア登場。
■アルティア To:ジェスタ&ヘルムンス |
何か面白そうな依頼ありました〜? |
■ヘルムンス To:アルティア&ジェスタ |
やはりどれも一長一短ってところですね。(^^; 報酬の多そうなものはリスクも大きそうですし・・・おや?何か気になる依頼でも見つけましたか? |
ジェスタが1枚の依頼書を見つめているのに気づいて声をかける。
■アルティア To:ヘルムンス&ジェスタ |
ほほぉ、店のおやじの代筆ですか〜。 はて?でもなんで代筆?? |
■ヘルムンス To:アルティア |
そりゃ、誰もがみな共通語を書けるとは限らないからに決まってるじゃないですか。(^^; 地方の人は西方語や東方語のほうが親しみ深い言葉でしょうし。 ほかにも例えば、遥か遠くの地に住む蛮族ですとか・・・ |
その「蛮族」が目の前にいるとは、いかにヘルムンスでも気がついていない。
いや、自分から打ち明けない限り分かるはずは無いのだろうが……。
■ジェスタ(心の中) |
(……さくっ……) ……あうっ……(;;) |
それでもジェスタの心は、ちょっぴり傷ついたのだった。
■アルティア To:ヘルムンス |
むむむ、みんながみんな文字が書けるわけではないんですね〜。 でも、言われてみれば子供とかも書けないか〜。 あああ、小さな子供だったら放って置けませんねぇ〜。 |
■ジェスタ(心の中) |
(……ずんっ……) ……ううっ……(TT) |
アルティアが更に追い打ち。
報酬が書いてないからとパスしようとしていたジェスタである(笑)。
■ヘルムンス To:アルティア&おやじ |
そうですね。いわれてみれば小さな子供からのものなのかもしれませんね。 やはりここはおやじさんに聞いてみるのが一番確実でしょう。 |
と、3人がそんな事を言っているのがおやじの耳に入ったのだろうか。
慌ててこちらに駆け寄ってくる。
■おやじ To:アルティア、ジェスタ、ヘルムンス |
すまんすまん。共通語の代筆だけしか頭になくてな、ヘルムンスの言った可能性をまったく考えてなかったよ。 こいつ……と。西方語は今書くから、ちょっと待ってくれ(苦笑)。 |
貼ってあった共通語の張り紙の隣に、東方語で書かれた張り紙をする。
こちらは明らかにおやじの筆跡ではなかった。恐らく、依頼主が自らペンを取ったものなのだろう。
■ジェスタ(心の中) |
(……ぐさっ……) ……おやじさんまで…ひどい……(;´Д`) |
ジェスタは隅の方でしゃがみ、くら〜くなっている。
そう、GMはジェスタのような存在がいることを全く考えていなかったのだ。
ひどいGMもいたものである(笑)。
■ヘルムンス To:ジェスタ |
あれ、ジェスタさんどうしたんです?気分でもすぐれないんですか? |
■ジェスタ To:ヘルムンス |
…………いいの。どうせわたしなんか……(しくしく) |
すっかりいじけてしまったジェスタを見て、アルティアが寄ってくる。
■アルティア To:ジェスタ |
ええと、何暗くなってるんですか〜?何があったかは知りませんが、男の子が小さな事でくよくよしてたらだめですよ〜。 ほら、立って〜。 |
といって脇を抱えて立ち上げさせる。
しかしガイよりも鈍感なのか――まあそれは既に証明されているが――全く何も気づかない。
ここで断っておくが、ジェスタは正真正銘、女性である。
そうは思えないかもしれないが。
■ジェスタ |
…………!!!っ!!! いやぁぁぁぁぁっ! |
■アルティア |
?(´▽`)? |
ジェスタはすぐにアルティアから逃れ、掲示板の下でしゃがみ込んでイヤイヤと首を振る。
そこへリシィアがとてとてと現れ、ジェスタの悲鳴を聞きつけたガイもすっとんで来た。
■ガイ To:ジェスタ |
なんだなんだ、どうしてまた泣いてんだ〜? |
■リシィア To:アルティア |
駄目ですよ〜。女の子の身体に突然触ったりしたら。 ほら、ジェスタさまが驚いてるじゃないですか。 |
■アルティア |
?(´▽`)? |
リシィアが『女の子』と明言しているにも関わらず、まだアルティアは分かっていない(笑)。
ジェスタはリシィアに抱き着いて、めそめそ。リシィアが子供をあやすようにしている。
■ガイ To:アルティア |
なに!?身体に触った〜!? アルティア、本当か! |
■アルティア To:ガイ |
えええ、はい〜。でもそれが何か〜? |
ジェスタがリシィアにだけ聞こえるようにそっと呟く。
■ジェスタ To:リシィア |
どうして、わたしって男の人から抱きつかれることが多いのかしら……(TT) |
ガイはアルティアに近づいてぶん殴ってやろうとしたが、自分の事(ジェスタの肩を抱きかかえた事)を思い出し、瞬時に赤面してアルティアに話しかける。
……純情野郎ガイ、とかそんなネーミングを思わず考えてしまうGMであった。
■ガイ To:アルティア |
その〜・・・なんだ〜・・・なぁ、アルティア、・・なんか、気にかかるんだよなぁ・・ |
どうやら、思い出すだけでも恥ずかしいらしい。
■アルティア |
?(´▽`)? |
アルティアよ……そこまでニブくて、本当にリーダーが務まるのか?
