残るは悪臭のみ
洞穴入り口 |
カヴァレスの魔弾によって崩れ去った緑の魔人。
周囲には、まだその名残の悪臭がただよっている‥‥‥
■クロス To: |
や、やった…? |
思わずダガーを突きつけたまま動きを止めるクロス。
目の前で魔人が霧散していく様を見ているが、まだ何が起こるかわかないので、とりあえず慎重に、慎重に辺りの気配を伺う。
一方。カヴァレスの魔力をまざまざと見せられたシーアンはというと、
■シーアン To: |
カヴァレスの魔法すげー・・・。 |
と、ちょっとぼ〜ぜんとなりながら己の剣を見つめている。
■バジル To: |
あ〜、死ぬほど臭かった…・・・ |
■ポム |
もうこの臭いにはごめんだぜ |
と、パタパタパタ‥‥と空いている手で鼻の前を扇ぐポム。
よほど堪えたらしい。
その隣では、先ほどの魔人の最後の言葉がやけに気になっているアイシャ。
口の動きはわかったけれど、いったいどんな意味なんだろう??
■アイシャ To:カヴァレス |
緑のが最後に言った言葉、カヴァレスさんにはわかった? アイシャ、わからなかったの〜。 知らない言葉みたいだったけど、口真似だけならできるよ〜。 |
■バジル To:カヴァレス |
あ、僕も僕も〜、口パクで良ければ真似できそう。 |
物知りなカヴァレスならば、きっと教えてくれるだろう♪
そんな期待を込めてカヴァレスに向かい、先ほどの魔人の口まねをするのだが‥‥
その口の動きを見て、深いフードの奥の瞳がきらり。
■カヴァレス To:バジル,アイシャ |
クク、なぁに、きっと大した事じゃぁ無ぇさぁ。 俺達にゃぁ関係の無ぇ話だぜぇ・・・ |
その内容を本当に理解できたのか、寡黙な魔術師はそう答えたきりだ。
その回答に、ちょっと?な2人。
しばらく時間が経った頃。
アイシャのコールド・プロテクティブサークルの効果が切れた頃に‥‥洞穴の奥より、1体のフラウがふらふらと出てきた‥‥
奥よりクロスに冷気を浴びせかけていた、フラウBのようだ。
■フラウB |
(精霊語) ‥‥‥これは‥‥いったい‥‥‥? わか‥‥若様は‥‥‥??? |
どうやら、だいぶ混乱しているようだ。
■バジル To:フラウB |
(精霊語) あ、正気に戻ったんだね! 大丈夫、僕達怪しい者じゃないから。 君の若様に頼まれて、このくさいモンスターを倒しに来たんだ。 |
■フラウB To:バジル |
(精霊語) 怪しくない‥‥‥‥ ‥‥!!!! お前、若様に頼まれてって言ったな!? 若様は?若様はいずこ!? |
その頃になって、ようやくフラウAも正気に戻ったようだ。
■フラウA To:フラウB |
ニア‥‥?若は‥‥?? 私達は‥‥? |
フラウAは呆然としている。
■バジル To:フラウB |
(精霊語) そっちの君も正気に戻ったかな? 安心して。若様は安全な所で待ってるよ。 |
■シーアン To:カヴァレス |
そうだ、ジリィに連絡とってくれ。 臭い匂いの奴は倒したから入れるぞって。 |
■カヴァレス To:シーアン |
人使いの荒ぇ事ったぜぇ。 ちぃと待ってなよぉ? |
そういうと、依頼人の胸に抱かれたカラスがバサリ‥‥と羽ばたく。
主の元へと飛び立つ烏を見て、依頼人はジリィを胸に抱き上げる。
■バジル To:フラウB |
(精霊語) ねぇ、いったいどうして君達、こんな奴の言うなりになってたのさ? もっと臭くするぞ〜って脅された訳じゃないだろうし……。 何が始まりだったのか憶えてないかな?。 |
■フラウB To:バジル |
(精霊語) 言い成り‥‥‥? お前達は何を言っているのだ!? 私達が若様以外に従うわけがなかろう? |
どうやらフラウBの方は、現状を理解していないようだ。
■フラウA To:バジル |
(精霊語) しかし‥‥確かに‥‥しばらくの記憶が‥‥? |
フラウA、Bの両者は少し混乱してはいるが、だんだんと落ち着きを取り戻してきているようだ。
両フラウの姿は、先ほどの荒れ狂っていた姿よりもより鮮明に、よりはっきりと冒険者達の目に見えて来た。
