SW-PBeM Scenario #31
かなしみのおやこ
終章 かなしみのおやこ

勇者、凱旋

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 村へと向かう途中、
■ オジイ To:エーギル
 エーギルさん、お願いがあります。
 もう知っていると思いますが、村にミトラ君という少年がいます。
 彼には、今回の出来事の顛末、そして彼の両親が誰かということは黙って置いて欲しいのです。
 お願いできますでしょうか?

■ エーギル
 ‥‥それは初めから言うつもりではない。
 それに、これ以上いらぬ心配を村長にかけるつもりもないしな‥‥

 ぽつり‥‥と、そのような答えが返ってきた。
■ オジイ To:エーギル
 ありがとうございます。

 オジイの明らかにほっとしたような表情が手にとるように分かった。

 来る途中にあった、道の真ん中の罠にも気を付けながら、ノエルはゲルグに結局会わなかったな‥‥と思った。
 結局この罠はなんだったんだろう?とも思いながら‥‥

カロリック村


 村に着くと、まっさきにミトラがこっちに駆け寄ってきた。
 その顔から、一晩中ろくに眠れないで心配していたというのが手に取るように分かる。
■ ミトラ To:ALL
 おにぃちゃ〜〜〜ん!おねぇちゃ〜〜〜ん!おぢちゃ〜〜〜〜〜ん!!!
 無事だったの?大丈夫だった??ボク、すっごく心配だったんだよぉ(TT)

 ‥‥?
 ねぇねぇ、そのおぢちゃんはだぁれ?

 冒険者達が無事帰還したことにほっとしたのもつかの間。ミトラの前には見知らぬおじさんがいる。
■ソフィティア To:ミトラ
 ありがとう。でもね、みんな見ての通りピンピンしてるから大丈夫よ(^^)

■ ミトラ To:ソフィティア
 さっすが勇者様だねっ☆彡

 ミトラの目は、キラキラ☆状態である。
■ ミトラ To:エーギル
 おぢちゃん、こんにちは☆
 どうしたの?森で迷子になっていたの?
 おぢちゃん、お服ぼろぼろだよ?着替えなくていいの?

■ エーギル To:ミトラ
 ‥‥‥。そう、おじさんはね、ず〜っと、ず〜〜〜っと迷子になっていたんだよ。
 それをね、この人たちに見つけてもらったんだ‥‥

 そのことを村長殿に伝えなければならなから‥‥村長のところまで、案内してもらえるかな?

 しゃがみ、ミトラと視線を合わせてそういう。
 その目はとても優しく、つい1日前の狂信者と同一人物とは思えないほどだった。
■ ミトラ To:エーギル
 うん☆じぃちゃも、とぉ〜〜っても心配してたんだ。
 んじゃ、おぢちゃん、こっちだよぉ〜〜(^-^)/

 エーギルの手をとって、ぐいぐいと引っ張るミトラ。
 その姿を見て、ほっとするシンディ。
■ ルセウス To:シンディ
 ‥‥大丈夫そうだ‥‥な。
 さ、行こうか‥‥

 村長の家につくと、シンディはミトラに手伝ってもらってお茶の準備を始めた。
■ エーギル To:ベクト
 ‥‥‥

■ ベクト To:エーギル
 無事‥‥じゃったようじゃな。それはよかった‥‥

■ エーギル To:ベクト
 村長‥‥ただいま戻りました。

 一言、なんとか一言‥‥そう言う。
 ベクトは‥‥ゆっくりと、うなずき‥‥エーギルの肩に手を置いた。


■ ベクト To:ALL
 冒険者の皆さん、本当にありがとうございました‥‥

 深々と、頭を下げる。

 ミトラがこない間にと、冒険者はざっと今回のあらましをベクトへ伝えた。
 エーギルが少し暗黒神に魅入られていた事。
 そこをついて、ダークエルフがエーギルの事を利用していたこと。
 今回の事件はすべてダークエルフが仕組んだものであり、エーギルは単純に利用されていただけのこと。
 今、エーギルは暗黒神の呪縛から解き放たれ、優しい父へと戻っている事。
 そして、森の奥に‥‥10年前の冒険者とマーシィが石像となって居る事も話した。
■ ベクト To:ALL
 マーシィ達が‥‥そうか‥‥
 この村は、彼女に守られていたんじゃのぉ‥‥
 わしらは‥‥まだまだ感謝が足りないのぉ‥‥

 そう、ベクトはつぶやく。


 一息ついてからのお茶はそれは盛大なものだった。
 ミトラははりきって姉の手伝いをし、その姿を‥‥二人の姉弟の微笑ましい姿を、エーギルはゆっくりと眺めている。
 ‥‥
 彼は、悲しみの顔ではなく、笑顔をなくさせなかった事を、神に‥‥もちろん光の神であるが‥‥感謝した。
■ ミトラ To:ALL
 ねぇねぇ、ここに無事に帰ってきたってことは、もぉおねぇちゃんは生け贄にされないって事?

