Sword World PBM #29 |
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森の中 |
血痕(と足跡)を追跡していくと、程なくして木の根本に座り込んでいる人影が見えてきた。小柄な女性だ。ぐったりとしていて、かろうじて意識を保っているかどうかといったところだろう。
■イルミナ To:ALL |
あっ、あそこ! |
■クレフ |
あっ! |
イルミナは駆け寄ろうとするが、カルソニックの言葉を思い出し、努めて冷静に罠を警戒する。しかし、特に罠は見あたらない。
ぱっと見たところ………というか、どう見てもマリエルである。全身傷だらけのぼろぼろで、やはりというか右手首から先が失われている。神聖魔法による治癒を試みたようだが、すべての傷を癒すには至らなかった様子で、手首からの出血も完全には止まっていないようだ。
なにやら、こちらを警戒するような、というよりも怯えるような目で見ている。顔色は紫色に近い状態で全身は小刻みに震えている。一応生きてはいるようだが、かなり危険な状態には間違いない。
■アスタルテ |
……まだ生きてたようね。 (自分でもよくわかりませんが、なんとなくホッとしています。) |
■マリエル To:ALL |
……な………いで……… |
■イルミナ To:ALL |
罠らしきものはないわ! マリエルさん! しっかり! |
■カルソニック To:イルミナ |
罠は無いんだな?ありゃ放っておいたらかなり危険だ! 手当てをしてやるぞ!(急いで近づく) |
近づくのはいいが、実は応急手当の仕方を知らないカルソニックだったりする。
■マリエル To:ALL |
…………ぃ……や……… |
身体を引きずるように逃げようとするが、ほとんど身動きできない状態で、もぞもぞしているだけのように見える。
■ドリス To:マリエル |
だ、駄目っ動いちゃあっ!! ああっ血、血を止めなきゃ。 このままじゃ死んじゃうよっ ア、アスタちゃん神聖魔法をお願いっ!! そ、それに誰か手当てをお願いっ |
そう言うと、ずっと持っていた手首を放り出して、マリエルに駆け寄る。
■イルミナ To:ALL |
あっ、私が! |
イルミナも駆け寄り、応急手当を始めた。
■マリエル To:イルミナ |
………嫌………な…し……て……… |
罠がどうとかいう問題ではなく、どうやらイルミナ達から逃げようとしているように見える。止血するとどうにか出血は止まったが、既に失血してしまったのがかなり多いせいか、マリエルの顔は青ざめ身体も冷え切っていた。
■イルミナ To:マリエル |
もう大丈夫よ。気をしっかりもって! |
■マリエル To:イルミナ |
………ゃ……… |
全身がたがたと震わせるマリエルは、もはや振り払う力もなさそうだ。
■ドリス To:マリエル |
大丈夫、大丈夫よっ! あたしたちは敵じゃないからっ! しっかりしてっ。死んじゃ駄目よっ!! |
■アーギー(心の声) |
・・・・・心から「助けたい」と思う人間の体の一部をゴミ同然に放り投げるのかよ・・・・・。 ・・・・・思いっきり気持ちと行動が矛盾してる気がするが・・・・・。 しかもまわりもそれを見て誰も何も言わず・・・・・。 ・・・・オレがあの女だったら助けてもらうの嫌になるけどな・・・・。 |
アーギーが手首を拾い、皮肉っぽくそんなことを考えてる間にも、アスタルテは自分の毛布を取り出しマリエルに掛けている。
■アスタルテ To:マリエル |
ほら、じっとしてなさい。 死にたいの。 |
そう言うと、アスタルテは《キュア・ウーンズ》の呪文を唱え始めた。
■アスタルテ |
我が神マイリーよ、彼の者の傷を癒したまえ…… |
■イルミナ To:アスタ&ドリス |
なにか、マリエルさんの様子がおかしいと思いませんか? その、怪我とかじゃなくて... 混乱しているというより...そう、幻覚を見ていて私達を認識できていないような... |
■ドリス To:イルミナ |
えっ?(考えもしなかったという顔で) そ、そうかな? 大怪我して、意識朦朧で怯えてるだけなんじゃ……??? |
イルミナの言葉に半信半疑ながらも、ドリスはマリエルの様子を観察しようとする。
アスタルテの魔法が効いたのか、顔色はさっきよりは多少ましになった。蒼白ではあるが、真っ青というほどではない。
■マリエル To:ALL |
………? |
少し身体が動くようになったのか、マリエルは身体を引きずるようにその場から逃げようとする。
■カルソニック To:マリエル |
(両手をマリエルの顔に当ててペチンという音を当てる) どうした、何があったんだ、しっかりしろ!他の仲間は何処へ行ったんだ |
いきなり殴るな。
■ドリス To:カルソニック |
きゃあぁっ!! 乱暴しちゃだめぇっ! (マリエルをかばうように抱き抱えて) 相手は怪我人なんだよっ!! 死んじゃうよぉ(うるうる) |
■イルミナ To:マリエル |
動いちゃ駄目よ...いったい何があったの? 誰がこんな事を? |
■マリエル To:ALL |
…ぁ……ぁぅ………ぁ……… |
何か言おうとしているが、ろれつは回っていない。
そして無理に立ち上がろうとする───が、緊張感が限界に達したのか、ぷつんと糸が切れたようにぐったりと座り込んでしまった。
死んではいないようだが、意識はないようだ。
■アスタルテ |
あの怖がりようは何? まったく何があっただろうねえ。 私におびえたって感じじゃない見たいだし。 私にじゃなくて冒険者におびえたのかなあ。 もしかして…… |
■クレフ |
・・・とりあえず体温が下がるのは良くありません。 |
クレフがマントを外し、アスタルテの毛布の上から掛ける。
■イルミナ To:ALL |
だいぶ日も暮れちゃってるし....今から村へ戻るのはとても無理...か マリエルさんを早く休ませてあげたいけど、今夜は野営をするしかないわね 私、辺りで野営のできそうなところを探してきます 皆さんはこの辺りにいて下さい。マリエルさんのことよろしくお願いします。 |
そう言い残して、駆け出そうとする。
■ドリス To:イルミナ |
あっ! だめだよっ1人で動いちゃっちょっと待ってっ!! |
■ドリス To:カル、アーギー |
ねえ、カルかアーギー様、どっちか1人イルミナちゃんの護衛についてってあげてっ |
■アーギー To:ドリス |
ん?ああ・・・・・・・・。 殺したヤツがそう簡単に殺した現場付近に戻ってくるとは思えないけど・・・まあついていっておいたほうがいいかな・・・・・。 |
■アーギー To:イルミナ |
(肩をポンと叩いて、表情をうかがうように見つめながら) ・・・・・焦る必要ないだろう、イルミナ・・・・・ オレ達が焦った所でキノコも手に入らなければ女も助かるわけじゃない・・・・。 |
■イルミナ To:アーギー |
えぇ...でもできるだけ早くマリエルさんを休ませてあげたくって... すいません...つい感情的になって冷静さを失ってしまって... 護衛...お願いしますね |
冷静になろうと深呼吸をしてから、イルミナは軽く頭を下げた。