猟犬達の小屋 |
一方先ほどから冒険者の後ろでなにやら思慮深げにレイリアを見ていたホークが不意に彼女へと近づいた。
■ホーク To:レイリア |
・・・・・・ちょっといいかね? どこか体の具合が悪いのかい? |
■レイリア To:ホーク |
・・・・・・・ええ。このところ少し熱っぽくて・・・・・。 |
■エルシア To:ホーク |
この娘の精霊力のバランスがおかしくなっているみたい…風邪…かなと思うんだけど |
■ホーク To:エルシア > レイリア |
風邪だといいのだが・・・・すこし診てみよう。 |
しばらくレイリアの診察をしていたホークだが、やがて彼女の舌を見たとき、愕然とした表情でつぶやいた。
■ホーク To:ALL |
なんと言うことだ・・・・・この子もフレイムタング病にかかっているぞ!!! |
■バーン To:ホーク |
なんですって!? ホークさんそれは確かですか? |
■ホーク To:バーン |
あ、ああ・・・・・まず間違いない |
■ホルト |
てっきり長の監禁生活による衰弱とばかり… レイリア、舌にピリピリとした違和感とか痛みは? |
■レイリア To:ホーク、バーン |
ええ、少し舌に違和感があります。 恐ろしい病気・・・・なんですか? |
レイリアは不安そうにホークとバーンを見つめます。
■バーン To:レイリア |
病気としては…恐ろしいです。 ですが、その特効薬があの青い蓮の花なので、心配は要りませんよ。 (心の声)『あとは薬の量が足りるかどうかだが…』 |
■レイリア To:バーン |
そうですか・・・・・。 きっと諦めてしまった報いなのかもしれませんね、この病気は。 でも貴方を信用します。 |
■エルシア To:ホーク |
どれくらいもちそうなのか解る? |
ホークはちらりとレイリアを見た後、さすがに大声で言うのはまずいと思ったのかエルシアへと耳打ちした。
■ホーク To:エルシア |
もって・・・あと数日だ。 早くオランに戻ってブルーロータスを精製して飲ませないとまずい。 |
■エルシア To:ホーク ALL |
そう、じゃあやる事は決まっているわ一番体重が軽いのは私だから、私が彼女をオランまで連れて戻るのが一番良いと思うんだけどもちろん、馬を貸してくれるわね?少しでも早くつこうと思えば、いますぐにでも出た方がいいと思うけど…… |
■ホーク To:エルシア |
彼女とブルーロータスも運ばないといけないだろうから、君一人では辛いだろう。 それにバーン君と私も感染している可能性もあるし、連れて帰るとしたら君もその可能性が出てくる。 まあともかくも今すぐにでもここを出る、というのには賛成だが。 |
■エルシア To:ALL |
それもそうね… けどあの馬車も定員一杯だろうし…二手に分かれるのはどう? |
その二人の輪に端で聞いていたバーンが加わってくる
■バーン To:ホーク、エルシア |
感染の可能性があるなら、長居は無用ですね。レイリアに触れた人間は、彼女と一緒にひとまずオランへ向かいましょう。 それとエルシアさんの言う通り、二手に分かれましょう。接触がなかった皆さんでここの事後処理をしてもらいたいと思います。 |
■ホーク To:エルシア、バーン |
うむ、それがいいだろう。 |
■ホルト To:レイリア |
病身に旅は辛いでしょうが、耐えて下さい。 |
■レイリア To:ホルト |
はい・・・・・・ |
と、そこに、花を見に行ったアトールが帰ってくる。
■アトール To:ALL |
ん?どうした? さらに深刻そうな顔つきになってるけどなにかあったのか? |
バーンは2次感染の危険を考え、アトールには触れないようにしながら状況を説明する。
■バーン To:アトール |
レイリアがあの病の発症者だったんですよ。彼女に接触した俺も感染した疑いがあります。 申し訳ありませんが、感染の疑いがある人間と花を優先して搬送します。 花のほうはどうでしたか? |
■アトール To:ALL |
花の方はギリギリ3株があったんだけど・・・ずいぶん水色なんだ。 確か、ホルトの話じゃ蒼くないと効果が低いって言っていたよな? |
■ホルト To:アトール |
ブルーロータスについて詳しくは知らないが、そう聞いている。 水色?…水色だって!? |
■ホーク To:アトール |
おお、あったか。 ありがとう、アトール君。 ・・・・そうだな、確かに・・・・すまんが少し見せてくれないか? |
ホークはアトールからブルーロータス受け取って調べはじめる。
だんだんとその表情が険しくなっていく
■ホーク To:ALL |
駄目だ・・・。この花では十分な効果は期待できない。 クッ!あの子達を救う事はできないのか・・・ |
■バーン To:ホーク |
…そんな… 何か花を蒼くする方法は無いんですか? |
■ホーク To:バーン |
・・・・わからない。 このまま育てれば青くなるのかもしれないが・・・・・。 |