■ アフル To:ミトラ
 そ。もう、悪い奴等はみんなやっつけちゃったからね(^_^)

■ ミトラ To:ALL
 なら、おにぃちゃん達ボクの依頼たっせぇしてくれたんだよね☆
 ちょっとまってて☆ボク報酬もってくるから〜〜〜☆

 と、軽やかに自室へと向かうミトラ。

 数分後、手にはちょっと大きめの宝石を持って帰ってくる。
■ ミトラ To:ALL
 えっと、依頼すいこぉありがとぉございました。
 ささやかな報酬ですが、おうけとりください。

 ぺこり、と頭を下げてから冒険者の目の前に宝石を置くミトラ。
 その石は、透き通るようなブルーの輝石だった。

 ちらっと見たア・トールとヘルムンスには、その石がサファイアである事がわかった。
■ ノエル To:ミトラ
 どういたしまして。
 冒険者として当然のことをしたまでですわ(^^)

 ぷっ
 なんて、らしくないわね(^^;
 ありがと。これは大事にもらっておくわね。

■ ミトラ To:ノエル
 うん☆お仕事ごくろぉさまぁ☆

 代表して、ノエルがミトラの石を受け取った。
 しかし、この石はミトラにとっては親の形見。後でシンディさんに返しておこうと思うのであった。
 自分の依頼が無事遂行され、かつ、依頼料もちゃんと支払う事ができたからか‥‥ミトラはまたこっくり、こっくりと船をこぎだした。
■ ベクト To:ミトラ
 ほれ、昨日寝てなかったからじゃ‥‥
 ‥‥ミトラ、ゆっくりお休み‥‥‥

 と、孫の身体を優しく抱いて、ミトラの部屋へと運ぶベクト。
 部屋にはシンディとルセウスとエーギル。そして冒険者達だけが残った。
 ミトラの姿が部屋から消えたころ、先ほど依頼料の宝石を受け取ったノエルは、
■ ノエル To:シンディ
 申し訳ないのですけど、この石、私たちが帰った後でミトラ君に返していただけないでしょうか。
 確かに成功報酬としてもらうという約束だったのですけど、ミトラ君にとっては自分と母親との唯一のつながりになるものです。そんな大事なもの、そう簡単に頂くわけには参りません。

 といい、輝石をテーブルの上‥‥シンディの目の前に置く。
 シンディは、じ‥‥っとその石を見つめている。
■ シンディ To:ALL
 ‥‥わかりましたわ。では、この石は‥‥私が預かっています。
 でも‥‥では、こちらの石をお受け取りください。

 シンディは紅く輝く石を取り出し、冒険者達の目の前に置いた。

 ア・トールには、その石がルビーであること。先ほどのサファイヤよりもより価値の高いものであることが分かった。
■ シンディ To:ALL
 こちらは、私が母から受け取った石です。
 母の意思があの場所に在ることが分かりましたから、もう石に頼らなくてもよくなりました。
 これは‥‥私とミトラ。そしておじいさまからの謝礼だと思って、どうかお受け取り下さい。

■ アトール To:シンディ
 うーん、でも、これもミトラの報酬と同じ形見なんだろ?
 俺達がミトラの形見を受け取れない理由が解っているなら、この宝石を受け取るのもちょっとなぁ・・・・

■ アトール To:all
 どうする?

 シンディは、ちょっと悲しげな顔をしている‥‥
 その時、ミトラを寝かしつけて来たベクトが帰ってきた。
■ ベクト To:シンディ&ALL
 おや‥‥どうしたんだじゃ?シンディ。
 珍しく‥‥感情が吹き出ておるが‥‥

■ シンディ To:ALL
 ミトラには‥‥まだ真実を告げていないので、あの子には「形見」の宝石はあってもいいかと思います。
 でも、私は‥‥父と母が今でも私達を守ってくれているという事を知りました。
 ですから、私の分の形見の宝石は‥‥できましたら、冒険者の方への報酬として受けとっていただきたいのですが‥‥

■ ノエル To:シンディ
 けど、その石があなたにとって形見であることに変わりはないのだし、ご両親のことを知ったからと言ってその石がまるで無意味なものになったというわけではないでしょう?
 それに、あなた達にとってそんなに大きな意味を持つものであるなら・・・仮に受け取ったとしても、売り払って金銭に換えるというのはしがたいのです。

