SW-PBeM Scenario #36
氷晶の蒼狼
第6章 水草を探せ!

野営


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野営地

 第1班はバジルとアイシャ、そしてルツァー。
 ジリィはアイシャのお膝をベットに、くぅくぅ‥‥と眠っている。
 3人、周囲に気をつかいながらも、たのしいおしゃべりの時間を過ごした。

 特に変‥‥という事もなく、次の見張りのシーアンとクロスと交代した。


 夜中の見張りはマジックユーザーではない2人組。シーアンとクロス。
 男同士の会話が、いかなるものであるかは‥‥当事者以外はわからない‥‥‥
■シーアン To:クロス
 ふぁぁ・・・。
 真ん中が一番だりぃんだよな・・・。

■クロス To:シーアン
 …そうだね。

■シーアン To:クロス
 なぁ・・・俺がなんで見張りをこの組み合わせにしたかわかるか?

■クロス To:シーアン
 ………………何か特別な意味があるのかい?

 シーアンに話を振られ、ちょっと身体が固くなるクロス。
 内心、心臓ばくばくものである。
■シーアン To:クロス
 ・・・ずりーやつだな、テメーは。
 俺にしゃべらすつもりかよ。

 やれやれ、と苦笑する。自分から話を切り出すことを、ある程度予測していたようだ。
 そして、すこし真面目な顔になり、
■シーアン To:クロス
 俺の事、避けてるだろ?
 言いたい事があるならはっきり言えって。

■クロス To:シーアン
 言いたいこと?……言いたいことなんて特には。
 それに、別にシーアンのこと避けてなんか…

 と、すこししどろもどろになるクロス。
 その視線はシーアンには合わせられず、闇深い森を彷徨っている。
■シーアン To:クロス
(と言いながら、俺と視線を合わせないんだな)

 ちょっとそんな事を思いながら、じっとクロスが口が開くのを待つ。
■クロス To:シーアン
 避けてる…かな。そうかな。
 でも違う! シーアンを避けてるわけじゃないんだ。…と思う。

■シーアン To:クロス
 ・・・オランでよぉ、俺の昼寝の邪魔しただろ。
 あの時、逃げるようにして去ってったよな。
 ・・・それからさっきの視線・・・

 ふぅ‥‥と小さなため息をもらし、視線をクロスから焚き火へと移し、
■シーアン To:クロス
 惚れちまったか。

■クロス To:シーアン
 !!

 図星?なクロス。
 シーアンから顔をそむけたまま、息を呑みます。
■クロス To:シーアン
 そんな…僕は…だってアイシャはシーアンのことを…シーアンだって…あ!

 勢いあまって自分の心を話すクロス。
 言った瞬間、ハッとする。
 一方のシーアンは、自分の言葉がここまでクロスを動揺させた事に、ちょっと驚いた。
 口に人差し指をあててクロスに注意すると、アイシャの方を気遣う。
■シーアン To:クロス
 悪ぃ。責めてるつもりはねーんだよ。
 その・・・落ちついて話そうぜ。

■クロス To:シーアン
 …き、気にしないでよ。どうせ僕は今回きりでこのパーティからは出てくんだしさ。

 ぎこちない笑みを浮かべ、焚き火に木をくべるクロス。
 何時にも増して、動きがギクシャクしている。
■シーアン To:クロス
(拗ねんなよぉ)
 一皮剥けた・・・なんて言っておいてよぉ、全然変わってねーじゃんか。
 どうしてそう、人が良いんだよ、お前は・・・。

 右手で顔を覆い、困ったように苦笑する。
 そして、もう一度クロスの気持ちを確認する。まだ納得してないからだ。
■シーアン To:クロス
 黙って去る?それでいいのかよ?
 俺は・・・譲るつもりはねーし、”頑張れよ”なんて言わねーけど、
 ・・・本当にそれでいいのか?

■クロス To:シーアン
 ………だって、他にどうしようがあるっていうんだ!

 つい、強い口調になるクロス。
 しかし、今は深夜。皆がすやすやと眠っているというので、はっと口を押さえる。
 そうして、小声になり、つぶやく。
 自分の心も押さえるように‥‥
■クロス To:シーアン
 …なんでそんなこと言うんだよ…
 アイシャの気持ちを、信じてないわけじゃないんでしょ?

 どうしてボクを応援するの?
 そんな事言うと、ボク、どうなるかわからないよ‥‥?
 そんな声が聞こえてきそうな表情である。
■シーアン To:クロス
 アイシャの気持ち―――

 その一言に、はっとするシーアン。
 ようやく、クロスの気持ちに気が付いてきたのか?
■シーアン To:クロス
 ・・・そうだな。
 なんでこんな事言うんだろうな・・・。

■クロス To:シーアン
 ……

 しばらく、だまったまま‥‥焚き火を見つめる2人。
■シーアン To:クロス
 もしかすると、自分の姿に重ねてたのかもしれない。

■クロス To:シーアン
 …どういうこと?