■ホルト |
ここまで来て…ックショウ、俺にもっと知識があれば…(あればどうなるんだ?) |
■レイリア To:ホーク&バーン |
・・・・・もしかして、その花では駄目だったんですか? |
恐る恐ると言った感じでレイリアはそう尋ねた。
■バーン To:レイリア |
ええ。もっと深く蒼い色に育った花で無いと、十分とは言えません。 無事なら、あと数株どこかに有るはずなんですが… |
■レイリア To:バーン |
そう・・・、お役に立てなくてごめんなさい・・。 もっと蒼い花もあったけど・・・、 酒に酔った彼らに乱暴された時に・・・・。 |
そういってレイリアは涙を見せた。
■レイリア To:ALL |
ごめんなさい・・・、恐かったの・・。 この花を踏みつけるあの男達を部屋の隅で、ただ震えて見ているしかできなかった・・・。 |
■バーン |
(心の声)『それであの最期の言葉か…』 |
■エルシア To:レイリア |
…もう、いいわ今の貴方を攻められる人は誰もいないわ、誰もねさぁ、無いと解った以上、長居は無用なんじゃない? |
■バーン To:エルシア、ALL |
ええ。俺達はこの花についてあまりにも知らな過ぎます。 ここで無為に時を過ごすより、一縷の望みを賭けて早く戻ったほうが良いでしょう。 |
バーンはそう言うと、パーティーの面子を2組に分けることを提案した。
アトール、ホルト、チーゼル、マーズを居残り組として、官憲手配や略奪品の整理を。
バーン、ホーク、エルシア、レイリアは搬送組として馬車を使って先にオランに戻ることとした。だが、慌ただしく準備を整えようとする冒険者達に対し、レイリアはゆっくりと口を開く。
■レイリア To:バーン&ホーク |
・・・・・貴方達はあの青い花を目的があって捜しに来たのでしょう? あの子たちとホークさんはおっしゃいました。 もし、私があなたがたと一緒に戻ったら・・・・・助けようとする子供たちと私の間であなた方が苦しむのではありませんか? |
■ホーク To:レイリア |
・・・・・・・。 |
■バーン To:レイリア |
…それは、…。 |
■レイリア To:ALL |
私のことは気にしないで下さい。 この病は・・・・・きっと死ぬのが恐くて、あの男達に言う事を黙って従っていた報い。 報いは、私一人の力で打ち破ります。 |
■バーン To:レイリア |
報いだなんて… |
バーンはレイリアの言葉を打ち消すようにかぶりを振ったが、彼女がそれを求めているのではないと感じると、黙って次の言葉を待ちうけた。
■レイリア To:ホーク |
花を見せてください。 子供たちが全員助かるように祈りを捧げたいのです。 私の祈りでよければ・・・・。 |
ホークは無言のまま手を差し出したレイリアへとブルーロータスを渡した。
目を閉じ、そっと神へと祈る彼女。いつしか彼女の目から涙が零れる。
■レイリア To:ALL |
よかった・・、本当に・・・・。 あなた達のような人に会えて。 |
一滴、また一滴と彼女の涙がブルーロータスへと落ちていく。
そして奇跡は起こった。
零れ落ちる涙にブルーロータスは青く色づきはじめ、やがて閉じていた花弁は開きはじめ見事な蒼き大輪の花を咲かせた。
■ホーク |
これは・・・・・神の奇跡なのか・・・・・・。 この花ならこの蒼き花なら皆助かる! |
震える手でレイリアからブルーロータスを受け取るホーク
■レイリア To:ALL |
そう、良か・・・った・・・・・。 |
満足げな笑みを浮かべたレイリアであったが、そのまま床に倒れ伏してしまう。
■ホーク To:レイリア > ALL |
?! いかん!いそがなければ!! |
■バーン To:ALL |
俺が担いで馬車まで走ります。準備を早く! |
■エルシア |
じゃあ、私は水を入れ替えてくるわ |
■ホルト To:エルシア |
厨房から鍋か何か、器に使えそうなものを持って来る! |
冒険者達は搬送の準備を瞬く間に終えると、レイリアを背中に担ぎ、小屋の玄関に出た。
■バーン To:居残り組ALL |
それでは、後は宜しくお願いします。 レイリアの起こした奇跡があの子供達を救えるように祈っていて下さい。 |
■ホルト |
せめて荷馬車まで送るよ。 夜の森は暗いし、荷物持ちくらいなら出来る。怪我してるだろ? |
■バーン To:ホルト |
(ニッコリと笑い) ありがとうございます。助かります。 時間がもったいないんで、済みませんが全力で走ります。 宜しくお願いします。 |
バーンは言うや否や旋風のように疾走していった。
ホーク、エルシアも夜の森を照らすランタンを手に持ち彼の後に続く。
木々のはざまから差し込む月の光が森の斜面を照らし出す。冒険者達が映し出す重なりあった影は、あたかもレイリアが流した涙滴のような形であった。
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