隣人の家 |
墓場での作業が終わった頃には日も沈み、辺りは薄暗くなっていました。
村が完全に闇で覆われるまでにはまだ少しは時間がありそうです。その前に一行は村に最近引っ越してきたという人の家に向かうことにしました。
墓場を離れて15分くらい北に歩き続けると村のはずれに来ました。他の農家とはかなり離れた一角に、あばら屋という言葉がふさわしいほどあちこちが傷んでいる家がありました。
暗くてもそうと分かる程の念の入れようで部分部分を補修しているため、何とか人が住めそうな形にはなっています。おそらく、それ以前はいつ崩れても不思議ではないほどだったのでしょう。家の周囲は何十年も手入れがされていなかったため、腰ほどの高さのある雑草が一面に生えていました。
板が打ち付けられた窓からは、注意していなければ気づかないほどかすかに明かりが漏れていました。
家そのものは周囲の農家に比べると比較的大きいようです。
■アイシャ TO:みんな |
ひゃ〜、草ぼうぼうだねぇ。 (ホントに人が住んでるのかなぁ…。) |
■ルタード To:みんな |
これはまた、ずいぶんな荒れようじゃのう。 こんなやたらめったらな直しを入れるくらいなら、一から建て直したほうがずっとよかろうに。 |
■バジル TO:ルタード |
もともとは立派なお家だったんだろうにねぇ |
正面の戸口の前に来ます。ポムは戸口にそっと聞き耳を立てた[達成値11]が特に物音は聞こえない気がした。
■ポム To:シーアン |
(小声) 中から特に音は聞こえないみたいだぜ |
■シーアン TO:ルタード |
で、どうすんだ?正攻法で行くのか? ・・・頼むな(^^; |
例によって・・・口下手なリーダーは面倒な事をルタードに押しつけようとする。
■ルタード To:シーアン |
「頼む」って、シーアンどの、別にこの家を襲撃しようというわけではないですじゃろう? もちろん、正面からまいるつもりですぞ。 |
ルタードは、力を加減しつつ正面の扉をノックします。
■ルタード To:中にいる人(?) |
もしもし、どなたかいらっしゃいますでしょうか? |
ドアをノックして待つこと数分………なにも反応はありませんでした。
ところで、ほぼ同じ時。ポムはすそそと離れ音をたてず家の周りを調べましたが、だが辺りが暗いせいか何も発見する事はできませんでした。
■アイシャ |
……あやや? (誰も出てこな〜い) |
■シーアン TO:ルタード |
居留守・・・か? 窓から明かり、漏れてるもんなぁ・・・。 |
■ルタード To:シーアン |
……これは困りましたな。居留守じゃったりすると、さらに厄介ですな。 押し入るわけにもいかぬじゃろうし、……いかがしましょうか? |
■バジル TO:ルタード |
灯かり付けたまま寝ちゃってたら危ないし、ここはもーちょっとおっきく声かけるのはどうかな? その、もちろんドアを壊さない程度に…ね。壊れちゃったらしょうがないけど。 |
■ルタード To:バジル |
そうじゃのう……。 |
■アイシャ TO:バジル&ポム |
1、2の3で一緒に大きな声で呼んでみる〜? |
■ポム To:アイシャ |
なんて呼ぶんだ? |
■アイシャ To:ポム |
えっとぉ、「こんばんはー」とか「レクナムさーん」とか。 |
特には考えてなかったようです…。ここでシーアンはそーっと扉を開けようとしました………が、開きませんでした。どうやら、鍵がかかっているようです。
月明かりに照らされている中、よくよく調べてみると扉はかなり頑丈な材質でできてており、鍵も素人目で見ても分かるほど複雑なものが二重三重にもつけられているようです。
■シーアン T0:中にいる人(?) |
駄目か・・・。鍵かかってんな。 おーい、中に誰かいるんだろ?返事してくれよっ! |
シーアンはもう一度、今度は強めにノックして、中にいるかもしれない住人に呼びかけてみましたが、やはり反応らしい反応はありませんでした。
■ルタード To:シーアン |
どうにも反応がありませんなあ。 |
■シーアン TO:みんな |