その姿は近所のね〜ちゃんフラウよりも大きく、かつ、バジルの目にはより強い力を感じることができた。
■ポム To:バジル |
バジル〜 ジリィの姉ちゃん兄ちゃんはちゃんと正気に戻ってるか? 近所のフラウ達にも説明頼んだらどうだ |
■クロス |
大丈夫かな…混乱してるように見えるけど… ねえバジル、フラウたちなんて言ってる? |
と、バジルに質問。
ただ今自動翻訳機(ひでぇ)移動につき、逐一通訳は稼動していないらしい。
■バジル To:ポム&クロス |
ん、まだちょっと現状把握できてないみたいだけど、概ね正気に戻ったみたい。 ジリィ君が来れば一気に解決するんじゃないかな。 |
概ね正気に戻ったという事を聞き、先ほどからの疑問をちょっと聞いてみるアイシャ。
■アイシャ To:バジル |
フラウさん達にケガしてないか聞いてくれる〜? アイシャ治してあげるの〜。 |
■バジル To:フラウA&B |
(精霊語) 二人ともどう?調子は。 怪我なんてしてない? この人間の女の子が、心配してるんだけど…… |
急な質問に、ちょっと目をぱちくりさせるフラウ2体。
■フラウB To:バジル |
(精霊語) 身体‥‥怪我か? いや特に怪我などはしていないのだが‥‥ |
■フラウA To:バジル&アイシャ |
(精霊語) お心遣い感謝する‥‥と、彼女に伝えてくれないか(^^)。 |
と、にっこりと微笑む。
■バジル To:フラウA&B |
(精霊語) うん。わかった。 |
■バジル To:アイシャ |
特に怪我は無いって。気にしてくれてありがとってさ。 |
■アイシャ To:バジル |
そっか、良かったの〜。 |
怪我がないのはとっても良かった☆
そう思い、アイシャは言葉こそわからなかったが、にっこりとフラウ達に微笑みを送った。
カヴァレスの合図により、ようやく駆け寄って来た依頼人とジリィ。
依頼人の腕に抱かれているジリィは、ちたぱたぱたとしている。
■ジリィ To:フラウA、B |
(精霊語) にぃた〜〜〜ん♪ねぇた〜〜〜〜〜〜んっっっ☆ ‥‥‥‥‥ いぢめるぉ?いぢめるぉ?? |
ぴょいん♪と腕から飛び降りて、一旦、フラウ達に抱きつきに行こうとしたジリィ。
しかし、ぴたっっと立ち止まり、依頼人の足元からぢぃぃぃ〜〜とフラウ達を見る。
■フラウA、B To:ジリィ |
(精霊語) へぇ!?‥‥☆×▲ξ〓〆§♂※⇔∀♀∞∇!! 若様ぁ〜〜〜??(TT) |
■バジル To:ジリィ |
(精霊語) もう大丈夫だよ。 おにぃさんとおねぇさん、二人とも元に戻ったよ。 安心して飛びついておいで。 |
わけもわからずおろおろとしているフラウ達。
その横で、依頼人は冒険者達から戦闘の様子を聞いていた。
■クロス To:ルツァー |
なんか緑色したモンスターでね。 いやもう、臭いの何のって。目にしみるほどだったんだ。 ルツァーさん、一体何だったのか見当つきます? |
と、自分が見たモンスターを詳しく説明するクロス。
しかし残念かな。自分が体験した猛烈な臭気を完璧に依頼人に伝える事はできなかった。
が。
■ルツァー To:クロス |
う〜ん‥‥‥先ほどから考えていたのですが‥‥ガス・ストーカー‥‥ですかね‥‥‥?? ただ、私が目撃したわけではありませんので、はっきりと言えないのすが‥‥‥。 それと、ストーカー系の出没するところといえば、主には遺跡。 ‥‥ジリィ君のおうちが遺跡とは‥‥ちょっと‥‥ |
と、ほのぼのと答える依頼人。
■クロス To:ルツァー |
ガスストーカー… |
■バジル To:ルツァー |
目的の像もこの洞窟にあるって話だし、あながち遺跡じゃないとも言えないかもよ。 |
■ポム To:クロス&ルツァー |
死ぬ時に下位古代語で主とか何とか言ってたぜ あんまり気分のいいもんじゃなかったけどな なぁ?レス? |
当然自分がわかったのだから、レスだったら完全にわかっているだろう?とのポムの問いに、果たして魔術師の反応やいかに?