 クロスの方をちらっと見て、
■シーアン To:クロス
 この話、まだ誰にも言った事ないんだ。
 内緒な。

 ちょっと怪訝そうな顔をしながらも、うなずくクロス。
 頷く姿を見て、また視線を焚き火に戻すシーアン。
■シーアン To:クロス
 故郷に好きな娘がいたんだ。幼馴染で、優しくて、きれいで、しっかり者で・・・
 俺は兄貴が2人いるんだけど、よく4人で遊んだっけ・・・。
 幼い頃から、多分、ちっとは好きだったんだろうけど、大人になってはっきり好きだと思ったんだ。
 だけど、まぁ・・・結果から言えば、彼女は上の兄貴と結婚してしまった。
 俺は何も言わなかった。俺の気持ちは、兄貴も、彼女も知ってた筈だったからだ。
 この結婚をきっかけに、オランに出てきたんだ。表向きは”オランで名をあげる”だの、”こんな狭い家にいられねぇ”だの色々言ってたけど・・・
 本当は居場所がなかったんだよな・・・。

■クロス
(……居場所……)

 再びクロスの方を見て、
■シーアン To:クロス
 言っても辛いだろうけど、言わないのも辛いんだよな・・・。



 ‥‥しばらく。静かな時間が流れる。
 あたりに響くのは、ぱちぱちとはぜる薪の音か。

 おや?クロスの肩が震えているようだ。
■クロス To:シーアン
 …………くく、くくく…

 その肩の震えは、いつしか笑い声へと変化していった。
■シーアン To:クロス
 なんだよ?

 一方のシーアンは、なんでクロスが笑いだしたのかわからないといった風。
■クロス To:シーアン
 ははは、いや、ごめん。…かなわないなぁと思って。

 ふっと空を仰ぎ見る。
 しっとりとした木々の枝が、目に優しい。
■クロス To:シーアン
 あ〜あ、やっぱまだまだ余裕ないんだなー、僕は。

 口元には笑みを。その瞳は髪の毛に隠されて見えない。
 しかし‥‥気のせいか、頬を伝わり落ちる一筋の光。
■シーアン To:クロス
 ・・・余裕なんか俺もないって。
 必死だよ、いつも。・・・みっともねーぐらいにな。

■クロス To:シーアン
 ふふ、そう?
 居場所かぁ……シーアンは、居場所を見つけられたんだなー。
 故郷で見つけられなかった居場所。ちゃんと自分で見つけだしたんだ…

 そのままの姿勢で、明るく言うクロス。
 シーアンも同じく空を見上げて、
■シーアン To:クロス
 どうかねぇ・・・?
 居心地はいいけどな。
 冒険者ってのは・・・居場所なんか見つけたら続けられない気もするしな。

■クロス To:シーアン
 う〜ん、そうか、そんなものかもしれないな。
 でもいいんじゃない?
 もしそうなったらそうなったで、それはひょっとしたら冒険者より素敵な生き方なのかも、知れないしね。

■シーアン To:クロス
 ほほーっ、言うねぇ。
 ”素敵な生き方”と来たか。

 夜空を見上げている2人。
 気が付けば、最初の頃よりもだいぶ星達が移動している。
■クロス To:シーアン
 そろそろ、交替の頃合いじゃないかな。

■シーアン To:クロス
 そうだな。
 明日もよろしく頼むぜ。

 と、片手を差し出す。
 その行動に、ちょっとだけびっくりした様な顔をするが、すぐ破顔し
■クロス To:シーアン
 ああ、もちろんさ。

 と、握り返すクロス。
 その瞳は、まっすぐにシーアンを見ている。
■クロス To:シーアン
 シーアンにも、しっかりがんばって貰わなきゃだからね!

 いろんな話しをした2人。
 2人にとってだいぶ有意義な時間となったのであろうか?
 野営の見張りとしては、特に変わったことはおこらなかったようです。


 最後はポムとカヴァレス。
 ポムにとっては、最初の仕事の時以来の仲間であるカヴァレスに、つきぬ話もあるだろう。
 そんな、一生懸命なポムを後目に、なんで俺はグラスランナーにたたられているのか‥‥と一人思うカヴァレス。
■ポム To:カヴァレス
 レス♪レス♪そのカラスに名前つけてやろうか?(^^)

 ジュビリーの命名で、だいぶ自信をつけたらしい。
■カヴァレス To:ポム
 ほぉ?こいつぁあ光栄な事ったぜぇ。
 もっともよぉ、こいつが気に入るかはわからねぇぜぇ?

 多くの経験が,カヴァレスにこう告げている。
 『グラスランナーが喋りだしたら、適当にあわせておけ』と(^^;;;
■ポム To:カラス&カヴァレス
 う〜ん…となぁ…ベリーとかどうだ?

 闇夜のカラスとは言ったもので、そのそぶりはまるで見えない。
■ポム To:カラス&カヴァレス
 スュルターヌ!ギェール!ルフナ!(^^)h

 主人に似たのか、気だるげに翼のお手入れ。
■ポム To:カラス&カヴァレス
 ハヤチ…キャラとか…

 思いつくまま、名前を告げる。
 はたして烏が気に入る名前はあったか?
 そして,楽しげに名前を連呼するポムを尻目に,ちょっと苦笑いのカヴァレス。
 しかし,眠気覚ましにはちょうど良い?
 肝心の烏はどうやら眠りに落ちたようす。そりゃそうだ,鳥目だしね(^^;

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