ちっくしょう・・・。 どうするよ?諦めて明日にすっか? |
■ポム To:シーアン |
窓から何か見えないかな?(ぽそり) |
珍しく決まりが悪そうに俯きながらポムが提案。レクナムの家での失敗が響いているようです(笑)。
しかし、窓から覗こうにも隙間が小さすぎるため中の様子を確認できるまでには至りませんでした。
■アイシャ TO:みんな |
困ったねぇ。 |
■バジル To:シーアン |
(ちょっと大きな声で)やっぱり留守みたいだし、今日はもう遅いから明日にした方が良いんじゃない? |
■シーアン TO:バジル、みんな |
そうだな。また明日来よう。 さ、みんな、村長とこ行って夕食にしようぜっ! |
■ポム To:シーアン&みんな |
うわぁい♪夕食だぁ♪(小躍り) |
そう言いながらバジルはシーアンにウィンクすると小声でインビジリティの魔法を唱えて姿を消しました。
シーアンは実はバジルにつられて大声でしゃべってしまっただけだったのだが(笑)、バジルの姿が消えたことでようやく事態を理解しました。
ポムは一瞬ポカンとバジルがいた場所をみるが、そんな魔法を見た事あるのを思い出し納得したようです。
■シーアン TO:バジル |
(姿を消して、何か探ろうってんだな?気をつけろよ・・・) |
アイシャはバジルが消えた訳をわかっていませんでした^^;
が、シーアンの顔を見て今は聞かないでおこうと思ったようです。
■ミュン TO:ALL |
一応確認しておきますね。 |
小声でセンスマジックの呪文をとなえました。
■ミュン TO:ALL |
ロックの魔法かなにかがかかっているかと思ったんだけど・・・ まあいいや・・・ |
ミュンも、シーアンにむかって頷いた後、小声でインビジリティの魔法を唱えて姿を消しました。
どうやら、バジルのバックアップの為に残るようです。
シーアンは心配しつつも、態度に出ないよう注意し、仲間を促すと村長の家に向かいました。
村長の家 |
一行が村長の家に戻ってきたときには日は完全に落ちていました。代わりに満月を少し過ぎた月明かりが村を照らしています。
村長は一行の帰り時間を大体予測していたか、夕食の準備はほとんど済ませてありました。すぐに食堂に案内されます。
ちなみに献立はロケットとチャイブと冷肉のサラダ、ドライバジルを降ったチーズスティックのフライにトマトソースをかけたもの等々。食後には鮮やかな青の蜂蜜入りハーブティだったり。結局、どれもこれもハーブにアクセントをおいているようです。
■シーアン TO:ウェイン |
すげー、ハーブだらけだ! |
■ウェイン |
ちょっと多すぎましたか? 大勢の人に食べてもらえると思うと、つい張り切ってしまうのがわたしの悪い癖なもので(^^; |
■シーアン TO:ウェイン |
わかるなぁ、その気持ち(^^)。 じゃ、いただきます! |
■ルタード To:ウェイン |
それでは、遠慮なくいただきます。 大丈夫、「多すぎる」などというご心配はまったく無用です。 |
そう言ったルタードの視線の先にはポムがいたりします……。
■ポム To:ルタード&ウェイン |
そうそう♪あたしとルタードがいれば大丈夫♪(えっへん) またまたうまそうだ♪いただき〜…(もぐもぐもぐ) |
ルタードの視線を受けて得意そうに言うと、早速挨拶の「ます」と共に食べ物を口へ(笑)。
■ルタード To:ポム |
いやいや、ポムどのだけでも充分ではないかの?(笑) なんといっても、わしは小食のほうじゃから。 |
とか言いながら、自分の取り皿に遠慮なく盛っています。
■アイシャ |
(くすくす) アイシャもいただきます〜♪ |
■ポム To:ルタード |
そうだ、全部食べちゃ駄目なんだ! バジルとミュンの分は残しとかなきゃルタード |
運良く思い出したらしい(笑)。
■ルタード To:ポム&ウェイン |
なにを思い出したように言っとるんじゃい(笑)。 こんな調子ですからの、村長どの、あるいは料理が足りなくなるかも知れませぬぞ(笑)。 |
言いながら、ポムからは見えないようにフライを2個、大皿に戻したりしています。