■ ベクト To:ALL
 ミトラの両親の事は‥‥ミトラがもう少し大きくなったら話そうと思っているんじゃが‥‥それじゃぁ遅いかのぉ‥‥

■ ノエル To:ベクト
 それはベクトさんの判断次第ではないでしょうか。
 けど、ミトラ君も本当にしっかりした子ですし、今でも十分理解してくれるとは思いますけどね。

■ シンディ To:ノエル
 確かにあの子は利発に育ってくれていますが‥‥受け止められるか、わからないの‥‥

 そう告げるシンディの肩を、そっとルセウスが抱きしめる。
■ ベクト To:ALL
 本当なら、わしがちゃんと報酬を渡せれれば良いのじゃが‥‥いかんせんわしの家も‥‥そう裕福ではなくてのぉ‥‥
 お支払いするものがないんじゃよ‥‥

 ベクトは、うつむきながら、そうつぶやいた。
■ オジイ To:ALL
 う〜ん、でも、やっぱり両親との想い出の宝石をいただくわけにはいきませんよね〜。

 と言いながら、オジイは仲間たちを見渡した。
 みな、異存はないようである。
■ソフィティア To:オジイ
 形見をもらうなんて出来るわけないじゃない。それにさ、この仕事受ける時に報酬の事気にしてたら受けてないって。みんな気持ちは同じだと思うな。

 と、満点の笑顔でにっこり。
■アフル To:オジイ
 そうそう、他にもっと実入りの良さそうな依頼もあったのにこの依頼を選んだんだから。
 ま、オジイが勝手に持って行っちゃったからってのはあるけどね(笑)。

 と、ちょっといぢわる目に軽く突っ込むアフル。
 でもその顔はやっぱりこの依頼を選んで良かった‥‥と言っている。
■ オジイ To:ALL
 やっぱりいただくわけにはいきませんよ、シンディさん。
 ルセウスさんとの結婚指輪に使ったらどうですか、その宝石。
 その分、帰りの分の弁当と、今度この村に来たときの宴会、後は……マーシィさんたちの所へほこらを作っていただくのを報酬にしてくだされば大丈夫ですよ。

 ね、みんな。

■ ノエル To:オジイ&ALL
 まぁ、そんなところでいいんじゃないかしら。

■ アトール To:オジイ&ALL
 OK。異存はないよ。

■ ベクト To:ALL
 ありがとうございますじゃ‥‥

 深々と頭を下げるベクト。

 一方シンディはというと、冒険者からの暖かい言葉を受けて、
■ シンディ To:オジイ&ALL
 まぁ、そうしたら‥‥帰りの皆さんのお弁当だいぶ奮発しなくっちゃ。
 だって、それが今回の報酬なんですものね(^^)。
 さぁ皆さん、お好きなものを教えてくださいな。私、腕を振るってお弁当をお作りしますわ(^^)。

 にっこりと、ほほえんだ。


■ アトール To:シンディ&ALL
 じゃあせっかくだから、とりあえず仕事もこれで終わったことだし、酒が飲みたいなぁ(^^;;
 無事、ミトラの依頼完了ってことで、軽く宴会にしようぜ?

■ ノエル To:アトール
 ちょっと、いくらなんでもずうずうしいって(^-^;

 隣に座っていたノエルがテーブルの下で軽くアトールにひじうちした。

 それを軽くかわしながら。
■ アトール To:ノエル
 本当は、俺にとって一番良かったのはパーティのみんなが無事だった事、とりわけノエルが無事だった事が一番良かった思っているんだぜ?
 それをお祝いするために、お酒くらいの報酬はあってもいいだろ?(^^;;

 たぶん、アフルやルセウスも同じ気持ちだろうし(笑)


 と、他の2組のカップルをちょっとからかうように隣のノエルの頬に素早くキスをする。
 もちろん、ノエルも真っ赤になるだろうと知っていながら(笑)
■ オジイ To:ALL
 な、なんかあつくなってきましたね〜〜。
 あついねえこりゃ!

 どこからかうちわを取り出して、あおぎはじめるオジイであった。
■ シンディ To:ア・トール
 では、ちょっとお待ちください(^^)。
 料理、いっぱい作ってきますから(^^)

■ ルセウス To:ALL
 ならば私は秘蔵の酒を持ってこようかな(^^)
 こないだできたのが、けっこう自信作なんだ(^^)

■ アトール To:ルセウス
 お、それは楽しみだ(^^)

 と、冒険者の目の前で、ちゃくちゃくと宴の準備が過ぎ‥‥そしてエーギルも交えて、穏やかな宴が始まった。
 一方その頃‥‥ミトラはというと‥‥
 夢の園で、さんざん遊びまわっていたという‥‥なんともかわいそうなことでありましたとさ(笑)。

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