Sword World PBM #46 |
- Howl from Behind -
獣の声が聞こえる
午後4時…獣たちの午後 |
<<SW-PBM>> | <<Scensrio>> | <<Index>> | <<Previous>> | <<Next>> |
クロムバード診療所 |
ガレスは、なにやら色々入っていそうな大きな鞄を棚から取り出すと、診察室の奥の(何故か鉄板で補強された)扉を開いた。
その奥には、これまた鉄板で補強された扉がずらりと並んでいた。扉には一通り除き窓のようなものが付いている。どう控えめに見ても、牢獄以外には見えない。
クラウディアとフィリスが入ったのを確認すると、ガレスは扉に内側から鍵をかけた。
■ガレス To:クラウディア |
鍵は君に預けておこう。万一の時は、これで開けて外から閂をかけてくれたまえ。 |
そう言って、クラウディアに最初の扉の鍵を渡すと、ガレスはおもむろに1番と書かれた病室(?)の鍵を開けた。
中には、全身拘束具でぐるぐる巻きにされた患者(?)が壁に固定された椅子に縛り付けられている。暴れても怪我しないようにという意味か、拘束具は頑丈そうな布製で、所々鎖で補強されている。さらに、口にはくつわが噛まされていた。
患者A(仮)は、血走った目でこちらを睨み付けながらなにやらうめいている。
■患者A To:ALL |
ウゥ……ゥ…ウゥ……… |
■ガレス To:ALL |
まあ、こんなところなわけだが。 |
■クラウディア To:ガレス |
はあ。なんだか,かわいそうな気がするね。こういう治療…なのかね?先生。 |
■ガレス To:クラウディア |
縛るのは治療ではない。自殺させないための措置だ。 ここまで悪化すると「死んだ方がマシ」なほど苦しいらしいのでね。 |
そう言いながら、鞄から薬をいくつか取り出し、患者Aのくつわを外した。
■ガレス To:患者A |
薬の時間だ。 |
■患者A To:ガレス |
クスリ………先生…クスリくれよ……気が狂っちまう…ブッ飛ぶようなヤツを…… |
と、そこで言葉が切れた(ガレスが顎を鷲掴みにしたから)
そして、無造作に黒い丸薬を数個口の中に投げ込むと、今度は口を無理矢理閉じさせる。患者Aはしばらくもがいていたが、観念したように薬を飲み込んだ。
■ガレス To:患者A |
希望の薬でなくて残念だが、多少は禁断症状を和らげる役に立つだろう。 |
■患者A To:ガレス |
この…クソ医……… |
そこで言葉を無理矢理中断させ、またくつわを噛ませる。
■ガレス To:患者A |
それだけ減らず口が聞けるならもう一息だな。苦しいなら、無理にでも眠った方がいい。多少はましだ。 |
■ガレス To:ALL |
で、何か質問はあるかね。 |
■フィリス To:ガレスさん |
…え?あ,はい,えと…なにかすごいですね. ガレスさんは怖くないんですか?さっきも怪我をされたようですし…. |
フィリスがちらりとガレスの額に目をやる。
■ガレス To:フィリス |
怖くないわけがないだろう。怖くなければこんな仕事はやっておれんよ。 とは言っても、そう頻繁に危険というわけではないのでな。 |
■フィリス To:ガレスさん |
…それで,この患者さんはどんな病気なんですか? 「薬が欲しい」と言ってましたが,「希望の薬でない」というのは…. |
■クラウディア To:ガレス |
こういう患者さんばかりなのかね?先生は何人ぐらいみているんだい? |
■ガレス To:ALL |
病名だと薬物中毒になるのだろうな。かなり質の悪い薬をやっていたらしくてね。 そのまま薬を使い続けて心身共にボロボロになって死ぬか、薬を絶っても禁断症状で狂死だ。よその医者で、安楽死させてやるのが一番本人が苦しまない道だと言われてきた、そんな奴らばかり扱っている。 今、入院しているのは8人だな。 |
■クラウディア To:ガレス |
…ふうん。えらい先生なんだねぇ。 今ここで,3人で回っているということは,お2人でそれだけの人数をみているのかい?そうだとしたら大変だろうに。 |
■ガレス To:クラウディア |
助かるのは10人中6人だ。人間としての尊厳を残したまま死なせてやるというのも、医者としては正しい選択だろう。どちらが偉いとは思わんよ。 先週までは3人ほどアルバイトを入れていたのだが、逃げてしまってね。今は週3日だけ来てもらっているのが1人いるだけだ。 |
■フィリス To:ガレスさん |
週三回…あ,先程おっしゃってたバルザッツさん,でしたっけ? そういえば,その人がいると患者さんが怯えるというのは,どういう ことなんですか? |
■ガレス To:フィリス |
ああ、バルザッツ君はこの間退院したばかりの患者でね。リハビリと職業訓練も兼ねてアルバイトに来てもらっているのだよ。 非常に真面目で力も強くて重宝しているのだが、興奮するとやたら患者を殴る悪癖があってね。どうしたものかとは思っているのだが……。 |
■クラウディア To:ガレス |
力が強くてやたらと殴るねぇ。それは怯えるなんてもんじゃないだろ。それも薬をやっていたせいなのかね。 |
■ガレス To:クラウディア |
いや…なんというか、真面目というかね。薬をやる前よりはましになったという話だが、まぁその辺りのケアもしてやらんといかんな。 さて、どうするかね。次の患者も見ていくかね? |
■クラウディア To:ガレス |
先生ひとりで大丈夫なのかね? さっきあばれていた患者さんとか,お手伝いは出来ないかもしれないが,誰か側にいた方がいいんじゃないのかい。 もちろん,おじゃまだというのなら,失礼させてもらうけれどね。 |
■ガレス To:クラウディア |
邪魔だと言うことはないが、面白いものでもないし、すぐに全て終わるものでもないのでね。 まぁ、つまらないと思ったり、時間がなかったりしたら言ってくれ。 |
■クラウディア To:ガレス |
わかった,そうさせてもらうよ。 …だけど,これだけ大変な患者を3人…実質はお2人でみているんだ,大変だねぇ。夜だってあるだろうに…。 |
■フィリス To:ALL |
そういえば先程暴れたという患者さんは,ガレスさんがおさえたん ですよね.武術とかの心得があるんですか? |
■ガレス To:ALL |
む……まあ……慣れだ。 さて、次に行くとするか。 |
■フィリス To:ガレスさん |
? あ,私達にできそうなことがありましたら,遠慮なく仰ってくださいね. |
<<SW-PBM>> | <<Scensrio>> | <<Index>> | <<Previous>> | <<Next>> |