お前は誰だ？

　最初の水場での調査を終えた一行は、次なる水場へと向おうとする。

　地図で場所をしっかり確認。
　最初の水場を後にする。

　とことこと山道を歩く一行。
　そろそろ夕闇が迫ろうとしていたころ‥‥ポムは、また先ほどと同じ視線を感じた。

　きょとん、としている依頼人。
　その隣で、先ほどの視線を感じているポムと周囲を気にするシーアンとクロス。。
　と、ちょっとのんびり＆ちょっと緊張感ある雰囲気になったころ‥‥ちょっと先の木の枝のところ、風が巻き、白い塊となって‥‥‥しゅるるる〜〜〜〜っと一気にアイシャの胸元へと塊が飛びこんで来た。
　「風」の塊に見えたものは、そのまま青白いふわふわな塊へと変化していった。

　ぶつかった拍子に驚いて座り込んでしまったが、手には無意識にキャッチした何かを抱えている。

　アイシャに何かったのか？と、血相をかえて駆け寄るシーアン。

　そして、アイシャが白い塊に襲われた（？）のを見て、あわてて駆け寄るポムとバジル。

　咄嗟の事に、思わず山刀を抜きそうになるクロス。
　しかし、害を及ぼしそうな雰囲気ではなさそうなので、寸でのところで抜くのをとどまる。

　ぼそり‥‥と言う。
　その発言に軽くうなずき、山刀から手を離すクロス。

　シーアンは、どうすればいいのか？と、ちょっとおろおろとしている。
　しかし、アイシャは立つのも忘れて自分の腕の中にいるほのかな暖かみをもつ塊を不思議そうに見つめている。
　そうしているうちに、青白いふわふわなかたまりは、だんだん形が落ち着いていき、最後には青白い子犬の形になっていった。

　白い塊だったのが、あれよあれよと子犬の形になったので、ちょっと唖然とするクロス。

　突然の来訪にびっくりというか、子犬の形になったのがびっくりというか‥‥？

　しかし、なんと言ったかはわからない(^-^;

　と、先ほどの子犬の音を真似て発音をする。
　そうか。シーアンの口から「だぉ？」か‥‥

　シーアンのものまねは、とてもそっくりだった。
　しかし、「だぉ？」って、どんな意味なんだろう？

　その驚き☆と不思議☆に小躍りするポム。
　しかし、その青白いふわふわな‥‥‥ええいっ！子犬っ！以下子犬！(笑)
　その子犬は、すっごく期待を込めたキラキラ☆な瞳でアイシャの事を見ている。

　どうやら、東方語と西方語は喋れるようだ‥‥

　改めてびっくりするシーアン。

　名前を教えてもらって、だいぶ嬉しそうです。

　どうやらこの依頼人。可愛いものがなかなか好きらしい。

　と、ふるふる‥‥と首を横に振っています。
　しかし、ちょっと勢いよく振ったためか‥‥少し、目を回したようです。

　カルチャーショックから立ち直ったクロス。
　にっこりと笑みを浮かべてご挨拶。

　と、てきとうな挨拶をするシーアン。
　深く考えるのをやめたからだろう。きっと。

　極力記憶容量は残しておきたいタイプらしい。

　と、今まで調べた内容を反芻しながら答えるポムとバジル。
　確かに人語を喋れる犬はそうそういないだろう。

　そう言いながら、ちょっと精霊の力を見てみる。
　確かにいろんな精霊の力を感じるが‥‥特にシルフとかの力ではないようだ。

　みんなが氷狼の話をしてる間に、自分が座ったままだった事に気がついたアイシャがようやく立ちあがった。
　片手で子犬を抱えたまま、もう片方の手で服のホコリを払っている。

　慌てて手を差し出すシーアン。
　その手に、にっこりとしながら掴まるアイシャ。
　その間、子犬はアイシャの腕の中でぷら〜んとしている。

　と、ご挨拶☆

　ふいに家族の事を懐かしく想いだすアイシャ。

　シーアンの隣にいるときは小さく見えるアイシャも、流石に20〜30cmの子犬にしては、だいぶ大きな人に見えるらしい。
　それいぜんに、こんなおっきな人たちの子供時代ってどのぐらいなんだろう？？

