野営地 |
恋人を起こしたノエル。他の者の睡眠を邪魔しないようにと‥‥ア・トールの隣に座った。
焚き火が、ぱちぱちとはぜている‥‥
■ ノエル To:アトール |
オジイのこれ、読んであげるからいっしょに考えてみない。 あまり大きな声でしゃべってみんな起きてもなんだし、もう少し近くに寄って・・・ |
オジイって体格の割に小さな字を書くんだな、と思いながらノエルは文章を改めて見てみる。それから、小さな声で読み上げていった。
■ ノエル To:アトール |
うーん・・・ 「本当にシンディなのか」もわからないわね。ミトラ君がお爺さんにそう言われたからと言っているだけだから。 それから、「どうやって魔物がシンディという名の娘がいることを知ったのか」 どちらにせよ、共通語でもない東方語でもない文章を当たり前のように書く行動と、矢文を通信手段として選ぶという人間くささがなんか不似合いな感じがする。 そもそも「魔物」は本当にいるのか。わずか10年前の事件が風化するのか。 |
■ アトール To:ノエル |
うーん・・・ |
■ ノエル To:アトール |
なにか気になったことある? |
■ アトール To:ノエル |
現時点ではミトラの話しか聞いていないのだから、情報が絶対的に不足している状態だろ? この状況下で推測を立てるような疑問を次々とあげていくのは、間違った方向に進みかねないから、あんまりしない方が個人的には良いと思うんだ。 今やるべき事は「なぜ〜か?」という推論より「何の情報を集めなければならないか?」ということを考えておく事だと思う。 例えば、 「なぜ、16才のシンディなのか。」 |
■ ノエル To:アトール |
下手なあて推量を今するより、情報をきっちり集めて判断材料をそろえてからいろいろ考えた方がいいということね? まぁ、その情報にしても、一人からしか得られていないものを鵜呑みにしないで、裏をとれるものはとったほうがいいでしょうね。たとえ同じことを聞くにしても、人によって見方が違うはずだし、そのことによって見えなかった事実が見えてくるのかもしれない。嘘をつかれることはあまり考えたくないけど、気がついていないことだってあるだろうから。 なんの情報を集めるか、については、ミトラ君のお母さん達が亡くなったときの事情も聞いてみたいわね。 |
■ アトール To:ノエル |
そうだな。 あと、シンディやミトラを含めた村長の家族が、村でどういった位置を占めているかとかも知っておきたいところだな。 政治的なことから近所づきあいも含めてね。 |
■ ノエル To:アトール |
こうしてみてみると、本当に情報が足りないってわかるわね。 村がどんな感じなのかも。 |
そういうと不意にノエルは立ち上がりのびをした。
■ ノエル To:アトール |
今はまだ月があるからいいけど、これからどんどん暗くなるわね。 明るい方が野営していても安心できていいんだけどね・・・ |