■ウェイン To:ルタード |
ははははは(^^; 食材はまだ十分ありますから大丈夫ですよ。気のゆくまで召し上がってください。 後で作り直せばいいだけの話ですから(笑 |
■ウェイン |
ところで、今回の事件に関して何かおわかりになったでしょうか? |
■シーアン TO:ウェイン |
まだ初日ですから・・・(^^;、 でも墓荒らしが今回の4体だけでなく、過去にも少なくとも1体あったらしいと言うのは、わかりましたね。 |
■ウェイン To:シーアン |
ああ………古い墓を掘り返したときのことですね。 しかし、一体過去にどれだけの墓が荒らされていたのやら………。 |
■ルタード To:ウェイン |
ぞっとしますな。 しかも、今回の事件まで、気づかれることがなかったというのが不思議というか、不気味というか……。 |
質問に一区切りが付いたと思いきや、再びシーアンが質問を切り出してきました。
■シーアン TO:ウェイン |
そうだ、駐在さんが見回りに使ってたコースはわかりませんか? |
■ウェイン To:シーアン |
コースですか。この村は見ての通り、わたしの家を中心に他の家が環状(放射線状)に広がっていっているんです。 ですから、まず、わたしの家を最初に訪ねて、それから徐々に範囲を広げていって………という形で見回っておられたようです。 もっとも、あまり細かくそれをやると時間がかかりすぎますので日によって念入りに警備する場所を変えていたそうですが。 |
■ルタード To:ウェイン |
ロットどのがいなくなった夜、使っていた経路はお分かりになりません……よね? |
■ウェイン To:ルタード |
はぁ、申し訳ありませんがそこまでは分かりません。 |
■シーアン TO:ウェイン |
ロットさん・・・には家族っていたんですか? 親しい友人とかは? 明日はロットさんのお宅を尋ねてみようかと思ってるんです。 |
■ウェイン To:シーアン |
この村にいる住人は皆家族のようなものですから、わたしを含めて皆親しくつきあっていました。 家族はいたそうですが、村には住んでいません。 ロットの家でしたら、最初に言ったかもしれませんがすぐそこにありますので、同行しましょう。 |
言いながらウェインは窓を開けて、畑を隔てた向かいにある結合住宅のような家を指しました。
■ウェイン |
あの家は通常の住居と詰め所もかねていますので、あのような形になっています。 もっとも、留置場になっている部分が使われた試しはありませんが。 |
■アイシャ TO:ウェイン |
あ、そうだ〜。 ”最近引っ越してきた人”って、なんていうお名前なんですか〜? |
■ウェイン To:アイシャ |
顔すら知らないほどなので………聞いたことはありません。 |
■ルタード To:ウェイン |
そうですか……。 いや、実は村長どのと別れたあとで、その人の家を尋ねてみたのですが、どなたも出て来られなかったのですよ。人のいる気配はしたのですがの。 で、たびたびの勝手なお願いで申しわけないのですが、もしご都合がつくようでしたら、明日われわれと一緒にいらして下さいませんか? 村長どのがご一緒ならば、状況も変わってくるかも知れませぬので。 |
■ウェイン To:ルタード |
ええ、もちろんご一緒しましょう。 |
■アイシャ To:ウェイン |
アイシャなら引っ越して来た時、村長さんやご近所さんに、ご挨拶するのにな〜。 じゃあ、その人に会った事があるのは、ロットさんだけなのねぇ。 |
アイシャは、以前、誰かが話してくれた「ヨステビト」っていうのは、こういう人の事なのかなと思った…。
■ウェイン To:アイシャ |
はい、多分、ロットだけだったと思います。 |
■アイシャ To:ウェイン |
う〜ん……あ! そういえば、オランから来た行商の人には会ってるですよねぇ? 確か、お昼ご飯の時にそう聞いたです〜。 その行商の人ってまだ村にいるですか? |
■ウェイン To:アイシャ |
その日中に帰りましたよ。またくるかもしれませんが、いつかは分かりませんねぇ。 |