　なんか、褒められたので照れてる依頼人。
　ちょっとほほが赤らんでたりする。

　そのつぶやきが聞こえたのか、聞こえないのか‥‥ルツァーはカヴァレスの方を見、にこっと微笑む。

　と、前足をしゅたっと上げて元気良く答えます。

　イメージとの狭間で苦悩するクロス。
　がんばれ☆

　子犬はまだ、アイシャの腕の中にいたりする。
　どうやら、あったかくって、良い場所と思っているらしい。

　と、眉間にしわ寄せ（って、子犬の眉間って、どこかしら？）考えている子犬。

　と、にこにこと言う子犬。
　どうやら、彼にとっての個体名はないみたいです。

　と、腕を組み、考えることしばし‥‥

　と、心配そうに子犬を見ます。
　ジュビリー‥‥祝祭。
　この名を気に入ってもらえるのだろうか‥‥と。

　惜しい、シーアン。
　両方ともハズレ。

　すかさず突っ込み。
　せっかく付けた名、間違えちゃダメだめ。

　と、身体中で喜びを表しています。
　かなり、うれしいようです。

　最終的に、名前を気に入ってもらえれば結果オーライ♪
　そう思う、ポムであった。

　普通の発言はともかく、呼び名に関しては簡略した名前を喜ぶみたいですね。
　舌足らずなのかな？

　と、きょとん、とたずねます。

　と、きょとん☆としています。

　と、悩むクロス。しかし、周囲はそれに気がつかないのか、どんどんと話しは展開していくようだ。

　と、しょんぼり答えます。

　「遊び」という単語に対して、ジリィはこくこくとうなずいています。

　と、しゅたっと答えます。
　‥‥本人は「子犬」であると主張したいそうです。

　ちょっと自画自賛。

　確かに、そのふたりの周辺は、とても「ほのぼの☆」とした雰囲気が漂っているかも。

　と、るるん☆としています。

　依頼人からジリィの発言を聞き、耳をぴん♪と喜ぶバジル。
　これは、もしかして、もしかするかも？

　そんなジリィの言葉を通訳しながら、一人「わきゃわきゃ、もぞもぞ」と動く狼の像を想像しているものが一人‥‥‥。

　同じく、想像したものがここにも二人。

　どうやら、ジリィも「お願い事」があるようです。

　ちらっと山を見る。

　山を見る依頼人に、『そんな、洒落にならないよ〜』といった風に肩をすくめ、首をふるふると振るクロス。
　確かに、洒落にならないな。

　その申し出に、ひとしきり喜ぶジリィ。よほどの「お願い」なのだろうか？

　どうやら、取ってきてもらえない？と感じたのか、ちょっとベソ入りはじめています。

　泣く子に弱いみたいですね、この依頼人。

　と、クッキーを一枚。

　どうやら、食べ物であるとは気が付かなかったようです。

　と、当たり前のようにポムはクッキーを食べ始める。
　こんな美味しいものを断るだなんて！

　なんか、わからない単語がでてきたりで、ちょっと混乱。

　と、袋の中身を確認して皆に言う。

　と１枚もらってぽりぽりぽり。

　一枚もらって、にっこり食べる。

　と、気前よく皆にクッキーを配っています。
　我関せずはカヴァレスのみ。しかし，それ以上ダイエットしても落ちる脂肪は無いと思うが‥‥。

　その一つもらったクッキーを、ちらっとジリィを見、そのまま口に入れるクロス。
　そう、これは美味しい食べ物なんだよ‥‥と、言いたげに食べる。

　と、熱弁するジリィ。

　なにやら、事情があるみたいです。

　こくこくこく、と勢い良く頷いています。

　前回の冒険を思い出し、ぶるるっと身震いするポム。
　きょだいなうにょうにょとかは、確かにイヤだな。うん。

　遊んでもらえるのか？と、ちょっと期待な尻尾ふりふり。

　とつぶやくクロスの後ろを、ひゅるりと寒風通りすぎる。

　アイシャがジリィを地面に降ろすと、　くるりと方向を変えて、とことこと歩きはじめました。

　と、ぽんぽん‥‥とロシの首筋を撫でています。

　一行は、とことこと歩く子犬の後を付いていった。