恥ずかしさを隠すようにガイはおやじの所に移動しながら、
■ガイ |
ああー!・・・もう、そんなことより、依頼だ依頼、依頼の話だっ! |
■リシィア(心の声) |
もしかしたら、ガイさまってジェスタさまの事を……?(^^) |
そんなことを考えつつにこにことしているリシィア。
ちなみにGMもこっそりこの先を楽しみにしていたりする(笑)。
銀の鋼亭・カウンター |
カウンターへ移動したヘルムンスが、おやじに掲示板で目に留まった依頼を説明しながら尋ねる。
■ヘルムンス To:おやじ |
おやじさん、この依頼って、どういう方からの依頼なんですか? |
■おやじ To:ヘルムンス |
ああ、そいつか。父娘の二人組だよ。オランから三日くらい歩いたところにある海辺の村から来たって言ってたな。 そこに書いてある通り、おふくろさんが妙な趣味を持った奴に捕まっちまったらしくてな、助け出したいんだそうだ。 報酬はそれには書いてないが、全部で1200ガメルくらいまでなら出せると言っていたぞ。 |
■ガイ To:ALL |
なに!?おふくろさんが捕まっただと!? かよわい女性をいじめやがってー! 許せねぇな! |
■アルティア To:ヘルムンス&ジェスタ |
ええと、妙な趣味って何だと思います〜?妙って言うくらいだからきっと凄く妙なんでしょうねぇ〜。 依頼自体よりそっちの方が気になりますねぇ〜。 |
パーティーのみんなにはそう言っておやじの方に近寄っていき、小声で話しかける。
ちなみにプレイ中には、18禁だのなんだのと噂が飛んでいた。
■ヘルムンス To:アルティア |
ふむ・・・宗教がらみでは趣味とはいえないでしょうし、身代金目的でもなさそうですし・・・ まぁ趣味で人をさらうのであれば、それ自体が妙な趣味といえますけどね。 |
考え込むヘルムンス。ちょっと推理できないようだ。
■ガイ To:ALL |
妙な趣味ってなんなんだ〜?・・うむ〜・・・ |
腕を組み、考え込んでいるガイ。ヘルムンスに分からないものが君に分かる筈無かろう(笑)。
■アルティア To:おやじ |
ええと、依頼主の娘さんってどんな子でした〜?かわいらしかったですか〜? |
本当はこっちの方が気になったらしい。果たしてリーダーがこんな事でいいのだろうか?