■カヴァレス To:ポム |
ほぉ?ちんまい勇者殿も聞き取れたかぁ? 確かによぉ、勇者殿ご一行様にゃぁ気分は良くねぇかもしれねぇなぁ。クッククク・・・ |
お前、本当にわかってるのか?(^^;;
■シーアン To:ルツァー |
ふーん・・・そいつは精霊を狂わせたりもするのか?・・・あ、いや、するんですか? 人間はどうなんだろな。俺達もやばかったりするんだろか・・・。 |
■ルツァー To:シーアン |
ガス・ストーカーの力量を決めるのは、その邪悪な存在を作りし魔術師の力量ですからね。 そのガス・ストーカーが何に対しての影響力が強いのかによって‥‥違ってきたと思います。 まぁ‥‥近くで見ていませんでしたし、皆さんも別に何かしら影響を受けていないようでしたから‥‥たぶん人間には大丈夫だったのではないの‥‥かな? |
と、頭を捻っての回答です。
■バジル To:ルツァー |
影響って点だけで言えば、この匂いは僕等にものすごく嫌な影響を及ぼしてたけどね。 おかげで濡れた鎧の匂いなんてちっとも臭いと思わなくなっちゃったもの。 |
■ルツァー To:バジル |
濡れた皮の臭いをしのぐぐらいですか‥‥それは‥‥凄かったんですね‥‥(^-^;;;;; |
密かに依頼人、濡れた皮の臭いがダメっぽい。
■ポム To:ジリィ |
(西方語) おーい、ジリィ ここに水草あるけどこれからどうするんだ? |
と、自分の水袋をそっと持ち上げる。
■ジリィ To:ポム |
(西方語) そうだぉ!そうだぉ♪ じりぃ、ぎしきするんだぉ〜〜♪ |
■ジリィ To:フラウA、B |
(精霊語) にぃたん、ねぇたん♪んとね、あといこひつようだた、みずくさとてきたぉ〜♪えらいぉ〜〜♪ でねでね。このおねさんたち、「ぞう」ほしくて、ここまできたんだぉ〜。 じりぃ、おねさんたちに、だいぶたすけてもらたぉ〜♪ ぞうのばしょ、あんないしたいぉ〜♪ |
と、にこにこと話しかけています。
その明るい表情のジリィに対して、フラウ達の表情は少しだけ曇ります。
■フラウA To:ジリィ |
(精霊語) 若様‥‥御無事でなによりにございます。 御身に何事もなく、ほんに‥‥ |
■フラウB To:ジリィ |
(精霊語) 水草‥‥あぁ、これですべての準備が整いましたね。 今回は‥‥彼らに‥‥‥世話になったのでございますか‥‥ |
と、慈しみを込めた瞳でじっ‥‥とジリィを見つめていたフラウは、冒険者達の方を向き、
■フラウA To:ALL |
(精霊語) 此度は‥‥我々の力不足ゆえ、危うく若様に御怪我をさせてしまう所を‥‥。大変世話になった‥‥ |
■フラウB To:ALL |
(精霊語) 聞けば、若様を御守りするだけではなく、水草についても収集のお手伝いまでも‥‥‥ 本当に‥‥ありがとうございます‥‥ |
すっ‥‥と2体のフラウ達は頭を下げた。
■バジル To:フラウA&B |
(精霊語) やだな〜、そう改まって言われるとなんだか照れちゃうなぁ〜〜。 僕達はジリィ君との約束を遂行しただけだもの。 あ、ところで氷狼の像の有る場所に連れて言って欲しいんだけど、この奥かな? |
■シーアン To:バジル |
あ、ジリィとの約束で、像は俺らが貰える事になってる事も説明しといた方が良くないか? |
■フラウA To:ALL |