■アイシャ To:ウェイン |
そっか〜。もういないなら、お話は聞けないねぇ(がっかり) 行商の人は何を売りに来たんですか〜? 越して来た人の他にも、その行商の人から物を買った人はいるですか? 越して来た人が、どんな物を買ったのかなんて…知らないですよねぇ? |
■ウェイン To:アイシャ |
さすがになにを買ったか、までは分かりませんが多分食料品や日用品など日常必要とするものだと思います。 わたしがその行商人にいろいろ売ってもらいましたけど、扱っていたのは今言ったものでしたし。 今日、食材として使った肉類もその人から買ったものですよ。 |
■シーアン TO:ウェイン |
いつもの行商人ではなかったと言う話だけど、それはなんでなんだろうな? ウェインさんはなにか聞いていませんか? |
■ ウェイン To:シーアン |
ふむ・・確か、新しい仕入先を探す為に行商に出る事があるとか仰っていた覚えがあります。 それに、例の人が引っ越して来た時の様子からすると、どうやら二人は知り合いのようでしたな。 友人の引越しを手伝うついでに仕事もしていった、というところではないでしょうか。 |
ちなみに食事を楽しんでいる人がいても外で待ちぼうけを喰らっている人はいたりするのです………
隣人の家(夜) |
村長の家でシーアンたちが晩ご飯を食べているその頃、精霊使いのミュンとバジルは二人してインヴィジビリティを使って延々と隣人の家の前にて待機していました。
それほど寒いわけでもありませんが、いくら待っても何も起きないところで集中しながら待ち続けるのはさすがに疲れます。それから4,5時間は経ったでしょうか、いい加減疲れてきて帰ろうと思い始めたそのとき、かすかでしたが二人の耳が特異なる音を関知しました。
甲高くそして長く響き渡るようなオオカミの遠吠えのようなものです。
とっさに辺りを見回しオオカミの姿が見えないことを確認したバジルは、その音はかなり近くの地面の下から伝わってくるように思えました。
しかし、野生で培ったレンジャー特有の注意力を持つミュンはさらに正確に音の出所が分かりました。自分の目の前にあるあばら屋から聞こえてきたようです。
■バジル |
ふぅ〜 |
バジルは深く息を吐きながら集中を解き、姿を現しました。
■バジル TO:ミュン |
本当に中に誰も居ないのかな?ゴトリとも音がしないね。ところで、さっき聞こえたのは、狼の遠吠えかしら? 確か、前のアンデット騒ぎが起きた時にも聞こえたって話じゃなかった…? なんだかすぐ近くで聞こえた気がしたけど。それも…地面の下から… |
バジルはかすかに明かりの洩れる窓を見上げた。
ミュンも、姿を現した。
■ミュン TO:バジル |
そうですね。いっそのこと、中に入ってみましょうか? 今の遠吠え、この家の中から聞こえたようですし。 |
好奇心はグラスランナー並のバジルは、中を覗きたい誘惑に潰されそうになるところでしたが、そこは辛うじてエルフの理性で踏みとどまりました。
■バジル TO:ミュン |
う〜ん… まずはこの事を、シーアン達に言いに行かなくちゃ。 僕達だけで中に入って、もし沢山オオカミがいたりしたら、手におえないもの。 こうなってくると墓場の方も気になるけど、そっちは誰か近づいたりしたら、音がするから平気かな。 |
■ミュン TO:バジル |
そうですね。実は墓場のほうもちょっと気になっています。 僕が、墓場を見てきましょうか? |
■ミュン TO:バジル |
バジルは、このままシーアン達に知らせてもらえませんか。 僕は、やはり、すこし墓場を見てきます。確認したら、ここに戻ってきますので。 |
■ミュン TO:バジル |
なにかあっても、深追いするつもりはないですし、遠くからみるだけですよ。 それに姿を消して行くつもりですから。 |
■ミュン TO:バジル |
なにかあったら、シルフにたのんで言葉を伝えてもらうつもりですから。 |
矢継ぎ早の確認の嵐の承諾を受けてミュンはここに残ることになりました。
バジルは急いで村長の家に向かいました。