■おやじ To:アルティア |
それがなあ……ジェスタじゃないが、フードを目深にかぶってたもんでよく分からなかったんだよ。 親父さんのほうはそんな事はなかったし、何か訳があるんだろう。 わしの立場であれこれ聞くのもなんだし、依頼を受けるんなら自分らで聞いてみるんだな。 まあ、そんなに怪しいという事はなかったし大丈夫だとは思うが。 |
■ヘルムンス To:おやじ&アルティア |
なるほど・・・何かわけありのようですね。 どうでしょうアルティアさん、ジェスタさんも気になっていたようですし、これも何かの縁かもしれません。この人達の話をきいてみませんか? |
■ガイ To:ALL |
おぅ!俺は賛成だぜ!おふくろさん、助けてやりてぇしな! |
■ジェスタ To:みんな |
おかあさん。助けられるなら助けてあげたい……わたしは助けられなかったから、良く判る。 |
ジェスタは悲しそうに声を細め、呟いた。
■リシィア To:ALL |
もし、誘拐されたのが私のお母さんだったら……と考えると……。 私もこの依頼で良いと思います。 |
■ジェスタ To:おやじさん |
依頼人はここにいるの? いるなら、わたしたちの個室に来てもらって、話を聞きたいけど…… 隊長、もちろん受けるつもりでしょ? |
■おやじ To:ALL |
ああ、ここに泊まっているぞ。 話をつければ、すぐにお前さんらの個室に来てくれるだろ。 |
■アルティア To:ALL |
まあまあ、落ち着いてください〜。一時の感情で突っ走るのは危険ですよ〜。 ここは神様のお言葉を頂くのも手かもしれませんね〜。 |
そう言うと、再び掲示板の前へと戻って行く。
銀の鋼亭・掲示板 |
何を思ったか、アルティアは掲示板に張られた依頼書をじっと見つめ、それを指さしながらなにやらぶつぶつ言い始めた。
■アルティア To:独り言 |
ど・れ・に・し・よ・う・か・な・チャ・ザ・神・の・言・う・と・お・り〜 |
どうやら最後に指さした物は例の依頼であった。
銀の鋼亭・カウンター |
■アルティア To:ALL |
ええと、チャ・ザ神を仰いだ所この依頼を成し遂げなさいという啓示が与えられました〜。 というわけで、みんなの反対意見がないようでしたらこの依頼主に会ってみますか〜? |
啓示が得られたと言っているが、決して「ディビネーション」の様な高級な物では決してないようだ(笑)。
■ヘルムンス To:アルティア |
もちろん異論はないですが・・・ それにしても、なんというか斬新な啓示の受け方ですね。(^^; |
■ジェスタ To:アルティア&心の中で |
なんか、わたしでもできそう……(¬_¬;) (本当に司祭様なのかしら……? 聞いていた話とずいぶん違う……) |
■リシィア(心の声) |
…チャ・ザ様の神官の方は、皆さんこのように啓示をお受けになるのでしょうか?(^^; |
そんなはずはない。アルティアが非常に特殊なだけなのだ。
……実はこっちが正しいディビネーションだったりする可能性は……ないはずである。
■ガイ To:アルティア |
おぉし、チャ・ザ神の同意(?)も得た事だし、はやく依頼主に会いにいこうぜ! |
■おやじ To:ALL |
じゃあ、この依頼で良いんだな? 依頼人に話をしておくよ。すぐにそっちに行くと思うぞ。 |
■ヘルムンス To:おやじ&ALL |
分かりました。それでは私達は個室で待ってましょう。 ランスさんにもこのことを伝えないといけませんしね。 |
そういうと、ヘルムンスは個室のほうへ踵を返した。
■ガイ To:ALL |
分かったぜ!じゃあ個室で待つとするか! |
ガイもヘルムンスに続いて個室へ向かった。
■ジェスタ To:おやじさん |
じゃ、依頼人の二人に適当な飲み物と軽い食べ物を用意してくれるかな? あと、わたしにアップルジュースをください。わたしたちもまだ、食事中だし。(^^) |
さっきのお酒は初めてだったらしく「聞いていた話よりおいしくないなぁ」と思ったジェスタは、自分の好きな飲み物を頼んでいる。
■おやじ To:ジェスタ |
OK、軽食ならサンドイッチでいいな? それだったらすぐに作れるぞ。飲み物は……ま、コーヒーで良いだろう。 ミルクをたっぷりつけとくから、依頼人の嬢ちゃんが飲めないようならカフェオレにしてやりな。 |
手際よく料理を始め、ものの数分で注文の品が並ぶ。
盆には、ちゃんとジェスタの頼んだアップルジュースも載っていた。
■アルティア To:ALL |
ええと、みんなと一緒に個室の方に戻っておいてくれませんか〜? 私も少ししたら追っていきますので〜。 |
とみんなに告げ、アルティアはおやじに話しかける。
■リシィア To:アルティア |
はい、わかりました。それでは先に戻っていますね。 |
リシィアはそういうとさっさと個室に戻って行く。
■アルティア To:おやじ |
では、依頼主の方に個室の方に来ていただく様に伝えていただけますか? あ、それとも私が部屋の方まで迎えにまいりましょうか? |
■おやじ To:アルティア |
ああ、いいよいいよ。わしが言っとくから。 お前さんに任せておいたらまた迷うんじゃないのか(^^;)? |
■アルティア To:おやじ |
あああ、私ってそんなに信用無いですか〜(T-T)。わかりました〜。では先に個室のほうに戻ってます〜。 |
といって個室のほうに移動し始める。
といっても、たどり着けるかどうかは別問題だが。
それにしても、こんなところで迷っているようではダンジョンはどうする気なのだろうか……。