(精霊語) 像‥‥‥。 |
■バジル To:フラウA |
(精霊語) うん。そう。像。 ジリィ君のお願いを聞く代わりに、僕達はその像を貰うって約束になってるんだ。 |
■フラウB To:ALL |
(精霊語) 若様の儀式が済んでからでよろしいか? さすれば像のある場所へと案内できるのだが‥‥ |
■バジル To:フラウB |
(精霊語) ん〜…ここまで来たらそう急いでも変わらないだろうし、いいけど…。 あ、でも儀式が何週間もかかるんじゃ困るけどね。 その儀式の間、僕等は側に居てもいいの? あ、それにそれに、像を儀式に使ったりして壊したりしないよね? |
■フラウB To:バジル |
(精霊語) 儀式にはさほど時間はかからぬ‥‥あ、もちろん「こちらの世界」の時間で、だ。 儀式の間‥‥できるのならば、この儀式を手杖だってはもらえないか? 手伝ってもらえると、大変ありがたいのだが‥‥ 像?我々は絶対壊せないから、安心してくれたまえ。 |
どうやら、儀式の間側にいて良い以上に、手伝って欲しいそうです。
■クロス To:ALL |
僕は手伝って上げたいけど、いいでしょ? どっちみち儀式が終わらないことには像を貰うわけにいかないんだしさ。 |
と、瞳をきらきらとさせながらのクロスの弁。
好奇心が疼くのであろう。個人としても。バードとしても。
■ポム To:シーアン&みんな |
あたしは手伝いたい! すんごく手伝いたいぞ♪ |
と、力一杯主張しているのがもう一人。
■シーアン To:みんな |
また大変なお願い事でなければな(笑)。 |
これ以上変なコトはいうんじゃないぞ♪と。
■アイシャ To:みんな |
アイシャに出来る事なら手伝うの〜。 |
出来る事なら、手伝いたいと。
皆の意見は一つにまとまっている。
■ポム To:ジリィ |
(西方語) 一緒に儀式しような〜♪(^^) |
と、両手を前に出し、抱っこの体勢であったポムに、ぴょい〜ん☆と抱きつくジリィ。
抱っこ好きらしい。
■ジリィ To:ポム |
(西方語) わぁぃ♪じりぃ、いしょ、ぎしきするぅ〜〜♪ |
と、にこにこのジリィ。
■ルツァー To:ALL |
これは‥‥なんか、成り行きで凄いものを見れそうですね(^^) |
依頼人も、大分楽しみにしているらしい。
■カヴァレス To:シーアン |
悪ぃがよぉ、俺ぁパスだ。 俺ぁ脆弱な魔術師なんでなぁ、ちぃと休ませてもらうぜぇ? もうとっくに逝きそうなんでなぁ。クックック・・・ |
■シーアン To:カヴァレス |
大活躍だったもんな。 でももちょっとだけ起きてられねぇか? いや、後はただ見てるだけでいーからさ。ここまで来てあんただけ置いて行けないだろ(笑)。 |
■カヴァレス To:シーアン |
人使いの荒い事ったぜぇ。 クク,流石はリーダー殿だなぁ・・・ とっとと済ませちまってくれよぉ? |
先ほどから魔力をだいぶ消費しているカヴァレスは、ちょっと休憩が欲しい頃合いだった。
しかし、ここは山の中。確かにこんなところに一人でいては、何が起こるかわからない。
■シーアン To:ジュリー |
(東方語) 手伝ってやるからさっさと始めろよ。 |
と、にこやかな笑顔でそう言う。
パーティーとして誰も反対意見を言うものがいなかったので、冒険者達はジリィの住居たる洞穴へと入って行った‥‥‥